ボーイング777(、ボーイング・トリプルセブン)は、アメリカのボーイング社が開発したワイドボディ双発ジェット機。本項では以下、ボーイング製の旅客機については、「ボーイング」という表記を省略し、数字のみで表記する。たとえば「ボーイング767」であれば、単に「767」とする。1980年代、ボーイングはすでに世界最大の旅客機メーカーとして君臨していたが、一方で猛追するエアバスの脅威にもさらされていた。とりわけリタイヤが進んでいた3発ワイドボディ機ロッキード L-1011 トライスターやマクドネル・ダグラスのDC-10の後継機争いでは、同じくマクドネル・ダグラスのMD-11やエアバスのA330、A340に対抗しうる旅客機を持っていなかった。中でもA340は747-400よりは小さいものの、航続性能ではほぼ互角、しかもA340の方がはるかに燃費が良かった。そこでボーイング社は767-300と747-400の間の座席数の差を埋める機体を作るべく、1986年暮れにそのクラスの機体の需要に関して市場調査を開始した。世界中の多くの航空会社に調査を行い、特にその中でもローンチカスタマーのユナイテッド航空や全日本空輸、ブリティッシュ・エアウェイズ、日本航空、キャセイパシフィック航空、アメリカン航空、デルタ航空、カンタス航空には機体の設計についても意見を求めた(ワーキング・トゥゲザー)。そして、1989年12月8日にボーイング社の取締役会の承認を経て正式に新型機「767-X」として航空会社に提案されることが決まった。その計画名の通り、当初ボーイング社はこの旅客機を767の派生型として計画しており、コックピットも従来の767とあまり変わらないものを考えていた。しかし767の後に作られた747-400の方がより進んだコックピットを有しており、ボーイング機を多数使用してきたユナイテッド航空や全日本空輸などはこの従来の767と変わり映えのしないコックピットを拒否し、747-400スタイルのコックピットにするよう求めた。そのためにボーイング社は747-400のコックピットレイアウトをベースに、さらに最新技術を盛り込んだコックピットを計画した。また、機体規模についても航空会社などと詳細にすり合わせを行って調整した結果、767の胴体を捨て、標準で横に2通路9席を配置できる、より太い真円断面を用いた大きな胴体を採用することにした。この767-Xに対して、アメリカのユナイテッド航空が1990年10月15日に34機発注し、機体名も「ボーイング777」に変更された。続いて全日本空輸、ブリティッシュ・エアウェイズ、日本航空も発注した。777-300ERの翼幅、胴体長は747-400よりも大きく、双発機としては世界最大である。直径が737の胴体に匹敵するほど大きく強力なジェットエンジンを備えている。着陸装置としては、2本の主脚にボーイングの旅客機部門としては初めてタイヤが6輪ずつ装備されたボギー式の着陸装置が採用されているが、タキシング時に前輪の操向装置が大きい操向角を取ると、主脚に大きな横方向の荷重とタイヤの横滑りが発生するため、操向角が10度以上になるとコンピュータ処理によりボギー最後端の車軸を左右に最大8度まで操向させる、主輪操向装置を装備している。太い胴体の中央部を1階の客室に充てたため、その下の貨物室も広く確保できたが、客室天井と機体上辺との間のかまぼこ型の空間には、前部と後部にそれぞれコックピット・クルー用とキャビン・クルー用の休憩室を設けることができるため、長距離便でも交代乗務員用に客室や貨物室内に座席等を割り当てる必要がない。このように旅客と貨物の両面で収益が得られるよう考慮された飛行機であり、夜間に貨物専用便として運航されることもある。777はボーイング社の旅客機としては初めて操縦系統にフライ・バイ・ワイヤを採用した。しかし、同じフライ・バイ・ワイヤ方式でもサイドステックを用いたエアバス社製の機体と違い、従来型の操縦桿を操縦席正面中央に残し、動翼面に掛かる振動や重さといった要素を操縦桿へフィードバックすることで擬似的に再現しており、従来のボーイング社製の機体を運行してきた航空会社でもパイロットが違和感なく最小のトレーニングで本機へ移行できるよう配慮されている。また、コックピットの表示装置は747-400と同じく6つのディスプレイで構成されているが、飛行管理装置 (FMC) や自動操縦制御の表示パネルを含めて、従来のブラウン管から液晶に変更されている。