カシオペア("Cassiopeia")は、東日本旅客鉄道(JR東日本)、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道および北海道旅客鉄道(JR北海道)が上野駅 - 札幌駅間を東北本線・いわて銀河鉄道線・青い森鉄道線・津軽海峡線(津軽線・海峡線・江差線)・函館本線・室蘭本線・千歳線を経由して運行していた寝台特別急行列車である。本項では、1999年から2015年まで運行されていた「カシオペア」のほか、E26系客車を使用し、定期運行されていた時期の団体専用列車「カシオペアクルーズ」と2016年6月以降の団体専用列車「カシオペア紀行」・「カシオペアクルーズ」についても記載する。本州と北海道を乗り換えなしで直結する寝台特急列車としては、1988年(昭和63年)3月13日から「北斗星」が、1989年(平成元年)7月21日から「トワイライトエクスプレス」が運行されていた。これらの列車はいずれも高い支持を得ていたが、さらなる高水準のサービスを提供するフラグシップトレインとして、全客室を2名用A寝台個室とするなど、JR東日本が新規に製造したE26系客車を投入し、1999年(平成11年)7月16日(上野発)・17日(札幌発)から運行開始した。全客室が2名用A寝台個室であり、他の寝台特急列車よりも高額な本列車専用の寝台料金が必要となるにもかかわらず、人気の高い列車で、時季を問わず寝台券は乗車日1か月前の発売開始とほぼ同時に売り切れることも多かった。なお、本列車は毎日運転ではない臨時列車扱いであり(後述)、鉄道情報システム(JRシステム)が運営するJRグループ共通の予約状況検索サイトJRサイバーステーションでは検索対象外となっているため、代わりにJR東日本のウェブサイト「えきねっと」およびJR北海道の予約サイトにて確認できるようになっていたが、2014年12月22日を以てJR北海道予約サービスでの予約及び空席確認は終了した。2015年(平成27年)3月14日に寝台特急「北斗星」が定期運行を終了し、同年8月21日(上野発)・22日(札幌発)に臨時運行を終了して以降、上野駅を起点・終点とする唯一の寝台特急であり、日本の一般利用の寝台特急では唯一機関車牽引で運行する列車であった。北斗七星と同様に北極星を見つけ出すためによく使われる星座であるカシオペア座に由来。「北斗星」と同様に上野駅 - 札幌駅間を往復する寝台特急列車であることから、それに因んで命名したといわれている。なお、正式名称決定前には、「新北斗星」「スーパー北斗星」といった仮称で呼ばれていた。北海道新幹線の開業によって、青函トンネルを含む約82 kmが新幹線と在来線の共用走行区間となり、架線電圧が在来線用の交流20,000 Vから新幹線用の交流2,5000 Vへと昇圧される。これによって従来のED79形電気機関車が使用できなくなり、新型のEH800形電気機関車は日本貨物鉄道(JR貨物)保有であるため、寝台特急「カシオペア」は「北斗星」や急行「はまなす」などと共に2016年(平成28年)3月の北海道新幹線開業前に廃止となる公算が極めて大きいとの見方から存続問題に関心が集まっていた。2014年(平成26年)8月19日に北海道・青森県・岩手県の幹部が国土交通省を訪れ、寝台特急「北斗星」・「カシオペア」の存続をJR北海道などに働き掛ける様に求める要望書を提出したが、「北斗星」は2015年(平成27年)3月13日で定期運行を終了し、同年8月21日(上野発)・22日(札幌発)に臨時運行も終了した。は「カシオペア」についても、同年9月16日にJR北海道・東日本の連名で急行「はまなす」、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」と共に廃止されることが公表された。そして、寝台特急「カシオペア」は2016年(平成28年)3月19日(上野発)・20日(札幌発)を最後に運行を終了し、新幹線開業日である同年3月26日付で正式に廃止された。これに伴い、機関車牽引による一般販売の寝台特急は日本国内から姿を消すこととなった。また、「カシオペアクルーズ」についても一旦運行を終了した。