カシュー・アルナーグI世(新王国暦482年 - )は、水野良のファンタジー小説『ロードス島戦記』・『呪縛の島の魔法戦士』などに登場する架空の人物。砂漠の王国フレイムの国王(在位 新王国暦506年 - )。"剣匠"傭兵王"など、数々の異名を持つ。一騎討ちでは無類の強さを誇る一流の戦士でもある。カシューの過去については、一部公に発表されていない。これはカシュー自身が「自らの過去を語りたがらない」という癖(設定)を持つからである。ただし、逆にこの行動によって彼の出身地を類推することは可能である。アレクラスト大陸極東地方の「最果ての王国」ムディールの国民に、自らのことを他人に明かしたがらないという特徴がある。このため、カシューはこの国の出身であるか、少なくともこの国に関係する人物を親に持つ可能性を指摘できよう。また、彼はアレクラスト時代にルーファスという名を使い、心許した者以外に本名を語ることはなかった。これは、北東地方の城塞都市プリシスの国民に見られる習慣との関連性を考えられる。彼自身「自分の生まれた国では、名は神聖な意味を持っている」旨の発言があり、生誕の地はプリシスである可能性も高い。なお、プリシスでは、「国王は民衆のもっとも親しき友人であるべき」との考えから、王だけは公式に本名を名乗る事になっている。カシューが現在は本名を名乗っている事もプリシス説の傍証のひとつと言えよう。もっとも、いずれが故郷であったとしても、遅くても成人時にはその地を離れていたようである。中原南部のレイド帝国に隊商の護衛として辿り着いた時、彼はまだ少年と呼べる年齢であったという。カシューはレイド帝国の都「傭兵の街」レイドに留まり、帝国側の傭兵となった。しかし新王国暦500年、レイド帝国が都市国家ロマールに侵略した戦いに参加し重傷を負った。帝国は敗北し、彼はロマールの貴族ランス卿に捕らえられる。その後はランス卿お抱えの剣闘士奴隷としてロマールの闘技場で戦い、数年を経ずして「剣匠(ソード・マスター)」の称号を持つ上級の剣闘士となる。そしてついに当時のチャンピオン「無敵にして華麗なる」ケイドを倒し、新たなチャンピオンに上り詰めた。ケイドに勝利して1年後の新王国暦503年、彼は無敗のまま奴隷の身分から解放され、引退を許された。引退後は冒険者として各地を巡り、様々な魔物との戦いにことごとく勝利を収め、莫大な財宝を手に入れた。彼が冒険によって手に入れた宝物は全て冒険者の店「奇跡の店」で換金され、店主とは強い信頼関係で結ばれた。後にカシューはある老婆の占い(彼は一度は王冠を戴く事になる。吉なる方角は南、立ち向かうは炎)を契機として呪われた島・ロードスへ旅立つのだが、その折にも店主と再会の約束を交わすほどであった。しかし、この約束が果たされたか否かは作中では語られていない(ただし、新王国暦521年頃のミルリーフ事件の時点では、かの店主はオランで「奇跡の店」を経営している事が確認されている)。大陸の出身であり、ルーファスの伝説を知る者がカシューの元を訪れた事が少なくとも2度ある。グラスランナーの吟遊詩人マールは、剣匠の伝説を完結させる事を目的にロードスへ渡ってきた(しかし、これから伝説となるべき他の英雄に興味を引かれて、結局は放り出してしまった)。また、オーファンの王子で魔法戦士のリウイは、面と向かってその事を持ち出したただ一人の人物である(すぐにカシューに睨まれて黙らされてしまったが)。なお、カシューの愛剣は冒険者時代に入手した魔法の長剣で、リプレイ版では「ソリッドスラッシュ」という名がついており、敵の防御力を無視する魔力が備わっている。彼はこの他にも、やはり冒険者時代に入手したと思われる魔法の大剣を所有していたが、炎の部族との戦いの際にパーンに貸与し、パーンが虜囚となった際に行方不明となってしまった。数々の冒険で富と名声を得たカシューは、莫大な財宝と共にロードスへ渡る。そして風の部族と炎の部族の戦いの続く「風と炎の砂漠」にて風の部族の傭兵となり、断続的に続く戦いの中で徐々に頭角を現していく。戦場だけでなく、水を求め井戸を掘る、大陸から乾燥に強い樹木を買い植林するなど、内政においても風の部族の信頼を集める様になる。更に「砂塵の塔」で風の部族の守り神(風の精霊王)を古の「アザートとの盟約」から解放した(実際には古代王国の魔術師による封印からの解放で、盟約からの解放ではなかった)ことから指導者と認められ、新王国暦506年にフレイム王国を建国し、風の部族の支持、とりわけ族長の子息で後に公爵につくシャダムの推挙を受け初代国王となる。風の部族を母体とするにも関わらず国号が「炎」であるのは、前述の老婆の占いに由来するとも言われている。一国の王となったカシューは、その後も敵対する炎の部族との戦いを優位に進め、英雄戦争の折には炎の部族を密かに援助するマーモ帝国に対抗して、隣国ヴァリス王国と連合を組む。