のちにメーカーオプションでヘッドアップディスプレイが装備されていたり、従来は操縦桿にクリップしていた航空路チャートを側面のモニターで表示できるようになっていたり(EFB=エレクトロ・フライトバッグ)、自動操縦の方位設定パネルが横長に変更されるなどマイナーチェンジも行われている。本機は、機体すべてがコンピュータ上で設計された世界初の商用航空機である。機体設計にはCATIAを用い、世界各地の開発拠点で並行して進められ、「バーチャル777」ともいえる仮想の機体を使って様々な試験が行われた。制御ソフトウェアの記述言語には「Ada」が採用されている。日本はYXの2機種目として開発に参加しており、21%の開発分担比を占める。1980年代以降の大型航空機は開発から初飛行に至るまで、性能や設備等の問題で工程が遅れるものもあるが、777は工程が予定通り進められて開発された航空機である。777はボーイングと発注した航空会社が設計上の諸問題を解決したり、航空会社が個々の要望を出していく「ワーキング・トゥゲザー(Working Together)」を結成した。(参加型デザインも参照)これは777を767の単純な拡大版で作ろうとした際、多くの航空会社に反対されたため、開発当初からユーザーである航空会社の意見を取り入れようと考え出されたものである。主な航空会社の要望を以下に挙げる。ボーイング社は777型機のバリエーションを明確にするために次の2つの特性を用いた。ボーイング社や777を運航する航空会社は777の派生型を区別するときに、モデル名である「777」と機体のサイズ(-200または-300)とを縮めてつなぎ合わせ、「772」や「773」といった表記をよく用いる。また、時には上記にあるような航続距離の3分類を表す識別子を付加する。たとえば777-200は「772」また「772A」と、航続性能を強化した777-300ERは「773ER」や「773B」「77W」(この中ではICAO機種コードに登録されている77Wが最も一般的である)と表記される。これらは航空会社の時刻表やマニュアル類でよく見られる表記法である。また、A - Cの需要分類は、777の最大のライバルであるエアバスA340と777とを比較する際にも用いられる。IATAやICAO機種コードでは、777-200および-200ERが"772"、777-300が"773"、777-200LRおよび777Fでは"77L"、777-300ERが"77W"となっている。777型の長距離型(-200LR, 300ER型)は開発に際し、それまでの派生型とは異なり、装備するエンジンをゼネラル・エレクトリック製のものだけとした。これだけの大推力のエンジンを開発するリスクと、エンジンメーカーが共倒れするリスクを回避するためとされているが、ゼネラル・エレクトリック系のリース会社がこの派生型を購入するという条件をボーイングがつけた、と業界では言われている。つまり、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降の航空需要の落ち込みを背景に、新機種開発にかかるコストをエンジンメーカーにも負担してもらうというリスクマネジメントを意識した開発を決断させたとされている。計画当初に考えられていた777-200の短胴型モデル。アメリカン航空の提案を受けて計画されていたが、実機は生産されないまま計画中止となり、767-400ERがこの計画機と同じマーケット向けのモデルとされている。777シリーズ最初のモデルで、最大航続距離は5,210海里(9,649km)。1994年6月12日、プラット&ホイットニーのPW4077エンジンを搭載したボーイングの試験第1号機が初飛行に成功している。エンジンはプラット&ホイットニー(PW)のPW4000シリーズ、ゼネラル・エレクトリック(GE)のGE90シリーズ、ロールス・ロイス(RR)のTrent(トレント)800シリーズから選択でき、ローンチカスタマーでもあるユナイテッド航空はPW4000を、GE90はブリティッシュ・エアウェイズ、トレント800をキャセイパシフィック航空が選択したことで各メーカーのエンジンを搭載した機体の製造が開始された。初飛行と飛行試験、型式認定の取得はPW4000→GE90→トレント800の順に行われた。日本では1995年12月に全日本空輸、1996年4月に日本航空、1997年4月に旧日本エアシステムの順に導入・就航した。2015年現在は全日本空輸と、日本エアシステムを吸収合併した日本航空がともに国内線にて運航している。一部の機体ではETOPS取得機(120分、180分)も存在しており、かつては成田国際空港発着の近距離国際線に就航していたが、のちに全機が国内線仕様に改修されている。