グラファイト(graphite、石墨、黒鉛)は、炭素から成る元素鉱物。六方晶系(結晶対称性は"P"6/mmc)、六角板状結晶。構造は亀の甲状の層状物質、層毎の面内は強い共有結合(sp的)で炭素間が繋がっているが、層と層の間(面間)は弱いファンデルワールス力で結合している。それゆえ、層状に剥離する(へき開完全)。電子状態は、半金属的である。グラファイトが剥がれて厚さが原子1個分しかない単一層となったものはグラフェンと呼ばれ、金属と半導体の両方の性質を持つことから現在研究が進んでいる。採掘は、スリランカのサバラガムワ、メキシコのソノラ、カナダのオンタリオ州、北朝鮮、マダガスカル、アメリカのニューヨーク州などで商業的に行われている。硬筆に使われることから石墨の和名を持ち、鉱物名として使われることが多い。元素分析以前には鉛を含むと思われており、ラテン語で鉛を意味するplumbumに由来するplumbagoと呼ばれていた。このため、英語でblack lead、日本語でもこれを直訳して黒鉛とも呼ぶ。ただし、実際には鉛はまったく含まれていない。グラファイトという名は、それが判明したのち、plumbagoという名が不適切とされたことで提案されたものである。構造上、α黒鉛とβ黒鉛が存在し、両者の違いは黒鉛層構造の重なり具合の違いである。通常見られる黒鉛は、ほとんどがα黒鉛である。同素体にダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンがある。常温、常圧ではダイヤモンドより、このグラファイトの方が安定な相(Phase)である。しかしながら、ダイヤモンドとの間には、乗り越えるべきエネルギー差が非常に大きいため、普通の状態ではダイヤモンドからグラファイトになる(構造相転移)ことはない。軽水には劣るが中性子を減速でき、中性子の吸収も少ないので、世界最初の原子炉「シカゴ・パイル1号」では減速材として使用された。現在でも黒鉛炉の減速材として使用されている。また、粘土などと混合させたうえで鉛筆の芯としても利用される。ホワイトガソリンを用いるランタンやポータブルストーブにおいて、燃料バルブのバルブハンドル部分のガスケットとしてもグラファイトのパッキンが用いられる。潤滑油、特に比較的高荷重な部位に用いるオイルやグリースなどへ固体潤滑剤として黒鉛粉末が添加される場合もあり、似た特性を持つ二硫化モリブデンと併用して添加されることも多い。 潤滑剤としての特性としては、二硫化モリブデンなどに比べて摩擦係数や耐荷重性は劣るものの熱安定性に優れており、窒化ホウ素ほどではないが高温での使用が可能である。真空中では窒化ホウ素よりも遥かに高い温度まで使用できるが、二硫化モリブデンなどが真空中で大気中よりも低い摩擦係数を示すのに対し、グラファイトは逆に摩擦係数が上昇するために使用は高温部位に限られる。黒鉛粉末は油分を含まないながらも潤滑性と導電性を有するため、埃が溜まりやすいゆえに多量の油分の使用が望ましくない箇所の潤滑に単独で用いられることもある。身近な例では、室内向けキーシリンダーの潤滑材に指定されている場合があり、電子機器のコネクタの接点復活剤や電子基板のパターンを補修する用途に用いられる場合もある。DIY工作におけるこうした用途での黒鉛粉末の入手元としては、4BなどのB番号の大きい黒鉛含有率の高い鉛筆が手頃である。歴史的な産業利用は16世紀前半にイギリスの湖水地方で発見された石墨鉱床が最初で、長い間鉛筆を製造したが、耐火物質として製鉄やイギリスがスペイン無敵艦隊を撃破した16世紀後半には、砲弾の鋳型に使われた。その潤滑性の高さから自動車用ワイパーゴムに塗布されているもの(グラファイトゴム)があり、動作時の「ビビり」を低減する。撥水加工を施したフロントガラスに使用することにより、撥水被膜の劣化をある程度まで防ぐ。黒鉛層間の空隙に電子供与体あるいは電子受容体元素が侵入(インターカレーション)した層間化合物(そうかんかごうぶつ、intercalational compound)が知られており、これは成層化合物(せいそうかごうぶつ、lamellar compound)とも呼ばれる。1926年に最初の層間化合物KCが発見され、KC、KCなども知られている。他には黒鉛と、アルカリ金属元素、Br、金属酸化物、典型元素の酸化物や硫化物とから形成される層間化合物も知られている。KCは300℃で黒鉛にカリウム蒸気を作用させて製造し、外見はブロンズ色をしている。黒鉛に比してKCの方が金属的性質が強く、これは還元試薬としても利用されている。LiCはリチウムイオン電池の負極として用いられている。
出典:wikipedia
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