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ボーイズラブ

ボーイズラブ(和製英語)とは、日本における男性(少年)同士の同性愛を題材とした小説や漫画などのジャンルのことで、1990年代中盤~後半に使われるようになった言葉である。元々は「耽美」・「JUNE」の言い換え語だったようである。のちにBL(ビーエル)と略されるようになった。作家、編集者のほとんどは女性、読者の大多数も女性で、ゲイの男性向けの作品とはおおむね別れている。それほど確固とした概念ではなく、ボーイズラブとそれ以外のジャンルを明確に分けることはむずかしい。「やおい」とは区別されることもあるが、混同されることもある。現在では、二次創作同人誌やウェブ上の作品もBLと呼ぶこともあるが、BLは基本的に商業出版寄りの言葉である。2000年代初頭の10年ほどの間で、やおい・BLジャンルの総称は、やおいからBLに移行している。漫画、小説、ドラマCD、アニメ、ゲームといった異なるメディアの作品があり、相互に影響しあって発展してきた。2014年の「美術手帖」の特集では、「BLのどこに魅力を感じるかは十人十色だが、 特筆すべきは"関係性"の表現にあると言えるだろう。」「描き手/読み手の心を時に癒し、時に興奮させ、 ジェンダーやセクシュアリティーに対する固定概念を揺さぶり、 愛することや欲望の発露について思考をめぐらせるきっかけとなる。」と紹介されている。BL関連の日本の市場規模は、オタク市場に限れば215億円(2012年)、その他の市場まで含めば350億円(2013年)ほどといわれる。レーベルは小説とコミックス合わせて100程度存在する。巨大な商業BLジャンルの背後には、それを上回る規模の同人・二次創作の世界が存在している。商業BLへの同人界からの影響はかなり大きい日本を代表するポピュラー文化として国際的に知られ、海外各地でファン向けコンベンションの開催、日本の作品の翻訳、その影響を受けた海外作家の作品の出版が見られる。このようにグローバル化しながら各地でローカル化も進んでいる。1991年12月10日「イマージュ」(白夜書房)が創刊し、キャッチコピーに「BOY'S LOVE COMIC」と冠した 。BLlogiaのぶどううり・くすこは、これが「ボーイズラブ」という言葉の初出であると考えられると述べている。考案者は編集プロダクション「すたんだっぷ」代表・荒木立子(白城るた)とされ 、荒木も同様のことを述べている。(荒木は元々同人サークルを主宰しており、全くの一般人から会社を興して半年で今でいうBLアンソロジーを出版している。)漫画家の河内実加も、自身のブログで「ボーイズラブ」はあらきりつこ(荒木立子)が 命名したと言及している。雑誌等で腐女子をテーマに記事を書くエッセイストの杉浦由美子は、「for girls love」という少女漫画のキャッチコピーを見たビブロスの編集者が「だったらうちはボーイズラブだ」と思い立ったのがボーイズラブという言葉の誕生であるとしている。しかしこれは事実ではない。この説は、2001年1月17日の2ちゃんねる801板「■やおい用語の基礎知識■」94番レスの情報によるようであり、本記事にも事実として長く掲載されていたため、ある程度広まりネット上の認識に影響を与えた。当初は現在の意味と異なり、「耽美」または「JUNE」の置換語と認識されていたようである。(耽美については→耽美とボーイズラブ)1990年代初頭に誕生し、後半には広く使われるようになった言葉である。男性同士の愛や特別な絆を扱った作品を指すが、ボーイズラブはそれほど明確な概念ではなく、他のジャンルとのはっきりした区別は難しい。2008年に堺市立図書館から、「市民の声」(実際には匿名の市民一人とその意向を受けた議員たち)によって、5500冊あまりの「BL」本が詳しい検証もなく開架から撤去・除去されるという事件が起こったが、排除図書リストを分析した社会学者の熱田敬子は、これらの本がBLとされた基準は明確ではなく、一貫性がなかったことを指摘している。(事件の詳細→堺市立図書館「BL」本排除事件)熱田は、BLは「恣意的な括り」であり「無定義なジャンル概念」であると述べている。近年のボーイズラブはハッピーエンドのロマンスが多いが、シリアスからギャグまで多様であり、時代もの、ファンタジー、SF、ミステリーなど幅広い。西村マリは、マンガと小説が両立して存在する点でもめずらしいと述べている。元々少年同士・男性同士の同性愛を扱う作品は、「耽美」または、耽美で背徳的、シリアスな少年・青年の同性愛ものを扱う女性向け雑誌『JUNE』の名前からそのまま「JUNE(ジュネ)」と呼ばれていた。