新幹線955形電車(しんかんせん955がたでんしゃ)とは、東海旅客鉄道(JR東海)が300系に続く次世代の新幹線関連の技術を実験するために1995年(平成7年)に製作した高速試験用電車である。通称は、300X。編成記号はA。国鉄分割民営化から間もない1992年(平成4年)3月に東海道新幹線で最高速度を270km/hに向上させた300系が「のぞみ」として営業運転を開始し、翌年には営業区間を山陽新幹線博多駅まで延伸させた。この300系の開発の源流は国鉄時代から行われていたボルスタレス台車やVVVFインバータ制御の開発にまでさかのぼることができ、新しい車両の開発には膨大な時間が必要となる。そこで300系試作車が落成したばかりである1990年(平成2年)に、より良い鉄道サービスを提供するうえで間断のない技術開発が必要であるとの考えから、レール・車輪方式による理想的な高速鉄道の開発を行うために製作されたのが本形式である。営業運転に供することは当初から考えられていない、純然たる試験車として設計され、曲線や勾配で高速試験走行に向いていない東海道新幹線区間で高速走行試験を行うことから、加速力を増加させている。車体はアルミニウム合金製のボディーマウント構造を採用しているが、次世代の車両製造時のデータ収集のため車両ごとに製造方法を変えて製作された。また、先頭車形状が東京寄りと博多寄りで異なり、それぞれラウンドウエッジ型、カスプ型と呼ばれ、比較のため入れ替えることができるようになっていた。力行主回路はVVVFインバータ制御で、素子はGTOサイリスタを採用し連続定格出力405kWの主電動機を駆動する。主変圧器は軽量化のためアルミニウム製のコイルを使用。6両編成で全車両電動車である。台車はセミアクティブサスペンション付きのボルスタレス台車を採用する。3・6号車の台車には鉄道総合技術研究所(鉄道総研)によって開発された油圧シリンダ式の車体傾斜装置(最大傾斜:3度)を搭載する。なお、台車支持位置が高い(空気バネ支持高さ:レール面上1,700mm)ため車内床の一部が盛り上がっていた。軸距は300系比500mm延長である3,000mmとした。これは、鉄道総研による台上試験の結果、蛇行動限界速度が大幅に拡大されたことを確認できたためである。なお、パンタグラフから発生する騒音を低減するため、ワイングラス型の大型のパンタグラフカバーが装着されていた。このタイプのパンタグラフカバーは、700系9000番台で、「300X」で試作されたタイプから脚部を省いたタイプのカバーを採用したが、カバーが逆に騒音源となっていたことが試験の過程で判明し、量産車では不採用となった。955形の試験走行の過程ではシングルアームパンタグラフなども試され、その他様々な形状のカバーが試されている。1996年(平成8年)7月26日未明、東海道新幹線米原駅 - 京都駅間で日本国内最速記録(超電導リニアを除く)443.0km/hを記録している(速度試験当時東京寄り955-6形ラウンドウェッジ型が進行した)。その後廃車予定だったが、700系やN700系関連の技術開発、デジタルATCの試験などに使用され2002年(平成14年)年1月に運用を終了し、同年2月1日付で廃車となった。スラブ軌道の走行試験を行うため、山陽新幹線に乗り入れたことがある。中間車はすべて解体され現存しないが、先頭車2両が以下で静態保存されている。
出典:wikipedia
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