コンビーフ () とは牛肉を塩漬けにした食品である。日本やブラジル、アルゼンチンでは缶詰にした物が多い。日本では一般にほぐした牛肉の缶詰のことであるが、本来は長期航海用や軍需品として使うための保存食料である、塩漬け牛肉のことを言う。そのため欧米では、缶詰ではなくほぐした状態でもない、ブロック肉であることが一般的である。「コーン」は現在はトウモロコシを指すが、スコットランドでは穀物全般、ひいては一般に粒状のものを意味した。「corned」とは、肉を岩塩を砕いた粒状の粗塩で漬けることを意味する。日本農林規格(JAS)では、「畜産物缶詰又は畜産物瓶詰のうち、食肉を塩漬(せき)し、煮熟した後、ほぐし又はほぐさないで、食用油脂、調味料、香辛料等を加え又は加えないで詰めたものをいう」と定義される。そのまま食べたり、サンドイッチや炒め物などの材料にしたりする。日本の消費者には市販されているコンビーフは先細りの缶(英語:tapered can)で形が台形の缶(英語:trapezoid-shaped can)が馴染み深い。日本で近世に使われ始めた箱枕に似ており、「枕缶」と呼ばれる。1875年、アメリカの食品会社・リビー()が、薄切りを作る為に中身を一つの塊として取り出しやすい缶として発明し、採用したとされている。開缶は、缶付属の「巻き取り鍵(まきとりかぎ)」などと呼ばれる缶切りの一種で缶側面の一部を帯状に巻き取って行う。当時は、欧米で缶詰が普及するきっかけとなったと言われている第一次世界大戦の前で、一般人が安全に開缶できる缶切りは普及していない。尚、同様の分野の商品とされるランチョンミート缶の類が世に登場するのはコンビーフ缶の数十年後で、枕缶は使われていない。例えば、アメリカのがスパム()を生産開始したのは1937年である。日本では1948年に国産コンビーフの市販を瓶詰めで初めて開始した商社・野崎産業の食品部門(現・川商フーズ)が1950年に国産初のコンビーフ缶詰を発売している。この商品の開発と製造は日東食品製造(現・日東ベスト)が担当している。枕缶を使う理由として、製造する際に面積が大きい側から肉を詰め、缶内部の空気を抜く(脱気する)事で肉の酸化を防止できるとしている。一方、製造時に食品を入れた容器を密封前に加熱して内部の空気を抜く事は「加熱脱気」と呼ばれる。加熱脱気は密閉容器を使って食品を長期保存する発明の基本原理である。この方法は簡易なものになる場合が有るが、家庭で瓶詰めを手作りする際にも使われる。日本で生産された缶詰の出荷量が輸出より国内向けが多くなるのは1955(昭和30)年以後とされる。国産コンビーフ缶詰が発売された頃の日本国内での缶詰の普及状況は、先に述べたアメリカと似た様なものであった。枕缶の人気は圧倒的に高いとされ、バリエーションが存在する。標準的な丸型の缶詰は"ノザキのコンビーフ860g"、"ノザキのニューコンミート860g"や、自衛隊の副食用缶詰の一種として防衛省仕様書(DSP-Defense Specifications)番号N 5106で定義されるコーンドミート缶詰等、少数派となっている。しかし枕缶には、巻き取り鍵を失くしたり、開ける途中で缶の帯が千切れる事がある、開缶方法が分からない人がいるなどという問題点が有り、プルトップ缶とも呼ばれるEO缶が発売されている。缶詰は容器のままの保存がしにくい、ゴミ分別に手間が掛かるなどの不便を解消した事などをアピールした可燃容器入りの商品も販売されている。北米では缶詰ではない、ブリスケットなどのブロック肉を塩漬けした生のコンビーフが販売されている。アメリカやヨーロッパで一般的な生コンビーフの料理としてはルーベンサンドと呼ばれるサンドイッチが有名なほか、キャベツと煮こんだコンビーフ・アンド・キャベジは、アメリカにおけるアイルランド料理の定番となっている。アルゼンチンやブラジルなどでも缶詰にしたものが主流で、牛肉をほぐさず茹でる方法で調理される。2011年現在ブラジルが世界の缶詰コンビーフの80%を供給ているイギリスでは第一次世界大戦の頃から同陸軍や同海軍でこの缶詰が食料として用いられていた。イギリスではBully beefとも呼ばれる。アメリカで一般的な生のコンビーフはイギリスではSalt Beafと呼ばれる。ウルグアイでは“フライ・ベントス”の名前で1873年よりイギリスなどへ輸出され始めた。因みに、4月6日の「コンビーフの日」は1875年同日にアメリカで枕缶の特許が認められた事が由来である。また、3月17日の聖パトリックの祝日(せいパトリックのしゅくじつ、英:、セントパトリックス・デー)はカトリックにおける祭日であり、アイルランド共和国の祝祭日であるが、この日にアメリカではコンビーフ・アンド・キャベジを食べる習慣があるともされ、一部では「コンビーフ・アンド・キャベジ・デー」という記念日扱いする場合がある。日東食品製造が馬肉を中心とした雑肉を主原料とする缶詰を開発し、発売元の野崎産業が自社名を冠して「ノザキのニューコンビーフ」という商品名で1961(昭和36)年に発売した。ニューコンミートを使った料理のレシピはウェブで検索結果を多数得られる。農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)の2005(平成17)年6月改正で、日本農林規格(JAS)における缶詰の表示を定めた「畜産物缶詰及び畜産物瓶詰の日本農林規格」他の関連する基準も改正された。これによってコンビーフの名称は牛肉100%の物のみに使用できることとなり、馬肉など他の肉が使われている物はコーンドミートと表記するように定められた。またコーンドミートの内、馬肉と牛肉が使われており、そのうちの牛肉重量が20%以上の物はニューコーンドミートもしくはニューコンミートと表記することが許可された。2006年(平成18年)3月の法律施行にあわせ、「ノザキのニューコンビーフ」は「ノザキのニューコンミート」と名称が変更された。前述の通り、野崎産業は合併・分社化などの再編を経て食品部門は2014年現在、JFEグループのJFE商事の100%子会社である川商フーズとなっており、「ノザキの〜」のブランド名を継承している。日本の商標制度に於いて商標権は設定していない。ほぐしたコンビーフと茹でて細かく賽の目に切ったジャガイモを混ぜ合わせた食材である。缶詰の他、1食分のレトルトパウチなどで販売されているアメリカ合衆国ではポピュラーな食材であるが、日本では沖縄県においてのみ非常に普及しており、県産品も製造されている。朝食の卵料理の付け合せに使用されるほか、野菜炒めやチャンポン、焼きそばなどの具材として、また、マヨネーズと混ぜてパンに塗るなどの方法でも利用されている。小判状にまとめて焼いたり、コロッケとして調理する食べ方もある。ジャガイモが入っているため「畜産物缶詰及び畜産物瓶詰の日本農林規格」等の基準では「コンビーフ」に該当せず、「牛肉野菜煮」と表示されている。会田雄次の著書「アーロン収容所」によれば、イギリス軍の日本兵捕虜収容所内における給食の中でも、飯盒で炊いたごはんにコンビーフを混ぜたものがご馳走として日本兵に喜ばれたという(ただし中には戦場で目にしたウジの湧いた死体を連想して食欲を失った者も多かったという)。また、大岡昇平の著書「俘虜記」においても、レイテ島の捕虜収容所の給食としてコンビーフを混ぜた粥が提供されている。
出典:wikipedia
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