「JUNE」は、国内海外・現在過去を問わず、小説やマンガ、イラストだけでなく、映画、音楽など、あらゆる文化の「耽美」な部分をクローズアップして紹介し(例えば、ゲイ文学研究者・翻訳家の柿沼瑛子が洋書ガイドを連載していた)、様々な作品を掲載して「JUNE」文化を広げ、美しい男性同士の関係が描かれた創作物「耽美」と呼ばれるジャンルを確立した。女の子向けの男性同士の恋愛ものが増えた初期には、書店では「耽美」というコーナー名が付けられていた。JUNE的な作品、少年同士の恋愛関係・性愛関係を描いた作品は、少年愛ものと呼ばれることもある。「ビブロス」や「ぱふ」など複数の雑誌がこのジャンルに参入し、女性向けの男性同性愛ものを「ボーイズラブ」と呼び、普及していった。ボーイズラブは商業オリジナルの作品を指す言葉だったが(アマチュアによるオリジナルは「オリジナルJUNE」「オリJUNE」と呼ばれた)、名称が広まったことにより、プロ・アマチュア、オリジナル・二次創作問わず使われるようになった。近年では、女性向けの男性同性愛を扱った作品で、JUNE(JUNEに掲載されていた作品や類似する作風の作品を指す)ではないものがボーイズラブと呼ばれることが多い。ボーイズラブと呼ばれる作品は、JUNEよりも明るく軽いものが多い。ボーイズラブの愛好者は女性の方が圧倒的に多いが、男性もいる。よしながふみは、BLはJUNEのような背徳的なものへの憧れではなく、男性同士の対等な葛藤を描こうというもので、同性愛者としての葛藤を描きたいというものではないと述べている。編集者の佐川俊彦は、<受け>と<攻め>という発想はJUNE以降に作り出されたもので、<受け>と<攻め>という大発明ができたことで耽美がBLになったのではないか、少年愛ものの少年漫画を描いていた24年組と呼ばれる少女漫画家たちは、意識的にキャラをそういう風に分けていなかったと述べている。少年愛、JUNE、耽美が、やおいを経由して、BLに発展したとも言われる。BLの類義語の「やおい」は、JUNE・パロディやおい(二次創作のやおい、ホモパロ)・BLなどの総称でもある。ボーイズラブという単語はもともと商業出版で生まれて普及した単語なので、JUNEと同じく、商業オリジナル作品を指す言葉としても使われる。ボーイズラブとやおいと区別して、オリジナル作品をボーイズラブ、二次創作(パロディやおい)をやおいと呼ぶこともある。パロディやおいとJUNEは、もともと男性同士の恋愛を扱っているという以外はほぼ別ジャンルであったが、ボーイズラブ作家には両方から影響を受けたものもいる。ショタコン(初出は1981年の雑誌『ふぁんろーど』)は男女の別なく少年に対する愛情・嗜好そのものを指すのに対し、やおい・JUNEは、男性(少年)の同性同士の関係(しばしば性関係も伴う)に主眼を置いた創作物のジャンルを指すという点で、おおよそ用法が異なっている。ショタはショタコンの略称で、ショタコンが好むような少年キャラクターも指す。そういったキャラクターが登場する作品をショタ物という。少年愛は、少年に対する愛情や嗜好、ジャンルどちらの意味でも使われる。元々「やおい」ということばは「おタク」同様に、社会にとって「病理的」な現象の一つだった。「やおい」「女おタク」と「BL」「腐女子」という新しい言葉には大きなイメージギャップがあり、男性同性愛を題材にした作品やその愛好者を「新しい存在」にすることに一役買った。近年は「ボーイズラブ(BL)」がやおい・BLジャンルの総称として使われることが増え、男性同性愛を扱う女性向け作品全般を指す言葉として「やおい」は徐々に使われなくなってきている。ボーイズラブの漫画家の中には、BL専門作家だけでなく、青年漫画で活躍している作家や、少女漫画家としても活動する作家、少年漫画から参入した作家など多種多様。ゲイコミック(ゲイの人向けのマンガ作品)も手がける作家も少数いる。また、小説においてもライトノベルや大衆向け文芸作品を手がける作家もいる。作家の中には他ジャンルへの活動の際、ペンネームを変えている者もいる。BLには男性からの影響もある。西村マリは「BLCDには(出演する)男性声優たちの作品に対する解釈が反映され、結果的にBL界へのフィードバックとなっている。」と述べている。2012年頃になると、BLと一般誌両方で活躍する作家や、BLレーベルで出た後に一般向けのレーベル・文庫から再版される作品も増え、BL的な要素がアニメや舞台といった様々なジャンルで展開されるようになり、浸透と拡散が起こっている。千田有紀は、BL好きも一枚岩ではなく、戦う少年たちの熱い友情に憧れ萌える、アニパロの系譜のやおいを好むタイプもいれば、少年愛ものは好きだが戦う少年たちにもその熱い友情にも興味はないという人、「ヘタリア」などの国の擬人化にみられるように、ジェンダーを娯楽化して屈託なく楽しむ人など、BLをどのように読むのか、そのような側面を好むのかには、いくつかのグループ、少なくとも2つ以上のグループがあるようだと指摘している。