スクリーントーン(Screentone)は、イラスト、漫画などの作成に用いる、柄のついた、または白と黒の点がある一定の比率で様々なパターンが印刷されている特殊なシール状の画材。切り抜いて台紙からはがし、絵に貼る事によって、中間色や背景・衣服等の柄を表現するのに使われる。トーンと略すことが多い。もともとは新聞紙や建築図に使われたものであるが、日本では1950年代からモノクロ漫画に使用されるようになり、欧米のようにオールカラーの漫画本の伝統が定着しなかったこともあって独自の発達を遂げた。なお、「スクリーントーン」とは英エセルテ社の商標であるが、漫画・画材・デザインに関わる人々の間ではごく一般的な名称として使われている。日本での歴史は、1952年、当時グラフィックデザイナーとして活動していた関三郎が、アメリカ合衆国のジパトーン(Zip-A-Tone)をヒントにアミトーンを考案したことに始まる。漫画ではなく、自分のグラフィックデザインの仕事に役立てばいいと考えて考案したもので、懇意にしていた京都の印刷会社である東京セロレーベルに制作を依頼した。この最初のトーンは、透明のシートにアミ点を印刷し、マイクロクリスタリンワックスという接着剤を裏面に塗布してあるもので、印刷面が接着剤が付いている裏側であったため、現在のトーンのように柄をカッターなどで削ったりすることはできなかった。関は同年10月に日本トーンという会社を設立した。当初の使用者はグラフィックデザイナーであったが、1954年頃、漫画家の永田竹丸が自分の漫画に使用し、これをきっかけとしてまたたく間に漫画業界に広まっていった(永田本人の証言による。同じ新漫画党に所属していたつのだじろうも、自分が最初にスクリーントーンを使いはじめたと証言している。当初は小さな物しか存在せず、漫画家達は複数枚並べて貼るなどの工夫をしていた)。なお、アミ点などの模様パターンを使った絵の表現は大正時代からあり、昭和初期から漫画にも使われていたが、これはトーンではなく、印刷所に指定して製版の過程で入れてもらうもので「アミ点」や「地紋」(ぢもん)と呼ばれていた。これらは指定なので細かい注文をすることはできず、その点、手元で加工でき仕上がりの状態を確認できることにトーンの画期性があった。なおアメリカ合衆国ではこれ以前から漫画にもトーンが使われていたという。日本トーン社はその後、イギリスのレトラセット社の輸入代理店となり、レトラセット社製のインスンタントレタリング(シートに文字を転写したもの)を販売。1966年には、関三郎により新たにレトラセットジャパンが設立され、英レトラセット社のスクリーントーンによく似たシートのレトラトーンやカラートーンの販売などを始めた。柄が表面印刷になったのもこの頃で、これによって削りの技術を使った繊細な表現が可能になり、トーンを緻密に使った日本独自の漫画表現が発達していった。使用する場合は、原稿の上にトーンフィルムをかぶせ、模様が欲しい部分の形に合わせてカッターナイフで切り取り、台紙からはがし、トーンフィルムの上からトーンヘラやバーニシャーと呼ばれる器具でこする事で定着させる。ただし必ずしも器具は必要ではなく、素手でこすり定着させても良い。メーカーや製品によっては、フィルムの粘着力が強く、原稿に軽くかぶせただけで定着してしまうものもあるため、注意が必要である。印刷されているインクがはがれたり、トーンが痛む場合があるため、トーンフィルムを直接こすることはせず、当て紙(通常はトーンフィルムについている台紙)を用いる必要がある。一度定着したトーンは、ドライヤーなどで熱を加え、糊を軟化させることで容易にはがすことができる。ただし、原稿用紙に糊が残り、その上にはインクが乗りづらく、ホコリなどゴミが付着する原因になるため、再度トーンを貼らない場合は消しゴムや練り消しゴムなどで糊をこすって除去する必要がある。模様はフィルム表面に印刷されているため、表面のインクのみをカッターの先で削り取る「削り」という手法により、描画したり、グラデーションをかけたりすることも可能。また、砂消しゴムを使って削ることで、カッターナイフとは違う柔らかい感じに仕上げることも出来る。他にもトーンを複数貼りつけることで更に濃くしたり、階調を表現する「重ね貼り」・「パイル」などと呼ばれる手法もある。このとき、並んでいるドットをずらすことでモアレが起きる。モアレは本来歓迎すべきものではないが、逆に効果として利用することもあり、集中線トーンなどではごく一般的な技法である。トーンの上に更に描画する場合、黒インクやホワイトがはじかれてうまく乗らない場合があるが、その際は軽く消しゴムをかけるか、オリンポス社製リードパウダーといった撥水性除去剤をはたくときれいに描画できる。多種多様のスクリーントーンが存在し、模様によって便宜的に数種類に分類・呼称されている。各トーンについている連番については各メーカーが独自に決めており、法則もまちまちであるため、番号を見ただけではどういったトーンなのかわからないし、同種のトーンでも番号が全く異なったりする。初心者が混乱に陥る一因でもある。近年はパソコンの普及によりデジタルによる漫画製作が増えており、デジタル原稿においてスクリーントーン同様のアミ効果や文様パターン、集中線などの表現を行うソフトウェアが制作されている。これらのソフトウェアで利用するためのトーンの画像データのみを収録した素材集も発売されている。
出典:wikipedia
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