軽トラック(けいトラック)は、日本の軽自動車区分に該当する小型トラックのこと。名称のとおり、軽自動車の規格に合わせて作られたトラックで、一般に「軽トラ」と略される。最大積載量は350kg以下である。軽自動車であるため、通常のトラックと比べると車両価格や維持費(年間の自動車税(5,000円)や2年毎の重量税を含む車検費用)、任意保険、車両保険などが格段に安く、個人や零細事業者による保有・維持が容易である。全体の寸法とホイールベースが小さい点から、狭い農道や建て込んだ住宅街の道路などの狭隘路でも取り回しが容易、という長所もある。1960年頃までは三輪車が主流だったが、1960年代前期頃から四輪モデルが発展し、市場の主流となった。また1960年代まで荷台は低床式の後方一方開きが主流であったが、1960年代後期以降は、特装車両を除けば、より汎用性の高い高床式の三方開きが一般化し、後輪のホイールハウスを荷台から排除して、荷台の実効面積を広く使えるようになった。現行車種はすべて並列2座キャビンを持つキャブオーバー式(フルキャブ)ないしセミキャブオーバー式(セミキャブ)だが、かつてはポータートラックやマイティボーイなどボンネット式(ピックアップ)、ミゼットIIのような1人乗り(マニュアル・トランスミッション車のみ)のコミューター的な軽トラックも存在していた。1990年代からは衝突安全基準を満たすためにクラッシャブルゾーンを広く取れるセミキャブを採用する車種が一時増えたものの、ホイールベースが必然的に伸び、車内足先を前輪ホイールハウスが占有して居住性・乗降性に難が生じる欠点も見られた。さらに狭隘な農道などでの小回り性能や荷台長などではフルキャブに利があることから、2014年時点では後述する電気自動車の三菱・ミニキャブMiEVトラックを除き、フルキャブへの回帰が進行している。駆動方式は縦置きエンジンのフロントエンジン・リヤドライブ(FR)が一般的で、前述のボンネット式ピックアップを除いては、エンジンの搭載位置はキャビンのシート若しくは荷台の真下に配置されるアンダーフロアエンジン形式である。このようなアンダーフロア形式のFR車はサスペンションは前輪のみがマクファーソンストラットなどの独立懸架、後輪はリーフ式サスペンションによる車軸懸架である場合が多い。稀に横置きエンジンを採用する場合もあり、ホンダ・アクティがミッドシップ(MR)で採用し、2012年まで自社製造されたサンバートラックはリヤエンジン・リヤドライブ(RR)であった。このようなエンジンレイアウトは後軸荷重を増加させることで空荷のときでも十分な後輪トラクションを得られる長所があるが、フロントエンジン・フロントドライブの車両と同様にドライブシャフトの定期メンテナンスの必要性(ゴム製のダストブーツの交換)が生じる欠点が存在する。ただしFF車のドライブシャフト用ダストブーツのように伸縮・曲がりは生じないため10万キロ以上経過しても問題ない場合が多い。軽トラックは悪路で使用されることが多いため、ほとんどのメーカーで後輪駆動モデルと四輪駆動モデルが併売されており、切り換え方式はパートタイム方式が主流である。当初はレバー式が多かったが現行型はプッシュボタンが主流となっている。また、副変速機を用いて悪路走行に対応した車両も存在し、リアデフロック(またはリミテッド・スリップ・デフ)機能のオプション設定がなされた車種もある。タイヤも悪路向けのマッドテレーンタイヤが農業用軽トラック向けにラインナップされている。現行モデルのエンジンはすべて直列3気筒となっており、同じメーカーの乗用モデルと基本設計を共通化したものが多いが、乗用車に比べて共用低速から粘り強いトルクを発揮するセッティングが施され、燃費などの経済性を重視した自然吸気のものがほとんどである。乗用軽自動車において燃料噴射装置の装着が一般的となった後も、生産コストを抑えるためにキャブレターを採用していた車種も多く、平成12年排出ガス規制の施行まで燃料噴射装置への完全移行は成されていなかった。半ば低速・重負荷走行に特化した出力特性を持たせられる場合が多い為か、高速道路などでの高速巡航を意識したターボを始めとする過給機の装着は一般的ではなく、アンダーフロア形式による搭載スペースの制約によりインタークーラーが純正装着された例は皆無で、サンバートラックのスーパーチャージャー車を除いては長期間生産ラインナップに過給機付き車が残った例も少ない。