よしながふみは、BLは「もてない女の慰め」と揶揄されることもあるが、実際そういった面もあり(無論それが全てではない)、「今の男女のあり方に無意識的でも居心地の悪さを感じている人が読むもの」だが、読者が受けてきた抑圧や居心地の悪さはそれぞれ違っているので、一括りにしにくいと述べている。フェミニズムと結びつけて論じられることも少なくないが、それを嫌がる人も多い。英語圏では日本語を導入して、「」、「」、「」という用語が使われる。少年愛を直訳するとBoys Loveになってしまうこともあり、Boys Love、Shōnen-ai、Yaoiもあまり区別されていない。英語では、ボーイズラブという言葉が小児性愛を連想させると敬遠され、YAOI(やおい)と呼ばれることが多い。欧米ではライトテイストの作品が「少年愛」、性描写のある作品は「やおい」と呼ばれる。BLコミックの翻訳も少なくなく、アメリカ「amazon」のコミックス売り上げランキングで半分近くを占めたこともあったという。これらBLとは別に元々英語圏にあった、男性同士の関係性に焦点を当てた(しばしば性関係も含む)ファン・フィクション(二次創作)は、「Slash fiction(スラッシュ・フィクション」という。女性作家による男性同性愛の物語は古くからあるが、英語圏でのスラッシュは、『スタートレック』や、BBCで70年代末に放送されていたSF『ブレイクス7』()の人気が引き金になり、1970年代のSFファンダムで広く認知されるようになった。海外は、日本と比べてボーイズラブはまだニッチなジャンルであり、市場も日本ほど大きくない(海外で一番大きい市場はフランス)。東アジアでは、日本などのライトノベルは「軽小説」と呼ばれ、村上春樹を超える売れ行きの作品も数多くある。BLも人気で、女性が好んで読む。表紙や挿絵に漫画家の表紙やイラストが用いられることが多く、書店に大きなコーナーが設けられるほどファンが多い。台湾では日本の作品の翻訳だけでなく、現地作家の作品もあり、高い人気がある。中国や香港、シンガポールでは、商業ベースの作品は少ないが(香港とシンガポールは市場が小さいため、BLに限らず商業作品自体が少ない)、同人誌があり、各地のBLファンの交流がある。ぶどううり・くすこは、耽美は男性同士の関係描写の隠語で、JUNEという区分ができる前からあったと述べている。1978年10月に「JUNE」の前身「comicJUN」が創刊される前、同人作家の間で男性の同性愛描写を「お耽美」と称する動きがあったらしく、おそらく森茉莉の描いた美少年と美青年の恋愛ものや高畠華宵の美少年絵、石原豪人の美青年絵が想定されていたのだろうと述べている。その後「JUNE」誌上やその周辺の創作物が「耽美」と呼ばれた。「耽美小説」は、1991年頃から刊行され出したハードカバー新書サイズ単行本のキャッチフレーズとして使われた。JUNEは固有名詞であるため、使えなかったということもあるようである。JUNEは、当初は今の意味とは異なり、読者の美意識に叶うものはなんでもJUNEとされたようで、だんだん耽美の色合いが強まり今の意味になったのではないかと述べている。ボーイズラブという言葉は、できた当初は耽美やJUNEの言い換え語だったが、近年の用法は異なっている。とはいえ、一部の書店ではまだ耽美とBLは一括りに扱われている。作家の三浦しをんによると、重厚なストーリー展開を持った「女の子向け男同士の恋愛」小説がハードカバーで発売され始めた頃、書店で「耽美」という名称が見られるようになった。その後、このジャンルの専門雑誌が多く創刊され、小説はノベルズサイズや文庫サイズになり、専門のコミックスのレーベルができ、その頃「ボーイズラブ」という名称を見かけるようになったという。三浦は、「ボーイズラブ」は、それまで書店で「耽美」と呼ばれていた女の子向けの男性同士の恋愛ものを、出版社がよりポップで手に取りやすいイメージにしたいと考えて作り出した名称のようで、「耽美」と「ボーイズラブ」は元々同じものを指しており、書店と出版社の立場(思惑)の違いで呼び名が違ってしまっただけだろうと述べている。三浦は、「耽美」と「ボーイズラブ」は乱暴にくくれば同じものを指す名称だが、絵柄や文体にも「耽美」っぽい、「ボーイズラブ」っぽいという違いはあり、内容については、登場人物がゲイである自分をなかなか受け入れられないなど、悩みや迷いが大きくなるほど「耽美」っぽくなり、男同士の恋愛に迷いもない明るい学園物などは「ボーイズラブ」っぽいと述べている。よしながふみは、「耽美」に対する名称として「ボーイズラブ」があり、同じカテゴリーだけど「耽美」といえば「美青年」というイメージであると述べている。