江の島線(えのしません)は、神奈川県鎌倉市の大船駅から藤沢市の湘南江の島駅まで結ぶ湘南モノレールのモノレール路線である。三浦半島の付け根付近にある丘陵地帯を貫き、古都・鎌倉市街を経由せずに大船と藤沢市片瀬地区を短絡する。丘陵地帯にありながら、当路線の開業以降、富士見町・湘南町屋両駅界隈が主に準工業地域として、湘南深沢駅界隈が商業・住宅地として、西鎌倉 - 目白山下間の各駅界隈では昭和初期からの別荘地であったものが高級分譲地として再整備されるなど開発が進んだ。そのため、用務客の利用が増加し、沿線から東京方面への通勤と沿線への通勤の両方の需要がある通勤路線としての性格を強める。開業以来の2両編成では利用客をさばききれなくなり、1975年には現在の標準組成である3両編成が登場している。同時に片瀬海岸・江の島を始めとする湘南地域の保養地・観光地アクセス手段の一つでもあるものの、1978年には観光需要が3割、通勤・通学需要が7割であったものが、現在では通勤・通学需要が9割に達する。朝夕は激しく混雑し、富士見町 - 大船間においては混雑率が163%にまで達する列車もある。特に湘南モノレールの大株主だった三菱電機の従業員用務需要は大きい。近年においても大船駅に近い富士見町駅周辺においてマンション開発が相次いでいるほか、JR東日本の大規模工場が撤収した湘南深沢駅前では鎌倉市が「第3の都市拠点」として再開発を計画している。深沢地区と隣接する藤沢市村岡地域において大規模研究所施設の建設により就業人口が増したことから、関係自治体によるも立ち上がっている。大船駅と湘南江の島駅の両終端駅には駅員が常駐して自動改札機が設置されている。湘南町屋駅及び西鎌倉駅には自動改札機と自動精算機が設置されている。それ以外の無人駅は自動券売機のみ設置されており原則として乗務員が集札を行っている。ただし、下り列車の富士見町駅では大船駅から初乗り運賃であること、大船駅に自動改札機が設置されているため、集札は行われず、駅備え付けの集札箱に乗車券を入れるようになっている。路面電車の停留場に似た簡素なものがほとんどであるが、1日の乗降客数が5,000人を超える「特定旅客施設」に該当する駅が多いため、交通バリアフリー法(現バリアフリー新法)による移動円滑化の動きがある。これにより湘南町屋駅や西鎌倉駅には、エレベーター設置に伴い駅舎が改修されているほか、開業以来基準のなかったサインシステムが導入された。また保安装置はATSを使用し、終点駅や交換可能な駅には鉄道の地上信号機と同じ常置信号機(出発・場内)と従属信号機の遠方信号機が設置されており地上信号での自動閉塞式で運転されている。富士見町・湘南深沢・西鎌倉・目白山下の各駅で列車交換(行き違い)ができる。単線ながら、早朝と夜間をのぞいて7.5分間隔の高頻度運転が行われており、すべての交換可能駅で列車交換が行われる「ネットダイヤ」を形成している。このため、これ以上運転間隔を短くすることはできない。大半の列車は大船 - 湘南江の島間の通しで運行されているが、途中駅の湘南深沢駅近くに深沢車庫があるため、朝晩の一部列車に同駅を起・終点とする列車の設定がある。また、ダイヤグラム上昼間の「大船発湘南江の島行き」列車でも途中の湘南深沢で車両交換が行われることがあるが、その場合は乗り換えを余儀なくされる。日本の多くの鉄道事業者が土曜・休日ダイヤを設定しているなかで、沿線に抱える大規模工場への通勤客輸送という側面を抱える当路線では土曜日の運転には平日ダイヤが適用されていたが、2016年6月1日のダイヤ改正で休日(土日・祝祭日)ダイヤに統合された。また、観光客対策として毎年8月の第1火曜日に開催される江の島花火大会当日は23時過ぎまで日中同様7分半間隔での臨時ダイヤで運転されている。なお、2007年3月18日は片瀬海岸を発着とする湘南国際マラソン大会への対策として休日ダイヤ適用日ながら平日ダイヤで運転されたほか、2010年まで、毎年元日は平日ダイヤで運転されていた。2008年2月24日に発生した西鎌倉駅でのオーバーラン事故以来、12月22日まで臨時ダイヤで運転が行われていた。3月23日まで、平成初期まで存在していた大船 - 湘南深沢間を折り返し運行するシャトル便が朝晩を中心に一時的に復活したほか、開業以来設定されたことのなかった土曜日ダイヤの適用も行われていた。車両の夜間停泊は車庫のある湘南深沢駅と湘南江の島駅で行われている。日本跨座式モノレールを推進する陣営と異なりメーカーによるライセンスが開放されていないこともあり、開業時から一貫して三菱重工業・三菱電機共同製作によるもののみ採用されている。車両はすべてアルミ合金製の3両固定編成で、5000系第1編成までは銀色地に赤帯を巻いていた。第2編成以降は、1本毎に異なる色の帯を巻くようになっている。全車両とも行先表示器を装備してない為、先頭部に行先標(通常は「大船←→湘南江の島」で固定)を掲示している。