『蘇える金狼』(よみがえるきんろう)は、大藪春彦の小説。これを原作とした同名の映画、テレビドラマが多数製作されている。株式会社東和油脂に勤める29歳のサラリーマン、朝倉哲也は上司や同僚からの信頼が厚い、真面目で実直な社員である。しかし、彼にはある計画があった。夜ごとにボクシングジムに通い肉体を鍛える彼は、トンネル会社などを利用して私腹を肥やし会社を食い物にする重役たちの姿を垣間見る。自分もその一人になる野望を抱いた朝倉は、2年の準備期間をかけて計画を練り、実行を開始した…。日本映画。フジカラー・ビスタサイズ。131分。製作:角川春樹事務所、配給:東映、東宝洋画系マーケット公開、監督:村川透、主演:松田優作。地方では『金田一耕助の冒険』と2本立てで公開。2009年(平成21年)には松田の没後20年を記念してBlu-ray化され、2012年に改めて「角川ブルーレイ・コレクション」の一作品として再発売。2014年11月には松田優作没後25年に併せ、新たに4Kスキャニングマスターを使用したリマスター版ブルーレイディスクがリリースされた。キャラクター・ストーリーの一部(結末を含む)と1964年東京オリンピック直前の時代設定を変更した以外は、ほぼ原作通りに踏襲され、風吹ジュン・結城しのぶ・吉岡ひとみが濡れ場を演じている。ただし、ベトナム戦争前のアメリカ海軍横須賀基地の付帯施設で行われている犯罪行為は、第二海堡に変更された。朝倉が共感した若手総会屋の桜井はコミカルな人物に設定され、千葉真一が扮するなど異色のキャスティングをした。桜井を狙う興信所の石井には岸田森をあて、白いスーツにマントを着用し仕込み杖を操る男になっている。松田優作演じる朝倉は、会社勤めの際にはカツラと黒縁のめがねを着用して実直なサラリーマンを装っているが、原作(小説)では風貌に関するそのような描写はない。共立銀行の現金輸送車が襲われ、1億円を奪われた。犯人は夜間の大学を卒業し、資本金15億円を擁する東和油脂に補欠入社していた朝倉哲也。経理部に所属している朝倉は、表向き風采のあがらない社員を装っているが、夜はボクシングジムで鍛練を重ねる裏の顔があった。その実力は、トレーナーの沢野がチャンピオンになれると断言するほど。しかし朝倉の企みは東和油脂を乗っ取り、清水社長の末娘・絵里子をモノにすることにあった。朝倉は奪った1億円の紙幣ナンバーが控えられていることを知り、ヘロインに変えようと海神組に接触する。海神組は朝倉をいぶかしみ殺そうとするが逆襲され、脅された海神組・坂本は、市会議員・磯川から入手していることを話してしまうが、聞き出した朝倉はこのことが洩れぬよう、容赦なく坂本を他の海神組組員と同じように射殺した。東和油脂の内部事情を入手するため朝倉は、経理部・小泉部長の愛人である永井京子に、堀田という株屋を装い接近。海神組組員の死体から麻薬を手にいれていた朝倉は京子を麻薬とセックスで籠絡する。その後朝倉は新聞記者を名乗り、磯川との取引を図る。磯川は取引場所に配下を待ち伏せさせるが、朝倉は難なく全員始末した。ボディガードを連れて取引場所に現れた磯川は、取引をした直後に配下を使って朝倉を殺そうとするが、配下たちは既に始末されていることを朝倉に知らされ、朝倉はヘロインを手にして悠々とその場を去った。翌朝東和油脂に出勤した朝倉は、経理次長の金子を秘かに尾行した。金子は桜井光彦という男から、銀座のバーの雇われマダムである牧雪子との情事と、経理部長・小泉たちとの横領行為をネタに強請をかけられていた。金子は興信所所長の石井に、証拠の収められたネガとテープを奪うよう指示。