トルバドゥール(Troubadour)とは、中世のオック語抒情詩の詩人、作曲家、歌手のこと。リムーザン、ギュイエンヌ()、プロヴァンス、さらに、カタルーニャ、アラゴン王国、ガリシア、イタリアで活躍した。女性のトルバドゥールはトロバイリッツ()と呼ばれる。トルバドゥールは、12世紀後半になると北フランスのトルヴェール(trouvères)と、ドイツ側でミンネザングを歌うミンネゼンガーとして、拡散した。彼らの詩の多くは、騎士道と宮廷の愛をテーマにしたものであった。特に、結婚した恋人を想う真実の愛の歌が有名である。これらの中世叙情歌も騎士階級の没落とともに衰退することになった。有名なトルバドゥールには、アルナウト・ダニエルやジャウフレ・リュデルがいる。「troubadour」という語とその同語族の語(trov(i)èro, イタリア語:trovatore、スペイン語:trovador、カタルーニャ語・ガリシア語:trobador)の起源については意見が分かれている。英語の「troubadour」は、オック語の「trobador」が古フランス語経由で入ってきたものであるが、オック語の「trobador」は、「転回、方法」を意味するギリシャ語の「(tropos)」に由来する俗ラテン語の(仮説)「*tropāre」(トロープス)から派生した動詞「trobar」の名詞相当語句である主格「trobaire」の斜格である、という説がある。ラテン語のルーツとしては他にも「turbare」(ひっくり返る、くつがえす)が考えられる。「trobar」は現代フランス語の「trouver」(見いだす)と語源が同じである。フランス語の「trouver」は斜格の「trouveor」あるいは「trouveur」の代わりに、主格の「Trouvère(トルヴェール)」になり、フランス語はオック語の斜格を取り込み、そこから英語に入りこんだ。「trobar」のオック語の一般的な意味は、「発明する」または「組み立てる」で、それが普通に翻訳された。こうしてトルバドゥールは作品を作り、一方でjoglar (ジョングルールやミンストレル)はそうした歌を演奏するのみだった。この説は、アカデミー・フランセーズ、ラルース大百科事典、プティ・ロベール(フランス語辞典、)によって支持されている。ギリシャ語→ラテン語→オック語→フランス語→英語という仮説が、トルバドゥールの詩の起源を、ラテンの古典形式あるいは中世のラテン語典礼に見いだす、たとえばPeter DronkeやReto Bezzolaといった多くの人々に支持されていることはとくに驚くことでもない。ラテン語起源説ほど伝統的とはいえず、かつポピュラーでもないもう一つの「trobar」の語源説がある。この説を支持しているのは、マリア・ロサ・メノカルなど、トルバドゥールの起源はアラビア語のアル=アンダルスの音楽の中にあるという意見を持っている研究家たちである。彼女/彼らによると、アラビア語の「tarrab」(歌うこと)が「trobar」の語源であるという。この説を支持する何人かは、文化的な背景からみて、両方の語源とも正しく、愛をテーマとするスーフィズムの宗教的音楽形式が南フランスのアル=アンダルスから最初に外国に伝わった時、「trobar」とアラビア語の3子音語根「TRB」の間にある音韻論的な一致の意識的かつ詩的な利用があったのではないかと主張する。さらに、「見付ける」「音楽」「愛」「情熱」といった概念(トルバドゥールという語と結びついたぴったりの意味領域)は、スーフィズムの音楽議論で重要な役割をつとめ、トルバドゥールという語は一部がその反映かも知れない、アラビア語の単一の語根(WJD)と結びついている。音楽学者のフリードリヒ・ゲンリッヒはトルバドゥールとトルヴェールの世俗抒情歌の形式をの4つに分類しているが、トルバドゥールの時代はこのうち、「讃歌型」や、より単純な有節形式が用いられた。この「讃歌型」には、次の形式がある。
出典:wikipedia
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