ぶどううり・くすこは、耽美の定義ははっきり決まっていないが、個人的な印象として次の3つを挙げている。羅川真里茂の『ニューヨーク・ニューヨーク』のように、少女漫画家による美しい絵で描かれた男性の同性愛をテーマにする作品でも、リアルなゲイの葛藤や苦悩、現実的な生活を描いたものの場合、その作品をボーイズラブややおいと呼ぶことには否定的な意見がある。ゲイの人々もボーイズラブに対する意見は様々で、好んで読む人もいれば、読んだけどおもしろくなかったという人、興味がない人もいる。1980年代初頭、ゲイ向け雑誌『薔薇族』で、「同性愛は、異性愛のように打算的ではない崇高な純愛だ」と考える女性が、「薔薇族のモデルはブ男ばかりで、気色が悪い」といった内容の投書を寄せ、ゲイの読者たちを激怒させるという事件があった。やおい・BLの表現については、1990年代からゲイ側からの批判もある。1992年から4年間にわたって「生き方とセクシュアリティを考える女性のためのミニコミ誌」という触れ込みの「CHOISIR」(ショワジール)というミニコミ誌で、ゲイサイドとやおいサイドの論争が行われた。掘あきこは、ゲイ側の批判点は、やおいが「男性同性愛者を、異性愛社会に隷属させるためのステレオタイプに押し込めるゲイ差別表現」である、という主張に要約できると述べている。やおい側は「やおいは現実のゲイを描いたものではない=ファンタジーである」という反論がなされ、これに対して女性に向けられるジェンダーの問題からの逃げだ、ゲイの性愛を覗き見しているだけだと批判が行われるなど、ゲイ側・やおい側それぞれの主張が展開され、政治的で幅広い議論がされた。個々のゲイと腐女子の関係については、良好な関係の腐女子の友人・知人がいるゲイの人もいれば、初対面の腐女子にぶしつけな質問をされて不快な思いをしたという人もおり、人によってさまざまである。日本ではBLとゲイコミックは歴史的な距離があり分かれているが、海外では歴史がない分、男性向け・女性向けという住み分けがあまりない。アメリカやヨーロッパではBLも日本より男性読者が多く、主にゲイだが、異性愛男性も少なくないようである。海外では、BLとゲイコミックが一緒に出版されることもある。ボーイズラブ漫画は、作風や絵柄が少年漫画風、青年漫画風、劇画調などに仕上げる作家もいるものの、恋愛模様を主眼においている点と絵柄の美麗な作品が多いことなどから少女漫画と混同されることもある。しかし、少女漫画におけるカップルの多くは異性同士であり、男性同性愛を扱うボーイズラブとはジャンルとしてはおおよそ別れている。よしながふみ・三浦しをんは、今の少女漫画は主人公の女の子を魅力的でなおかつ読者が嫉妬しないようなキャラとして作らなければならず、そういった困難をクリアするためにボーイズラブが生み出された面もあると指摘している。少女漫画でストライクゾーンが狭い人も、BLなら広く受け入れられるという。また、<攻め>の年齢も職業も、少女漫画よりかなり多様であると述べている。千田有紀は、最近の少女漫画が恋愛以外の活動で成長する主人公を描くことが多くなっているのに対して、BLは(男性が主人公であるため仕事との両立は言うまでもない前提であるのだが)、BLの恋愛至上主義は際立っていると述べている。また千田は、BLには、ずっと運命の人と愛し合う「究極の一対」のカップルの理想が脈々と生きており、これはすでに少女漫画では失われた愛の幻想で、なつかしいものであると述べている。(少女の頃24年組をはじめとする少女漫画の少年愛ものを読んでいた世代が、大人になってから既婚・未婚を問わずBLの世界に戻ってきているが、BLは彼女たちに昔の読書体験を思い出させたという。)また千田は、少女が母や妻になることで「居場所」を探したのが少女漫画であったなら、BLは母や妻にならなくても「居場所」を与えられるジャンルであり、男女の恋愛では描けない地平をどこかしら拓いたと述べている。三浦しをんは、セックスの表現はボーイズラブにおいて重要視されているが、成人向け青年漫画とは(30冊ほど確認してみた限りでは)傾向が異なると述べている。BLでの魅力的なセックスシーンとは、ストーリーに組み込まれたもので、背景には恋物語が必要である。これは女性がムードに弱い夢見がちな生き物だからということではなく、「心の交流や葛藤と共にあるセックス」でなければ、幸せも満足も喜びも生まれるはずがないと経験則で知っているからだと指摘している。そのためBLでは、成人向け青年漫画のように、ストーリー性が限りなく薄められた作品が主流になることはないだろう、と述べている。(三浦は、これはストーリー性があるものが善で、そうでないものが悪いということではなく、女性と男性では作品から快感を感じ取るポイントが違うらしい、という話だと述べている。)