仕様変更に伴う形式変更・改番を頻繁に行うため、登場時の車号の車両は少ない。500形では、折り畳み座席設置の際に両先頭車のみ(中間車は改番されていない)が550番台に改番された。5000系では、第1編成が案内輪交換の際に両先頭車が5300番台、中間車が5200番台に改番され、その後の貫通扉設置改造時に両先頭車は5600番台に改番された。第2編成は当初両先頭車は5500番台であったが、VVVFインバータ装置の改良や情報記録装置の搭載により5600番台に改番された。第3編成以降は登場時から両先頭車は5600番台である。旧来の路面電車に代わる都市内交通機関として、モノレールが本命視され複数の規格が各地で試験敷設されていた当時、主に日立製作所が技術主導権を握る跨座式モノレールと対抗軸をなす三菱重工業のモノレール設備機器の本格導入・拡販を目指すためのモデル路線として敷設された。1964年に名古屋市の東山動植物園内に設置された懸垂式モノレールの試験線(名古屋市交通局協力会東山公園モノレール:1974年廃止)で得られたデータを活かして、2 - 3両の連結車両やモノレール用の特殊な転轍機を新たに採用するなどさらなる試験も兼ねているほか、跨座式モノレールに対する優位性を示すためあえて過酷な条件の地形に挑むように建設された。この路線における技術の成功が千葉都市モノレールに活かされている。軌道は旧京浜急行自動車専用道路の上空に沿う形で設置されている。この道路は元々大船と江の島海岸を結ぶ普通鉄道線計画が頓挫したために取得済み用地を日本初の自動車専用道路として整備した私道であった。モノレール建設当時は京浜急行電鉄による所有・運営がなされており、軌道敷設にあたってはこの形態が有利に働いたようである(京急は湘南モノレールにわずかながら出資している)。なお、現在では鎌倉市と藤沢市に売却・譲渡され、一般市道に移行している。この道路には最小曲率半径 25 m、最急勾配 88 ‰ という険しい箇所もある。懸垂式モノレールの性能的には、この道路に完全に沿う形での敷設も可能であったが、車両の馬力、平均速度の観点を加味し最急勾配を 74 ‰、最小曲率半径を本線 100 m、駅構内 50 m とした。途中2か所に道路上空を外れてトンネルを設けた箇所も存在する。このような急カーブを駆け抜ける乗り心地や、めまぐるしく変化する車窓の風景が、ジェットコースターにたとえられることもある。建設にあたっては、軌道桁・支柱の製造を三菱重工業横浜造船所(当時)、車両は同三原製作所(同)、変電所は三菱電機が担当し、総合監理を三菱地所が行うなど、随所に三菱グループの総合力が活かされている。江の島線の走る鎌倉市の大船から深沢界隈は三菱電機の2事業所を抱える。小田急線や江ノ島電鉄線との連絡運輸は行われていない。大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定。普通乗車券、定期乗車券、回数乗車券のほかに企画乗車券として「湘南モノレール1日フリーきっぷ」が発売されているほか、過去には『世界のモノレールシリーズ』を初めとする各種記念乗車券も数多く発売されていたことがある。パンチ式車内補充券を現在でも車掌が発行している。かつて、JR東日本線連絡乗車券を湘南江の島駅券売機限定で発売していた。連絡定期券はJR東日本線連絡のみで、取り扱い区間など詳細は駅や窓口に表示されず、3社連絡定期券は扱わない。カード乗車券は、券売機や改札機で使用できるプリペイドカードは導入されずパスネットも不参加であった。ICカード乗車券は2007年2月に導入検討中と発表されており、同年5月にSuicaを主導するJR東日本と協議に入るとの報道発表があり、導入時期は公式発表されていないが当時県議会議員の松尾崇が出した要望書に、2012年度にPASMOを導入する方向で準備中と回答している。2011年6月に地域新聞編集部の質問へ狭隘駅舎で自動改札設置が困難で、新規ソフト導入等の課題もあり今の所難しい。と回答している。直接的投資効果が薄いICカードシステムへ大手鉄道事業者同等の資金優先が困難な点に、交通政策の一環として他都市でバス事業者等へ実施済みのICカード導入補助金制度等を検討する市議会議員もいる。現在は、小規模事業者ながらコスト競争が無い新造車両の更新や法定の移動円滑化対象駅が多く各駅の大規模改修などが重複到来し、安全運行維持やバリアフリーなど安全設備が優先されるため近隣事業者より大幅に遅延しているが、既設自動改札機や券売機などは既対応機種で今後の更新計画も対応前提であり、ICカードシステムの将来導入は鋭意検討中である。近隣を走る江ノ島電鉄線ほどではないものの、景勝地・湘南を通ることからから度々テレビドラマや映画、書籍などの作品に当路線が登場することがある。ここではその一部を取り上げる。
出典:wikipedia
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