光磁気ディスク(ひかりじきディスク、"Magneto-Optical disk" ("disc"))とは赤色レーザー光と磁場を用いて磁気記録を行い、レーザー光を用いて再生を行う記録媒体の1つである。MO(エムオー)あるいはMOディスクと略す。最初の光磁気ディスクメディアおよび対応製品は1988年に各社より発売された。規格は2000年代で消滅。光磁気ディスクには磁性を持った記録層が形成されており、外部から電磁石による記録用の磁界を加えて媒体を磁化する点では磁気ディスクと似ているが、記録層が常温ではほとんど磁化されず、これを熱して磁化する点に特徴がある。記録の際に光の強度を変化させて磁界を一定とする光変調方式と、光の強度を一定として磁界を変化させる磁界変調方式がある。磁界変調方式(MFM方式)では、以下の手順でデータが記録される。この繰り返しにより磁性体にN極とS極の磁性が記録されていく。読み出し時には書き込み時よりも出力の弱いレーザを照射し、N極とS極の向きの違いによってレーザの偏光面が回転する現象(磁気光学カー効果)を検出しそれを0と1のデータとして読みとっている。また光変調方式ではまず一定磁界・高出力レーザ光で記録層の磁力を一方向にそろえることで初期化(消去)し、続いて加える磁界を反転したうえで、記録したい部分を光で加熱し磁気を反転させて記録を行う。通常「MO」と呼ばれるのは着脱可能な記憶媒体(リムーバブルメディア)の1つ。記録方法は光磁気変調方式。トラックはフロッピーディスクやHDD(ハードディスクドライブ)の同心円状とは違い、螺旋状になっている。しかし、シークができないクイックディスクに対しMOはランダムアクセスが可能。一般的にパソコンで用いられる3.5インチタイプのメディアでは、128MB・230MB・540MB・640MB・1.3GB・2.3GBの容量がある(GBクラスの容量を持つものは「GIGAMO(ギガモ)」と呼ばれる)。他にも5.25インチタイプのメディアがあり、パソコン及びワークステーションやサーバで用いられ最大で9.1GB(両面)の容量がある。3.5インチの640MBまでのMOは内周からアクセスを開始するが、GIGAMOでは外周からアクセスする。また、5.25インチメディアではディスク両面に記録している。5.25インチメディアにはWrite Once Read Manyタイプや医療専用メディアまで存在する。3.5インチメディアはフロッピーディスク2枚分の厚さを持つプラスチックのカートリッジに収められている。このため記録面は指紋や傷などから保護され、むき出しのメディアより指紋や傷がつきにくい。またドライブの利用に際しても特にデバイスドライバは不要で、データの読み書きもフロッピーディスクと同様の感覚で(つまりライティングソフトなしで)行うことができると共に下位互換性があるために旧来のメディア(例:128MBメディア)を最新のドライブ(例:2.3GB対応ドライブ)で利用することも可能である(この逆は容量の問題で不可)。ただし、初期規格のメディアを最新規格のドライブで書き込むことができない等の制限はある。メディアの耐久性も高く、各メディア製造メーカーの加速劣化試験によるとデータ保持寿命は推定50年から100年とされ、現在もMOの耐久性に匹敵するメディアは存在しない事からプロユースを中心とした需要は根強い(使用環境にもよるが、メディアよりもドライブの寿命の方が早いことすらある)。なお、MOの書き換え回数はハードディスクドライブをも上回る1000万回とされる(GIGAMOは100万回以上)。対するハードディスクドライブは100万回以上とされる。3.5インチメディアにおいては、近年ではMedia IDと呼ばれる著作権保護機能が備わったメディア / ドライブが発売されている。5.25インチメディアは3.5インチメディアが普及する以前に発売され、円盤の大きさはコンパクトディスクとほぼ同じで通常はDVD-RAMカートリッジとほぼ同形状のカートリッジケースに収められているが使われる機器によりケースに収めていない場合もある。