読者を女性・男性で区切るのも無意味なことで、ボーイズラブの読者は「心の交流(それが愛情であれ憎しみであれ)に基づくHシーン」という方法論を支持する人間であるという見解を示している。男女の組み合わせでは表現できなかったり、受け入れられにくい、また男同士でしか表現できない関係性を描くことができ、その点が魅力であるといわれる。セクシュアルな表現を含む作品も多くあり、ポルノグラフィーとしても楽しまれている。仲のいい男同士で性的な要素はない作品もあり、そういった関係はブロマンス(ブラザー+ロマンス)とも呼ばれる。ブロマンスを好み、「二人がエロい関係にならない状態で想い合ってる程度のほうが萌える」という人もいる。千田有紀は、「<受け>や<攻め>といった男女の役割のメタファーを維持しながら、男性二人がその役割を演じることにより、その役割を換骨奪胎できるのがBLの魅力である」としている。また、生涯未婚率が上がりつつある現在、女性に「子どもが産めなくても、どんな過去があっても、あなたはあなたでいいのだ」という承認、「居場所」がもたらされるジャンルは、BL以外にはないようであると述べている。詩文奈は、基本的にBLには異性であるキャラクターを360度見る自由があり、まるで監督になったように視点を切り替え、心の中でキャラクターを好きに扱うという、日常にはない権力や自由が手に入るため、女性にとっては精神レベルでの解放のツールになっていると指摘している。また、日本にはいまだに男女差別ともいえるような社会的な男女の違いと距離(詩は日本の男女の現状は様々な面で1960 - 70年代のイタリアに近いと述べている)があり、ヨーロッパに比べレディーファーストの文化がないことで日本の女性はより過酷な状況にあり、どんな<攻め>でも「愛がないとだめ」というBLの理によって、「紳士文化」への憧れの気持ち(これには日本の「父」の不在の影響もある)が満たされるという側面もあるという。よしながふみは、読者が挙げるBLの魅力として、様々な職業が取り上げられることの少ない最近の少女漫画に対して、BLは多様な仕事が取り上げられ未知の職業を知ることができるので、それが特有のおもしろさになっていると述べている。舞台や仕事は、警察、自衛隊、消防士、探偵事務所、中小化学工場、商社、工務店、書店、石油発掘チーム、弁護士、税理士、翻訳家、カジノのディーラー、料理人、農家、養蚕、漁師、ドッグトレーナー、バスの運転手、トラックの運転手、自動車教習所の教官、漫画家、編集者、画家、画廊オーナー、アイドル、俳優、テーマパークの着ぐるみアクター、能楽師、ソシアルダンサーなど多種多様。西村マリは、BLは女性の恋愛願望だけではなく、職業上の成功願望も満たすものであると述べている。恋愛成就だけでなく、社会的・経済的に<攻め>より不利な立場として描かれることの多い<受け>の職業上のレベルアップがお約束となっており、これが結婚エンディングのハーレクインとの違いであるとしている。そして「BLはその流行の時期から見て、女性の社会進出と密接な関係があるエンターテインメントである。バブル期に一気に進み、そして就職氷河期に凍りついた女性の社会進出。労働環境はその後もじりじりと厳しさを増し続けている。そんなもどかしい時期を、BLはカップルのあり方をシミュレーションしながら伴走してきたのだ。」と述べ、2人とも職業を持つ夫婦の関係は、会社人と専業主婦の組み合わせより、男同士のカップルに近いのではないかと指摘している。1970年代に、竹宮惠子ら少女漫画家が美少年・美青年の同性愛を描いた少女漫画を発表して大きな衝撃を与える。これを背景に、1978年10月に「JUNE」の前身「COMIC JUN」が創刊、1981年に「JUNE」(後に「小説 JUNE」、サン出版)が創刊した。ボーイズラブの系譜において、1976年から1984年まで連載された竹宮惠子の漫画『風と木の詩』が最初の著名な作品として挙げられることがある。この作品について竹宮は「表現の問題として、男女の愛を深く語ろうとするとベッドシーンでなくては語れない形もありますよね。ところが当時は、ベッドの上に男女の足を3本描いただけで警察に呼ばれ、作品は世に出せなかった。でも不思議なことに、男性同士なら問題にならなかったんです。」と述べており、セックスを表現に取り入れるために主人公ふたりが男性に設定されたことがわかる。竹宮自身は、自分の作品が「ボーイズラブ」への流れを生むきっかけになったのかもしれないが、意図はまったく違うと断言しており、「仮面のかぶり方を教えてしまいましたね。女性の描き手にとって、女性の性衝動を描くことは超えがたいハードルでしたが、男性の姿を借りれば描ける。そういう仮面。」と述べている。