『愛の戦士レインボーマン』(あいのせんしレインボーマン)は、川内康範原作、東宝製作の特撮テレビ番組。1972年(昭和47年)10月6日から1973年(昭和48年)9月28日までNET系で毎週金曜日19:30 - 20:00に全52話が放送された。平均視聴率は関東地区で15.5%、関西地区で20.5%。その放送に合わせて漫画が雑誌連載されている。映像でのタイトルは『レインボーマン』だが、最終話のエンディングでのテロップ、映像ソフトのタイトル、関連商品の記述などでは『愛の戦士レインボーマン』とされている。レインボーマンに変身するヤマトタケシと、死ね死ね団の戦いが描かれたテレビドラマ。本作は東宝がヒーロー物に初参入した番組である。また1970年代の川内康範原作作品としてはテレビアニメ『正義を愛する者 月光仮面』に次ぎ、川内原作作品としても初の変身ヒーローものである。原作者の川内は千葉真一が主演した1960年のテレビドラマ『新七色仮面』、『アラーの使者』を本作品の基としているが、単純な勧善懲悪ものではなく、川内の東南アジアにおける旧日本兵の遺骨収集の体験が反映された、数々の特徴をもっている。すなわち、かつて日本に虐待されたと自称する外国人が組織立って日本人に復讐しようとするという敵の設定、祖国が外国から迫害を受けている現実を目の当たりにしながらも、共に戦う仲間を得ることもなく、日本を守るために孤独な戦いを続けるレインボーマンの「祖国愛」、主人公の私生活やヒーローとしての苦悩に重点を置き、主人公をヒーロー番組の人物設定にありがちな完全無欠な性格としていない点、などである。『レインボーマン』の企画を東宝に提案したのは、『月光仮面』の時代から川内康範と関わりの深かった企画者である萬年社の衛藤公彦であるが、衛藤によれば当作は番組そのものの人気もさることながら商品化収入の面でも莫大な利益を上げたことで、2年目以降の放映延長も可能だった。1年で放送を終えたのは、原作者である川内の意向があったためと語っている。製作者側が望んだ川内のポリティカルな姿勢は、衛藤プロデューサーの期待通り番組制作全体に及び、有川貞昌は特撮の演出面に関しても、川内から様々な叱咤激励があったと語っている。レインボーマンは変身ヒーローの名前である。レインボーマンは必要とする能力に合わせて、七曜にちなむ7種類の姿に変化(へんげ)し、それぞれの姿にちなんだ超能力を発揮する。単独ヒーローが状況に応じて様々に姿や能力を変化させるという要素は、当時としては斬新なものであり、のちの特撮番組にも応用されている。キャラクターデザインは、『正義を愛する者 月光仮面』の監督を務めた岡迫亘弘によるものである。岡迫は7種のデザインにあたり一目で見分けられることを心がけている。背面はデザインしておらず、造形側の処理による。レインボーマンの7つの衣装は、造形会社「開米プロダクション」が担当している。予算の関係で皮革素材は使えず、社長の開米栄三自身が浅草の専門店へ足を運んで伸縮性のある生地(ビニールレザー)を購入し、衣装屋に縫製してもらったそうである。開米によると、原作者の川内が多忙で、打ち合わせはホテルのロビーで行なったとのこと。敵対する勢力は、日本人を憎悪し日本という国家と日本人皆殺しを企む組織、死ね死ね団で、宇宙人や怪物などではない、外国人による組織である。第2クールで魔女イグアナと殺人プロフェッショナルを送り込んだのを皮切りに、第3クールでは悪魔武装戦隊(DAC)を結成、第4クールでは部下などを次々とサイボーグ化しレインボーマン抹殺を目論んだ。ほかの変身ヒーロー番組のように、いわゆる怪人は登場しない。しかし殺人プロフェッショナルは、人間とはいえ、特殊な能力と異形の怪人的な存在である。戦いは、変身ヒーローなどに多い1話完結による「怪人対主人公」ではなく、約1クール(13話)からなる「政治的結社の陰謀対それを阻止する主人公」であり、登場する怪人はレインボーマン打倒が目的で送り込まれるケースが多い。