なお、日本のエアライン3社が揃って同一の機材を導入した例は727-100以来となった。エンジンは3社ともにプラット&ホイットニーのPW4000を選択している。全日本空輸はL-1011 トライスターの後継機として、日本航空はマクドネル・ダグラスDC-10の後継機として、また日本エアシステムは先に導入されていたエアバスA300-600Rを超えるキャパシティを持つ新たな国内線の主力機として導入した。日本エアシステムは当時国内線初の3クラス(スーパーシート/レインボーシート/普通席)で運航し、日本航空も2007年以降はファーストクラス/クラスJ/普通席の3クラスで運航した。全日本空輸は国内線ではボーイング747以外の旅客機そして双発機としては初めて2クラス(スーパーシート*/普通席)配置として有償提供された(*就航当時の呼称)。有償飛行での座席数は、全日本空輸が当時世界でも例を見なかった横10列の密接した座席配置にして国内線で運航していた418席仕様が世界最多である(その後他社も国内線用として横10列を導入したほか、エミレーツ航空など一部の航空会社は国際線でも採用した)。なお、モノクラスでは440席の配置が可能とされている。2015年現在は、全日本空輸が405席で、日本航空が375席で運航されている。また、2006年4月からの四発機の規制により伊丹発着の幹線の主力となっている。2014年6月、日本航空の所有する1機の777-200(JA8981)が退役した。これは日本のエアラインにおける退役の第1号機となり、日本航空では初期に導入された機体から退役させている。これらの機体は離着陸を短時間で繰り返すという日本国内路線の特殊な事情もあって機体への疲労が激しいため他社へ転売されることはなく、スペアパーツの供給用として解体された。その一方で、2015年には全日本空輸が日本航空の1番機(JA8981)よりも前に導入した年式の古い777-200の退役を数年延長し、繁忙期の国内幹線における需給調整用機材として活用することが発表された。すでに機体の原価償却が済んでいる自社保有機を有効活用することにより一年間に約90億円の収支改善効果が見込めるという。しかしながら、2016年5月からは全日本空輸でも777-200の退役が開始された。2007年5月に日本航空向けの機材(機体番号:JA773J)として引き渡したのを最後に生産を終了し、後述のB777-200ER/-200LRへ製造を移行している。総生産機数は88機。そのうちの31機が日本の航空会社に導入された(全日本空輸:16機、日本航空:8機、日本エアシステム:7機)。標準型 777-200 に対して、主として燃料タンク容量の増加およびそれに応じたエンジン推力の増強により航続距離を延長させたもの (ER:Extended Range)で、燃料タンクや送油ポンプ等の補機類やエンジンなどの動力系を-300から流用することで動力性能と航続性能を強化している。開発当初は-200IGW (IGW:Increased Gross Weight) と呼ばれていたが、すでに767で使用されていた "ER" に変更されることとなり、その後737などでもこれが使用されていくこととなった。最大航続距離は7,730海里(14,316キロメートル)。ローンチカスタマーはブリティッシュ・エアウェイズで、1996年10月7日に初飛行。1997年2月9日にブリティッシュ・エアウェイズ(GE製エンジン搭載機)によって初就航。日本では1999年から全日本空輸が導入を始め、2002年からは日本航空でも導入された。韓国や中華人民共和国、東南アジアなどの中、近距離国際線から北米、欧州などの長距離国際線まで幅広い路線に投入されており、両社の国際線主力機材の一つになっている。日本航空ではマクドネル・ダグラス MD-11や同DC-10-40の後継機として導入し、全日本空輸では国際線のみならず国内線でも使用され、2012年度から再度導入が開始された機体は全機が国内線専用機材として運航されており、初期に導入された国際線仕様機(機体記号JA707A)も787の導入により国内線仕様に改修された。3発機や4発機に代わって長距離路線に投入にしている航空会社(アメリカン航空や日本航空、アリタリア航空、全日本空輸、TAAGアンゴラ航空など)と、旅客数に応じて4発機と使い分けている航空会社(ユナイテッド航空やブリティッシュ・エアウェイズ、アシアナ航空など)の2つに分かれる777-300ERおよび777-200LRと異なり、2010年代において生産中の777ファミリーの中では唯一エンジンメーカーの選択が可能なモデルである。