「恣意的世界をまるごと表現できる」(野阿梓)少女まんがの表現形態を知り尽くしてい24年組の作家たちは、男女関係を描くというタブーの抜け道として少年愛を見出し、70年代後半少女漫画の世界で少年愛は非常に流行した。竹宮惠子、山岸涼子ら24年組に代表される少女漫画家による少年愛ものは、1980年代半ばにほとんど連載を終えた。よしながふみは、『風と木の詩』は少年同士の恋愛を描いた画期的な作品ではあるが、書店に多く見られるBL作品と直接つながらないと指摘し、源流として、女性を作品世界からきれいに排除し、情報機関(スパイ)や政治といった少女には未知の世界も取り入れた作品を描いた青池保子をあげている。藤本由香里は、「やおい(BL)」の展開について、「女装の少年」の系譜でとらえた方がいいのではないかと述べている。シリアスな少年愛ものと並行して描かれてきた「美形ホモセクシュアルもの」の流れがあり、青池保子『イブの息子たち』、魔夜峰央『パタリロ』といったコメディ作品も含まれており、これらは明らかに「女装の少年」の系譜を引いているという。さらに藤本は、少女のジェンダー抑圧からの逃避だった少年愛ものと異なり、「女装の少年」の系譜は「少女たちが『性を遊ぶ』ことを可能にし、受動から能動へと視点を転換させる可能性を開いた」と指摘し、千田有紀は「男性の身体を眼差す主体として、女性を位置づけることを可能にした」と述べている。なお『パタリロ』は1982年にアニメ化され、地上波でゴールデンタイムに全49話放送されたが、メインキャラのバンコランとマライヒの男同士の愛人関係が描写されるなど、原作の男性同性愛の要素も全く隠さず表現された。ぶどううり・くすこは、「強いて言えば『パタリロ!』関連のアニメ化をもって BL 及び耽美作品映像化の始まりと言う事も出来ようが、そう言う判断は2014年の時点でもほぼ為されていない模様」と述べている。1980年代には、少女漫画家による少年愛ものの連載はほとんどが終了した。24年組以降、続く少女漫画家たちはその成果を消化しきることができず、少女漫画では物語のダイナミズムが失われていた。また少女漫画の編集方針の多くは、「無自覚なラブコメ」のように、結果的に女性の性を固定化し、従属を強いるようなものであったため、描き手の少女たちに高まりつつあった「自己実現」の欲求と相いれなかった。描き手は少女漫画から離れていき、読者もまた少女漫画に不満を感じ離れていった。1979年には、坂田靖子が主宰する漫画同人会ラヴリが機関誌『らっぽり』(波津彬子責任編集)の「やおい特集号」を発行(やおいという言葉の誕生)。その影響もあり、ストーリー性やメッセージ性のない、描きたいことだけを描いた同人誌も多く描かれるようになり、それは男同士の危ない関係を扱ったものが多かった。1980年代には、少年漫画・少年アニメを題材にしたパロディ同人誌が大量に作られるようになり、アニパロやおい、パロディやおいなどと呼ばれた。少女漫画から離れた少女の描き手は、魅力的な少年キャラクターがたくさん登場し、絵柄も少女たちに受け入れやすい少年漫画『キャプテン翼』(1982年に連載開始)に出会って熱狂し、それを題材に二次創作を作るようになる。(同人誌の世界では「少年ジャンプ」系のパロディが大きな人気を博したが、集英社側は基本的には放置という姿勢だった。例外的に、「週刊少年ジャンプ」の編集後記に『キャプテン翼』のやおい本に対して批判のメッセージが掲載されており、同作のアンソロジーを多数発行していた「ふゅーじょんぷろだくと」に対して警告が行われた)霜月りつ(荒木立子)は、80年~85年頃に学漫(大学の漫画同好会)主流の同人誌即売会でアニパロが大流行し、女性の描き手、読み手が急激に増えたと述べている。(一方少女漫画は、人材不足からレベルダウンが加速し、さらに長期間にわたり落ち込むことになる。)86年ごろからキャプテン翼ブームが起こり、聖闘士星矢、天空戦記シュラト、サムライトルーパーと美少年キャラが多数登場するアニメが放送され、女子の同人熱が一気に高まった。パロディやおいの題材としては、「少年たちが共通の目的を持って戦う」パターンの作品が好まれ、パートナーが高じて恋人同士になる、「私生活でも仕事(目標)でもお前が必要なんだ!」(中島梓)といった展開が描かれた。少年漫画や男性同士の恋愛ものが好きだが「JUNE」のような作品を読みたいわけではなく、同人誌のやおいものを好んで読むような少女たちが増えていった。このあたりの同人誌からのちにプロになった作家はかなり多い。料理研究家の福田里香・よしながふみは、同人誌で「JUNE」と異なる流れと作ったのは、それまでの耽美でシリアスな少年愛ものと異なる、軽くて明るく同性愛差別が全くない、ゲイばかり登場する学園物を描いたえみくり(漫画・イラスト担当のえみこ山と小説担当のくりこ姫の同人サークル)で、「同人誌で一番耽美が流行っている頃に、えみくりさんは同人誌で一億総ホモっていう世界を確立した」と述べている。