『魔性の子』(ましょうのこ)は小野不由美作のロー・ファンタジーホラー小説である。1991年9月25日に新潮社から発刊された。後に、十二国記シリーズの世界となる異世界が現実世界の人間社会に干渉したときの恐怖を、現実世界側からの視点で描くホラー色の濃い物語である。また、現実世界に所属しながら自らの所属する世界に違和感を持ち異世界に恋焦がれる者と、本質的には現実世界と相容れない本質を持ちながら現実世界に拘束されている者との心理的交わりと葛藤を描いている点は、『東亰異聞』や『屍鬼』といった著者の他の作品と通底したテーマを扱っている。新潮社が後援する日本ファンタジーノベル大賞の選外作品の受け皿として企画された新潮文庫「ファンタジーノベル・シリーズ」の1冊として刊行された。ただし、本作は日本ファンタジーノベル大賞応募作品ではない。1997年6月25日にマーキュリーミュージックエンタテイメントからドラマCDが発売された。単独の作品として発刊されたこの作品を取り巻く状況が一変するのは、書いたときに、背景となる想定世界を作り、地図や年表、図表なども作っていた。それをファンタジーを書くことを提案した講談社の編集者に話したところ、この想定世界自体をファンタジー小説化するように勧められて、結果として好評で『十二国記』シリーズが生まれたからである。第一作となった講談社文庫ホワイトハート版『月の影 影の海』の後書きで、「『魔性の子』の続編であり、本編である」と記述されて、同一の世界設定で別の出版社からホラーとファンタジーという別のジャンルの小説として刊行されていて、当初は事情がそれ以上明らかにされず、読者から『魔性の子』に注目が集まり、十二国記シリーズとの関係が話題になり、シリーズの外伝など、様々の推定がされた。2002年から2003年に放送されたアニメでの「風の海 迷宮の岸」では「同時期の蓬莱の出来事」として、十二国記シリーズの登場人物の杉本優香視点の外伝的物語として、本作の一部エピソードが映像化された。その後、十二国記シリーズでの、本作品の包摂化が進み『黄昏の岸 暁の天』が、同じ事件を十二国の異世界側から見たもう一つの物語となり、本作は、日本を舞台にしたサイドストーリー(スピンオフ)と見られる形となった。2012年4月、十二国記シリーズそのものの刊行元が講談社から新潮社に移籍され、同年7月以降、既刊の新装版及び新作を含む短編集、新作長編も順次刊行された、これまで、別作品という形だった『魔性の子』が、『十二国記シリーズ』のEpisode-0巻として新装刊行されシリーズの中に統合される形式となった。広瀬は母校である名門私立男子高校に教育実習生として赴任した。在校時の担任・後藤の指導の下2年生のクラスを担当した広瀬は、異質な生徒・高里要に興味を持つ。広瀬は生徒の噂話から高里が幼少時に神隠しに遭っていたこと、それ以来高里の周囲で「祟り」が起こっていることを聞く。当初は真に受けなかった広瀬だが、神隠しと祟りの噂を聞いて高里を問い詰めた橋上と、その噂を話した築城が相次いで不思議な状況で怪我を負ってしまう。広瀬は後藤や生徒から、事実高里が1年間行方不明だったこととその間の記憶を失っていること、2年生には不審な事故による怪我人が多く死者も出ていることを聞かされ、広瀬自身も幼い頃臨死体験をしていることからより強く高里に興味を持つようになる。翌週、築城が登校してこなかったことに端を発し、岩木が高里に噂に対して釈明することを勧める。しかし高里の曖昧な態度と、祟りを恐れて岩木を非難する周囲の声に業を煮やし、岩木は高里の頬を張ってしまう。その翌日の体育祭の練習中、岩木は不可解な状況で死亡する。さらに翌日には体育祭の中止が決定されたことがきかっけとなって、恐怖で抑えられていたクラスメイトの不満が爆発。高里に土下座を強要し、拒否すると揉み合いのすえに高里を教室の窓から突き落とし、止めに入った広瀬も怪我を負う。保健室で目覚めた広瀬は、養護教諭・十時から高里は救急車で病院に運ばれたと聞かされる。高里の病室に入った広瀬は、高里の傍らに何者かの気配と白い腕を見る。