岩波新書(いわなみしんしょ)は、1938年(昭和13年)11月20日に岩波書店が創刊した新書シリーズである。古典を中心とした岩波文庫に対し、書き下ろし作品による一般啓蒙書を廉価で提供することを目的に創刊され、新書と呼ばれる出版形態の創始となった。第二次世界大戦後、いわゆる新書という出版形態が定着するに伴い、1962年(昭和37年)に創刊された中公新書、1964年(昭和39年)に創刊された講談社現代新書とともに教養新書御三家や新書の御三家とも称された。海外で岩波新書に対比されるのは、フランスの文庫クセジュ、イギリスのペンギンブックス、ドイツのローヴォルト百科全書がある。広く時代が必要としている啓蒙をコンパクトなサイズと適任の実力執筆者が提供することにより、岩波文庫と並ぶ岩波書店の公共的資産となっている。サイズは縦173mm、横105mmである。縦・横の長さの比率は(1:1.6476)であり、黄金比(1:1.6180)に近い値になっている。創刊の作業は、当時の編集部の吉野源三郎が担当し、吉野が目にしたイギリスのペーパーバックであるペンギン・ブックスを参考に判型が決められた。装幀は吉野の依頼を受け、美学者・美術史学者である児島喜久雄が担当。2006年(平成18年)まで長く用いられた表紙のランプや、扉部分の四隅で風を吹きかけあうギリシャ神話の風神を描いた。また創刊当初の表紙の色を赤一色にしたのは岩波茂雄の指示による。この赤版は戦争による一時中断を経て、101点刊行された。1949年(昭和24年)に出版点数が100を越えたのを機に表紙が青(いわゆる青版)に変更された。岩波新書創刊第一冊目は、矢内原忠雄がリンカーン、エレミヤ、日蓮、新渡戸稲造などの伝記を『余の尊敬する人物』と題して構想しており、岩波の了解も得ての予定だったが急遽変更となり、1938年(昭和13年)赤版1、2の上・下二冊としてクリスチーの『奉天三十年』(上・下)を翻訳で発刊した。発刊の辞は「今茲に現代人の現代的教養を目的として岩波新書を刊行する」としている。1944年、苛烈な戦時下にあって、岩波新書は刊行点数98点を以て中絶のやむなきにいたり、超えて1946年、3点を発行したのを最後に赤版新書は終結した。1949年4月、装を新たに青版にして「国民大衆に自立的精神の糧を提供すること」を願って岩波新書を続刊することで再出発した。この叢書の果たすべき課題として、「世界の民衆的文化の伝統を継承し、科学的にしてかつ批判的な精神を鍛えること」「科学的な文化のくびれを投げ捨てるとともに、日本の進歩的文化遺産を蘇らせて国民的誇りを取りもどすこと」「在来の独善的装飾的教養を洗いおとし、民衆の生活と結びついた新鮮な文化を建設すること」の三つを設定している。1950年代までは、小説作品が収められることもあった。(横光利一『薔薇』(赤版)、趙樹理『結婚登記』(青版)など)1960年代まではひもしおりが貼付されていたが、岩波文庫と同様に、1970年代からは紙しおりのはさみこみ(片面が新刊案内になっている)に変えられた。1977年(昭和52年)4月に青版の刊行が1,000点を越え、岩波新書創立40周年を迎えるのを期に黄色に改められた。時代の様相は「戦争直後とは全く一変し、国際的にも国内的にも大きな発展を遂げながらも、同時に混迷の度を深めて転換の時代」を迎えていた。日本は「アジア民族の信を得ないばかりか、近年にいたって再び独善偏狭に傾くおそれ」の方向に向かいつつある。三たび装を改めたのは「新世紀につながる時代に対応する」ことを願ってのことである。1982年(昭和57年)からの新刊・重版は、赤版・青版も含めてカバーがかけられるようになり、いままでの表紙・裏表紙の装丁は、カバーに引き継がれた。1988年(昭和63年)1月に、岩波新書創刊50年・総刊総数1,500点をもって新赤版に改められた。1990年代中盤までは新赤版の裏カバーは赤地一色であったが、この頃裏カバーのデザインが白地に変更され、中心には赤い線でナンテンのマークが描かれるようになった。2006年(平成18年)3月で新赤版の刊行が1,000点を迎え、同年4月の1,001点目の刊行となった柄谷行人『世界共和国へ』から、装幀がリニューアルされた。書名と著書名を横書きから縦書きに改め、右上に風神Notusをあしらい、左下に「岩波新書 数字で何点目」、つや消しにするなど、長く用いられた児島喜久雄のデザインが改められ、「21世紀の教養新書」として新たに出発することとなった。キャッチコピーは「変わりますが、変わりません」だった。このとき、裏カバーのバーコード、ISBNコード、定価の下にランプのマークが描かれるようになった。岩波新書の(旧)赤版、青版、黄版、新赤版の4種類の分類は以下の通りである。以下、発行部数順に記す。発行部数は1997年8月時点のものを使用した。ほかほかほか以下、発行部数順に記す。
出典:wikipedia
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