『仮面ライダーBLACK』(かめんライダーブラック)は、1987年10月4日から1988年10月9日まで毎日放送、TBS系列で毎週日曜10時00分から10時30分(JST)に放映された特撮テレビドラマ作品。大学生・南光太郎(みなみ こうたろう)は19歳の誕生日を迎えた日、親友の秋月信彦とともに暗黒結社ゴルゴムによって拉致される。そして、次期創世王候補にせんとする三神官から体内にキングストーン「太陽の石」を埋め込まれ、世紀王ブラックサンに生態改造された。息子たちから人としての記憶だけは消させまいと乱入した秋月総一郎の手引きによって、脳改造を受ける寸前に、ゴルゴムが世紀王のために用意していたバイク形生命体・バトルホッパーを駆って逃亡した光太郎だったが、三神官に捕われて攻撃を受ける。その衝撃の中、光太郎の体は異形のバッタ男からブラックサンの姿となる。その後、総一郎の死を経て、光太郎は仮面ライダーBLACKを名乗り、信彦の救出とゴルゴム壊滅のために戦いを開始する。『仮面ライダースーパー1』以来、6年ぶりのテレビシリーズの新作。仮面ライダーシリーズの原作者である石ノ森章太郎と東映プロデューサーの平山亨は、『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』終了から2年経った1986年3月に新たな仮面ライダーシリーズを立ち上げるべく『キミは仮面ライダーをみたか?!』という企画書を制作した。この企画は「原点回帰」をコンセプトに仮面ライダー1号の世界観を最新技術でリフレッシュするというもので、石ノ森の描きおろしイラストがふんだんに用いられるなど力の入れられたものであったが、当時はリアルロボットアニメが勢いづいている時期であり、関係各方面からは好意的な反応は受けられず実現に至らなかった。その後、この企画は平山からメタルヒーローシリーズを手がけていたプロデューサーの吉川進の手に渡り、本作品の原案となった。平山亨から交替したプロデューサーの吉川進の指揮下で旧作から世界観と設定の一新が行われ、過酷な運命を背負った主人公の苦悩と希望を中心に据えた物語づくりを目指して制作された。石ノ森章太郎は、原点に立ち返るつもりで「仮面ライダー0号」をイメージしたと語っている。ここで言う「原点」とは「初代」の『仮面ライダー』ではなく、原作者の石ノ森作品である。吉川によると原作者の石ノ森に「新しい仮面ライダーを制作するから、今までのライダースタッフは一切入れない」と宣言したとのことである。スタッフの多くは宇宙刑事シリーズから共通している。ただし、脚本の鷺山京子、監督の小西通雄や撮影の松村文雄など、一部は過去のライダーシリーズに参加経験のあるスタッフも起用されていた。本作は小学館が出版権(雑誌連載などをほぼ独占的に行う権利)を確保している。そのため、これまでのシリーズのグラフ記事では他社の追従を許さない立場にあった講談社の児童グラフ誌「テレビマガジン」には、本作の情報や漫画は掲載されなかった。吉川によれば、スタッフらは仮面ライダーの特徴として「主人公は悪の組織から脱出してきた」「改造人間」「バイクに乗る」「バッタがモチーフ」「正義のヒーロー」という5要素を取り上げた上で、これらを当時最新の技術でリメイクするのか、あるいはすべてを否定するのかを検討したという。結果として、本作ではリメイク案が採用された。「仮面ライダー0号」ゆえに、ゴルゴムはバダン以前の組織と関係があるような描写はないが、劇中の台詞で過去に「仮面ライダー」という名のヒーローが存在したことを示唆する発言が存在する。個性化についても、過去のライダーのように仮面ライダー1号・仮面ライダー2号との差別化を前提とした能力(例:仮面ライダーXの深海活動や仮面ライダーストロンガーの電気技など)を付与するのではなく、キングストーンや古代科学などの要素により、怪奇アクションとしての原点を追求するものとなっている。