LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)または GLBT(ジー・エル・ビー・ティー)とは、女性同性愛者(レズビアン、)、男性同性愛者(ゲイ、)、両性愛者(バイセクシュアル、)、性同一性障害を含む性別越境者など(トランスジェンダー、)の人々を意味する頭字語である。LGBという頭文語は1980年代中期頃から使われ始め、Tを加えたGLBT(LGBT)という言葉は日本では、1990年代頃から使われ始めた。それ以降、この言葉は当事者の間で一般的となり、更にセクシュアルマジョリティー(性的多数者)の間でも欧米諸国や日本などで広く受け入れられている。LGBTという言葉は性の多様性と性のアイデンティティからなる文化を強調するものであり、性的少数者と同一視されることも多いが、LGBTの方がより限定的かつ肯定的な概念である。LGBTは四つの用語の頭文字から作られた言葉であり、それぞれの用語は、特定の集団のメンバーや、サブカルチャー的共同体に所属している人々を指すのに使用される。このようなサブカルチャー的共同体としては、性に関する人権を唱導する者たちや、芸術家、文学者の集団・共同体などが挙げられる。LGBTにクィア()のQを加えたLGBTQも、一部で使われることがある。男性と女性の両方の性的な特徴と器官があるインターセックス()の人々は、LGBTIを使うことを提唱している。LGBTは頭字語であるが、これ以外に英語において、様々な、類似した性的多様性の集団を表現する頭字語がある。以下は、概略である。以上の他に、別のパターンの頭字語も存在する。LGBTという言葉や概念については様々な意見があるが、2006年7月に開催された第1回ワールドアウトゲームズにて採択されたモントリオール宣言以降、国際連合をはじめとした国際機関において性的指向や性自認にまつわる人権問題を扱う公文書においてもこの言葉は用いられている。性的指向に関連するLGB(同性愛、両性愛)と性自認に関連するT(トランスジェンダー)は本来全く別のテーマであるが、これら一連の公文書においては、LGBTという言葉によってそれらを混同しておらずそれぞれ区別されている。このLGBTという概念が、モントリオール宣言やジョグジャカルタ原則など国際機関において用いられるようになった理由としては、一つに、これらの当事者とりわけトランスジェンダーの数が少ないため単独で公的に人権問題として扱われにくかったことがあり、さらに同性愛、両性愛、トランスジェンダーはそれぞれ深刻な差別や殺害も含む迫害を受けてきたにも拘らず、不当な偏見やスティグマからそれらが公式に問題視されず、実態が報告されることも妨げられてきたことにおいて共通することが考えられる。1960年代の性の革命に至るまで、「異性愛=正常」とされる人々のコミュニティで使われていた軽蔑的な意味の言葉以外に、上述したような人々やその集団を表した中立的で一般に知られた用語は存在しなかった。第二次世界大戦以前には、第三の性()」という言葉が使われていたが、大戦後、この用語は使われなくなった。これらの人々が性にまつわる権利を主張する運動が組織化していく過程で、自分たちは如何なる存在であるかを、肯定的な形で表現するための用語が必要となった。(異性規範性=ヘテロノーマティヴィティ、 と比較)。最初に使われた用語である "Homosexuality"(ホモセクシャリティ)は、否定的で余分な意味をあまりに強く帯びていたので、主として男性同性愛者の間で "gay" (ゲイ、陽気の意)という用語に置き換えられた。そしてレスビアンたちが自分たちのアイデンティティを錬成させて行くにつれ、ゲイとレスビアンという用語は更に一般なものとなった。このことは間もなく、メジャーな一般社会のなかで、法的に正当な集団範疇としての承認を求めていたバイセクシュアルとトランスジェンダーの人々によって踏襲された。しかし、1970年代後期から1980年代初期には、感覚的な受け取りにおける変化が始まり、一部のゲイ・レスビアンからは、バイセクシュアルやトランスジェンダーの人々に対する反感・蔑視を表明する動きが表面化する。1990年代に至るまで、人々が「ゲイ、レスビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々」を、それぞれに同等な尊厳を持っている者として語るのは、通常のことになっていなかった。1990年代半ば以降、そして現在、LGBTはますます一般的な用語となり概念となった。この言葉は北米、そして欧州においては、メインストリームとなり、大多数のゲイ、レスビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーのコミュニティ・センター、および殆どの英語圏のLGBTに関連したメディアが、この用語を採択している。一方で名目主義的にLGBT を標榜しつつも、実質的にはトランスジェンダーの人々を除外した同性愛者のコミュニティやその権利主張だけが取り上げられているとの批判もある。