列車種別(れっしゃしゅべつ)とは、特急・急行・各駅停車や回送列車など、停車駅やサービスなどの違いによる列車の種類をさす。列車種別の名称や、名称が指すサービスは事業者ごとに異なる。本稿は特に断りがない限り、日本の旅客列車に関する列車種別を主題として記述している。列車種別は事業者によって異なるが、概ね特急、急行、快速、準急、普通(各駅停車)の順に停車駅が多くなる。東武鉄道など、快速が急行より停車駅が少ない路線もある。また、「通勤」・「区間」・「快速」・「準」・アルファベット(「A」・「B」)などを頭に付け、種別を細分化している事業者もある。列車種別は、法令に準じる厳格な規則の中で定められた事もあれば、現場の従業員の判断で便宜的に命名されたようなものもある。JRの普通列車のように、規則上の取り扱いと、実際の営業案内上の取り扱いが異なるケースもある。その他、種別を変更して停車駅を調節する場合もあり、特に名古屋鉄道で多く行われている。JR・国鉄の旅客営業規則においては、列車を規定する用語として「急行列車」と「普通列車」を使用している。このうち、急行列車は普通急行列車と特別急行列車を含む用語である。快速列車は普通列車に含まれる列車種別である。この節では、この分類に則って各列車種別を説明する。急行列車は、目的地まで速達することを重視する列車として設定され、乗車の際に乗車券以外の料金を必要とする列車としている。急行列車はさらに普通急行列車(「急行」)と特別急行列車(「特急」)とに分けられる。普通急行列車に乗るには普通急行券(券面には「急行券」とも表示される)が、特別急行列車に乗るには特別急行券(特急券)が必要となる。また、1968年9月30日以前には準急行列車(準急)も存在した。かつての準急行列車も、準急行券(準急券)が必要であった。急行列車以外の列車、いわゆる乗車券のみで乗ることができる列車を普通列車としている。基本的には各駅に停車する種別であるが、いくつかの路線では通過駅を有する普通列車が運行されている。例えば、日中や早朝・深夜の時間帯において、需要がまったく見込めない駅を通過する場合がある。その他、都市近郊の複々線では「普通」と「各駅停車」とが並立し、前者はホームがないがゆえに名目上「通過」する場合がある。普通列車のうち、途中駅の一部に停車しない列車は一般に快速列車という。快速列車は、停車駅のパターンや運行時間などにより、様々な呼称がつけられている。快速より停車駅が多い区間快速、B快速、準快速、快速より停車駅が少ない特別快速、新快速、ラッシュ時のみ運転される通勤快速、直通快速、休日のみ運転されるホリデー快速などが存在する。また、西日本旅客鉄道(JR西日本)の大和路快速・丹波路快速・みやこ路快速・関空・紀州路快速、東日本旅客鉄道(JR東日本)の青梅特快・中央特快など、路線名や行き先・方面の地名が付けられた種別名もある。常磐線では2004年3月12日まで、同じ線路を走る通勤形電車使用の「快速(電車)」より中距離電車である「普通(列車)」のほうが停車駅が少なかった。特急は、京王電鉄、東急東横線など乗車券だけで乗れる運行する事業者と、西武鉄道など、乗車券の他に特急券が必要な特急を運行する事業者がある。京成電鉄は、AE形電車など専用電車による「スカイライナー」系統には「ライナー券」と呼ばれる特急券が必要であるが、一般電車による特急においては運賃のみで乗車できる。京成部内では前者を「特別急行(A)」、後者を「特別急行(B)」と呼称している。この例はかつて、以下のような事例があった。「特急」より停車駅の少ない列車種別や、「特急」より停車駅が多く「急行」より停車駅が多い列車種別を運行する事業者もある。急行は乗車券だけで乗れる鉄道事業者が多い。ただし、JRと同様に急行券が必要となる列車もある。山陽電気鉄道本線、阪急京都本線のように特急が運行されているが急行が運行されていない路線もある。特急と同様に「通勤」・「区間」・および「快速」をつけた派生種別が運行されている路線もある。「快速急行」の詳細は快速急行、その他の派生種別の運行路線などは急行列車#急行の派生種別を参照のこと。京阪電気鉄道では「深夜急行」の種別名も使用されている。種別名の頭部に時間帯(深夜)を表す名前をつけた事例は少ない。快速は、私鉄では急行との上下関係が事業者によって異なる。