本国から炎の部族の攻勢が伝えられる中でも動ぜず、英雄戦争の最終決戦に精鋭部隊(風の部族による「砂漠の鷹騎士団」200と冒険者を含む歴戦の傭兵部隊300)を率いて連合軍左翼で奮戦、連合軍右翼の劣勢を挽回する活躍を見せ、最後にはマーモ帝国の暗黒皇帝ベルドを討つ武勲を立てる。この折、狙撃兵にベルドを毒矢で狙撃させたという説があるが、真偽は確認されていない。だがマーモの兵士たちにはカシューが卑劣な行いをしたと信じる者は多かったようだ。カシューに捨て台詞を投げつけて去った騎士隊長アシュラムはその代表格である。また。風の部族の戦士ギャラックはカシューがベルドとの一騎討ちに臨み狙撃手を準備していたと明かしている。英雄戦争後はマーモ帝国の支援が途絶えた炎の部族を追い詰め、後の「ロードスの騎士」パーンとディードリットの協力もあって、「炎の魔神事件」の末に炎の部族をフレイム王国に加えることに成功する。族長ナルディアの自決によって炎の部族の血統を自身の直系に取り込むことが出来ず、結果として風の部族が炎の部族を「受け入れる」という形になってしまい、フレイム政界において炎の部族は一定の勢力を持つに至らず、風の部族が大きな勢力を持つ事になってしまった。この結果は、風の部族の優位性を生じさせてしまい炎の部族に「不満」を蓄積させる事になる。また英雄戦争の余波として、難民の流入で治安が悪化していた都市国家ローランやマーニーを平和裏に吸収する。更に火竜山の魔竜シューティングスターを討ち、その莫大な財宝を入手したばかりか、難民の入植地として「火竜の狩猟場」と呼ばれる肥沃な土地を手に入れることにも成功、後に支配体制が弱体化した自由都市ライデンも併合し、フレイムの経済基盤を大幅に強化している。更に、己が片腕と頼み、風の部族の族長の後継者でもあるシャダム公の妹ナフカを妃に迎え、いまだ国内の大きな勢力である風の部族との絆を磐石のものとしている。戦士としてのみならず、一国を率いる為政者としても一流の人物と言えよう。邪神戦争においてはアラニアの内乱を終息させるべくラスター公爵の軍と戦い、後のロベス2世を見出し、炎の部族の次期族長であるスパークに重大な使命を与えて送り出すなど、マーモに対する戦いの勝利に大きく貢献し、戦後はマーモを属国(マーモ公国)として間接支配下に置くことになる。かくてフレイムはロードスの主導権を握る最強国となり、傭兵王の武名は大いに高まることとなった。しかし炎の部族の直系を自らの血筋に取り込めなかったことは炎の部族がフレイムの傍流のまま放置される事態を招き、諸都市の併合とともに戦後に国内の不和を増大させる結果につながった。またロベスの擁立は、アラニアの歴史を最大限に利用するロベス2世の予想以上に巧みな政略、外交術に苦戦を強いられる結果を招き、風と炎の精霊王の解放は居城アーク・ロードの水没とこれに伴う新城建設による財政難を生じさせるなど、邪神戦争後は自らの武勲の負の側面との苦闘が続くこととなった。この状況は終末戦争まで続いていくこととなる。また、彼は生来「何事も自分の手で解決したがる」性格で、部下に任せるべきところでも自分で乗り出していく傾向があり、これは周囲の者にしてみれば頼み甲斐はあるものの、信頼されていないようで物足りなく思える事もある。魔竜騒動の際、彼が目をかけていたはずのホッブ司祭がアシュラムに惹かれて彼の元を去ってしまった原因のひとつがこれであり、他にも内心では同様の想いを抱いている者はあると思われる。なお、彼は「人を育てるのが上手くない」と自己分析しているが、これも前述の性格の為であるともいえる。この「人を育てるのが上手くない」が後に後継候補でもあるスパークに後継教育を施さないにもかかわらず、能力が有るが故に過度の期待するあまり「何もしない」事が、スパークの「焦り」を誘う事になる。また、作中ではそこまでは描かれていないが、王妃が風の部族の出身である事、そして終末戦争の結果、マーモがフレイムの支配下から独立し、後継者たるべきスパークを手放さざるを得なくなった事など、後継問題にも小さからぬ火種が残されている。結果として、風と火が一つの国家になったにもかかわらずマーモ王国独立により「分裂」してしまった。キャラクターデザインは『RPGリプレイロードス島戦記』連載時に挿絵イラストを担当していた出渕裕によるものだが、顎髭を生やしたデザインは部下の傭兵隊長シャダムのものであった。この時の挿絵は、『ロードス島戦記コンパニオン』32ページに再録されている。再度、カシュー王を挿絵に登場させた際に、出渕が誤ってシャダムのデザインで描いてしまい、その後、出渕自身の挿絵で描き間違いを認めた上で、以後のカシュー王のキャラクターデザインは、シャダムとして描いたものを使用することが宣言されている。
出典:wikipedia
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