日本のマスコミで最初に使われたのは確認しにくいが、日本のテレビで「LGBT」という言葉が広く知られるようになったのは4月に行われた「Tokyo Rainbow Week 2014(東京レインボーウィーク2014)」を受けて、2014年5月10日、日曜日の朝番組のNHK総合「週刊ニュース深読み」で「“20人に1人” LGBTを知ってますか?」だった。2015年、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める「パートナーシップ証明書」を発行するために東京都渋谷区で渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例が、区議会本会議で可決・成立し、同年4月1日より施行された。全国初の条例で、性的少数者の権利を守るねらいがある。渋谷区では、2015年11月5日から証明書の交付が開始された。ただ、手続きには公正証書の作成が必要で、費用と時間がかかることが指摘されており、初日に証明書の交付を受けたのは1組に留まっている。東京都世田谷区では「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」を制定し、渋谷区と同日の2015年11月5日から「パートナーシップ宣誓書受領証」の交付が開始された。渋谷区と異なり、条例ではなく要綱で制度化したため、申請手続きが簡素化されており、初日に7組のカップルが受領書の交付を受けた。2015年6月24日に行われていた兵庫県宝塚市の市議会定例会で、セクシャルマイノリティ支援の基本方針策定に対し、自民党の大河内茂太市会議員が「HIVは特に男性同士の接触により広まっており、条例が成立した場合、話題性から多数の同性愛者が集まることによって、宝塚市がHIVウイルスの感染の中心地になりうるという意見が市民から出る」と答弁。これに対し別の議員が答弁を取り消すよう求めたため議会が紛糾し、審議が一時中断されるという事態に陥った。2015年11月29日、神奈川県海老名市議会議員の鶴指真澄がTwitterに「同性愛は異常なのだ。」「異常人間の行動を正当化した報道はするな。」「最近のマスコミの報道は倫理観に欠けている。」などと投稿し、同日中に削除、メディアの取材に対し「酔っているときに同性婚に関するマスコミ報道を見て、勢いで遊び半分に書き込んでしまった。同性愛は個人の自由で日頃関心がなく、差別するつもりもなかった。」と釈明したが、議員辞職はしない意向を示した。また、2016年2月6日には、埼玉県さいたま市中央区のさいたま市産業文化センターで「LGBT成人式@埼玉」が開催される。2015年、自由民主党・公明党・民主党など超党派の国会議員からなる「LGBT(同性愛者などの性的少数者)に関する課題を考える議員連盟」(会長は馳浩)が発足した。渋谷区や世田谷区の動きを受け、ライフネット生命保険が死亡保険金の受け取りに同性パートナーを指定できるようにしている。携帯電話会社では、同性パートナーを家族割引などの対象にできるようになった。日本の大手企業であるパナソニックは社内同性婚を認める方針と報道された。IOCのスポンサーである同社は、「性的差別を行わない」としたオリンピック憲章を尊重した。LGBTあるいはGLBTという用語は、この表現に包含される誰もから受容されているわけではない。例えば、トランスジェンダーやトランスセクシュアルの一部は、この用語を好まない。自分たちがトランスであることの根拠あるいは原因は、LGB の人々のケースとは異なると信じるからである。彼らはまた、ある団体が存在し、団体の行う活動内容が実際のところ、トランスである人々を念頭したものとは考えられない場合、団体の名称のイニシャル語あるいは頭字語として、Tを加えることに対し異議を唱える(当然であるとも言える)。反対のことも言えるのであり、LGB の人々の一部は、類似した、または同じ理由からTを好まない。多数の人々がまた、性的指向とジェンダー・アイデンティティ(英:、性自認とほぼ似た概念)のあいだに明瞭な線引きが必要だと信じている。GLB(ゲイ、レスビアン、バイセクシュアル)は性的指向に関係するのに対し、TTI(トランスジェンダー、トランスセクシュアル、インターセックス)はジェンダー・アイデンティティに関係するからである。同様に、インターセックスの一部は、LGBT グループに含まれることを望み、LGBTIという頭字語を好む。しかしインターセックスの人々でも、他の人たちは、自分たちは LGBT コミュニティの一部ではなく、この用語にむしろ含めるべきでないと主張する。上述の逆の状況が、レスビアンとゲイにおける分離主義の信念に明瞭に見て取れる(似た言葉に、レスビアン分離主義()があるが、これは男性無用の女性だけのコミュニティを形成しようとするフェミニズムの形態である)。この立場では、レスビアン及びゲイである者は、通常はLGBTQ(Qは、クィア Queer の頭文字である)の共同体圏に含まれている他のグループとは区別し、また分離して、彼らのコミュニティを形成する(あるいは、形成せねばならない)という考えを持つ。