つくばエクスプレスのように急行の設定がない路線もある。私鉄においては、多くの私鉄では急行より下位の種別であるが、東武鉄道や神戸電鉄のように急行より上位の種別として設定している事業者もある。西武鉄道では線区によって上下関係が異なり、池袋線系統の快速は急行より下位であるが、新宿線系統で運行していた拝島快速は急行より上位の種別であった。準急は、急行(一部鉄道会社では快速)より停車駅が多い列車である。準急とは「準急行列車」の略で、現在でも南海電気鉄道などでは、案内放送などで「準急行」を聞くことができる。なお、国鉄でも運行されていたが、急行列車に格上げされる形で運行が終了、廃止された。私鉄においては、準急の停車駅のパターンは大別して3種類ある。津軽鉄道線など準急が唯一の優等種別となっている場合もある。1.の例としては東急田園都市線、東武伊勢崎線および東上線、名古屋鉄道のうち瀬戸線、2.の例としては名古屋鉄道のうち名古屋本線および犬山線、3.例としては神戸電鉄、近鉄大阪線および奈良線における運行が挙げられる。このうち最も多い類型は1.のパターンである。かつて快速準急という列車が運行されていたこともある(小田急小田原線#過去の列車種別を参照)。その他、急行と同様に「区間」「通勤」などをつけた派生種別も運行されている。「高速」とは名古屋鉄道と近畿日本鉄道にだけあった列車種別で、いずれも乗車券だけで乗車できた。ともに有料特急列車が運行されており、その補完にあたる列車設定であった。また近畿日本鉄道では、「直行」という列車種別がある。これは近鉄生駒ケーブル山上線にあり、途中駅には停車しないノンストップ形式での運行で通常は夜間(行楽期は昼間も)に設定されている。一般的なケーブルカーと違って途中駅が存在する同線独特の種別設定で日本のケーブルカーでは唯一の優等種別である。直行は過去には南海電気鉄道(現在の準急)、京阪電気鉄道、能勢電鉄(現在の妙見急行)・西日本鉄道にも存在していた。基本的に各駅に停車する(一部の駅を通過する場合もある)列車の種別である。なお、呼称については「普通」のほか、事業者によっては以下に大別される。優等列車であるが、一部区間では各駅に停車となる列車種別で、1938年、京阪電鉄京阪本線に設定された区間急行が最初といわれている。当初は関西地区のJR・大手私鉄のみで多用されていた。同様の種別は関西地区以外では、途中駅で「急行⇔普通」のように種別を変更したり、区間種別に相当する列車を「快速」などとし、その上位に「特別快速」などを設定する例が常であった。1997年に東武鉄道に関東地方では初めて「区間準急」が設定され、以降全国の鉄道事業者に「区間○○」が設定されるようになった。例として「区間快速急行」、「区間急行」、「区間準急」、「区間快速」などがある。なお阪急電鉄と阪神電鉄においては上記定義とは異なり、一部区間のみ運転する列車という定義であり、阪急電鉄ではダイヤグラム上の正式種別として区間急行・区間普通が存在しているが、各種案内においては急行・普通と表現され、区間種別での旅客案内は行われていない。英語表記については、以下のように事業者によって差異がある。東武鉄道や小田急電鉄 - 「区間準急」⇒「"Section" Semi Express」首都圏新都市鉄道およびJR東海、ならびにJR北海道「いしかりライナー」 - 「区間快速」⇒「"Semi" Rapid」京王電鉄 - 「区間急行」⇒「準急」を意味する「"Semi" Express」JR西日本 - 「区間快速」⇒「"Regional" Rapid Service(R.Rapid)」近畿日本鉄道など - 「近郊の」を意味する「"Suburban"」の略、「"Sub "」の表記東京モノレール - 「区間快速」⇒冠詞はつかず、単に「Rapid」このような事例では、各駅に停車する区間については需要が少ない場合でその区間を通過する列車を設定しているが、地域輸送を担う列車を設定するほど需要が多くない、ないしはその区間の駅と列車始発駅周辺など一方向に需要が偏っていることから、必ずしも地域輸送にのみ特化した列車を運行するのに適していない場合にこのような列車を設定する場合が多い。例えば「区間急行」は、起点駅付近は急行と同じ駅に停車し、郊外は各駅に停車する事が多い。