第2話の「この一年間、よくぞ耐え抜いた」というダイバ・ダッタのセリフ、第40話の「娘・イグアナが死んでから666日が経った」というゴッドイグアナのセリフから、作中では第2話の間に1年、第25話から第40話までの間に、2年近い時間の経過があったことになる。ヒーロー誕生から敵組織との戦いに至る流れも従来のヒーロー番組とは異質であり、第1話においてはレインボーマンは幻影のみの登場、2 - 4話ではレインボーマンとなったタケシの人間ドラマが中心で、敵組織の「死ね死ね団」は4話目にして初めて登場する。アマチュアレスリングで名をはせた高校生・ヤマトタケシは小学生のころ、妹を自分の不注意で交通事故に遭わせ、脚に障害を負わせてしまう。その治療費を稼ぐため、格闘技にさらに磨きをかけプロレスラーとなり、有名になって金持ちになるべく、インドの山奥に住む奇蹟の聖者「ダイバ・ダッタ」のもとへと旅立った。折しも第三次印パ戦争の真っ只中であり、負傷したタケシだったが、年老いたダイバはタケシに長年夢に見た伝説の七色の戦士、「レインボーマン」の素質を見出し、タケシを弟子に迎える。タケシが長く厳しい修行をしながらその地で見たものは、同じ人間同士が傷つき殺しあう民族間の紛争だった。ダイバは死んだ兵士を超能力を用いて蘇らせるが、生き返ったにもかかわらず、再び争いを始める兵士たち。ダイバが諭すと、その神々しさに感銘した兵士たちは武器を捨て故郷へ帰っていった。タケシはダイバの偉大な力に改心し、自分の力を人々の役に立てようと誓う。やがて月日は流れ、ダイバは老衰しその魂をタケシに委ねて果てた。その直後帰国したタケシは、自分が通っていたレスリングジムの経営者である正造が借金の保証人になっていることを知り、賭博レスリングで資金を稼ぐために単身マカオに飛ぶ。そこでタケシの前に待ち受けていたのは、日本没落と日本人抹殺を企む秘密結社、死ね死ね団だった。本編における悪の組織たる秘密結社。初登場は4話。原作では東南アジア系、とりわけフィリピン出身者を中心に構成されているとされるが、映像化作品では国籍不明の出身者による構成と設定を変えている。戦争中に被占領地で日本軍の虐待を受け、以後日本と日本人に徹底的に憎悪を抱くようになったと自称するリーダーの下、日本の解体と日本人殲滅を目的として結成された組織である。謎の人物ミスターKを首領とし、ダイアナ、ミッチーなどの女性幹部、秘密研究所で鍛えられた殺人プロフェッショナルたちが所属、メンバーのことごとくが日本を憎悪罵倒し、日本の脅威を唱えている。人間を狂気にする薬・キャッツアイによる社会混乱や、攻撃機ダッカーでの空爆などを仕掛けるも、ことごとくレインボーマンに阻まれ、やがては日本人殲滅ではなくレインボーマンの抹殺を至上命令とするようになった。この他にも、宗教団体「御多福会(おたふくかい)」を通じて大量の偽札をばらまく「M作戦」により日本経済をハイパーインフレの大混乱に陥れ経済破綻を目指す、あるいは地底戦車「モグラート」による人工地震と人工津波により日本の国際的信用と国際競争力を失墜させ孤立させるなど、直接的な破壊行為に留まらず経済的・外交的な観点から社会の基盤を揺るがそうという現実感のある作戦が行われた。日本人青年ヤマトタケシと聖者ダイバ・ダッタの魂が合体して生まれた愛の戦士であるレインボーマンは、七つの化身に変身し、様々な超能力を駆使して、平和のために戦う。変身時の呪文は「あのくたら さんみゃく さんぼだい 」を三唱した後、「レインボー・ダッシュ・○○(化身の名前)!」と叫ぶ。化身の名前は、世界を構成する陰陽五行の木・火・土・金・水に日(太陽)と月を加えた七曜に基づき、ダッシュ1 - 7までの順序は、月曜日から日曜日までの曜日の並びと同じである。