世界貿易機関(せかいぼうえききかん、、略称:WTO)は、自由貿易促進を主たる目的として創設された国際機関である。常設事務局がスイスのジュネーブに置かれている。GATT(ガット)ウルグアイ・ラウンドにおける合意によって、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO設立協定)に基づいて1995年1月1日にGATTを発展解消させて成立した。本来GATTは、第二次世界大戦後の安定を見据え、国際通貨基金および国際復興開発銀行とともに設立が予定されていた国際貿易機関(ITO)の設立準備の際に、暫定協定として結ばれたものであった。国際貿易機関の設立が廃案となり、GATTがその代替として発展強化されていくうちに、再びこの分野の常設機関が求められ、WTOが設立されることとなった。発展解消であるため、GATTの事務局及び事務局長もWTOへと引き継がれることとなった。WTOはGATTを継承したものであるが、GATTが協定(Agreement)に留まったのに対し、WTOは機関(Organization)であるのが根本的な違いである。を基本原則としている。また、物品貿易だけでなく金融、情報通信、知的財産権やサービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場である。対抗処置の発動では、紛争処理機関(パネル)の提訴に対し全加盟国による反対がなければ採択されるというネガティブ・コンセンサス方式(逆コンセンサス方式)を採用した強力な紛争処理能力を持つ。これは国際組織としては稀な例であり、コンセンサス方式を採っていたGATTとの大きな違いで、WTOの特徴の一つといえる。新多角的貿易交渉(新ラウンド)は、2001年11月にカタールのドーハで行われた第4回WTO閣僚会議で開始を決定し、ドーハ・ラウンドと呼ばれていた。2002年2月1日の貿易交渉委員会で新ラウンドがスタートした。しかし9年に及ぶ交渉は先進国と、急速に台頭してきたBRICsなど新興国との対立によって中断と再開を繰り返した末、ジュネーブで行われた第4回WTO閣僚会議(2011年12月17日)で「交渉を継続していくことを確認するものの、近い将来の妥結を断念する」(議長総括)となり事実上停止状態になった。その後、2013年のバリ島における閣僚会議で、貿易円滑化協定を含む合意が成立し、2014年7月まで貿易円滑化協定をWTO協定に加える(附属書1Aに追加)するための文書を一般理事会で採択すべきとされた。しかしインドが合意を蒸し返す状態で反対したため期限までに採択できなかった。その後食糧備蓄への補助金の問題で先進国側が譲歩することでようやくインドが合意し、2014年11月27日の一般理事会で貿易円滑化協定が採択された。今後WTO加盟国の3分の2が改正を受諾した後30日で発効することになる。かつてのワルシャワ条約機構(Warsaw Treaty Organization。現存せず)や世界観光機関(World Tourism Organization。日本を含む157国が加盟)も略称をWTOとしていた。そのため、ウルグアイラウンド交渉においてサービス貿易(観光が含まれる)についても扱うことになったため、世界観光機関との混同をさけるために、多角的貿易機構(Multilateral Trade Organization)と呼ばれていた。しかし交渉が実質的合意がされた1993年12月15日米国の要求によりその名称を世界貿易機関(World Trade Organization)とすることになった世界観光機関との混同のおそれについては、サービス分野の観光関連については、WTOの略称の使用を避ける等により問題が生じないされた。なお、世界貿易機関が他の組織に対して区別する必要があるときはWTO-OMCと表記することとされ(OMCは世界貿易機関のフランス語表記「L'Organisation mondiale du commerce」の略称)、また一方世界貿易機関との混同を避けるため、ワルシャワ条約機構の場合は専らWPO(「Treaty:条約」を「Pact:協定」に置換え)という略称が使用された。また、世界観光機関も2003年に国際連合 (UN) の専門機関となった後はUNWTOという略称を使用している。閣僚会議(Ministerial Conference)は、WTOの最高意志決定機関で、すべて加盟国の代表によって構成され、少なくとも2年に1回開催される(WTO設立協定第4条1)ことになっているが、第6回閣僚会議が2005年12月に開催された後、ドーハラウンドの交渉行き詰まり等により第7回閣僚会議が2009年11月に開催されるまで4年間、閣僚会議が開催されないときがあった。