日本では全日本空輸が-200および-300と同一メーカーであるPWエンジンを、日本航空ではのちに導入する-300ERとの共通化を図ってGEエンジンを選択して国内線仕様機(PWエンジン)との運用の差別化を図っている。2010年代に入って製造される機体は、3メーカーの中で最も強力な推力を生み出すGE製エンジンの搭載機が増えつつある。2015年9月現在の引き渡し数は422機。2013年7月にアシアナ航空向けの機材(HL8284)を引き渡して以降、発注はない。777-200ERをベースに航続距離をさらに延長させたもの(LR:Longer Range)で、後述する777-300ERが搭載するGE90-115Bエンジンを-200LR用に最適化した「GE90-110B」を搭載し、主翼端は777-300ERと同様にレイクドウイングチップが装着され、翼幅もそれに等しいものとなっている。さらに増槽タンクを装備すれば最大航続距離が9,420海里(17,446キロメートル)まで延長できるメーカーオプションまで用意されている。ローンチカスタマーはパキスタン国際航空で、初飛行は2005年3月8日であった。同年11月10日、東回りでの香港 - ロンドン間の11,663海里(21,600キロメートル)を22時間42分かけて連続飛行し、民間機の航続距離世界記録を更新している。世界最長の航続距離を有しており、世界中のほとんどの空港間をノンストップで結ぶことが可能となるため、ボーイング社はこの派生型を「ワールドライナー (Worldliner)」と名付けている。主な運用エアラインは、エミレーツ航空、パキスタン国際航空、エア・インディア、エア・カナダ、カタール航空、デルタ航空である。2014年4月にトルクメニスタン航空向けの機材(EZ-A779)を引き渡して以降は製造が止まっていたが、2015年11月17日にクリスタル・クルーズが本機のビジネスジェット仕様を2機購入することを表明し、クリスタル・ラグジュアリー・エアが2017年以降に世界1周ツアーを運航する。2015年9月時点での生産機数は59機。胴体を延長した A 需要向けの機材。747-100型機および-200型機の代替として設計された。双発機で世界最大最長を誇る機体である(73.9m、ちなみに双発機でなければ世界最長は747-8で76.3m)。その長い胴体長ゆえに、胴体後方下部にテールスキッドを装備し、GMCS(グランド・マニューバー・カメラ・システム)という新機能が搭載され、主脚が誘導路からはみ出さないようコックピットから監視できるようになっている。最大航続距離は5,955海里(11,029km)。ローンチカスタマーはキャセイパシフィック航空で、1号機は1998年5月21日に引き渡された。エンジンは777-200同様に3メーカーから選択可能で、各社が777-300用に新開発した推力増強型をラインナップした。なお、本モデルではGE製エンジンを選択したエアラインがなかったため、GE90-92/94エンジンを搭載した777-300標準型の機体は存在しない。日本では全日本空輸と日本航空が開発決定直後に発注のうえ、1998年より導入し全機が国内線で運航されている。全日本空輸は747-100SRの、日本航空は747-100SRおよび747-300SRの後継機として導入した。日本国外の航空会社では中距離または近距離の国際線に投入されており、成田、羽田、関西などの空港で頻繁に目にすることができるため日本でも馴染み深い機体である。有償飛行での世界最多座席供給数は、全日本空輸が国内線で運航していた525席仕様で、これは双発機としても世界最多であった。なお、モノクラスでは550席の配置が可能とされている。2015年現在は全日本空輸が国内線で514席で、日本航空が国内線で500席仕様というハイデンシティ仕様で運航しており、500席を超える双発機を運航するのは世界でもこの日本の2社のみである。2014年3月31日をもって全日本空輸のB747-400D型機が全機退役したことにともない、翌4月1日より同型機が日本の国内線で有償飛行する最大の旅客機となっている。なお、2015年3月には日本航空から初期導入の機体が退役している。2006年7月に引き渡されたキャセイパシフィック航空向けの機体(機体番号:B-HNQ)を最後に生産を終了し、以降は後述のB777-300ERへと生産を移行している。総生産機数は60機で、そのうちの14機が日本の航空会社に導入された(全日本空輸・日本航空ともに7機)。