マイタケ(舞茸、学名:、英:Hen of the Woods)は担子菌門トンビマイタケ科のキノコ。食用として馴染み深いキノコである。中国語名は「灰樹花」。マイタケは世界中の暖温帯から温帯北部にかけて分布し、ナラ類、カシ類、シイ類といったブナ科樹木の大木の根株で心材に寄生して白色腐朽を引き起こす木材腐朽菌である。白色腐朽を起こした宿主心材にはオレンジ色の幅1-2mm幅の縞模様が生じる。子実体は塊を形成し成長する。しばしば直径50cm以上、重さ10kg以上にも達する巨大なものも見られる。日本列島では秋(9月下旬から10月上旬)頃に宿主樹木の根元に毎年ではないものの、幾年にも亘って繰り返し発生する。子実体の形状は太い柄から何回にも亘って分枝し、その先端にへら状の小型の傘を群生するマイタケ型と呼ばれるタイプである。傘の裏には白色の細かい管孔が群生し、その内面に非アミロイド型の胞子をつける。マイタケは、旨みが強く、また歯切れも良く、基本的に生食以外ほとんどの調理法でおいしく食べられる。炒め物、鍋料理、天ぷらなどによく利用される。ただし、マイタケプロテアーゼというタンパク質分解酵素を多く含むので、茶碗蒸しに生のまま用いると固まらなくなる。従って、茶碗蒸しに入れる場合は、この酵素を熱で失活させるため、数分間加熱してから用いるとよい。逆にこの性質を利用し、細かく刻んだ生のマイタケを肉にまぶしてから調理することで、固い肉も軟らかくなり旨みが増す。煮物、吸い物や卵とじなどには、料理そのものの色に影響を与える(黒っぽい色になる)ことから、料理店では慎重に取り扱いが行われる。また、少量のマイタケをごく少量の塩をまぶして炙り熱燗の日本酒に入れて、マイタケのエキスを引き出して飲む「マイタケ酒」なるものもある。今日の日本では非常になじみ深い食用キノコの一つとなっているが、人工栽培が盛んになる前は南関東の照葉樹林地帯以南では食習慣は一般的ではなかった。落葉広葉樹林帯では古くから貴重な食用菌であり、子実体発生木の希少性と食味の良さのみならず、一旦得られた時の収穫量の多さ、発生木さえ把握していれば時をおいて何年にも亘って確実に収穫できる性質が相まって、このキノコの価値を高めた。周期的に子実体が発生するミズナラなどの大木は採集者によって秘密にされ、家族にもその場所を明かさなかったと言われる。そのため北国の深山のキノコのイメージが強いが、暖地においてしかも都会の公園のシイの大木にも発生することが知られている。名前の由来は、野生の大きく育った子実体の姿がまるで人々が集まって群舞しているようであるからだという説と、野生の子実体を発見した人々がその喜びのあまり舞いあがったからという説がある。「今昔物語集」にはキノコを食べて一時的な精神異常を来して舞い踊った人々が出た事からそのキノコを舞茸と呼んだとの記事が見られるが、これは今日言われるところのマイタケではなく、フウセンタケ科のオオワライタケやシロシビンを成分に持つヒトヨタケ科のワライタケ、ヒカゲタケなどの幻覚性キノコであろうと考えられている。『今昔物語集』においても「今日のマイタケではそういう事は起こらない」と記しており、物語中のマイタケと今日のマイタケが混同されている。岩手県の一地方では、山の神の祭事の折に収穫しその際に三度舞を舞って採るという慣わしがあった。栄養学的にはビタミン類やミネラル、食物繊維に富み、特に亜鉛、ナイアシン、ビタミンDを多く含む。食物繊維を構成する多糖類βグルカン、マイタケDフラクションの一部は身体の免疫力を高めるなど、さまざまな効果があるとする研究もなされている。このため、マイタケから抽出したエキスをもとにした健康食品やサプリメントも多数販売されている。一部に「ストレス沈静作用」や「認知症に効果がある」などの話があるが、人間での科学的なデータは不足している。現在市場に出回っているものはほとんどが人工栽培のもので、野生のものはごく少量である。現在でも野生のものは、その希少性から高価で「幻のキノコ」と言われ、マツタケと同等かそれ以上に珍重されている。