一般理事会(General Council)は、WTOのすべて加盟国の代表によって構成される組織で、閣僚会議と並列して存在する実務組織であり、閣僚会議の会合から会合の間、閣僚会議の任務を遂行する(WTO設立協定第4条2)。この下に各種組織が存在する。 WTO設立協定第4条7に基づく委員会WTO設立協定第4条7に基づく委員会、これらの委員会の構成員の地位は、すべての加盟国の代表に開放されている。附属書4の複数国間貿易協定に関する委員会協定の原文はdirectors-general。1965年3月までは書記局長 (Executive Secretary)。ここではGATTからの歴代を表示する。国名は出身国。世界貿易機関の設立について定めた国際条約は、正式名称を世界貿易機関を設立するマラケシュ協定といい、通常WTO設立協定またはWTO協定と呼ばれている。WTO設立協定は本体および附属書に含まれる各種協定からなる。附属書は1から4まである。うち附属書1〜3はWTO設立協定と一括受諾の対象とされており、WTO加盟国となるためには附属書1〜3の全ても受諾しなければならない。附属書4は一括受諾の対象ではなく、受諾国間でのみ効力を有する。WTO協定の改正については、協定第10条に規定がされている。WTO発足以来、閣僚会議で採択された協定の改正は次の二つでありいずれも加盟国による受諾手続き中である、注 原加盟国(関税同盟及び地域を含む。以下の記述における加盟国には、すべて加盟している関税同盟及び地域を含むものであり、本来は表題と同じく、すべて加盟国・地域と記述すべきであるが、煩瑣をさけるために加盟国と表記する。)の数は128(内77カ国がWTOの発足時の加盟国)。現在の加盟国数は164。WTO設立後の加盟国の日付は加盟年月日。また、現在加入申請中の国は21ある。以下の記述における加盟国の名称は外務省HPに準拠した。最近の加盟国は、163番目の加盟国のリベリアと164番目の加盟国のアフガニスタンである。リベリアは2015年12月16日にWTO閣僚会議で加盟が承認された。2016年6月14日に国内手続きが終了した旨の受諾書がWTOに提出され、7月14日に正式加盟国になった。。アフガニスタンは2015年12月17日にWTO閣僚会議で加盟が承認された。2016年6月29日に国内手続きが終了した旨の受諾書がWTOに提出され、7月29日に正式加盟国になった。WTOに長年加盟しなかったロシアは「最後の大国」と呼ばれ、1993年の加盟申請(この時点ではWTOの前身であるGATTへの加盟申請)の後、難航していた米国との二国間交渉が妥結したものの、天然ガスの価格問題等の近隣諸国との軋轢や、米国議会で2007年以降民主党が多数派になったこと、更に、ウクライナが2008年5月16日にWTOに加盟したため、ウクライナとの二国間交渉が必要となったこと、2008年以降の経済状況の変化でロシアがそれまでの加盟合意の一部見直しを主張するなど、加盟交渉合意の目処がたたない状況が続いたが、2010年に入り、二国間交渉が大筋合意した。2011年10月にはロシアと領土問題を抱えるジョージアがスイスによる仲介案を受け入れ障壁がなくなり、2011年12月16日に閣僚会議で加盟が承認された。その後、ロシア国内での手続が2012年7月に終了し、2012年8月22日に正式加盟が実現した。WTO設立協定第11条に基づき、1947年のGATTの加盟国だった国がWTOに入った場合、協定の受諾が遅れてWTO発足以後に加盟した場合でも原加盟国として扱われる。なお、WTO発足時に1947年のGATTの加盟国だった国(ウルグアイラウンドに参加しなかったユーゴスラビアを除く。)はすべて世界貿易機関の加盟国になっている。WTO協定第12条に基づく加入交渉を経て新たに加盟した国がこれに該当する。上記の加盟作業部会設置中の19か国にを加えた20か国である。WTOオブザーバーは、オブザーバー承認後5年以内に加盟申請が義務付けられているが、バチカンは例外的に加盟申請を前提としないオブザーバーの地位が認められている。また、国際機関に対し、WTOの各機関ごとにオブザーバーの地位が認められている。国際連合加盟国又は日本が承認している国で、WTO加盟国でもオブザーバーでもない国2016年現在、日本人の上級委員は存在しない。
出典:wikipedia
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