不気味に思いながらも目覚めた高里と話し、保護者が迎えに来ないため退院できないと聞かされる。高里の実家を訪れた広瀬は、高里に何の愛情も持たない母親と面会する。母親自身も高里を恐れており、その状況を見かねた広瀬は高里を預かることを決意する。事故で落ちたと高里が証言したため、突き落とした生徒は罪に問われることはなかった。学校としての生徒への処分もなかったが、生徒らはそれよりも高里の祟りを恐れていた。7人が危険な器具のある化学実験室での授業をボイコットするが、その授業中に7人が屋上から飛び降り自殺を図る。間もなく、この自殺や過去の死亡事故をマスコミが嗅ぎつけた、一部のスポーツ新聞が高里の実名報道を行う。教育実習の最終日を迎えた広瀬もマスコミの詰問を受けることとなり、自宅の前まで押し寄せられることとなる。マスコミに高里の居場所は悟られることはなかったが、同級生の坂田が感づき広瀬宅に押し掛ける。高里は退学することを決め、報告を兼ねて荷物を取りに自宅に戻り両親の死体を発見する。これによりマスコミの取材は加熱、坂田が居場所をマスコミにリークしたこともあり広瀬宅に押し寄せる。しかし、高里の両親の葬儀に駆けつけた記者たちは崩れた山門の下敷きとなり、広瀬宅を張っていた記者たちには暴走車が突っ込むといった事故が発生した。広瀬は高里が自らの意思で、何がしかの力を使って仕返しをしているのではないかと問い詰める。翌日、高里は校長から呼び出され、同行した広瀬は地学実験室で巨大な百足の影に襲われる。広瀬は高里の仕返しだと確信しかけたものの、高里と後藤に救われる。その際、後藤から高里の両親の葬儀の日、坂田が電車に撥ねられて死亡したことを知らされる。教室の窓から突き落とされた事故の頃から、高里は何かを思い出しかけていた。キーワードになりそうな単語から連想して意味のあるような単語は出てくるものの、みるものの確信は得られなかった。その夜、張り込みをしていた記者6人が何者かに襲われ、そのニュースを発端に広瀬宅への投石など嫌がらせが始まる。警察の保護を受け、その日のうちに十時のマンションへ引っ越すこととなる。その翌日未明には広瀬の住んでいたアパート、夕方には高里の自宅が火災に遭う。翌週には学校の校舎が崩れ落ちる。後藤を心配した広瀬は学校へと急ぐが高里の様子が気にかかり、引き返すと高里は自殺を図ろうとしていた。高里は元凶の自分がいなくなれば全て落ち着くと思いつめるが、「レンリン」と名乗る女性が現れ死んではいけないと諭す。同時に迎えが来るので嵐が起きる、広瀬は逃げるように伝えて姿を消す。夜、突如現れた台風に呼び寄せられるように高里は外へ飛び出す。再び現れたレンリンが獣へと姿を変えたのをきっかけに、高里は全ての記憶を思い出す。「あちらの世界」に帰らなくてはならないと語る高里を広瀬は引きとめようとし、高里を護る2体の獣の抵抗を受けるが、既に全てを思い出していた高里はその2体をはっきりと制止する。広瀬に逃げるよう伝え、以後の高里の行方は知れなくなった。嵐は大規模な損害を出し、死者・行方不明者は200名あまりにおよんだ。行方不明者は順に発見され身元が確認されたが、最後までリストには1人のみ残された……。広瀬や高里たちが通う学校は海の近くの街の、郊外にある高校だけの男子校である。そこそこの歴史と、どちらかというと名門の部類に入る進学実績がある事以外取り立てて目立つ特徴がない学校で、3年前(広瀬がこの学校を卒業した翌年度)に街の中心部から郊外に移転した。特別教室は特別教室棟にまとめて配置されている。現在の校舎が建つ前はこの近隣は休耕地だったが、現在はニュータウンになっている。それぞれの人物の【十二国記】より後の説明は、『魔性の子』では描かれず、十二国記シリーズの『黄昏の岸 暁の天』で書かれ、【アニメ】は、アニメ化された一部エピソードとの兼ね合いにより出てくる事柄。それぞれの詳細は『十二国記の登場人物』を参照。高里家の家族の名前は原作には記されていない。他、レポーター - 小高三良
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