『イナズマン』は、1973年(昭和48年)10月2日から1974年(昭和49年)3月26日までNET系で毎週火曜日19時30分から20時00分に全25話が放送された、石森章太郎原作東映製作の特撮テレビ番組。また、それに登場する架空のヒーロー。本作が放映された当時は超能力やUFOなどのオカルトものが一大ブームを起こしており、主人公が超能力者、主人公に協力する「少年同盟」も超能力を持つ少年少女によって構成されている、など本作にも随所にそれらの要素が盛り込まれている。主人公はサナギマンからイナズマンへの二段変身能力を持っているが、これは蛹から蝶への羽化からイメージされたものである。イナズマンのデザインは蝶をモチーフとしているが、これは蝶と超能力者をかけた言葉遊びからのアイデアであると言われている。本作は1972年、東映動画の旗野義文(『サイボーグ009』などのプロデューサー)が立案したアニメーション企画『ミュータントZ』が源流である。企画書では『仮面ライダー』のヒットによって巻き起こっていた当時の「変身ヒーローブーム」に対抗するため、アニメーションならではの自由な発想による超能力者の活躍が強調されていたが、実現には至らなかった。しかし本作の企画書が東映本社のプロデューサーだった平山亨の目に留まり、実写ヒーロー番組として製作されることとなった。実写番組として練り直され『電光イナヅマン』となった企画は当初TBSのタケダアワーでの放送を想定していたが、東映エージェンシーの参加によりNETでの放映が決定。原作漫画とキャラクターデザインは石森章太郎が担当した。石森は第11話で脚本と監督も担当している。主役のイナズマンこと渡五郎役には、前年に『人造人間キカイダー』で主演した伴大介を起用。また少年同盟のメンバーである超能力少女のヒロイン・大木サトコ役に、野球根性ドラマ『ガッツジュン』のマドンナ・村丘美代子役で出演した桜井マリ、サトコの弟である少年同盟メンバーの大木カツミ役に『仮面ライダー』で少年ライダー隊隊員・ミツル役で出演していた山田芳一、また五郎の盟友・丸目豪作役には、東映映画『新網走番外地 大森林の決斗』(降旗康男監督、1970年)で準主役デビューした北村晃一が起用された。脚本陣では、東映で『仮面ライダー』、『仮面ライダーV3』のメインライターを務めた伊上勝が初期の番組フォーマットを担当し、『仮面ライダーX』の製作準備に移る第9話まで脚本を担当した。同じく仮面ライダーシリーズを担当した島田真之に、『マジンガーZ』の高久進らベテラン陣が起用され、「超能力」を主題とした怪奇アクション路線が採られた。演出面では『仮面ライダーV3』から監督の田口勝彦らをスライド起用するなど強力な布陣が揃えられ、音楽は『人造人間キカイダー』、『マジンガーZ』、『キカイダー01』など、これも東映作品で実績のある渡辺宙明が起用された。また番組制作スタジオの東映生田スタジオでは、ミニチュア特撮面が強化された。美術担当のエキス・プロダクションの八木功をチーフとする特撮班が組まれ、ライジンゴーの空中戦や、大規模な崩壊特撮が盛り込まれて、従来の生田作品からのさらなるスケールアップが図られている。劇中アクションは、『仮面ライダー』などを担当した大野剣友会。イナズマン、サナギマンを演じたのは剣友会のベテラン、中村文弥。「肩のプロテクターが邪魔で動きにくかったが、色合いも明るく、スマートに演じるよう心がけた」と語っている。番組アトラクションショーも日本各地で行われたが、これは大野剣友会は担当していないという。イナズマンをはじめとするキャラクター造形は、エキス・プロダクションによる。イナズマンの肩のプロテクターはラテックス製で、当初石森のデザイン画に合わせて胸と一体型だったが、腕がうまく上がらず、アクションに不向きだった。このため肩の部分で分離したものに修正されたものとなったが、それでも中村が言うように、かなり動きづらいものだった。また手袋とブーツには、原デザインと同じく蝶の羽根のような黄色い模様があったが、放映版では省かれている。イナズマンの触角は、アップ用のFRP製のものが第1話の撮影で早くも折れてしまい、アクションシーンではラテックス製になっている。サナギマンの衣装は、放映開始前の雑誌撮影会の際に、エキスプロのほうでうっかり背中の着脱用のファスナーを着け忘れたまま納品してしまい、現場で着脱部を針金で縛ってしのいだという。サナギマンのスーツは第5話以降、より動きやすいものに変更されている。メインライターを務めた伊上は第9話を最後に『仮面ライダーX』の企画参加のため降板した。