いずれも、「区間」がつかない列車より相対的に停車駅が多くなるのが一般的だが、阪神本線の「区間特急」は2009年3月20日改正時まで例外として、「特急」よりも停車駅が少ない列車となっていた。これは当該列車の設定当初、途中駅(芦屋)始発で大阪市内への通勤利用者に対して速達サービスを提供する戦略商品として設定されていたためである。名称については、一部区間のみ運転する特急列車ということで名付けられた。その後の一時期、三宮発に変更されたが、元町駅より先、神戸高速線・山陽電鉄線まで運行区間が延びる特急列車に対し、区間運転の列車であるということから名称は継続されている。さらに京阪本線の「区間急行」は準急よりも停車駅が多い設定となっている(京成・東武の快速>急行の関係と同様)。名称の根拠は、一部区間のみ運転の短距離急行列車という意であり、急行に準ずる列車である準急より下位に置かれている。そのためか、本来の準急の英語名"Semi Express"は区間急行に割り当てられ、準急には本来区間急行で使われる"Sub Express"の英語名が割り当てられている。京王電鉄では準急は存在しないが、京阪同様区間急行の英語表記が"Semi Express"となっている。また、2006年3月17日以前の東武伊勢崎線では、「区間準急」のうち東京メトロ半蔵門線との乗り入れ列車では、「準急」が停車する曳舟駅 - 北千住駅間の途中駅をすべて通過していた。翌18日の改正で半蔵門線直通の区間準急は準急に、浅草駅発着の準急は区間急行にそれぞれ改称されたが現在も準急と区間急行は上下関係が一致しておらず、新越谷駅 - 東武動物公園駅間では準急は各駅に停車するが、区間急行はせんげん台駅と春日部駅のみに停車する。一方で区間急行が各駅に停車する曳舟駅 - 北千住駅間では準急がノンストップとなっている。そのため、下り列車の場合、曳舟駅で準急に抜かれた区間急行がせんげん台駅または春日部駅で準急を抜き返し、東武動物公園駅より先、館林・太田方面および南栗橋・新栃木方面には区間急行が先に到着するというダイヤになっている。この現象は現在は朝と夜間以外見られないが2006年3月17日以前は昼間でもこのダイヤで運行されていた。半蔵門線直通列車がすべて曳舟駅 - 北千住駅間ノンストップとなっているのは水天宮前駅とほぼ同じ駅である東京メトロ日比谷線人形町駅と北千住駅との距離が大幅に異なることで、速達性を高め混雑緩和と利用客の誘導をする役割を担っているためである。また、列車種別に「区間」を冠さずに中間区間で各駅に停車する場合もある。このような事例として、小田急小田原線では、新宿駅から本厚木駅までは通過駅を有し、本厚木駅から新松田駅まで各駅停車、新松田駅から小田原駅まで再び通過駅を有する急行がある。なお、「区間○○」という種別を設定していないが、速達列車がある駅に到着後、その列車がそのまま各駅停車(普通列車)に種別を変更したり、もしくは各駅停車運転を行うことにより、その先まで行くことで「区間○○」と同様の運行形態をとっている場合もある。このような場合、ダイヤグラムや時刻表などで列車番号を見ると別列車扱いとしている場合が多く、列車運行上利用客の便を図るために1本の列車として取り扱うためである。朝夕のラッシュ時のみ運転される、通勤・通学客向けの列車で、「通勤特急」・「通勤特快」・「通勤急行」・「通勤準急」・「通勤快速」などがこれにあたり、東京近郊で多く採用されている。たいていの列車の場合、別途料金がかからない列車で運行されるが、JRにおいて定員制列車であるホームライナーが運行されてきたことで、他の鉄道でも有料列車の中にはこのような運行系統を有するものもある。「通勤」が付かない列車より停車駅が多いか少ないかは、会社・路線によって異なる。また、会社によっては「通勤」という称を冠しない場合もある。「通勤」の英語表記は、Commuter(案内板など表示場所の制約がある場合、Comm.と略されることがある) を用いることが多い。なお、「通勤」種別とは逆に行楽用の列車としては「ホリデー快速」などがある。「通勤」種別は平日のみ運転の列車がほとんどだが、京成本線の「通勤特急」(前述)は土曜・休日にも運転される。なお、「通勤○○」という種別を設定していないが、通勤種別に近い運転形態を取る列車もあり、以下のものが挙げられる。