猪肉(いのししにく、ししにく)は、イノシシの肉。食肉とされる。「獅子に牡丹」という成句から、獅子を猪に置き換えて牡丹肉(ぼたんにく)とも呼ばれる。また、獣肉食を避けた名残で山鯨(やまくじら)という別称もある。肉色は赤く、子猪ではピンク色になり、肉質は豚肉に近い。系統などが固定されていないため、家畜と比べて個体差が大きい。また、雌より雄の方が肉が軟らかいとされる。捕獲したイノシシをケージで飼育する事もあるが、家畜用の飼料を与えて運動量が少ない場合は、豚肉と同様の食味になる。野生動物の肉としては需要が多く、フランスでは1984年の時点で年間6万頭の狩猟だけでは需要を満たせず、飼育業者から年間3万6千頭が出荷され、イタリアやスペインから年間900トンの猪肉が輸入されていた。日本では20世紀後半に年間5 - 8万頭だった捕獲数が2002年以降は20万頭以上に増加しており、かつシカなどと比較しても活発に食肉として利用されている。歴史的には、旧石器時代から現代までを通じてイノシシは人類にとって重要な狩猟対象となっている。このため、日本では縄文時代早期の遺跡からもイノシシが出土する。イノシシは縄文時代を通じてシカとともに主要な狩猟獣となっている。また、狩猟だけでなく飼育の対象にもなっており、特にブタは長距離の移動が困難なため、移住先でイノシシを捕獲して飼育する試みがユーラシア大陸各地で行われてきた。日本列島では縄文時代にイノシシの飼養が行われていたと考えられており、弥生時代には大陸から家畜化されたブタが導入された。解体時に素手で触れたり、調理時の加熱が不十分な場合、ウェステルマン肺吸虫や有鉤条虫()、旋毛虫が人間に感染する事がある。また、野生の猪肉の喫食が原因となったE型肝炎感染も報告されている。射殺した場合は、できるだけ早く血抜きを行う。西表島などほとんど血抜きをしない地域もあるが、その場合は特有の臭みが肉に生じる。皮を剥がない場合、ガスバーナーで体毛を焼いて水をかけタワシなどで皮をこする。臭いが強い尿は、肉に付着しないようこの時点で絞り出す事もある。頭部を胴体から切断し、腹部を切り開いて内臓を取り出す。胆汁は強い臭いがあるため肉にかからないようにし、レバーや胆嚢などを分割する。血抜きを十分に行うためには、ここでさらに清流などで肉を水洗する。ここまでは狩猟者が処理を行う事も多い。フランスでは、この状態で10日間ほど置いて柔らかくなって熟成するのを待つ。皮を剥いだ後、胴体の肉は肩、ロース、ばら肉、モモなどに切り分けられる。日本では野生のイノシシは屠畜場法の対象外のため、ガイドラインや処理マニュアルを制定している自治体も多い。イノシシを家畜化したブタと同じ部位を比較すると、水分やミネラル、タンパク質は猪肉の方が豚肉より多い。一方で脂肪やビタミンB1は豚肉の方が多く、特に猪肉の脂肪はばら肉でも約12%と、豚肉の半分以下である。また、体重が30kg未満の個体の肉は、それ以上の体重の個体に比べて加熱後も柔らかく肉汁の量が多いという特徴がある。屠殺後、猪肉中のタンパク質は酵素などの作用によって代謝される。この際、屠殺後の温度が高いほどグルタミン酸の生成量は多くなり、また冷蔵保管すると時間の経過とともにグルタミン酸が増加する。一方で、イノシン酸は5°C以下で冷蔵すると3 - 4日後まで増加し、その後は減少に転じる。このため、屠殺後に外気温で放置するとグルタミン酸は豊富だがイノシン酸が極度に少なくなり、冷却した方が両者の相乗効果によってうま味が増す。夏季のイノシシは栄養状態が年間で最低の状態にあり、秋季から堅果類を食べると状態が改善されて、初冬までにかけて脂肪の蓄積量が増える。また、年ごとに異なる堅果類の採取可能量や種類によってもイノシシの栄養状態は影響を受け、クヌギなどのコナラ属より脂肪含有率の低いスダジイなどシイ属の実が主な食料となる場合は、猪肉の脂肪量は低下する。猪肉に含まれる水分は夏から秋に捕獲されたイノシシの肉が最も少なく、冬に捕獲されたものが最も多い。また、加熱後の肉汁の量も冬季のものが最も多く、一方で硬さを表すせん断力は夏季のものが最も高い。すなわち、冬季に捕獲した猪肉はジューシーで柔らかく、夏季の猪肉は硬くて脂肪含有量も低いという傾向がある。冬季の猪肉は高価格だが夏季は需要が少ない日本の市場の傾向は、肉質の特性を反映していると考えられる。フランスなどでは、調理前に赤ワインや香味野菜に漬けてマリネ処理を施すことが多い。テリーヌやローストポークなどの料理に利用される。ばら肉は東坡肉、肩肉はブラウンシチューにそれぞれ適している、という報告もある。日本では、ぼたん鍋が冬の味覚を代表する料理の一つと言われる。また、焼肉やチャンプルー、刺身などにも用いられる。
出典:wikipedia
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