ダッシュ7は太陽の化身で、初登場は第1話。タケシが初めて化身したのは第2話。様々な超能力を使うレインボーマンの本体。太陽をエネルギーとする攻撃技を体得している。名は太陽だがカラーリングは白地に赤の襷がけで、物語の世界観と相まって「日本」の国旗をイメージさせるものとなっている。額には金色のサンランプが備わる。念をぶつけて相手を倒す「遠当ての術」や、相手の動きを止める「不動金縛りの術」などの多彩な術を誇る。デザイン上、目元が露出していることもあって、ほとんどの場合タケシ役の水谷本人がそのままダッシュ7を演じていた。デザインを担当した岡迫亘弘は、原作者の川内康範から観音様のイメージと伝えられていた。放送当時の玩具変身サイボーグではレインボーマン日輪の名称で発売された。ダッシュ1は月の化身。第9話で初登場。ヨガの体術を極めた化身。緑のヤツデの葉に黄金の三日月をあしらった額のエンブレムに赤い縁のサングラスを身に付けたような姿。全体のカラーリングは黄色地に赤の襷がけで、頭部以外のデザインはダッシュ7に似ている。目の部分が明確に設定されている化身もダッシュ1と7だけである。何者もその体を貫くことができず、第12話で、落とし穴に仕掛けてあった剣山に背中から落ちても傷つかなかった。全ての関節をはずし、狭い通路などを通り抜けることができる「蛇変化の術」、風雨を操り稲妻を落とす「天地稲妻落とし」などを使う。出番はダッシュ4の次に少ない。デザイン画では、頭の周囲を取り囲む「月桂冠」であった。ダッシュ2は火の化身。雑誌によっては「炎の化身」と称される。明るい橙色の体色に、額には燃え立つ炎と銀色の剣を組み合わせた形状のエンブレムを持つ。第2話でダイバ・ダッタが化身し初登場。タケシが初めて化身したのは第4話。高熱火炎を放射する「火炎の術」を使う。本編では、「火炎の術」以外の攻撃技が登場しなかった上に敵に破られたり効かないことが多く、初めて使用した第4話の鉄牢からの脱出時と、ジェノバードを一度撃退した時以外はほとんど役に立っていない。時速200kmで疾走可能という設定がありながらも本編では活かされなかった。しかし、この能力がレインボークロス形態においては、パワーアップした劇的な効果を見せて使用されている。ダッシュ3は水の化身。青と黒のカラーリングで、額には黒い王冠のようなエンブレムを持つ。第2話で初登場。タケシが本編内で最初に変身した化身で、インドでの修行中にダイバ・ダッタが変身したダッシュ2が発した火炎の術を消火した。あらゆる液体を自在に操り、両手から高圧水流を放つ「水冷砲の術」などを使う。水中戦に強いが、探知能力は無いらしく、海草爆弾を見逃し、タンカー爆破を許してしまったことがある。主に消火のために使用されることが多かった。出番は4番目に多い。ダッシュ4は草木の化身。雑誌によっては「木の化身」と紹介される。草木のような濃い緑色のカラーリングに、4枚の葉を組み合わせたようなエンブレムを額に持つ。第6話で初登場。木、林、森、山を使い、風や音、超音波を操る「木霊叩き」、松の葉で攻撃する「松葉手裏剣」、「木の葉嵐の術」による目くらましや木遁の術など忍者のような技を使う。出番は全化身中最も少ない。岡迫は忍者のイメージに川内からの月桂樹という意見を取り入れてデザインした。ダッシュ5は黄金の化身。原作の『少年マガジン』では「金の化身」と表記された。全身金色のシンプルなカラーリングで、額のエンブレムと胸から肩のデザインはエルドラドの黄金のコンドルのイメージ。第5話で初登場。天空を飛び回っての空中戦を得意とし、破壊光線を放つ「光」をイメージした化身。全身を光らせて目をくらませる「ゴールドフラッシュ」を使う。子供たちの人気が高かったためか、番組後半、出番が多くなり、ダッシュ7の次に出番が多い化身となった。一部書籍などでは「鷹の化身」という別名が紹介されている。