777シリーズの中では米国系と欧州系エアラインが唯一導入していないモデルで、日本をはじめとしたアジアのエアラインを中心に導入されたのが販売上の大きな特徴である。777-300型機の航続距離延長型であり、747-400型機の後継需要向け機種として設計された。エアバスA380-800型機および747型機に続く3番目に大きな商業旅客機である。最大航続距離は7,880海里(14,594km)。初飛行は2003年2月24日である。2014年現在、777ファミリーでは最多の受注数を保持し、記録更新中である。この777-300ER型機は、115,300 lbf(513 kN)の推力を生み出し、世界でもっとも強力なターボファンエンジンであるGE90-115Bエンジンを搭載したほか、多くの改良が行われている。777-300標準型よりも主翼が延長されており、翼端は角度を付けて後方に曲げられているレイクドウイングチップが装備されている。これは777-200LR、767-400にも採用されており、747-8でも採用され、近年のボーイング機ではトレンドになりつつある。この型に搭載される双発のGE社製大型ターボファンエンジンは、かつての小型機の胴体に匹敵する程の直径を持つ世界最大の大きさを持つ民間旅客機用エンジン「GE90-115B」である。777-300ER型機のローンチカスタマーは最初に合意発注した日本航空であり、試験飛行に使用された2機はいずれも日本航空の機材である。これら2機はワールドツアーの一環で日本にも飛来している。試験飛行時はワールドツアーも掛けてか「世界地図」の塗装が施され、試験機としては珍しい「特別塗装機」ともなった。なお、最初に有償運航を開始したのはエールフランスであり、ボーイング社の公式サイトではエールフランスがローンチカスタマーとなっている。最大保有機数を誇るのは超大型機A380を142機確定発注しており、欧米とアジアを結ぶ一大勢力としてドバイ国際空港に本拠地を置き、2010年代に躍進を遂げた中東アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空である。同社は単独の航空会社として最多の計128機を保有、ドバイと欧米を結ぶ路線を中心に中長距離国際線で活躍している。2011年9月30日までに37社543機、同年末までに603機の受注を獲得しており、同年10月22日に同シリーズ通算300機目としてビーマン・バングラデシュ航空へデリバリーされた。2015年9月現在、596機が引き渡されている。日本ではローンチカスタマーの日本航空(JAL)が最初に導入し、次いで全日本空輸(ANA)が導入し運用中である。さらに全日空(ANA)では2010年代に、新造機6機を追加発注しており、この追加発注分については2015年から受領を開始し、2016年までに同社のB777-300ER型機の保有機数は計20機を超えて日本国内の航空会社として最大の運用者となっている。両社ともこの型を747-400型機に代わる主力機として主に、欧米/北米などの長距離路線に投入しているが、日本航空は東京(羽田)発着・成田発着の一部の国内線でも国際線接続便として運用している。この型の導入を進めている航空会社のほとんどは、747シリーズもしくはエアバスA340シリーズで就航していた路線をこの型に置き換えている(例:日本航空、全日本空輸、エールフランス、エア・カナダ等)。また、A380やB747-8など超大型機と並行する主力機または最新のフラグシップとして導入したのもある(例:チャイナエアライン、ジェットエアウェイズ、TAM航空、ターキッシュ エアラインズ等)。さらにエンジンはGE社製のみとしていながら、ロールス・ロイス社製のエンジンをもっぱら選定するブリティッシュ・エアウェイズからも例外的に受注を獲得しており、世界の航空会社からの圧倒的な支持を得ている。双発機ながら世界のほとんどの主要都市を直行便運航可能なことや、非常に高い安全性を長い運航実績で自ら証明していることがベストセラー機となった主因だといわれている。2012年3月、エミレーツ航空向けのこの型式によって量産1000号機が引き渡された。これは民間ワイドボディ旅客機では747以来の快挙(1000機目の型式は、747-400)だが、初号機の引き渡しから1000機目の引き渡しに要した期間は、747-400のそれを塗り替え最短となった。なお、エミレーツ航空には100機目の777-300ER(機体番号:A6-ENV)も受領しており、596機のうち約4分の1にあたる150機は同社で運航していることになっている。