E26系客車は1編成しかないため、2016年3月で運行終了した一般販売分では、下りの上野発は火・金・日曜日、上りの札幌発は月・水・土曜日のみ運行される臨時列車であった。ただし、春の大型連休や夏季、年末年始の繁忙期には、曜日に関わらず2日に1本の運行形態を採っていた。また、2年ごとに10月下旬から12月上旬にかけては車両の点検・整備のため運休していた。列車番号は臨時列車のため8000番台が使用され、下りが8009、上りが8010である。2016年(平成28年)3月で運行終了した一般販売分の停車駅について記述する。上野駅 - 大宮駅 - 宇都宮駅 - 郡山駅 - 福島駅 - 仙台駅 - (一ノ関駅) - (盛岡駅) - 函館駅 - 森駅 - 八雲駅 - 長万部駅 - 洞爺駅 - 伊達紋別駅 - 東室蘭駅 - 登別駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 札幌駅"車両構造等の詳細については、「JR東日本E26系客車」も参照。"JR東日本尾久車両センター配置のE26系客車12両編成で運行された。客車は全て2階建車両(12号車のラウンジカーのみハイデッカー構造)で、編成の向きは1号車が上野方、12号車が札幌方を基本とし、青森駅 - 函館駅間(津軽海峡線)では進行方向が変わり逆編成となった。12両編成のうち10両が客室であり、座席車はなく寝台車のみの設定である。また、寝台は全て2名用A寝台個室であり、開放式A寝台およびB寝台の連結はない。このほか、ダイニングカー(食堂車)を1両、ラウンジカーを1両連結している。喫煙可能なのは2・5・6・11号車で、その他の車両は全面禁煙である。2000年代初めごろには、一名でも乗車できる特別企画乗車券「カシオペア シングルユース券」が発売されていた。その後2009年2月から4月まで上り列車限定で「カシオペアひとり利用券」が発売されていた。以下の設備・サービスが全客室に用意された。以上に加えて、「カシオペアスイート」と「カシオペアデラックス」には以下の設備・サービスも用意された。JR東日本とびゅうトラベルサービスでの団体旅行ツアー「カシオペアクルーズ」としての販売は、一般販売の寝台特急「カシオペア」が運行されていた時期から実施されており、上野発着のツアーが合計7回設定された。2012年(平成24年)10月12日 - 14日の第1弾「カシオペア・クルーズ」は、鉄道開業140周年記念の特別ツアーと銘打ち設定された。この時は上野駅 → 新潟駅 → 秋田駅 → 青森駅 → 仙台駅 → 上野駅の行程が組まれ、E26系客車が初めて日本海ルートを走行した。2013年(平成25年)10月5日 - 8日の第2弾「カシオペアクルーズ forあきた」は、秋田デスティネーションキャンペーンの特別企画として運行された。往路は上野駅 → 秋田駅 → 弘前駅、復路は一ノ関駅 → 上野駅の行程だった。2014年(平成26年)6月7日 - 10日の第3弾「カシオペアクルーズ 〜日本海・道南紀行〜」は上野駅 - 洞爺駅間で運行され、初めて北海道に乗り入れた。同年10月2日 - 5日の第4弾「カシオペアクルーズ 〜初秋の東北・道南〜」は上野駅 - 登別駅間で運行され、以後は2015年(平成27年)10月17日 - 20日の第7弾「秋のカシオペアクルーズ みちのく・道南紀行」までこの運行パターンが主流となった。なお、「カシオペアクルーズ」とは別にJR東日本管内のみのツアーも設定されていた。特に、北海道新幹線が開業予定する2年前からは新幹線関連工事に伴い青函トンネルが走行できない期間に、「カシオペアクルーズ」を含めたJR東日本管内での運行が設定されている。寝台特急「カシオペア」の運行終了に伴い、この「カシオペアクルーズ」も一旦休止となった。一般販売の「カシオペア」は営業運転を終了したが、使用車両のE26系客車は製造から20年は経過しておらず比較的新しい事や、車内設備が豪華で一定の需要があったため、2016年(平成28年)3月26日の北海道新幹線開業後の運用に就いては協議・調整が行われていた。