混浴(こんよく)とは、男女が同じ浴場で入浴すること。カップルが二人きりで混浴できる宿としては、貸切風呂や露天風呂付き客室などがある。日本独自の入浴習慣と思われがちだが、ドイツをはじめ、北欧・東欧諸国でも見られる習慣である。西洋の混浴は運動温熱療法施設として水着着用が義務化されているスパと、温浴療養施設としてかつて裸での入浴が義務化されていたサウナとに分かれている場合が大半であるが、一つの施設内に双方が存在することもあるので利用の際は注意したい。古くは、大きな湯船の共同浴場は一般的でなく、大きな湯船といえば天然の温泉が溜まってできた野湯であった。そのため、男湯・女湯という概念はなく、混浴は、自然発生的にできたものである。下帯(褌)や腰巻を着用したうえでの入浴という習慣も存在しており、裸の入浴は江戸時代以降という説もある。時代が下ると、温泉地では、泉源から湯船まで温泉を引いた今で言う共同浴場もできてきたが、まだ、男湯と女湯の区別もなかった。江戸時代に入ると、大都市で銭湯が大衆化した。銭湯に垢すりや髪すきのサービスを湯女(ゆな)にやらせる湯女風呂などが増加した。松平定信が、1791年、江戸の銭湯での男女混浴を禁止する男女混浴禁止令を出すなど、風紀の取り締まりの対象にもなった。これは混浴そのものよりも、湯屋における売買春などを取り締まるものであったと言われる。当時の湯屋は二階に待合所のような場所があって将棋盤などが置いてあり社交場となっていただけでなく、湯女などによる売春や賭博などの格好の場となっていたためである。しかし依然として混浴が主流であった。1853年、混浴銭湯に冷や水を浴びせる出来事が起こる。幕末の黒船来航である。さまざまな日本文化は来日したペリーを驚かせた。裸でぶつかり合う相撲などもそうだが、特にペリーを驚かせたのは混浴銭湯であった。「日本遠征記」には挿絵付でこう記されている。「男も女も赤裸々な裸体をなんとも思わず、互いに入り乱れて混浴しているのを見ると、この町の住民の道徳心に疑いを挟まざるを得ない。他の東洋国民に比し、道徳心がはるかに優れているにもかかわらず、確かに淫蕩な人民である」。明治新政府は、欧米への体裁を気にし、混浴禁止令を出す。都市部では取締りが強化される。しかし、なかなか改まらないため、混浴禁止令はたびたび出されたが、完全になくなったのは明治末期になってからであった。それでもなお、地方の温泉地などの多くでは混浴が当たり前という時代が昭和30年代まで続く。高度成長期以後、都市部の住民が地方の温泉地を訪れる機会が増え、混浴という風習を知らない(容認できない)観光客が増加したため、多くの旅館やホテルがそのニーズに応えるべく、浴場の増改築(男女別化)など施設の近代化・巨大化に取り組んだ。その結果として昭和40年代以降、混浴は減少の一途をたどることとなった。浴場や入浴施設の衛生検査権限をもつ保健所が、新規の混浴施設建設に対しては、衛生検査済証を発行しないなどの、頑なな対応をとり続けることも、減少に拍車をかける一因となっている。なお、九州や東北地区では未だに混浴が残っている温泉も多い。各地方自治体の制定する公衆浴場条例により、すべての都道府県において原則的に男女の浴室・脱衣室を区分することとされている。条例の定める範囲内において、例外とすることが可能な年齢の上限を設けている自治体もある。北海道・岩手県・山形県・栃木県・岐阜県・香川県では上限年齢を最大11歳(小学5、6年生)に設定している。他にも、青森県、秋田県、大分県など家族風呂の例外を認めている自治体がある。青森県・秋田県・兵庫県など、水着等の着用を義務付けた施設について例外を認めている自治体もある。厚生労働省では、公衆浴場法第三条第一項に規定する「風紀に必要な措置」について、昭和二十三年八月厚生事務次官通達(厚生省発第10号) により、主として男女の混浴の禁止を意味するものである旨の行政指導を行なっている。厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」ではとなっており、その上で乳幼児に対する配慮として「おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」とされている。旅館業の共同浴室についても公衆浴場と同様に、厚生労働省の「旅館業における衛生等管理要領」ではとなっており、同様に「共同浴室にあっては、おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」とされている。入口、脱衣所は別々となっているが、湯船が一緒となっている場合が多い。施設によっては、脱衣所付近から少しの間に目隠しをして奥の方で両方がつながっているようにしたり、浴槽は一緒だが洗い場を男女別にしたり、湯着を貸し出したりと工夫しているケースもある。公共浴場などでは、浴槽・脱衣場・洗い場まですべて区別がないという場所もある(由布院の下ん湯など)。施設によっては水着などの着用を推奨・義務付けしている施設もある。この場合、温水プールとの境界が問題になるが、水質や併設施設や営業形態の違いにより多くは区別されている。プールでは塩素系などの殺菌剤などを多く使用しているため問題になりにくいが、源泉の性質劣化を危惧する温泉地などでは、殺菌剤をしない場所も多数存在する。そうした施設では温泉での水着やタオル類の使用は衛生面での問題になりやすい。公衆衛生管理法で「満5歳以上の男女は同じ浴場や更衣室を利用してはならない」と規定されている。これに違反した浴場業者側には300万ウォン以下の過怠金が課される1999年の立法当時に満7歳だった混浴禁止の上限年齢は、2003年に満5歳に下げられている。また、2014年2月には韓国入浴業中央会から「満5歳」から「満」の字を外す要望が保健福祉部(韓国保健福利省)に伝えられた。これにより男女混浴禁止年齢上限の引き下げが検討されている。
出典:wikipedia
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