(えみくりは80年代後半からキャプテン翼や三国志でなどで人気が出始め、聖闘士星矢あたりで大きな人気となり、その後元々書いていたオリジナルに移行した。CLAMPも同時期に同人活動で人気となる。)福田は、多田かおる、岡崎京子、西村しのぶ、えみくりら62年生まれを「24年組のマンガをリアルタイムで読んで育った世代」「そんなにマンガ雑誌がなかった時代」なので「読もうと思えばほぼ全部制覇できた」と言い、「女子で多様な出自の作家が出始めた世代」と指摘している。そして「(一般に評価の高い)岡崎京子さんが大島弓子さんとかを読んで男女の性を赤裸々に描くというのは、わかりやすいというか…想定の範囲内(笑)」だが、えみくりは「同じものを見てきたはずの人が、想定の範囲外のことを出してきた」と評価している。福田によると、えみくりは自分たちの同人誌を「男と男の『りぼん』」(陸奥A子や田渕由美子の活躍した「乙女ちっく」時代の『りぼん』)であるとしており、福田は、手をつないだだけでドキドキするような物語を男と男でやるというところに、えみくりの「突然変異的な発想の飛躍」があるとしている。また、「男と男の『りぼん』」&「ギムナジウム(寮)」&「関西弁」という独特のシャッフルのセンス、編集能力の高さ、サブカルチャーからの影響などにも触れている。えみくりに始まる新しい流れの影響が後に商業誌に及び、商業誌で確立したのがこだか和麻であるという。1991年12月10日『イマージュ』(白夜書房)が創刊し、キャッチコピーに「BOY'S LOVE COMIC」と冠した(「ボーイズラブ」の確認される初出)。1992年に角川スニーカー文庫(当時の角川書店は少年向け、少女向けの区別をしておらず、当初ボーイズラブ作品も刊行していた)から独立する形で角川ルビー文庫が創刊(現在はBL文庫の老舗として有名だが、当初はBLに特化していたわけではないようである)。この時点でボーイズラブという言葉は知られておらず、「耽美」「JUNE」「やおい」などと呼ばれていた。アニパロのアンソロジーを盛んに出していた青磁ビブロスが、1992年にボーイズラブ漫画の専門レーベル第1号といわれる「BE×BOY コミックス」を創刊、1993年に「マガジンBE×BOY(略称・マガビー)」を創刊した。1990年代初頭には、アニメのパロディ同人誌はあるものの、オリジナルで男同士の恋愛を取り扱った女性向け商業漫画誌は「マガジンBE×BOY」しかなく、初期から版元が倒産するまでBL業界を牽引した。よしながふみは、同誌の創刊時、女の子のためのポルノ雑誌ができたと思ったと述べている。初期のボーイズラブは商業誌の描き手が少なく、同人作家、特にパロディやおいの作家を集めてスタートした。そのため、二次創作として書かれたものをオリジナルキャラでリライトして商業ベースで出版することもあった。(BLではないが、茅田砂胡の人気ファンタジー『デルフィニア戦記』も、発表された最初は『キャプテン翼』の二次創作としてであった)現在でも商業BLで活躍すると同時に同人誌を出している作家は少なくない。霜月りつ(荒木立子)は、初期のボーイズラブはティーンズラブものに比べかなり自由で、ティーンズラブで禁じ手だった、ハッピーエンドではない、好きな人を他の人に奪われる、主人公がひどい目に合うといった展開も許されており、「せっくすシーンさえはいれば何を書いていいという自由さは女性の書き手にかなり広い門戸を開いたと思う。」と述べている。1984年から95年には、一般向け小説と共に今でいうBL小説を書いてこのジャンルを切り開いた栗本薫(中島梓)が「JUNE」で、読者の投稿小説を批評する「中島梓の小説道場」を連載し、投降者たちの創作活動を支え、ここから江森備、石原侑子、鹿住槙、柏枝真郷、尾鮭あさみ、秋月こお、須和雪里、佐々木禎子、金丸マキといった多くの作家が育っていき、商業BL小説の発展に大きな役割を果たした。1988年にカセットJUNEが創刊、第1弾は三田菱子原作「鼓ヶ淵」。やおい・BLジャンル初の音声メディアと言われる。1990年代にはボーイズラブの小説レーベルが次々誕生した。雑誌も次々生まれては消えていき、半分は3号で終わるような状況だった。1990年代後半には出版不況が起こり、ライトノベルやボーイズラブが有力コンテンツとして注目されるようになった。この時代は、ボーイズラブにとって高度成長期のようなものだったという。1994年には、マンガ情報誌「ぱふ」8月号で、特集 「創刊ラッシュで戦国時代突入―『 BOYS LOVE MAGAZINE 』完全攻略マニュアル」が組まれ(なお、この特集で青磁ビブロスの牧歳子編集長は、回答に「ボーイズラブ」という言葉は使わず「やおい」を使っている)、分野を指す言葉として「ボーイズラブ」が共有されたのはこれ以降といわれる。