タキオン(tachyon)は、超光速で動くと仮定されている粒子である。タキオンの存在は特殊相対性理論に反しないが、場の理論において否定的であり、現在においても存在は確認されていない。語源はギリシャ語の「(速い)」に由来する。SF作品中で超光速通信の手段として用いられたり、疑似科学の世界でタキオングッズとして「製品化」されたりしている。超光速粒子の概念は、ドイツの物理学者アルノルト・ゾンマーフェルトによって初めて提唱されたとされている。その後、George Sudarshan、Olexa-Myron Bilaniuk、Vijay Deshpandeおよびアメリカの物理学者ジェラルド・ファインバーグらの研究によって、その理論的枠組みが発展した。 タキオンという言葉は、ジェラルド・ファインバーグによって1967年に命名された。タキオンは超光速で運動する。特殊相対性理論では、タキオンは空間的な (space-like) 四元運動量および虚数の固有時を持つ粒子である。タキオンはエネルギー-運動量グラフの空間的な領域に制限され、光速以下の速度で運動することができない。タキオンに対して、静止質量0で真空中を光速で運動する粒子をルクソン、正の実数の静止質量を持ち(マッシヴであり)どんなに加速しても真空中の光速には達しない粒子をターディオンと呼ぶ。これらの語は、タキオンを議論する文脈においてのみ、タキオンとの対比として用いられる。特殊相対性理論によれば、通常の物質(ターディオン)はどんなに加速しても光速に達することはない。それに対し、特殊相対性理論に反しないように仮定された超光速粒子であるタキオンは、以下のようなターディオンとは正反対の性質を持つ。ターディオンとタキオンが干渉するような現象については、特殊相対性理論の原理である「いかなる慣性系でも物理現象が同じになる」という前提が崩れてしまうため、特殊相対性理論ではタキオンの性質を記述することはできない。もしタキオンが光速より速い信号を送るために使われてきた従来の局所化可能な粒子であるなら、これは特殊相対論の因果律の破れを導く。しかし場の量子論の枠組みでは、タキオンは現実の超光速粒子としてよりも、むしろ、系の不安定性を意味するものとして理解され、タキオン凝縮を用いて扱われる。そして、そのような不安定性はタキオン場によって記述される。タキオン場は、ボゾン弦理論のような様々な理論内に現れる。現在の広く受け入れられている粒子の概念によると、タキオン粒子は実在するものとして扱うには不安定すぎる。そのため、タキオンによる超光速通信や因果律の破れは場の量子論の枠組みにおいては不可能である。タキオン粒子の実在性には様々な議論があるが、その実在に関する仮説を検証するために実験による探索が行われてきた。タキオンは超光速で動くため、チェレンコフ放射によってその存在が確認できるのではないかと考えられ、様々な人が何度も検出を試みたが、依然成功していない。タキオンが存在し、ターディオンと作用を及ぼし合うなら、因果律が破られるか、あるいは、因果関係が観測者によって異なってしまう。そのため、ターディオンとは干渉せず、存在したとしても発見は不可能ではないかとも考えられている。またタキオンは計算上は理論に反しなくても、最低エネルギー状態が無限速であるなどの面から不安定解であるため、素粒子論においてはタキオンを含むような素粒子表を導出する理論は誤りであると見なされている。1974年3月8日に、ロンドン発の外電が「オーストラリアの物理学者によって、タキオンの存在を示唆する実験結果が検出された」と報じたが、これは間違いであったと考えられている。現在、タキオン粒子の実在に関する実験的証拠は見つかっていない。
出典:wikipedia
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