漫画版では敵の殺人光線の直撃にもに耐え得る、防御力の強い「鉱物」としての能力を有する化身であるという描写も見られる。ダッシュ6は土の化身。第8話で初登場。頭部にエンブレムがなく、全身が茶色と黒の迷彩服のようなまだら模様というほかの化身とはイメージが異なるデザインである。体を高速回転させて地中を掘り進む「疾風土煙火の術」や、小さな地震を発生させる「地雷震の術」など効果的な技が多く、出番はダッシュ7,5に次いで多かった。土と影を利用した攻防能力に長け、本来は影を利用して地を行くという設定だった。地底戦車モグラートの登場により、第3クールから出番が多くなる。頭部のカラーリングには初期では目の周りにあった黒い輪が、3クール以降では目の上に来るといった差異が見られる。デザインは当時流行していたサイケデリック調を取り入れている。岡迫はダッシュ6のデザインが最も試行錯誤したが、川内からは気に入られたと述べている。第44話でサイボーグ化したダイアナとキャシーの同時攻撃(アベック作戦)に敵わなかったことで、新たな技を模索していた。7つの化身の技を同時に使えればと考えていたタケシは、ヨガの眠りの中でダイバ・ダッタから合体の術を授けられた。これによりダッシュ7の状態で他の6つの化身の技が使用できるようにパワーアップした。しかし、これが逆にレインボーマンの7変化の個性を殺してしまい、ダッシュ7以外の登場の機会が大きく減少することになり、視聴者からの反応はあまり好ましくなかった。タケシはダッシュ7の状態で他の2つの化身と融合することが可能になったが、ダイバ・ダッタがタケシに見せた時は全7つの化身との同時融合だった。レインボークロスによって生み出された超能力、合体技は下記の通り。ダッシュ1 - 4同士が組み合わされたことは一度もなく、必ずダッシュ5または6との組み合わせとなっている。ワーナー・パイオニアより発売参照1973年8月1日、「東宝チャンピオンまつり」内で第15話のブローアップ版が上映された。併映は、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(再映)『ウルトラマンタロウ』『科学忍者隊ガッチャマン』『山ねずみロッキーチャック』『おもちゃ屋ケンちゃん』の5本。これらのうち、小島利明版の内容がTV版(特撮版)に最も近いが、「キャッツアイ編」まではテレビ版と同じものの、その後はオリジナルの展開となっていき、最後は秘密兵器「バクテリアX」をレインボーマンの活躍で浴びせられ、構成員が全て(テレビ版では逃亡したミスターKも)死んで終わりとなるというものだった。小島利明版は講談社コミックス(KC)として、テレビ放映中だった1973年7月から10月にかけて全4巻が順次刊行された。その後、1990年12月に全2巻に再構成され、大都社から再刊された(絶版)。KCの復刻版は、コミックパークのオンデマンド出版にて全4巻で入手できる。あだち充版は復刻の希望が出ているが、あだち自身が反対しているため、実現の可能性は低い。あだち版は『テレビマガジン70's ヒーロー創世期メモリアル』(講談社・1998年)の124頁に、『テレビマガジン』1973年6月号掲載分の全15頁が縮小して再録されたほか、数点の扉ページが掲載されていた。また、『Season's album - あだち充イラスト集』に当時のカラーイラストが1枚だけ収録されている。2008年11月にSANKYOよりCRフィーバー愛の戦士レインボーマン'70としてパチンコ化されることが発表され同年12月に全国のパチンコ店に設置された。なお演出・キャラは全てCGにて新たに製作されており、テレビ作品映像は使用されていない。2007年8月27日にドラマCDが発売された。
出典:wikipedia
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