写本(しゃほん、Manuscript)とは、手書きで複製された本や文書、またはその行為そのものを指して示す用語。時に、原本(オリジナル)である正本(しょうほん・せいほん)と対応させて、それを書き写した書写本であることを強調するために用いられることもある。洋の東西を問わず、広く木版印刷や活版印刷術が普及する以前、本は筆写するものであった。中世ヨーロッパにおいて写本はキリスト教の修道院を中心に行われ、「」によって組織的に作られた。その当時の写本の中にはしばしば壮麗な挿絵がつけられ(挿図参照)、美術品としても価値を見出されるものも存在する。中国の北宋代以降、日本では、仏典の木版印刷が用いられ始めたが、修行の一環としての写経は依然として行われ、それは今日においても引き継がれている。一般の本は写本により伝えられた。写本では、筆写の過程でしばしば誤読、誤字脱字、付け加えなどが生じ易い。これらは原典を正確に伝承するという意味では瑕となるが、一方で写本がどのように伝わっていったかを系統立てて考察し、その背景にある文化的特性を検証する素材ともなる。日本においても古文書や記録資料、編纂資料などは多くが写本として伝来し、原本のほか写本が存在するものや、原本が伝存せず作成時期の異なる複数の写本が伝存しているケースなど、さまざまなものがある。なお、写本の作成に際して用いられた原本を「底本」と呼び、底本は必ずしも成立当初の原本ではなく写本であることも多い。また、写本には作成者や年紀、作成意図などを記した奥書や印判などが付されている場合も多く、これらも歴史資料として重視される。記録・編纂資料などにおいて製作時期や場所の異なる複数の写本を相互に検討し異動を確認することを校合といい、さらに資料の形態や料紙・状態、筆跡や言語的特徴など諸要素を含めて資料の系統的関係を検討し、成立時期の新旧や、より原本に近く忠実な写本(最善本)を特定し研究などにおいて活用される。また、一例として中世に和歌による鎮魂を意図する呪術的意味合いで作成された職人歌合が、近世期に伝存する写本においては純粋な学芸的関心から詳細な補注が施された写本が作成されるなど、各資料の異動部分には時代的特徴や作成の意図が反映されていることがあり、写本を相互に校合することで検討することができる。また、文書においては発給時期に控えとして作成、あるいは後代に伝存させるために写本が作成されることがある。印刷技術の発達した現代でも写本は作られている。その一つは弱視者のために作られる「拡大写本」である。特に通常の教科書では学習困難な児童・生徒のために、ボランティアが手書きで(あるいはワープロで)文字や図表を大きく書いて作る。一人一人の視力に応じて作るのが望ましいとされ、一品生産になる。
出典:wikipedia
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