この種類のグループは、一方で、社会運動と呼べるほどの十分な人数や組織には必ずしも見えないが、LGBT コミュニティのほとんどの場面において、非常に目立ち、しばしば声高にその意見を主張し、積極的な要素集団としてのあり方に固執する。この見解に立つ人々はまた、非「モノセクシュアル=単性愛()」的な性的指向及びトランスセクシュアルの存在またはその平等性権利に、通常否定的である。この立場は、社会一般のバイフォビア()及び「トランスフォビア()へと繋がって行く可能性を持つ。(モノセクシュアルとは、異性愛または同性愛のことで、性的指向の対象が単一であることで、それに対し、両性愛・トランスジェンダーなどは非モノセクシュアルとなる。また、バイフォビアとは、両性愛者(バイセクシュアル)に対する嫌悪感などで、トランスフォビアは、トランスセクシュアルやトランスジェンダーの人々に対する様々な形態での嫌悪感や拒絶である。)多くの人々が、現在流布している、LGBT 等のイニシャル語や頭字語、あるいは略語に代わる、一般的で包括的な用語を探してきた。クィア(日本語でおかま)やレインボー(虹)などの言葉が、包括的用語として提案されたが、一般的に広く採択されなかった。クィアは、この言葉が嘲りや侮辱の意味で使われた記憶を有する年長の人々にとっては、多くの否定的な暗示的含意を持っており、また現在でもこの用語は、そういう意味を持って使用されている。多数の若い人々もまた、クィアがLGBTに較べ、政治的により感情的な論争を誘発する言葉であることを理解している。レインボーは、ヒッピーやニューエイジ運動、あるいは政治運動(ジェシー・ジャクソン の虹の連合()など)を想起させる含意を持っている。一部のゲイの人々もまた、文字表現としての用語が、過剰に政治的正義の意味合いを帯びて一般に受け取られることを望んでいない。また、多様な性的傾向を持つ人々のグループを、一つのグレイ・ゾーン状態の言葉でカテゴライズする試みに対し肯定的ではない。更に、LGBTコミュニティあるいはLGBコミュニティ自体に反対の立場を持つ、レスビアン、ゲイ、バイセクシュアルの人々も存在する。彼らはまた、通常 LGBT コミュニティとセットになっており、ゲイ・パレードやイベントなどの政治的及び社会的連帯、そして可視性と人権のためのキャンペーンにも反対である。これらの人々のなかのある者は、非異性愛性的指向の人々をグループとして一括して纏めることに反対の意見を持つ。何故なら、このように纏めることで、ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルであることが、他の人々とは何かの欠陥において異質であるという説を永続させ温存させる効果を持つと信じるからである。ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルの人々のなかにおけるこのような分派的な人々の存在は、他の LGBT の人々と比較して、しばしばまったく目立たず、気づかれない。このような見解の人々は、同性の人への性的関心は別として、一般の人々のなかに溶け込み、彼らの性的指向について、ほとんど、または何の外見的・社会的な指標性も表さないためである。このような分派的な人々の存在は、多数派である異性愛の人々から識別することが困難である。そのため、一般的には、ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルの人々は、すべて、LGBT 解放運動や、社会における LGBT の人々の可視性(カミングアウトの公然性)などを、多数派とは異なる形で自己の人生を生きる権利も含めて、支持しているのだと(臆断的に)考えられている。しかし、これは正確な事実ではない。LGBT あるいは LGBTQ に類似した用語に性的マイノリティあるいは性的少数者がある。これらはLGBT の同義語であるとされる場合があり、LGBT より定義範囲の広い用語であるともされる。英語の " という用語は、ラース・ウーラスタムの画期的な著書"The Erotic Minorities: A Swedish View" (Grove, 1966) の影響で1960年代後半に造られた可能性が最も高い。これを日本語に訳して「性的少数者」の用語が造られたと思われる。LGBTと性的マイノリティは意味が異なり、そのもっとも大きなものは、LGBT は、LGBT のコミュニティに属する者が、自分たちの集団を呼称する名称としてこの頭字語を造ったという点である。それに対し、性的マイノリティ/性的少数者は、性的な側面において「社会におけるマイノリティ」である者という意味で定義された言葉であり、LGBT の一部には、この呼び方や用語を好まない者もいる。
出典:wikipedia
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