国鉄タキ29300形貨車(こくてつタキ29300がたかしゃ)は、1976年(昭和51年)から製作された、濃硫酸専用の 39 t 積 貨車(タンク車)である。私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継されている。1976年(昭和51年)4月28日から2004年(平成16年)にかけて、総数62両(タキ29300 - タキ29361)が富士重工業(22両)、川崎重工業(20両)、日本車輌製造(20両)の3社で製作された。それまで濃硫酸専用タンク車は40 t 積のタキ5750形が製作されていたが、その後継として製作された車両である。1974年(昭和49年)の保安対策に伴う諸基準の改訂に伴い、フレームレス構造・側梁なし台枠を持つ貨車の製作が禁止されたことを受け、台枠に側梁を設け、台車にコロ軸受を採用した。そのため、自重が増加し、荷重はタキ5750形と比べて1 t 減少している。記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「タキ」と標記する。落成時の所有者は、三井金属鉱業、古河鉱業(現在の古河機械金属)、三井金属三池精錬所、日本陸運産業および同和鉱業である。1984年(昭和59年)11月21日に三井金属三池精錬所所有車1両(タキ29306)が三井金属鉱業へ名義変更された。1988年(昭和63年)8月6日に三井金属鉱業所有車2両(タキ29300、タキ29306)が神岡鉱業へ名義変更された。1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)タンク体はタキ29300 - タキ29341は耐候性高張力鋼製で塗色は黒、タキ29342以降は耐硫酸性鋼製で無塗装(銀)である。荷役方式は、搬入は上部の注入口から、搬出は空気弁から空気を注入加圧して上部液出弁から行う上入れ・上出し方式である。台枠はタキ5750形では自重軽減のために車体側面の側梁を省略していたが、本形式では保安向上のために側梁を設けた。ブレーキ装置はタキ29300 - タキ29321は手ブレーキと積空ブレーキ、タキ29322以降は手ブレーキとCSD型積空ブレーキである。台車はタキ29300 - タキ29306はTR225-1、タキ29307以降はTR213Cである。下回りの塗色はタキ29300 - タキ29341は黒、タキ29342以降はグレーである。本形式は、1980年(昭和55年)までに22両が製作された時点で製作は一旦中止され、その後の増備は国鉄の財政難もあり、余剰車両活用の観点からタキ45000形の台枠を流用して改造名義で製作したタキ46000形が1985年(昭和60年)に登場し、製作はそちらに移行したが、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化に際しては22両全車がJR貨物へ継承された。1991年(平成3年)からタキ46000形の種車であるタキ45000形が枯渇したため、本形式の製作が再開され、2004年(平成16年)までに40両が増備された。なお、平成14年度以降は初期車を廃車にした後に新製されているため、62両全車が同時に在籍していたことはない。廃車は1994年(平成6年)から開始され、その後も鉄道による硫酸輸送の減少から廃車が進み、2010年(平成22年)4月1日の時点では42両が在籍している。
出典:wikipedia
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