一方、朝倉は緊急に役員会議が行われていることを知り、急遽帰社してその中身を探る。役員たちは要求の半額である2500万円でネガとテープを取り返すよう石井に指示。朝倉は東亜経済研究所の受付嬢から桜井と政財界のフィクサー・鈴本光明との関係や雪子の居場所を聞き出す。桜井は雪子を人質にした石井一味から2500万円でネガとテープを渡すようせまられるが、雪子を奪還し一味を追い返す。その一部始終を見ていた朝倉は、その後も桜井を見張り、東和油脂が桜井へ渡した内金2500万円を強奪した。朝倉は京子を呼び出し、その後の重役陣の動きをパトロンである小泉から聞き出させる。一方、東和油脂から奪い返されたと激怒した桜井は、清水社長以下重役陣と直接会い、ネガとテープを2億円に値上げすると一方的に通達。だが桜井が鈴本の事業と直接関係ないことを調べあげた清水らは、石井に桜井と雪子を始末するよう命じ、石井は神戸から呼んだ殺し屋らと共に、桜井と雪子を豊洲の石炭埠頭におびき寄せ、激しいカーチェースの末、殺害した。石井に命じられた国友は清水社長を恐喝し、更なる謝礼・1億円を要求。この話を盗み聞きした朝倉は、ボクシングジムのトレーナーを装って金子に自らの裏の顔をそれとなく伝える。金子は実際にジムを訪ねて朝倉の実力を確認した後、清水は重役たちと共に朝倉を呼び出す。清水は会社のために、重役昇進を条件に石井一味を始末してほしいと朝倉に依頼。清水ら重役と会っていた殺し屋・国友を尾行した朝倉は石井に拉致されるが、石井と国友が言い争いをしている隙に逆襲し、二人を抹殺した。朝倉は金子と共に清水の別荘がある葉山に向かう途中、金子から拳銃を突きつけられるが、簡単に金子をいたぶり、肩の骨を砕いてしまう。朝倉は重役陣に対し、自分を殺そうとした落とし前として東和油脂の株・200万株を要求。役員らは一旦拒否するが、石井殺しを依頼した様子を録音したテープを聞かせ、200万株をせしめ、遂に重役に昇進。朝倉は清水の末娘・絵里子とも交際を始めた。ランボルギーニ・カウンタックを乗り回し、絵里子とも婚約し、絶頂に達していた朝倉に鈴本光明が接触を図ってきた。鈴本は殺された甥・桜井光彦の弔いのために東和油脂を乗っ取ることを宣言。鈴本は朝倉の200万株を、時価の3倍・24億で買うとオファーしてきた。さらに鈴本はバックに次期総裁を狙う通産大臣・吉村がいることを伝え、鈴本たちを敵に回してあがくか、それともこれを潮時にして金儲けをするか、と朝倉に迫る。朝倉は24億を、ドルの高額紙幣で用意することを条件に鈴本のオファーを受けた。そんな頃、京子も朝倉が絵里子と婚約したことを知り、その朝倉が株屋の堀田と同一人物であることを突き止めた。京子は突然、朝倉の自宅を訪れる。麻薬で操り、情報提供に利用されていたことを京子は責め、絵里子と結婚するのかと問い詰めるが、朝倉は何も答えなかった。朝倉はトルコ産のヘロインを小泉に売りつけた。完全な麻薬中毒に陥った小泉を見た京子は、新たなヘロインを朝倉から購入したことを知り、絶望する。朝倉は京子との海外逃亡を計画して教会の跡地で京子に会うが、京子は朝倉の真意を知らないまま自殺薬を飲んだ後、朝倉と抱き合う刹那、朝倉の腹にナイフを突き刺し、息絶えた。京子のために用意した航空券をちぎって死を悼みながらも朝倉は空港に向かい、致命的な傷によろめきつつも旅客機に搭乗した。朝倉の異常な様子に気付いた乗務員が心配して声をかけるが、朝倉は青ざめた顔で意味も分からぬ言葉を口走り、そのまま静かに息絶えた。1998年公開。ギャガ・コミュニケーションズ配給、配給協力ゼアリズ。1999年4月17日から6月26日まで毎週土曜日21:00 - 21:54に、日本テレビ系の「土曜ドラマ」枠で放送された。