2016年(平成28年)2月時点までにJR東日本が団体専用列車として再び北海道に乗り入れを行う方向でJR貨物等と協議し、新幹線開業とともに変更される青函トンネルの架線電圧や運行管理システムへの対応としてJR貨物からEH800形電気機関車を借り受け、農産物の輸送需要が高まる秋などを避けて運行スケジュールを立てる計画で、それ以外の期間には同社管内の周遊列車としても活用していく方向が示された。2016年(平成28年)4月には、列車名を「カシオペア」のままで、北海道方面への団体専用列車として運行を再開することが決定。同年6月から「カシオペアクルーズ」および「カシオペア紀行」として運行を再開した。同年8月は2回のみびゅうトラベルサービスにおいて、上野駅 - 札幌駅間ではない「カシオペア紀行」として上野駅 → 盛岡駅までE26系にて、盛岡駅 → 新函館北斗駅は東北・北海道新幹線「はやぶさ」を利用し、函館駅までの片道旅行商品が発売されていた。9月3日始発にも上野駅 → 盛岡駅までの「カシオペア紀行」が阪急交通社からも運行設定がある。そして、同年9月7日始発での「カシオペアで行く信州の旅」として、初めて長野県入りのツアーとして運行された。同年10月10日には東北を一周するツアーが設定された。また、この団体専用列車利用でのツアーでも収穫期に当たる秋季にはJR貨物所属の機関車が農産物運搬を優先するために北海道乗り入れの運行は設定されず、そのため先述にある通りにJR東日本管内のみでのツアー設定となっている。今後は「TRAIN SUITE 四季島」が本格的なクルーズトレインとして役割を引き継ぐ予定である。北海道乗り入れについても、2015年6月9日にJR東日本・冨田哲郎社長は「北海道など他社の管内もクルージングすることを考えたい」と述べている。北海道新幹線開業による架線電圧変更の影響から、北海道では運行出来なくなる寝台特急「カシオペア」との入れ替えでJR北海道とJR東日本間で運行の是非を検討していた。同年12月2日、「カシオペアクルーズ」の運行ルートの一部で運行されていた道内乗り入れルートが、「カシオペア」と入れ替わりで運行予定であることが公表された。このため、「TRAIN SUITE 四季島」が北海道乗り入れ寝台列車(青函トンネル通過)としても後継の予定である。3泊4日の行程で本州および北海道の観光地を巡る「カシオペアクルーズ」と、一般販売と同じルートの上野駅 - 札幌駅間を夜行で結ぶ「カシオペア紀行」の2種類が設定されている。「カシオペアクルーズ」ではJR東日本グループのびゅうトラベルサービスが催行する周遊タイプのツアーのみが設定されるが、「カシオペア紀行」では「びゅうトラベルサービス」を含む複数の旅行会社が企画した北海道ツアーの往路、もしくは復路の片道で列車に乗る行程のほか、「びゅうトラベルサービス」では札幌または上野到着後に解散となる片道乗車ツアーも設定される。2016年(平成28年)6月・7月については、「カシオペアクルーズ」が毎週第1土曜日に上野駅始発で運行設定され、往路は上野駅から上越線・羽越本線・奥羽本線の日本海ルートを経由し、復路は一般営業販売と同じく東北ルートで上野駅に戻る。「カシオペア紀行」の設定される週についてはそれ以外の土曜日に上野駅始発・日曜日に札幌駅始発で往復する形となる。「カシオペア紀行」は一般販売時代と同じルートで上野駅 - 札幌駅間を往復する。不定期運行の時期から先述の様に東北本線・いわて銀河鉄道線・青い森鉄道線経由の往路で青森駅まで運行し、復路に奥羽本線(秋田-青森間)・羽越本線・信越本線(宮内-新津間)・上越線を辿る経路から、東北地方を日本海側も経由して一周するツアーも存在している。2016年には10月10日始発のツアーにも運行された。2016年6月4日運行再開した「カシオペアクルーズ」での牽引機は下記の通り。EH800形・DF200形については機関車のみJR貨物から借り受け、運転はJR北海道の乗務員が担当する形となる。一般販売の「カシオペア」とほぼ同じだが、ツアー募集人員はE26系客車の編成定員(176人)に対して30 - 50人(初期の2回は除く)と少なくなっている。また、食事関係では著名なシェフが素材を吟味した特別なメニューを整え、「トレインクルー」と称する車内サービス専属スタッフも同行する。
出典:wikipedia
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