777型貨物機 (777 Freighter) は777-200LR型をベースにした貨物機バージョンである。基本的には、-200LRのエンジンと機体(構造は貨物機用に強化)に、-300ERの燃料タンクと降着装置を組み合わせたもので、2005年に発表された。ローンチカスタマーはエールフランスである。777Fの最大ペイロードである103トンは現行の主力大型貨物機747-200F(最大ペイロード 110トン)や、747-400ERF(最大ペイロード 112トン)にわずかにとどかないが、747-400ERFの後継にあたる747-8Fはさらに大きなペイロード(140トン程度)となりひとクラス上に移行するので、747-200Fおよびマクドネル・ダグラスMD-11F(最大ペイロード90トン)といったペイロード100トンクラス機の代替となる。最大ペイロード時の航続距離は9,000キロメートルほどだが、小包類などの、容積は大きいが重量はさほどでもない貨物輸送において最大ペイロードを下回るケースでは、燃料経済性に優れるため航続距離の伸びが大きく、ノンストップでの太平洋横断も可能となる。777F初号機は2009年2月19日にエールフランスに引き渡され、その後同年10月までに5社9機の引渡しが行われた。大手貨物航空会社のフェデックス・エクスプレスは、2007年8月時点において、マクドネル・ダグラス社製の貨物機が主力機材である。これは旅客航空会社から機材交代サイクルにより放出される中古機を改造することにより、新造機よりも手ごろな価格で輸送力の高いワイドボディ機を導入できることが大きなメリットであったからである。しかし、航空貨物輸送の需要は今後も伸び続けることが確実視されており、近未来の高需要路線においては大型・超大型機の導入が不可欠であると考えられた。また、クルー3名を必要とするDC-10Fの経年退役ならびにMD-11Fの代替としての必要性も加味し、A380-800Fを10機発注した。ところがA380-800Fは、先行開発されている旅客型のA380-800にさまざまな不具合が発覚し、納入スケジュールの遅れが慢性化した。これにより貨物型の引渡し日程は事実上白紙とされ、企業戦略の大幅変更に迫られたフェデックス・エクスプレスは、エアバス社に対して発注を全数キャンセルした。その代替として目を付けたのが777Fであり、15機を発注してローンチカスタマーであるエールフランスに次いで2社目の発注会社となった。さらにフェデックス・エクスプレスは777Fを追加発注し、エールフランスを越して世界最大のカスタマーとなる。2015年9月現在、777型フレイターは、世界の航空会社11社から2015年10月現在160機の受注を獲得し、このうち115機が受領済みでいるが、日本の航空会社からの発注はない。ただし、全日本空輸が2014-16年度中期経営計画ローリングプランでこの機材導入を検討している。ボーイング社は、現行の777型からさらなる改善を検討している。その改善として検討されている型式であり、概要は以下の通り。目標は、翼の大型化による揚抗比の改善、新型エンジンGE9Xによる10%の比燃費改善、機体全般での材質変更などと合わせて、1席当たり15%の燃費改善である。機体としては、新大型翼周りの胴体の最適化と、777-300ER型(3クラス365席仕様)比で胴体の延長と短縮を計画している。777-8Xは777-300ERより胴体を短縮、777-9Xは777-300ERより胴体を伸長する。対抗機種としては、A350XWB-1000。2013年後半の787-9の就航に続くワイドボディ機の就航として時期を見計らっている。なお、標準座席仕様は777-8Xが353席、-9Xは407席を見込んでいる。777ファミリーとしては、777-200型から777-300型への増席以来、2回目の大幅の座席数変更となる。具体的な変更点として、主翼幅が777-300ER型が64.8mであるのに対し71.3mとなる(747-8より3m広がる)。しかし2014年現在の各主要空港施設設計では駐機スペースの間隔が狭く、隣在する施設の使用にも制限する必要があるので、主翼に折り畳む機能を装備して地上では全幅を64.8mにし従来機のサイズに対応できる計画である。この主翼折りたたみ方式は従来の777でもオプション装備できる計画があったが、折りたたみ機構装備による機体重量増やメンテナンス性の低下を恐れた航空会社側から導入を敬遠された経緯があったり、また、この主翼折りたたみ方式は離陸前に必ず展開する必要があるがどの時点で展開するか、展開忘れを防止する装置を追加したり、検討する課題も多く、今後機体製造の過程でこの方法が標準装備されるかは不透明である。