イナゴ(蝗、稲子、螽)は、直翅目・バッタ亜目・イナゴ科()に属するバッタ類の総称(イナゴ科をバッタ科と分けない場合もある)。日本では稲を食べる害虫とされると同時に水田から得られる重要なタンパク源として扱われ、多くの地域で食用とされた。 なお、バッタ科でもナキイナゴ、アメリカイナゴのように「いなご」と呼ばれるものがあるが、これらは本項にいうイナゴではない。日本では昆虫食は信州(長野県)など一部地域を除き一般的ではないが、イナゴに限ってはイネの成育中または稲刈り後の田んぼで、害虫駆除を兼ねて大量に捕獲できたことから、全国的に食用に供する風習があった。調理法としては、串刺しにして炭火で焼く、鍋で炒る、醤油や砂糖を加えて甘辛く煮付けるイナゴの佃煮とするなど、さまざまなものがある。イナゴは、昔から内陸部の稲作民族に不足がちになるタンパク質・カルシウムの補給源として利用された。太平洋戦争中や終戦直後の食糧難の時代を生きた世代には、イナゴを食べて飢えをしのいだ体験を持つ者も多い。最近では、東京都内のレストランのメニューにも採用された例がある。長野県阿智村などでは、イナゴを黒焼にして食用油と練り湿疹治療薬とする伝統がある。また、同地区には黒焼粉を喉に吹きつけ、扁桃腺を治すという伝統的民間療法がある。昆虫食の1つとしてイナゴを食べる民族は多い。画家のアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、"La Cuisine de Monsieur Momo"(モモ氏の食卓)の中でイナゴの網焼きを「洗礼者ヨハネ風」と命名し、茶色でも黄色でもなく、ピンク色のイナゴがよいとしている。2014年には、和歌山県で大豆の代わりにイナゴを使った醤油風調味料が開発された。バッタ科の昆虫の中には、トノサマバッタやサバクトビバッタのように、大量発生などにより相変異を起こして群生相となることがあるものがある。これを「ワタリバッタ」ないし「トビバッタ」(英語では「」)というが、以下に見るようにこれが「いなご」と呼ばれることがある。漢語の「蝗」(こう)は、日本で呼ばれるイナゴを指すのではなく、ワタリバッタが相変異を起こして群生相となったものを指し、これが大群をなして集団移動する現象を飛蝗、これによる害を蝗害と呼ぶ。日本ではトノサマバッタが「蝗」、すなわち群生相となる能力を持つが、日本列島の地理的条件や自然環境ではほとんどこの現象を見ることはない。わずかに明治時代、北海道で発生したもの、1986年に鹿児島県の馬毛島で起きたものなどが知られるくらいである。日本人にとってほとんど実体験のない「蝗」が漢籍により日本に紹介されたときに、誤解により「いなご」の和訓が与えられ、またウンカやいもち病による稲の大害に対して「蝗害」の語が当てられた。蝗害は文学や映画で取り上げられている(蝗害を扱った作品参照)。旧約聖書では、昆虫は食べてはいけないが、「アルベ、サールアーム、ハルゴール、ハーガーブ」の4種類は食べてよいとしている(レビ記 11:20–22)。「アルベ、サールアーム、ハルゴール、ハーガーブ」は、日本語では、「いなごの類、羽ながいなごの類、大いなごの類、小いなごの類」(新共同訳)、「いなごの類、毛のないいなごの類、こおろぎの類、ばったの類」(新改訳)などと訳されており、イナゴ科を含むバッタ目全体を指すと考えられている(レビ記の4種類の昆虫参照)。また、聖書にはしばしば蝗害が描かれており、これを引き起こすワタリバッタが日本語では「いなご」「蝗(いなご)」と訳されることがある。
出典:wikipedia
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