事業者によっては停車駅や料金制度の違いにより、アルファベットを付与するケースがある。ライナー ("liner") とは1970年代以降に用いられる列車種別であるが、一般に「(特急)専用車両を使用して特別な料金(設定会社により、特急券と乗車整理券とに分かれる)を徴して速達する列車」を指す場合が多い。なお、列車名として「○○ライナー」と称する快速列車なども存在するが本節では先に挙げた定義によるものとする。初出としては京成電鉄が1973年12月30日に運行を開始したAE形車両に「スカイライナー」の愛称を与え、それを使用した最速達列車に与えたものとされる。なお、派生形として通勤ライナーである「モーニングライナー」・「イブニングライナー」もあり、この系統は京成電鉄の"特急電車"よりも速達となっている。なお、「イブニングライナー」は民鉄では初の通勤ライナーとされ、その後1992年運行開始の京浜急行電鉄の『京急ウィング号』、2008年運行開始の東武鉄道東上本線の『TJライナー』の登場となった。また、名古屋鉄道では1991年から1993年までの正月参拝客輸送の際、「特急」より劣る車両・設備を使用した座席指定列車に「ライナー」の種別を使用していた。詳しくは名鉄特急を参照されたい。しかし、1984年に旧国鉄は増収策の一環および回送列車の有効活用として東北本線上野駅 - 大宮駅間で夕刻の特別急行回送列車に乗車整理券を発行し客扱いを行なったのが緒とされるホームライナーは快速列車の延長とされ、東京・札幌など他の都市圏でも波及。その継承会社であるJR各社やそれから分離した第三セクター鉄道でも運行されるようになった。なお、1999年から2013年まで東海旅客鉄道(JR東海)が中央本線で運行を開始したセントラルライナーはこの援用であるが、昼間時に運行される点で従来のそれと異なった運行展開を行っていた。複数の列車種別を設定しているほとんどの鉄道各社で色により列車種別を識別できるようにして種別幕や駅での案内表示・時刻表に表記されている。※東京・大阪・名古屋・福岡などの大都市では以下の様な配色を採用しているケースがある。資料によっては列車種別の一種として扱われることもあるが、これらは正式な列車種別として使われたものではない。日本国外の列車種別は国や事業者ごとに異なり、各駅停車でもない限り、必ずしも日本の種別に当てはまるわけではない。韓国の韓国鉄道公社ではソウル周辺で運行している通勤電車路線である首都圏電鉄(広域電鉄)とその他の路線である一般路線に分けられている。首都圏電鉄(広域電鉄)では各駅停車と料金不要列車でJRの快速列車と同種の種別である急行列車があり、通勤形車両を使用する。一般路線では優等列車を主体とした運行であり、セマウル号、ムグンファ号、ヌリロ号などの座席指定の優等列車については列車愛称が列車種別の区分を兼ねている。メディアによっては特急列車や急行列車として扱われることもあるが、正式な列車種別としては使われていない。また、通勤列車は各駅に停車し、全席自由であるが、列車は指定される。台湾の台湾鉄路管理局では座席指定の優等列車である対号列車と全車自由席の普通列車である非対号列車に二分している。対号列車である自強号、莒光號、復興号は列車愛称が列車種別としても使われている。非対号列車は速達タイプである区間快車と各駅に停車する区間車と普快車がある。運賃は種別ごとに異なるが、復興号と区間車・区間快車は運賃制度上では同格種別であり、座席指定の有無による差異がある。一方、区間車と普快車は冷房の有無により運賃に格差をつけている。車両も種別ごとに専用の車両が使用される。中国では高速鉄道路線(日本の新幹線に相当)においては最高速度の違いにより、高速動車組列車、城際動車組列車、動車組列車があり、CRH型電車を使用する。その他の線区(日本の在来線に相当)においては列車愛称はないが(一部を除いて、例えばT11/12「英雄」)、大都市間列車である直達列車、長距離優等列車である特快列車・快速列車・普快列車、各駅停車する普客列車があり、冷房の有無により運賃に格差をつけている。ヨーロッパでは上下分離方式により、種別ごとに運行会社が分かれている。ヨーロッパの列車種別を参照。
出典:wikipedia
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