他にも過去のライダーと異なり、マフラーや手袋・ブーツのようなスーツを思わせる造形を省いた外骨格的(生物的)なデザイン、モチーフ動物の特徴をよりリアルに表現した怪人、戦闘員のいない敵組織など様々な新機軸が盛り込まれた。怪人のネーミングが「"○○怪人"」とシンプルなものに統一されている点も原点回帰の一環であり、仮面ライダーの体色が黒である点も、放送前の特番で「バッタの血液は黒」だと引用し、黒い仮面ライダーの姿に原点に戻るという意向を託した。中でも、敵組織に仮面ライダーと全く同格の改造人間・世紀王シャドームーンが登場することは特徴的だった。シャドームーンは名前に「仮面ライダー」の文字は含まないものの、歴代仮面ライダーを紹介する書籍やバンダイの玩具などでもBLACKとほぼ同等に扱われている。この設定は、後のシリーズにおける「仮面ライダー対仮面ライダー」の構図の先駆けとなっている。「原点回帰」の設定に加え、敵となった兄弟同然の親友と戦わねばならなくなった主人公の悲哀を描いた終盤のハードな展開、ヒーローが戦いに勝利したにも関わらず、主人公にとってはやるせなさを残したラストに示されるようなドラマ性などがオンエア当時から高く支持され、視聴率も好調だった(平均視聴率9.2%)。そのため、当作に続けて南光太郎を主人公とする続編『仮面ライダーBLACK RX』が制作され、事実上2年続くシリーズとなった。本放送当時に発行された特集ムック(宇宙船の別冊)のスタッフへのインタビューによると、従来までの東映ヒーロー特撮作品ではヒーローのスーツを見栄えが良いFRP製のアップ用と、動きやすい軟質ウレタン製のアクション用の2種類用意することが常だったものが、本作では皺が寄り難い最新の軟質素材を採用したことで、アクション用がアップ用を兼ねられるようになったとある。この軟質素材製スーツが、ソリッド(外骨格的)ながらも生物的(柔らかい)というBLACKのビジュアルイメージと柔軟かつ頑強という設定上の特徴が一致することとなった。なお、NGデザインとして同じ形状ではあるが色がメタリックブルーのスーツが製作されている。また当初は間接部がメカニック的であったが、石ノ森の監修でNGとなり、筋肉と血管状の意匠に変更された。テレビと視聴者である児童が一体となれるようにとの意向により、当時バンダイから発売されていたグッズの一部(変身ベルトやBLACKのフィギュアなど)には、キャプテンパワーのグッズで導入された「テレビパワー」機能が付いていた。劇中の変身シーンや必殺技を繰り出すシーンなどでは、映像から白の閃光が連続的に発せられることにより画面が黒と白に点滅する効果(いわゆるパカパカと呼ばれる技法)が加えられており、グッズに内蔵されたセンサーが映像の点滅をキャッチして機能を作動するというギミックである。なお、2008年3月29日にNHK BS2の特別番組『とことん!石ノ森章太郎』内で今作の第47話が再放送された際には、これらのシーンに減光処理が施されての放送となった。メインライターはメタルヒーローシリーズを降板してブランクを置いていた上原正三が就任した。しかし、ライダーに対する周りの期待からか、周囲からの意見がこれまでの作品に比べてあまりに多かったこともあって、上原はシリーズの序盤にてメインライターを降りた。その後は宮下隼一、杉村升などの面々が脚本陣の中心的役割を担った。またベテランの長坂秀佳が偶然テレビで『BLACK』を見てその黒の佇まいにほれ込み旧知の東映・齋藤頼照プロデューサーを通して吉川に作品の参加を志願したものの、吉川は「ギャラが高すぎるから無理」と長坂に断りを入れたというエピソードもある。パイロット監督はライダーシリーズ初参加となる小林義明が担当。小林は第1話のみの参加となったが、倉田てつをによると第1話は撮影だけで丸1ヶ月掛かったという。また、序盤で夜の街を疾走するシーンだけで10日間を費やしていたといわれる。その他は小西通雄、小笠原猛、蓑輪雅夫といった面々が演出陣のローテーションを組み、小西と小笠原は劇場版のメガホンもそれぞれ担当している。