DVD-RAMと違ってMS-DOSのデフォルトでデフラグが可能で頻繁な同期化、バックアップ用のメディアとして適している。3.5インチMOはこれまでに幾多の技術を盛り込んで大容量化してきた。その技術のすべてを以下に挙げ、解説する。MSRは磁気超解像 (Magnetically included Super Resolution) のことで、フロントマスクとリアマスクによってレーザのビームスポット(照射面積)を狭めることで記録密度、読み取り精度を向上することができる。また素材が摂氏150度になったときだけ記録層の磁気を再生層に転写する中間層を設け、読み取り精度を高めている。しかしこの読み取り方式の特性上、従来よりも読み取り用レーザの出力が約7倍に高まることになり、結果として書き換え回数を激減させてしまった。記録方式にMFM方式、再生技術にMSR技術を採用し2インチ (5cm) 径で730MBの容量を持つiD PHOTO規格が実用化されたが、普及には至らなかった。このほか、磁区拡大再生技術 (MAMMOS: Magnetic AMplifying Magneto-Optical System) や磁壁移動検出方式 (DWDD: Domain Wall Displacement Detection) といった記録再生技術や、青紫色レーザを利用することで5.25inchサイズで最大200GBの容量が見込まれている。このうちMAMMOSは従来のレーザ波長で20GB/12cm、現時点でのDWDDは従来のレーザー波長で3GB/5cmの容量とされる。なおDWDDの技術目標は100GB/12cm、青紫色レーザで200GB/12cmを見込んでいる。ちなみに、DWDDを用いたメディアとしてHi-MDがある。Hi-MDはMDの上位互換のメディアで、MDと同じサイズで1GBを実現している。当初のMOディスクへの書き込みはディスクの1回転毎に以下の3行程を行っていたため、ヘッド - MO間の物理的なデータ転送速度が遅かった。寸法の大きい5.25インチタイプでは複数のレーザーを照射し、複数の行程を同時に行い物理的なデータ転送速度を速くしたドライブもある。現在では以下のような方法で物理的な書き込み速度を向上させると共に、MOドライブに搭載されるキャッシュメモリの大容量化とキャッシュコントローラの改良によるデータ転送の改善も図られている。MOの耐久性は次のような要因による。その他のメディアが抱える弱点に悩まされることが少ない点が、MOに対する根強い支持に繋がっている。ただしドライブの構造上、レーザー岐路にプリズムを使っているため、喫煙場所やほこりの多い室内で使うと書き込み読み取りエラーが出て、耐久時間内にもかかわらず故障となることが多い。分解して清掃すると回復するが、かなりの熟練を要する。また高温下で使うとディスクの冷却が遅くなるため、書き込み速度の低下が起こる(電子投票に使われたMOで不具合が発生し記事になった)。現在のドライブ自体は10万時間の耐久性がある。MOの普及率は世界的に見た場合には決して高いものではなく、むしろ日本での普及の高さはかなり珍しい部類に入る。1990年代にはドライブ単価の安いZipドライブが世界中で普及を見せ、MOは他のリムーバブルメディア共々その余波をまともに浴び普及は微々たるものだった。その後、1990年代後半からはCD-Rが安価に出回るようになり、さらにはフラッシュメモリの大容量・低価格化による普及も進んでいるためMOは地味な(あるいはそれ以下の)存在のままである。一方、日本国内では当初から企業や官公庁を中心に登場時からデータの保存・運搬用として広く普及しており、デスクトップパブリッシングやデザイン・印刷・出版の分野では、そのメディア信頼性の高さと容量に対するコストパフォーマンスの良さから広く使われている。特にPC-9800シリーズではデバイスドライバを必要とせずSCSI接続のMOからのブートも可能だったため、Windowsの普及初期に広く出回った(PC/AT互換機ではデバイスドライバが必要)。Windows 95まではHDDレスのシステムも構築可能だった。1990年代にはZipドライブの普及に押され気味だった時期もあったが、Zipドライブが衰退し始めてからは一時期勢いを取り戻したこともあった。