シイタケやエノキタケなどと比較し、マイタケは害菌に対する抵抗性が低く、原木に直接種菌を接種しても菌が蔓延せず人工栽培は容易ではなかった。しかし、1970年代半ば頃に子実体を形成しやすい系統の選抜と原木殺菌後の育成方法の研究が日本各地で行われた結果、人工栽培方法が確立された。最初に栽培が行われた頃は、原木栽培(短木殺菌栽培法)で生産されたが、1990年代頃から菌床栽培方法が普及し安価な菌床栽培によるものが広く流通している。菌糸体の成長温度は5-35℃、最適温度範囲は25-30℃。子実体の発生温度は18-22℃、生育適温は15-20℃。菌糸はpH4.4-4.9 で良好な成長を示す。オガクズの粒径、育成および発生段階の二酸化炭素濃度、湿度、光量、光の波長は発生量と品質に影響する重要な要素である。マイタケは他の栽培キノコと異なり、培養温度と原基形成温度帯が重なっているため、菌床(ほだ木)毎の成長度合いは不均一になる。酸素要求性が高く、二酸化炭素濃度の上昇を避ける必要があり、とくに原基形成以降は二酸化炭素濃度が 2,000ppm 以上になると、収量、形状に著しく影響する。2010年(平成22年)に日本では43,446トン、326億円が生産された。原木は落葉広葉樹で、主にミズナラ、コナラのほか、アカシデ、イタヤカエデ、ヤマザクラが利用される。シイタケの原木栽培方法とは異なり、原木を 10-30cm に切断しポリ袋などに入れ加熱殺菌(滅菌)した後、冷却し種菌を接種する方法が用いられる。暗く湿度を高くした育成室で十分に育成し、菌が蔓延した木を直射日光を避け「水はけの良い林間」や「日除けをした畑」に埋め込む。埋め込みは発生させようとする1ヶ月前までに行うのが良いとされ、天然の周期にあわせ子実体を発生し梅雨期や秋に収穫を行う。埋め込みを行い、万一害菌感染をしてしまった場合は、直ちに該当するほだ木を取り除き消石灰を蒔く。一方、地中への埋め込みをせず、空調管理された室内で発生させる方法もある。「袋栽培」「ビン栽培」各々に適した品種がある。広葉樹のオガクズを原料とするが、菌糸伸長阻害物質を除去するため、加水堆積を施してから使用する場合もある。シイタケ廃ホダ木のオガコ、コーンコブミール、ビールのしぼり粕など食品副産物も利用する。栄養源は、コーンブラン(トウモロコシの胚芽を取り除いた後に残った部分)、フスマ、乾燥オカラ、ジュースしぼり滓、ハトムギなどが配合される。栽培は滅菌及び空調管理されたクリーンルームで行われる。育成環境に関する多くの項目は、使用原料、生育者、菌株により異なり特許や実用新案が成立している。一般に市場に多く出回っている菌床栽培品は天然採集品と比べると歯切れや風味に乏しいが、原木栽培品の食味は天然採集品に匹敵する。菌床栽培でも菌糸の蔓延した菌床を森林土壌に埋設して栽培するとかなりの品質の向上が認められるが、天然採集品と同時期のみの子実体発生となり温度管理等による周年の計画的出荷が不可能になるため生産方法としては一般的ではない。しかし、こうした高品質栽培品を観光客に採集させる季節的イベント開催によって高収益を目指すキノコ栽培業者もある。マイタケと同属の菌に日本固有種でマイタケより発生時期が10日ほど早く、色が白または黄白色のシロマイタケ Imaz.が知られている。肉質がマイタケよりももろく、歯切れはよくない。またかつては同じ"Grifola"属とされていたが今日は別属に分類されている菌に、次の2種が知られている。また、これらと近縁ではないがトンビマイタケによく似た子実体を形成する菌にミヤマトンビマイタケ科 に属し広葉樹の材につくオオミヤマトンビマイタケ (Fr.) Bond. et Sing. と針葉樹の材につくミヤマトンビマイタケ (Quel.) Sing.がある。これらは成熟して硬くなる前の幼菌の時期に食用になる。
出典:wikipedia
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