主演は香取慎吾。朝倉哲也の名はあるが、原作とは異なる年齢・性格等の独自設定となっている。他にも、テレビドラマのオリジナル設定が多数見られる。長年フジテレビ系列ドラマの演出・監督を務めてきた本広克行が演出を手掛けており、前々年に本広が演出した『踊る大捜査線』に出演しているいかりや長介、小野武彦、甲本雅裕らがこのドラマでも出演している。オープニングのタイトルバックは最初は多くの主要キャストが登場しているが、彼らが演じる登場人物のドラマからの退場に合わせて徐々に登場するキャストが削られる形になっている。VHSやDVDは未発売。サウンドトラックCDは発売済み。4月、新東和信販(ファイナンス)に、朝倉哲也・石原学らが入社、業務部カード推進第3課に配属される。哲也が新東和に入社した目的は、腹違いの兄・富士木和正が新東和の社長に就いていたところを自殺未遂で発見され、長期の入院加療を余儀なくされたが故に、和正が愛する会社と社員達を守るためであった。しかし、和正の自殺未遂は、茂義コーポレーションといういわゆる「乗っ取り屋」の社長である茂義敬雄が、ウラで仕組んだ偽装工作の結果であった。自ら死を選ぶ筈はないと信じ続ける哲也、和正の恋人の冴木ユリ。新東和を守るためには、新東和の発行済み株券を購入し、株主としての発言力を持たねばならない。そのために、哲也は敬雄の一人娘である茂義有梨沙と、和正に代わり新東和の社長を務める結城鉄治を利用し、敬雄から億単位の身代金を要求・成功したのを手始めに、広域暴力団・宝竜会からも金を搾取する。しかし、その過程で、有梨沙は哲也に不思議な感情を懐いていく。一方、和正の近辺をうろつく男がいた。情報屋の甘木公次である。哲也は当初甘木の存在をいぶかるが、打倒茂義と言う共通点を見出し、二人の間には奇妙な友情が芽生え始める。が、ついに、和正は殺されてしまう。和正の殺害・さかのぼって和正を自殺に見せかけ殺せと指示した、と敬雄から聞き出すことが出来たユリだが、敬雄はユリをも殺そうとする。間一髪で哲也に命を救われ、甘木の手配により、暫くユリは「地下」で広木典明らに守られることとなる。和正の死を知った新東和の社員一同は、悲しみと無念さを心に持つ。カード推進第3課の課長・長嶋保、社員の愛染洋子らは悲嘆にくれるが、それらの動きをスパイする男がいた。石原である。甘木は新東和の秘書である古池真弓をスパイとして新東和の内部情報を入手、一気に茂義を倒そうと企むが、それは新東和の破滅も意味する。甘木は哲也と交換条件をし、真弓から入手した裏情報の素っ破抜きを1日遅らせ、新東和の壊滅という最悪の事態を切り抜けさせる。その後の役員会で発言権を得た哲也は、和正を殺したのは敬雄だと告発。地下に潜んでいたユリも現れ、敬雄は一気に追い詰められることに。そして、哲也は敬雄と銃撃戦に。敬雄は撃たれ、入院。半ば隠居生活をしていた敬雄の父・茂義賀津夫は、哲也・甘木の抹殺を指示する。加え、警察とマスコミを使い、邪魔な存在となった新東和の営業停止を図る。不意打ちを喰らい賀津夫に拉致された甘木は、警察に拘束されている真弓の釈放・茂義コーポレーション会長の後継・そして哲也の殺害を条件に解放される。甘木の営むバーに向かった哲也、銃で哲也を狙う甘木。それらの様子を盗聴していた賀津夫、そして長嶋らがとった行動とは。演劇ぶっく社よりシナリオ集が出版されている。ただし、収録されているのは第一話から第六話までで、第七話以降は出版されていない。
出典:wikipedia
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