殺陣の担当がそれまでの大野剣友会からJACへと変わり、BLACKの主なスーツアクターは当時若手の岡元次郎が担当した。従来のバトルシーンとは大きく変えたいという吉川の意向により、従来の空手や柔道技とトランポリンを組み合わせた「技のデパート」的なアクションや、見せ場の一つだった「戦闘員との立ち回り」も本作では廃されている。また、長年仮面ライダーシリーズの音楽を手がけた菊池俊輔に代わって、川村栄二が担当することになった。声優はこれまでのシリーズの大半に関わっていたテアトル・エコーに代わり、俳協の所属声優が主に起用されていた。ただし、OPクレジットへの表記はダロム、創世王、ナレーションの声優のみとなっており、当時のスーパー戦隊やメタルヒーローと同様に主要レギュラーのみをクレジットする形となっていた。デザイン面においては、これまでのシリーズでは仮面ライダーのデザインは、石ノ森と東映側の意向が大きく反映されることが常だったものが、バンダイのディレクションが強く作用していることが特筆される。デザインのフィニッシュはバンダイ傘下のプレックスが手がけた。それまでのマフラーとスーツに、グローブとブーツといった「人が着ている」印象を排除し、生物的・外骨格的とも評されるソリッドな意匠は、裏を返せば玩具化を前提としたデザインということでもあるが、これまでの仮面ライダーとは異なるシャープなイメージを打ち出すだけでなく、後のライダーのデザインにも影響を与えている。石ノ森によるラフデザインでは「バッタ男がスーツを着ている」というコンセプトのものもあり、この案は『真・仮面ライダー 序章』でも検討されている。遥か太古の昔から人間の文明や文化を破壊し、優れた人間だけを怪人にして、怪人だけの世界を創ろうと暗躍を続けていた暗黒結社。組織には政財界の実力者や優秀な科学者も参加しており、世界を裏から操っている。5万年に一度、キングストーンを持つ2人の世紀王を闘わせ、勝った方を次期創世王にする。基本的に人間には冷酷なものの、同族としての怪人を重んじる。物語終盤で大怪人ダロムが組織の理念を否定する発言を行い、クジラ怪人の離反を招いた。シャドームーン復活を機に人類に宣戦布告したことで、その存在が世界に知れ渡ることとなった。次回作『仮面ライダーBLACK RX』での歴代10人ライダーはゴルゴムの海外支部と各国で戦い、撃破したことが語られている。ゴルゴムの守護神にして支配者で、代々5万年ごとに交代している。その姿は巨大な心臓そのもので、即に寿命が尽きようとしているが、それでも地球を破壊するほどの力を持つ。テレパシーによって世紀王や三神官と会話をする。光太郎と信彦を世紀王ブラックサン・シャドームーンに選び、ブラックの脱走後はシャドームーンを次期創世王と定めた。しかしシャドームーンの生命力が低下した際にはビルゲニアにサタンサーベルを与え世紀王昇格を暗示したこともあった。シャドームーン復活後はブラックサンとの戦い、最後の選別を迫り、自らの力を分け与えてブラックを倒させようとしたが、シャドームーンが敗れたためにブラックを次期創世王にしようとする。しかしブラックがそれを拒絶したために地球を破壊しようとするが、ブラックが呼び寄せたサタンサーベルによって身体を刺し貫かれ、「人間の心に悪がある限り甦る」と言い残しゴルゴム本部と共に爆死した。次期創世王の候補である2人の戦士。その証としてキングストーンを持つ。次期創世王の後継者争いは5万年周期に行われ、日蝕の日に誕生した人間を当代のゴルゴム最高の技術で互いに同格の力を持つ戦士に改造し互いに競わせ、勝利した片方が創世王となる。世紀王の証にして力の源となるのが「太陽の石」と「月の石」の2つのキングストーンである。後継者争いに勝ち抜き2つの石を両方手に入れたものが名実ともに次期創世王となる。数々の奇跡を起こすもその力はあくまで石の力の一端で真の力は未知数であり、2つの石を揃えた時に真の力を発揮するとされる。それぞれ、詳しくは個別の記事を参照。ゴルゴムの活動を具体的に決め、実践する大役を負う。一般怪人の中で組織への功績の大なる者が先代の神官に選出・再改造される。