変速機はエンジンと同じく低速・重負荷走行に強いローギアードのマニュアルトランスミッション(MT)が一般的で、かつては用途に応じて変速段数の異なるMTが選択できる場合も多かった。デファレンシャルの最終減速比も特に低めに設定されていることが多い。1998年の660cc新規格の発表まではオートマチックトランスミッション(AT)はあまり普及してはいなかったが、今日では全社の軽トラックにAT車が設定されている。特に農家では、農業機械や収穫した作物などの運搬のために必需品となっており、耐候性のある2座席の車室を持つことから、日常の短距離移動の道具としての「下駄代わり」にも重宝されている。その普及ぶりから、軽トラックは日本の農村風景における点景の一つにすらなっている。また、「赤帽」など、軽トラックを使った小口輸送専門の運送業者もある。また、軽自動車ならではの機動性に着目した使用例も多い。オートバイのトランスポーターとして用いられることもある他、道路の狭隘な集落や古い市街地向けの特殊車両(ごみ収集車、消防車、ダンプトラック、タンクローリー、冷凍車など)、更に近年では小型キャンピングカーのベースにされることも多い。個人商店や建築業などでも商品・道具の運搬などに広く用いられており、日本の風土や日本人の生活に大きく関わっている自動車ジャンルである。最近では軽トラックに農作物などを積み、広場や封鎖された公道上でこれらの即席販売を行なう「軽トラック市(軽トラ市)」が全国各地で行なわれている。他にも食品関係では石焼き芋を筆頭に焼きそばなどの焼き物系屋台経営にも用いられる。またホームセンターや家具店など大型の商品を取り扱う店舗の場合、客が大型商品を持ち帰るために軽トラックや小型トラック(マツダ・ボンゴトラックやトヨタ・ライトエーストラックなど)を一定時間無料で貸しだしているケースも多い。ほとんどの場合AT仕様が圧倒的であり、冬季に積雪の多い寒冷地(特に北海道・東北・北陸の各日本海側)の場合だとMTの4WD仕様が圧倒的である。軽自動車規格が日本独自のものであるため、日本国内での利用が大半であるが、日本国外の一部にも輸出されている。アメリカ合衆国においては、日本から業者によって並行輸入されたものがごくわずかに使われているが、衝突安全基準などを満たさないため、ほとんどの州では公道での走行が認められていない。そのため、牧場作業や狩猟に使うオフロード専用の作業車(ATVの代用品)、公園や大学構内などの管理作業用(ゴルフカートの代用品)として使われている場合がほとんどである。元々本格的な自動車として設計されている軽トラの積載製、快適性(ヒーター付きの密室)や副変速付き4WD、ダンプカーの設定があることなどが評価されているようで、実際にアメリカの軽トラ販売業者のPVではATVよりも高性能なオフロード作業車両としてPRが行われている。キョンチャ()と呼ばれる日本の軽四に似た小型車の規格が存在する韓国においては、大宇・ラボ/ダマス(=キャリィ/エブリィ)、アジア/キア・タウナー(=ハイゼット)など現地生産された軽トラ/軽1BOXが存在する。ただし、日本の軽自動車と韓国の軽自動車との規格の違い(例:韓国の方が排気量上限が大きい)から来る差異やLPG車が存在することなど日本の一般的な軽トラックとは違う面もある。台湾を始め、東南アジア諸国やオセアニアにて日本の軽トラックがノックダウン生産または輸出されている例もあったが、排気量の制約が存在しない現地事情に則して、エンジンの排気量が700ccから1000cc前後にボアアップされて販売される例がほとんどである。クワドリシクル()と呼ばれる独自のミニカー規格を持つフランスでは、やリジェなどのメーカーが軽トラックに似た小型トラックを製造している。規格は50cc以下の火花点火機関または4キロワット以下の原動機を有する軽量車(Quadricycle léger à moteur)と、最大出力15キロワット以下の原動機を有する重量車(Quadricycle lourd à moteur)の二区分が存在している。クワドリシクル規格の小型トラックは、日本の軽トラックに比較して排気量や最高速度の面では見劣りするものの、今日の軽量車では50ccの排気量制限の対象外である400cc/4kw以下のディーゼルエンジンや電気モーターが主流であり、最大積載量の面においては引けを取らない車両も存在している。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。