金子 隆一(かねこ りゅういち、1956年3月11日 - 2013年8月30日)は、日本のサイエンスライター、SF研究家。有限会社コンタクト代表取締役、会員、宇宙エレベーター協会名誉会員、ハードSF研究所所員、CONTACT Japan 会員、宇宙作家クラブ会員。写真評論家の金子隆一とは同姓同名だが全くの別人である。兵庫県神戸市に生まれ、大阪で育つ。中央大学杉並高等学校を経て、中央大学商学部で経営学を専攻、1978年に同大学卒業。高校時代は地学部の天文班に所属。大学在籍中から執筆活動をはじめ、一般科学雑誌などを活躍の場とする。1980年代には『メカニックマガジン』(ワールドフォトプレス)、さらに1990年代にかけては「最新科学論」シリーズ(学研)や『恐竜学最前線』(同)、1990年代中頃は『科学朝日』(朝日新聞社)、2000年代には『ディノプレス』(オーロラ・オーバル社)などで広く記事を執筆。恐竜などの古生物学から生命科学、宇宙科学など幅広い分野にまたがって一般向けの科学解説や科学書を執筆、そのかたわら科学系テレビ番組やイベント監修等にも関与した。熱心なSFファンであり、特にハードSFを好み、SF作品の科学的考察に関する記事・著作も多数ある。大学在籍中はSF研究会に所属。1980年の第1回SFセミナーでは「SFにおけるサイエンスの意味」と題して講演。1982年に石原藤夫のすすめでハードSF研究所に参加。1980年代前半の『ログイン』誌ではSF小説のレビューを担当。1988年には第14回ハヤカワ・SFコンテストに応募した「葉末をわたる風」が佳作に選ばれる。なお著書(共著含む)は星雲賞ノンフィクション部門の参考候補作に6回挙がったことがあり、さらに2001年には『新世紀未来科学』が第22回日本SF大賞の候補作にもなった。1986年に日本ロボット学会誌が「ロボットとイマジネーションの世界」を特集した際には石原と共著で「SFに登場するロボットたち」という解説記事を寄稿。2004年には計測自動制御学会の学会誌の「小説・漫画・映画に登場した先端科学技術」特集で「科学技術の予見者としてのSF その実態と機能」と題したSF的見地からの解説記事を寄稿している。所属していたSF研究会の先輩に、のちにアニメ雑誌『ファンロード』編集長となる浜松克樹がおり、その紹介をうけて、よみうりテレビ系連続アニメ『宇宙空母ブルーノア』(1979〜1980年)のSF考証を担当し、日本のアニメ史上初めて軌道エレベータを登場させた。以来、アニメのSF・科学設定や考証にも携わるようになる。本人のインタビューによれば、『ルパン8世』や『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』などにも関わったという。NHK『天才てれびくん』の1コーナーとして放送されたアニメ『恐竜惑星』(1993年4月から翌年1月)の企画に参加し、その設定とストーリーの基礎を構築。続いて同じ枠の『ジーンダイバー』(1994年4月から翌年1月)と『救命戦士ナノセイバー』(1997年4月から翌年1月)においてもそのSF設定を担当した。そのためこの3作品はハードSF志向が強く、また「人間がコンピュータシミュレーションによって作られたバーチャル世界に入って活動する」という共通した設定を持ち、どれも制作に実写やCGを併用しているため、それぞれ基本的に独立した作品であるにも関わらずファンの間ではバーチャル3部作と呼ばれている。2001年公開の劇場アニメ『カウボーイビバップ 天国の扉』では設定協力(小林伸光、今掛勇、河森正治と共同)として、2002年放映のTVアニメ『ラーゼフォン』では設定考証(野崎透と共同)、劇場アニメ『WXIII 機動警察パトレイバー』では科学監修として制作に参加している。2009年にはふたたびNHKアニメ『エレメントハンター』及びその漫画版(中島諭宇樹)でSF設定を担当し、こちらもハードSF志向が強い作品となっている。軌道エレベータの実現を目指すという内容の的場健『まっすぐ天(そら)へ』(講談社、2004)で設定考証を務めた。金子は文庫版『軌道エレベーター 宇宙へ架ける橋』の巻末対談の中で、不完全に終わったこの作品の続編構想について触れている。また、漫画家の山本貴嗣は大学時代の後輩であり、『SABER CATS』の単行本に協力者として金子の名前が出てくる。古くは22歳の頃に『少年ジャンプ増刊 恐竜・SF大特集』(『週刊少年ジャンプ』1978年8月20日増刊号)にて恐竜解説記事を執筆しているのが確認されている。ライターとなってからは、古生物の取材で海外の学会や発掘現場へも精力的に赴いていた。1994年に放映されたNHKスペシャル『生命 40億年はるかな旅』第4回「花に追われた恐竜」について、その結論ありきで作られた荒唐無稽な内容を批判し、雑誌『科学朝日』上で論争となった。その後もたびたび著書内で批判している。『たけしの万物創世紀』第2回「もうひとつの恐竜伝説」(1995年10月31日放送)と第22回「ティラノサウルスの伝説」(1996年4月16日放送)では實吉達郎や中野美鹿と監修を務めた(中野は第22回では監修ではなくリサーチ担当)。1999年発売のプレイステーション用ゲームソフト『アクアノートの休日2』では、古生物の監修を担当した。同年にイラストレーターの山本聖士が主催する同人サークル「ぐるーぷ三畳一間」へ参加、その古生物同人誌『PANGEA パンゲア』に寄稿している。2000年代にはUHA味覚糖が海洋堂と協力して販売した古生物フィギュアの食玩シリーズ「チョコラザウルス」で古生物の解説を担当した。知人である漫画家所十三の恐竜漫画『DINO』連載時に膨大な論文資料を提供したが、英文だったために所が全く活用できなかったという逸話もある。恐竜の学説については、鳥類との関係において執筆記事や著書内でBCF仮説を紹介していたことがあった。また、白亜紀末の大量絶滅の原因としてスーパープルーム説を支持していた。金子はサイエンスライターとして幅広い分野で執筆していたが、終生のテーマとしていたのは古生物と恐竜だったという。『ファンロード』誌上で連載された浜松の小説『餓豚伝』には「食の師・K子先生」として金子が登場している。実際、食に対する情熱が大きかったことで周囲に知られている。若い頃にはバレエ雑誌にも執筆し、海外ではバレエ公演を頻繁に鑑賞するほどのバレエ愛好家だった。好きが高じて『天井桟敷通信』という自費のパンフレットも発行していたという。「日本バレエの母」として知られるエリアナ・パヴロワの妹ナデジタと生前親交があった。共著がある長尾衣里子と中野美鹿はともに金子の弟子である。もともと糖尿病を患っていたところ、2013年の夏前に脳内出血で入院、その後リハビリしていたが8月28日に脳出血が再発、8月30日の午後に死去した。57歳没。直前には、テレビドラマ『怪奇大作戦 ミステリー・ファイル』に科学考証として携わっていた。『S-Fマガジン』2013年12月号にて金子の追悼小特集が組まれ、追悼エッセイや過去の連載原稿再録とともに、裳華房より刊行予定だった『中生代のシー・モンスター ―魚竜・クビナガ竜・モササウルス―』の第1章(第1稿)が収録された。2015年には、有人宇宙飛行とテラフォーミングを扱った解説書『人類が火星に移住する日』にて、執筆済みだった遺稿「宇宙の大鉱物資源としての小惑星と彗星」が補遺として収録された。編著者の矢沢潔によると、本書の制作決定時には多数の記事執筆に意欲を示していた金子だったが、その直後に死去したという。
出典:wikipedia
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