BLACKのことを当初は「ブラックサン」と呼んでいたが第4話から世間での呼称に合わせ「仮面ライダーBLACK」と呼び名が変わった。三神官は、全て瞬間移動能力及び人間に変身する能力を持っている。人間に動植物の能力を移植した存在で、5万年以上もの長い寿命を持つ。元が人間であるため、人間態を持っている者もおり知能も高いが、ほとんどの者は怪人態では人語は話さない。アンモナイト怪人のように化石が怪人化した者も存在する。また、43話の描写から逆に動植物に直接人間の生体エネルギーを与えることで怪人にするケースもある模様。ゴルゴメスの実を栄養源としているが、ゴルゴメスの実は地上世界でしか育たないため、多数の怪人が目覚めると不足をきたした。そのため、空中に無数の胞子を散布して人間に発芽させ培養、大量採取する作戦が採られたこともある(第11話)。様々な理由からゴルゴムの援助を受けている。5万年以上の生命力を持つ怪人に憧れており、自らも怪人になることを望んでいる者もいれば、秋月総一郎のように恐怖のために仕方なく従っているメンバーも少数は存在している。※ 参考文献:『仮面ライダー大図鑑(6) 』(バンダイ・1992年)南光太郎、秋月信彦等の主要キャストについては、公開オーディションにより決定された。また、オーディションの模様は「これが仮面ライダーBLACKだ!」で放送された。これまでシリーズ全作品の音楽を担当した菊池俊輔が本作で初めて不参加となった。BGMはのちに『仮面ライダーJ』、『五星戦隊ダイレンジャー』や『忍者戦隊カクレンジャー』を手掛けることになる川村栄二が作・編曲し、主題歌は歌謡曲界でヒットメーカーとして実績を挙げていた宇崎竜童・阿木燿子夫妻が作詞・作曲した。BGMと主題歌の作曲を別の人物が担当するのも本作がシリーズ初である。挿入歌の作曲では渡辺宙明、同編曲では石田勝範がやはりシリーズ初参加となった。なお、主題歌「仮面ライダーBLACK」と挿入歌「オレの青春」は主演を務めた倉田てつをが歌唱を担当した。本作のBGMはその後川村が劇伴を手掛けた『重甲ビーファイター』にも一部流用されている。本作のサウンドトラック・アルバム『仮面ライダーBLACK 音楽集』はLPレコードとCDの2種類が発売されたが、両者のキャパシティの差から、一部の曲はCDのみの収録となっている。また、収録された音源は、番組の本編ダビング用とは別にレコード・CD用にミックスされたものである。1988年4月10日は『JNN報道特別番組「本州・四国地続きに〜瀬戸大橋今開通」』放送のため休止。1988年9月25日は昭和天皇容態急変関連のJNN報道特別番組放送のため休止。上の2作品はVHSでは各単巻(2000年10月21日 - 11月21日発売)、DVDでは「仮面ライダーTHE MOVIE BOX」(2003年12月5日発売)及び単巻の「仮面ライダーTHEMOVIE VOl.4」(2006年3月21日発売)、BDは「仮面ライダーTHE MOVIE BD BOX(2011年5月21日発売)に収録されている。上2作は、本番組開始及び終了に合わせ、30分枠の特別番組が放送されていた。このうち東映特撮ファンクラブでは『仮面ライダー1号〜RX大集合』を、DVDではどちらも本編と同等の扱いで収録・配信されている。発売元はバンダイナムコゲームス(旧バンダイレーベル、旧バンプレストレーベル)による。『仮面ライダーBlack』のタイトルで、『週刊少年サンデー』にて1987年第41号 - 1988年50号の間に連載された。実写版と違い、姿はバッタ男のままで、体に埋め込まれた「賢者の石」により体が黒く変色し、絶大な力を得るという設定となっている。ストーリーも実写版とは異なる点が多い。初代からの一連の世界観とは別の世界と設定されているため、直接のつながりはないものの様々なオマージュが見られる。
出典:wikipedia
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