主翼の素材が777-300ER型が金属製であるのに対し炭素繊維となること、が挙げられる。一方で、使用エンジンは777-300ER型と同様にGE90が検討されているが、スケールダウンがなされる予定である(計画名: GE9X)。このエンジンはGEnxを基盤とした技術を導入し、タービンセクションにはセラミック母材の複合材が使用される。エンジンの仕様は777-300ER型に搭載されている直径3.43m・推力115000ポンドのGE90-115Bに対し、GE9Xは直径3.25mそして15500ポンド減の推力99500ポンドと、GE90-115Bに対して直径・推力共にダウンサイジングとなる予定である。この計画が実現に至れば、777ファミリーで初めて複合材料が使用そして製造されることとなり、777の歴史で大きな変化が遂げられることとなる。加えて検討の一部ではあるが、747-8や737ファミリーでも実施したように、新しい787スタイルのLED照明と大型手荷物入れなどの内装を取り入れることを予定している。コクピットではボーイングは将来型航空管制管理システムに合わせた電子機器を考えており、787のARINC 629基準を取り入れ、777にも電子化が進められる予定である。なおバッテリーは2013年1月以降に787のバッテリートラブルが多発したことを受け、従来のB777シリーズで販売されているタイプと同じくニッケルカドミウム電池が搭載される。777-8X/-9Xの計画が実現されれば、ボーイングは、標準座席仕様・330席の787-10Xから同仕様・467席の747-8までの全ての座席仕様を網羅することが可能となる。2013年9月19日、ルフトハンザドイツ航空が777-9Xを34機確定発注(オプション7機、最大64機)。2013年11月17日、ドバイ・エアショーで、現777ファミリーを全て所有するエミレーツ航空から150機、エティハド航空から25機、カタール航空から50機の発注を受けて、正式にプログラムローンチを決めた。2014年3月27日、全日本空輸はボーイング777-300ERの後継機として、20機の777-9Xの導入を決めた。2016年1月に全日空(ANA)が発表した超大型総2階建旅客機A380(A380-800を3機確定発注)の追加発注機材及びB787シリーズと共に、777-9Xが同社の次世代主力ワイドボディ旅客機となる。「B777-9X」は2017年製造開始、2020年初号機引渡しを目指す。現時点では軍用機としての採用はない。アメリカ空軍のKC-Xにおいて空中給油機型のKC-777が提案されたが、KC-767に敗れている。日本の航空自衛隊が日本国政府専用機として使用している747-400の後継機として、777-300ERを導入する(就航予定は2019年)。これが777初の軍用機となる。2015年5月にはインド政府および空軍が運用するインド共和国政府専用機について、日本と同様の777-300ER型機に決定したと報じられた。インドはエア・インディアの747経年機を活用して要人輸送を実施してきたが、経年化やミサイル警報装置の問題などから新しく777-300ERを2機導入し、大統領および首相専用機としてインド空軍が運航することになるという。2007年、ブラジルのTAM航空から4機の777-300ER型機を受注したことにより、777型ファミリーの総受注数は1990年の初号機受注以来1003機となり、ボーイング社の民間大型旅客機部門では747ファミリーに次いで1000機を達成した。同シリーズの通算1000機目受領は、エミレーツ航空向けの777-300ERだった。777ファミリーは、1995年以来1,000機以上が製造・運航されている。運航開始当初から長らく全損事故・死亡事故は発生していなかったが、2008年にブリティッシュ・エアウェイズが初の全損事故を起こし、2013年7月にはアシアナ航空が全損かつ初の死亡事故を起こした。ただし、777の全損事故は2016年8月時点で6件であり(エンジン構造起因1件、火災2件、ヒューマンエラー1件、テロによる撃墜1件、不明1件)、他の全世界に広く普及している機種と比較して事故の件数は少なく、事故遭遇しても乗客生還率も多い。
出典:wikipedia
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