『天国の門』(てんごくのもん、原題: "Heaven's Gate")は、マイケル・チミノの監督・脚本による1980年のアメリカ映画である。この作品はチミノにとってかなりの意欲作であり、撮影期間と予算の超過による巨額の製作費(約4400万ドル)がかけられた。しかし、『ニューヨークタイムズ』に批評家が「災害」と投稿するなど評判が散々だった。また制作費に比べ興行成績が思わしくなく、映画製作会社が倒産に追い込まれるなどの「映画災害」を引き起こした問題作である。日本での公開は1981年9月。1890年代のワイオミング州を舞台にしたロシア・東欧系移民の悲劇を扱った映画である。1870年に共にハーバード大学で学んだ親友、エイブリルとアーヴァインが主人公である。そして20年後に保安官となったエイブリルはワイオミングで小規模移民牧場主となっていたアーヴァインと再会する。そして大規模WASP牧場主リーダーによる牛泥棒根絶に名を借りた移民農民皆殺し計画を知ったアーヴァインは、エイブリルに相談を持ちかけ、エイブリルの恋人のフランス系移民エラ、エラを愛する牧場主の雇われガンマンのネートを中心に、ストーリーが展開する。本作は、牧畜業者組合の牧場主達が、入植者達を殺すために傭兵を雇うという事件ジョンソン郡の土地紛争である「」()をモチーフにしているが、実際には劇中のような激しい戦闘は起きなかった。また実在の人物名を使っているが、実際の立場とは違う。当初の制作費は1100万ドル。しかし、完成していた通りのセットが「馬が通れないから」との理由で改築させたり、ほんの一部しか映っていない機関車を撮るために当時走っていた実際の機関車を調達させたり、エキストラを大幅に増やしたり、撮影では撮り直しを繰り返したため、制作費を大幅にオーバーした。それでもユナイテッド・アーティスツは撮影を続けたために予算は4400万ドル(約80億円)にまで膨れ上がった。撮影されたフィルムは約46万メートルに及ぶ。5時間30分というあまりに長くなりすぎたフィルムから多くのシーンが削られ219分にまとめられプレミアム公開された。しかし、あまりの評判の悪さに、急遽149分の短縮版が作られ、一般公開はそれに差し替えられた。この上映時間の大幅短縮による構成の破綻、アメリカ人の神経を逆撫でするようなテーマに対するマスコミの酷評などが祟り、映画は全くヒットせず1週間で興行を打ち切られ、チケットの払い戻しが殺到した。また台詞が音楽に隠されるなど不備も多く、第2回ゴールデンラズベリー賞の最低監督賞を受賞するなど評価も散々だった。映画の興行成績は3,484,331ドルであり、莫大な赤字を出した。これによって制作会社ユナイテッド・アーティスツは倒産においこまれた。新聞には「Heaven turns into Hell(天国の門から地獄の門へ)」という見出しが載った。なお、一時期『ギネスブック』に「史上最悪の赤字を出した映画」として掲載されている。ユナイテッド・アーティスツはメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)が救済合併してMGM/UAとなったが、そのMGM/UAも『インチョン!』で大赤字を出すこととなった。ちなみに2013年現在では1995年の映画『カットスロート・アイランド』が同記録を有する映画として掲載されている。しかし、撮影や美術の美しさ、壮大な物語構成など注目すべき点も多く、公開後数十年経った現在ではやや再評価の兆しもあり、ヨーロッパや日本では公開時から高い人気を得ている作品である。なお、ヨーロッパでは概ね、オリジナルの219分版が公開された。日本では一般に公開されたのは短縮版だったが、一部では219分版も上映された。また、2012年にはディレクターズカット版として、216分に再編集された物が公開されている。監督であるマイケル・チミノは、この作品の公開から5年が経過した1985年、ディノ・デ・ラウレンティスのプロデュースによる『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』を監督したものの、かつてのような自由な映画製作は行えず、興行的に成功したものは1つもない。
出典:wikipedia
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