クンダリニー(Kundalini, , )は、人体内に存在する根源的生命エネルギー。宇宙に遍満する根源的エネルギーであるプラーナの、人体内における名称であり、シャクティとも呼ばれる。クンダリーニ、クンダリニと表記されることもある。クンダリニー・ヨーガなどにより覚醒させられると神秘体験をもたらし、完全に覚醒すると解脱に至ることができるとされているが、覚醒技法の失敗や日常生活におけるアクシデントなどにより準備が整わない形で覚醒が生じる様々な快・不快の症状をもたらすと主張している。Kundalini (クンダリニー)は、サンスクリットで「螺旋を有するもの」を意味する kundalin (クンダリヌ)の女性形主格である。kundalin は、「螺旋」「コイル」「巻き毛」「環」などを意味する kundala(クンダラ)から派生している。1875年にアメリカで結成された神秘思想団体・神智学協会の3代目会長は、この kundala と、「焼く」「燃える」を意味する kund (クンド)、「皿」「穴」を意味する kunda (カンダ)が、Kundalini の語根であると述べている。クンダリニーは普段は尾てい骨付近にある第1チャクラ「ムーラーダーラ」に眠っているという説明が一般的であるが、平凡な誰しもが自分でも気づかないほどの穏やかなレベルで覚醒しているというような見解もある。伝統的な考え方におけるクンダリニー覚醒は、シヴァ神と離れ離れになり3回半とぐろを巻いた蛇としてムーラーダーラに眠っているシャクティ女神が目覚め上昇し、頭頂部上方のサハスラーラに鎮座するシヴァ神と再結合を果たすといった描かれ方がなされる。なお、クンダリニーを象徴化したものとして、密教の軍荼利明王があるとしている。クンダリニーは、神話を研究したソヴァツキーによれば、受精後の肉体の形成にはじまり、人間を終生にわたり成熟・進化させる究極の力であるという。また、フランスのエミール・デュルケームはあらゆる種類の神々の原料のことを集合意識と述べているが、クンダリニーはそれに該当する可能性があると主張する。また、グルジェフの著作『ベルゼバブの孫への話』の中に神話的な人類創生の話が出てくるが、その中にクンダリニーが人間の尾てい骨のあたりに取り付けられた経緯が語られている。同書は、クンダリニーは人間が地球上に存在する目的を知られることがないように安全装置として取り付けられたとしている。現実にはヨーガの実践や宗教の各種修行によって穏やかに活性化し始めると、生涯をかけ各チャクラが徐々に開発されていくこととなる。クンダリニー・ヨーガあるいは瞑想などによりクンダリニーが上昇し、それによりサハスラーラが押し開けられればクンダリニー覚醒となる。巻口によれば、サハスラーラが押し開けられるその際に「パチ、シュワ」「コン」という録音可能なほどの音が鳴ることがあるという。サハスラーラを完全開放させることになればその人物は解脱に至るが、今世で解脱できる魂は極一部といわれていると述べている。なお、一度クンダリニーが目覚めるとそれを抑圧する行為は薬物以外による方法であっても死に至るという意見がある一方で、抑圧に半ば成功した事例もあり、覚醒が本格化すると永続的で後戻り不能という意見もある。クンダリニー・ヨーガとして、呼吸法を重視するもの、と呼ばれる肛門の締め上げと(止息)を重視するもの、尾てい骨に衝撃を加えるものなどがある。ヨーガ指導者の成瀬雅春は、準備段階を経ることを前提に、ムーラバンダとクンバカを主体とする「シャクティチャーラニー・ムドラー」こそが、最も安全・確実な覚醒方法だと思われると述べており、自著『クンダリニー・ヨーガ』においてその手順を公開している。なお、身体の一部に衝撃を加えるものの場合比較的簡単に覚醒してしまうが、安全に覚醒できる可能性は極めて低く、大抵の場合は後述のクンダリニー症候群に陥ってしまうとされる。瞑想の熟練者の場合、瞑想中に突然覚醒することがあるが、これもやはりクンダリニー・ヨーガ同様クンダリニー症候群に陥る可能性がある。ゴーピ・クリシュナの体験などがこれに該当すると主張している。クンダリニー・ヨーガに相似するものとしては、中国発祥の内丹術などがある。また、グル等が弟子に対し直接手を触れるなどして高い霊性の受け渡しを行うシャクティーパット、クンダリニーレイキ等、他者の力を呼び水とする方法もある。性欲を昇華させたものがクンダリニーとなるため、覚醒法全般において梵行(性的な事柄を避ける)修行が重要となる。