しかし代わってCD-RWやDVDドライブがパソコンに標準搭載されることが急増し、さらに高速なフラッシュメモリー(主にUSBメモリー)が安価に出回るようになり始めてからはすぐに衰退の一途を辿った。富士通よりCD-ROM・MOの両方が使えるコンボドライブが開発・試作されたが、市場販売には至らなかった。MOはドライブの小型化やインターフェースにUSBバスパワータイプを採用した製品が登場し、信頼性・長期保管性に長けたメディアとして見直す動きもあったが、大容量化でDVDやBD、DDS、フラッシュメモリーに遅れを取ったこともあり、需要は伸びることはなかった。関連企業により1999年結成された「MOフォーラム」も2009年から休眠、2010年に解散しており、コンシューマー向けの規格としては終焉したとみてよい。現在MOディスクドライブの生産・販売はすべて終了している。コニカミノルタは2010年9月に販売を終了、富士通・バッファローも生産を終了、オリンパスも2005年後半に生産を中止して2006年3月にMO事業から完全撤退した。最後まで販売していたロジテックも販売終了している。記録メディアについては、日立マクセルは2009年9月末に、三菱化学メディアは2009年12月末にMOディスクの販売を終了している。アイ・オー・データ機器も在庫限りの販売になっており、これで日本国内でディスクを製造しているのはソニーのみになった。ラジオ放送業務用としては、信頼性・耐久性・使い勝手の面からMOを積極的に採用しており、2000年代中盤以降はラジオ放送局内のデジタル化進展や業務用6mmテープの在庫希少化により番組制作・CM制作・番組搬入用の録音メディアとしてPro-MO(業務用MO)が使用されている。代表的なレコーダーとしては、DENON ProfessionalのDN-H5600N・DN-H4600N(いずれも生産終了)などが現在も使用されている。しかしこの分野も、ディスクおよびディスクドライブの生産・販売が終了しつつあることに伴い、徐々にSDメモリーカード・コンパクトフラッシュなどフラッシュメモリーを媒体とした機材に代替されつつある。またCD制作時のマスターレコーダーとして、ソニーのPCM-9000があった。これは、専用の5インチMO (5.2GB) を用いて、24bit/44.1kHzの音源を記録するものであった。基本的には音声録音用の光磁気ディスクであるが、データ記録用のMDもあった。ミニディスクを参照。ソニーが開発した光磁気ディスクで、3.5インチフロッピーディスクとほぼ同じサイズのカートリッジに納められており、容量は約650MB。HSの開発にあたっては日立製作所と3Mが協力している。1995年にSONYから発表され、将来的には2002年頃までに約2.5GBに容量を段階的に拡大する予定だった。しかし、当時普及していたMOとの互換性がない上にMOと比べてドライブやメディアが高額だったため普及しなかった。現在はドライブ、メディアとも製造・販売は終了しており、開発も停止されたままである。1980年代から1990年代前半に磁気テープに代わる映像記録媒体として研究開発が行われ、アナログあるいはデジタル記録媒体として実用化された。ハードディスクの大容量化によって、ほぼ代替されている。ただし、1990年代後半から将来迎えるであろうハードディスクの記録密度の限界が問題視され、各磁気ディスクメーカーでは高速リードライト、高記録密度の光ディスクを研究している。2013年11月25日に発表されたこれまでとは全く違った技術である光スイッチング磁石を用いた記録方式である。ディスクとしての媒体で供給できるのかまだ不透明であるが、平方インチあたり30GB記録可能でありブルーレイディスクを大きく超える容量になり、これからの研究が待たれる。光磁気ディスクメディアの論理フォーマットとしては、ハードディスク形式とスーパーフロッピー形式の2種類がある。
出典:wikipedia
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