以後、高久、島田に加え第17話からは、円谷プロのウルトラシリーズや『ロボット刑事』を執筆していた上原正三が参入。それまでの怪奇キャラクター路線から、五郎と相棒の丸目豪作の2人を中心に据えた、人間ドラマを中心としたエピソードが増えた。中盤以降はさらに人物関係が整理されて、少年同盟も、サトコとカツミの姉弟、カオル以外のメンバーはほとんど登場しなくなっている。こうしてさまざまな新機軸を盛り込んだ『イナズマン』だったが、変身ブームは沈静化しつつあり、同時期に制作されていた『仮面ライダーV3』と肩を並べるほどの人気には至らず視聴率は低迷した。この情勢のなか、1974年(昭和49年)初頭に石油ショックが発生。諸物価を高騰させ、日本の産業界は大きな打撃を受けた。東映生田スタジオもその例外ではなく、1月以降、特撮資材費の高騰は番組一本当たり、毎回50万円(当時)の赤字を出し続けることとなり、東映生田スタジオに深刻な営業不振を及ぼした。このことは、後に生田スタジオ所長の内田有作が辞職する一因となった。これを受け、制作陣は『イナズマン』を第3クール(第26話)から番組をリニューアルすることを決定。キャスト、敵組織など設定一切を一新し、タイトルを『イナズマンF』と改めることとなった。第24話からは、これに先駆けて新しい敵組織が登場し、渡五郎の服装、変転した際のバンク、イナズマンのマフラーの色なども変更されている。番組人気はいま一つだった『イナズマン』であるが、本作に登場するライジンゴーは、スポンサーであるポピーから「ポピニカシリーズ」として合金玩具が発売され、大ヒットとなった。これを受けて、ライジンゴーは『イナズマンF』にも、引き続き登場した。東南大学三年生・渡五郎(わたり ごろう)はある夜、友人の丸目豪作とともに女性と少年が怪人に襲われる現場を目撃する。彼らはそこに助けに入るが怪人に攻撃を受け、五郎は海中に落下してしまう。気がついた五郎は別の場所におり、その前には先ほどの女性と少年、数人の少年少女たちがいた。彼らは事情を説明する。「自分たちは超能力を持つミュータント・少年同盟であり、帝王バンバの率いる新人類帝国と戦っている」と。さらに五郎の前に少年同盟の盟主・キャプテンサラーが現れる。彼は「五郎も超能力を持っている」と言い、それを覚醒させる。五郎の超能力とは2つのスタイルを持つ超人への変身能力、すなわちサナギマン、そしてイナズマンに2段変身するというものだった。五郎は少年同盟と共に新人類帝国のミュータンロボットと戦うことを決意する。第24話・第25話(最終話)はファントム軍団との最終決戦であると同時に新たな敵・デスパー軍団の登場編でもあり、物語はそのまま『イナズマンF』へと続く。少年同盟とは、キャプテン・サラーが悪の超能力者を倒すために作り上げた秘密組織である。メンバーは全員超能力を持った少年少女であり、卵形の飾りが特徴のオレンジ色の制服とヘルメットを着用しており、「スパーッ!」の叫びとともに空高くジャンプして一回転することにより、私服姿から少年同盟の制服姿に瞬時に変わる。その基地は地下深くに作られており、電話ボックスが入口。同盟員はエレクトロボーイ号という自転車でパトロールを行い、ピットと呼ばれる鳩型のアイテムを通信機や投擲武器として使用する。帝王バンバが結成した悪の超能力者集団。超能力者(ミュータント)を新たな人類であると考え、超能力を持たない旧人類を滅ぼし、悪の心を持ったミュータントのみの世界を作り上げようとしている。帝王バンバと彼に盲目的に従うミュータンロボット、ファントム兵士によって構成された冷酷非情の独裁組織だったが、新組織デスパー軍団の策謀によって組織は内部分裂を起こし、孤立無援となったバンバはイナズマンに倒されファントム軍団は壊滅した。第24話からイナズマンらの前に姿を現した組織。ファントム軍団にクーデターを仕掛け壊滅寸前に追いやった。帝王バンバがイナズマンに敗れファントム軍団が壊滅した直後、本格的に活動を開始した。本作のBGMおよび主題歌・挿入歌・イメージソングは全て渡辺宙明が作・編曲した。一部、『人造人間キカイダー』から流用されたBGMもある。次作『イナズマンF』の主題歌・挿入歌LPに収録イナズマンの登場作品・客演作品については、イナズマン (架空のキャラクター)も参照。すべて東映ビデオより発売以下、客演作品。石ノ森章太郎執筆の作品についてはイナズマン (漫画)を参照。客演情報については、#客演情報と#他媒体展開を参照。
出典:wikipedia
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