体内(霊体)にあると言われる(気道)の中でも代表的なものは、動的で男性的性質のピンガラー・ナーディー(別名・太陽の回路)、静的で女性的性質のイダー・ナーディー(別名・月の回路)、そして身体の中央を貫いており、調和をもたらすスシュムナー・ナーディーの3つがあり、ピンガラー・ナーディーとイダー・ナーディーは、スシュムナー・ナーディーを4回交差している。ピンガラー・ナーディーとイダー・ナーディーの調和のとれた活性と浄化という条件の下、スシュムナー・ナーディー内をクンダリニーが上昇した結果訪れるサマーディに入定することが、サマーディより出定後も安全に高い霊性を維持していくための条件となる。ムーラーダーラとサハスラーラを結ぶ気道であるスシュムナー・ナーディー内の3箇所に、クンダリニー上昇の障壁となるグランティと呼ばれる結節が存在する。それゆえ、それらを破壊してはじめて、安全にクンダリニーが覚醒される下地ができあがる。3つの結節は、それぞれブラフマー結節、ヴィシュヌ結節、ルドラ(シヴァ)結節と呼称される。成瀬雅春は自著『クンダリニー・ヨーガ』において、ブラフマー結節はムーラーダーラと仙骨叢のスワーディシュターナ・チャクラの間、ヴィシュヌ結節は心臓部のアナーハタ・チャクラと咽頭部のヴィシュッダ・チャクラの間、ルドラ結節は眉間部のアージュナー・チャクラと頭頂部のサハスラーラの間にある、という前提で破壊方法について述べている。クンダリニー症候群(英: 中:)、生理的クンダリニー症候群(略称・PKS)は、霊的・精神的・身体的な準備ができていないにもかかわらず意図的または事故等によりクンダリニーがある程度覚醒してしまったために、様々な快・不快の症状を発症することである。トランスパーソナル心理学・精神医学の分野で研究が進められているが、研究途上にあり科学的・客観的根拠に乏しいため、研究者によって考え方が異なっている。他の病気にもみられる症状を自分でクンダリニー症候群だと思い込むケースが多いとされるが、実際にクンダリニー症候群であるにもかかわらず単なる精神病と誤診されるケースもあるようである。むずむず足症候群、統合失調症は、クンダリニー症候群と症状のうえで重なる点もある。PKSに関しては、「男性よりも女性に」「若い世代ほど」経験者が多いといった調査結果も存在する。中毒症状や病気、過労、仙骨付近の負傷、臨死体験(NDE後遺症)などにより発症する可能性がある。特に臨死体験(NDE)経験者が最もクンダリニー上昇に近い経験をしているという主張が欧米の研究者を中心になされている。他に、急進的な解脱願望を抱いた状態または神への絶対帰依を欠いた状態での修行の継続の結果や、さらには人生の困難、交通事故などにより身体にかかる衝撃、出産時のショック、過度の前戯などによっても誘発されるおそれがあるという説がある。なお、LSDなど薬物を利用した覚醒は偽りのものであり、アクシデントに陥りクンダリニーが堕胎してしまう危険性が高いとされる。また、クンダリニーを思い通りに、意図的に上昇させようとするクンダリニー・ヨーガを激しく修行し実践する場合、その「思い通りに、意図的に」とは真我ではなく小我にとってのそれであるため、クンダリニーが動的なナーディーであるピンガラー・ナーディーのみを通ってサマーディに入定してしまうことがあり、このようなケースにおいてもクンダリニー症候群が発症する。自律神経系のうち交感神経系の暴走からくる自律神経失調症をはじめ、至福恍惚感、全身の激しい脈動、脈拍数の増加と高血圧、片頭痛、急性または慢性の疲労、性欲の昂進あるいは減退、統合失調症的症状、幻視・幻聴、抑鬱、神経症などを発症するおそれがあり、臨死体験や空中浮遊、脳溢血や半身不随、自殺などを招いてしまうなどと主張するグルもいる。元々境界例や自己愛的な病を患っていたり精神病を潜在的に抱えている患者に、クンダリニー覚醒に先立って元々の病が押し出されるという説もある。クンダリニーの知性に心身を委ねる、ピンガラー・ナーディーとイダー・ナーディーの不均衡を鼻孔の左右どちらかで呼吸することにより調節する、裸になり濡れた土の上に横になりアースする、首から下を冷水の中に沈める等の方法が有効とされる。また、労働環境や生活様式の改善、感情の解放、執着している事物を手放し諦めること、瞑想状態でのハタ・ヨーガのアーサナなども対処法として考えられる。
出典:wikipedia
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