密漁(みつりょう / poaching)とは国際間の協定や法令や漁業者間のルールを犯して魚介類をとること。違法操業とも言う。陸上の動物を不法に採取することは密猟と書き分けて区分する。日本国内においてはアワビやサザエなどの稚貝を放流し養殖を行っている海域ではスキューバーダイビングや小型ボートを用いて密漁が行われている。密漁の規模こそ小さいが、被害額は一件につき数百万円から数千万円にのぼることも珍しくない。背景には、密漁した海産物を組織的に売りさばく暴力団や、密漁された魚介類であっても平気で仕入れるブラック企業の存在があるといわれる。また、密漁を行う実行犯は漁業者、つまりプロの漁師が大半である。経済的に困窮した漁師が禁漁期間中に収入を得るため、密漁を行って暴力団に転売するケースが多い。しかし、密漁に手を染める漁師がいる一方で、密漁の情報を海上保安庁や警察に提供し、日本の海の護りに協力している善良な漁師も多い。密漁事件の多くは善良な漁師からの情報提供によって検挙に結びついている。2012年の漁業関係法令違反の送致件数は2657件であり、このうち密漁事犯が2591件、立入検査忌避などが66件であった。日本において密漁の取締りを所掌とする官庁は農林水産省の外局の水産庁であり、水産資源の保護については各都道府県の水産課なども担当している。水産庁では漁業監督官が、都道府県では漁業監督吏員がその任を負っている。また、海上保安庁や警察も水産庁に協力する形で密漁者の取締りを行う。過去には地元漁師が自主的に密漁者を監視し現行犯逮捕するケースも多かったが、暴力事案に発展する場合も多いため、行政機関の立会いのもとに取締る場合が増えている。農林水産大臣または都道府県知事の許可をうけずに許可を要する漁業を営み、密漁で検挙された場合は3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられる(漁業法第138条)。日本における「漁業を営む」の解釈は、「営利の目的で反復継続の意思をもって行う行為」とされ、漁獲の有無については問われない。つまり、例え漁が空振りであったとしても「営利の目的で反復継続の意思」で行ったのであれば、漁網を使う漁業であれば投網、潜水器漁業であれば潜水の時点で既遂となる。また漁業者が漁業監督官、海上保安官、警察官等の立入検査を忌避した場合は、漁業法の規定により6ヶ月以下の懲役若しくは30万円の罰金が科せられる(漁業法第141条2項)。採捕禁止期間や漁法に関する規定は主に、各都道府県の海面漁業調整規則に記載されている。各都道府県によって対象魚種、期間、漁法は異なるので釣りも含めて魚介類をとろうとする際には注意が必要である。漁業権の侵害とされるのは通常、共同漁業権のことであり、これは対象となる魚種が指定されたうえで、個人に対してではなく漁業協同組合に対して都道府県知事から付与され、漁業者は所属する組合から漁業権の行使承認を得ているという形になっている。そのため、漁業協同組合によっては一般人に対して有料で漁業権が設定された魚種の採捕を認めているところもある。また、漁業法で規定される漁業権侵害の罰則は20万円以下の罰金であるが親告罪となっており、漁業協同組合には密漁行為に対する温度差もあることから、取締機関に対して告訴状を提出しないということもある。この場合、行為としては密漁を行っていても公訴提起ができないことから事実上無罪放免となる。対馬や隠岐諸島周辺の日本海では韓国漁船による密漁が多発しているが、夜間に高速化された漁船で密漁を行い、取り締まり船艇の接近時に即座に韓国へ逃走を図るため、取締りが難しいのが現状である。近年では中国漁船による密漁も深刻化しており、例えば2011年以降、日本領海内でサンゴを密漁する中国籍の漁船が確認され始め、2014年10月26日には海上保安庁が小笠原諸島付近の海域で赤サンゴ密漁中の中国漁船を102隻発見したと発表、10月30日には伊豆諸島周辺の領海および排他的経済水域で212隻の中国漁船を発見したと公表し、その後、複数の中国人船長が逮捕されている(中国漁船サンゴ密漁問題)。以下にサンゴ密漁事件の事例を挙げる。2012年に外国漁船による漁業関係法令違反で検挙された件数は7件で、このうち漁業主権法違反が4隻(無許可操業2隻、操業水域違反1隻、許可内容違反1隻)、立入検査忌避による漁業法違反が3隻であった(外規法と漁業主権法の改正前なので外国人による立入検査忌避は漁業法違反となる)。2014年は上記のサンゴ密漁問題の発生を受けて検挙件数が増加している。2014年に発生した中国漁船サンゴ密漁問題を受けて関連法の改正が行われ、外国人の密漁に対しては、日本人による密漁に比べて10倍以上の罰金が科せられる。また、漁業法で定められていた立入検査忌避の罰則についても、外国人に対する罰則については別途関連法で定め、日本人による立入検査忌避に比べて10倍以上の罰金が科せられるようになった。例えば、外国人が日本の領海内で漁業を営んだ場合には、外国人漁業の規制に関する法律(外国人漁業規正法)違反となり、検挙された場合は3年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金とされる(日本人は3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)。また立入検査忌避の場合は6ヶ月以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科せられる(日本人は6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金)。また、外国人が日本の排他的経済水域内で漁業を営む行為については、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律(漁業主権法、EEZ漁業法)により農林水産大臣の許可を要するほか、一律に漁業が禁止されている水域があり、このどちらに違反しても検挙された場合は3000万円以下の罰金が、立入検査忌避の場合は300万円以下の罰金が科せられる。しかし、当該行為については国連海洋法条約に基づき担保金による早期釈放制度(ボンド制度)が用意されており、行為の認否に関わらず、指定した担保金または担保金の提供を保証する書面が提出されると、違反者は釈放され押収物(船体や漁獲物)についても返還されることとなる。無許可操業および禁止海域操業の担保金の基準額は3000万円、立入検査忌避の担保金の基準額は300万円となっており、いずれも罰金と同額の担保金が必要となる。また違法なサンゴ採取については、サンゴ1kgあたり600万円の担保金が加算される。密漁に対する法的解釈は、漁業者、遊漁者、水産庁、各都道府県水産課、海上保安庁、警察、裁判所、漁具小売店によって異なっている。国際法では水産資源の排他的占有は国土から200海里以内で認められる。また各国政府の交渉により、中間線が設けられケースもある。これらの設定区域を越えての漁業は密漁となる。水産資源の争奪を巡っては海軍が出動したケースもあり、外交問題にも成りえる。以下、国外における密漁事件の事例を挙げる。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。