その後も「ぱふ」はボーイズラブ特集を繰り返し行い、これがボーイズラブという言葉の普及に一役買ったといわれている。コバルト文庫やホワイトハートといった少女小説レーベルもBL要素のある小説を増やしたが、乱立したBLレーベルとの競争が激しかったためか、あまりうまくいかず撤退している。よしながふみは、自分より下の世代のBLに大きな影響力を持つ作品として、少女漫画誌「マーガレット」に掲載された尾崎南の漫画『絶愛-1989-』(1990年に第1巻刊行。同作のやおいを下敷きにしているといわれる。作者は商業誌での活躍と同時に『キャプテン翼』のやおい同人作家であり続けた)、こだか和麻の漫画『KIZUNA-絆ー』(元々は作者の商業少年漫画から派生したオリジナル同人誌(1991年)。1992年商業で第1巻刊行)、少女小説レーベルのコバルト文庫から出た桑原水菜の小説『炎の蜃気楼』(1990年第1巻刊行。当初はコバルト文庫ではBLに分類されていなかったようである)をあげている。BL的なものを読むが量は多くないという人でも、この3作はほとんど皆読んでいたという。1991年、『聖闘士星矢』のミュージカルが公演、今でいう「ボーイズ・ミュージカル」の嚆矢となる。当時駆け出しのSMAPが出演。1992年に、吉原理恵子著・道原かつみイラストのBL小説が原作のOVA『間の楔』第1巻がマガジン・マガジンより発売される。やおい・BLジャンル初のアニメ化作品と言われる。同年、日本SF大会の自主企画として「やおいパネルディスカッション」が開かれる。1996年からCLAMPが少女漫画雑誌「なかよし」で『カードキャプターさくら』の連載を開始。作中で主人公さくらの兄と友人(さくらの好きな人)の同性愛を匂わせる関係性が描写される(恋か友情か明言されないが、互いが一番大事でずっと側にいてほしい相手として描かれている)。またヒーロー役の少年は、最初さくらと同じ人を好きなライバルである。ちぷたそは、本作にはBL・百合(女性同性愛もの)・ロリコン・男の娘という要素があり、幼少期にこの作品に触れた人でオタクになった人は多いのではないかと指摘している。1997年、児童文学作家として著名な荻原規子が、中央公論社C★NOVELSファンタジアより少女向け異世界ファンタジー『西の善き魔女』を刊行。2巻「秘密の花園」で、女王候補・側近候補の子女たちが通う閉ざされた女学校での、女生徒たちによるやおい・BL同人誌文化とその活用の様子を描く。1998年、NHK衛星第2テレビ(BS2)で『カードキャプターさくら』がアニメ化される。翌年地上波放送のNHK教育テレビでも放送された。1999年ごろからネット上で「腐女子」という言葉が見られるようになった。2000年代には、BL作品が電子書籍で出版されるようになり、携帯電話で読めるようになったことで、店頭で購入するのが恥ずかしい人も気軽に買え、どこでも読めるようになったころで、一気に広がっていった。携帯電話の進化に伴い、BLゲームのアプリも作られるようになり、さらに間口が広がった。2007年ごろから、携帯ゲームなどではBLゲームが人気になり、2010年ごろまで一種のブームになる。攻略キャラクターからメールが届くなど、携帯電話の性能を生かした遊び方を備えたゲームも登場した。ブームに伴い「BL」の意味もさらに拡散し、男性同性愛作品全般を指す言葉として広く使われるようになった。よしながふみは、ボーイズラブ市場が成長して頭打ちになり、限りあうパイを食い合うようになったことで、より最大公約数的な作品が求められるようになり、フォーマットができつつあると述べている(2006年時点)。悲劇でも許され好きに描くことのできた初期に比べ、制約が強くなり、保守化しているという。BLの元編集者は、2011年頃から「勝てない勝負はしない(=利益が見込めるものだけ刊行する)」傾向の版元が増えて市場が膠着しており、BLマンガは電子媒体があるためデビューのチャンスは多いが、小説は1冊分を書き下ろすのが主流であることもあり、長い目で作家を養成する余裕がなくなってきていると述べている。保守化によって面白い作品が減り、読者が離れることが懸念されるという。また、最近ではセックスシーンが絶対必要という雰囲気も薄くなり、セックスシーンのないBLも増えている。西村マリは2014年時点の状況として、最近は王道を逆転・逸脱した進化形BLが増え、主流になってきていると述べており、進化形BL漫画の流れを作った立役者のひとりとして、かつて同人活動で人気を集め、近年は女性誌や青年誌でも大ヒットを飛ばしている漫画家のヤマシタトモコを挙げている。金田淳子は、BL的な要素のある他ジャンルの作品として、最近では『TIGER&BUNNY』や『相棒』、『黒子のバスケ』などの作品があるが、「あの程度のイチャイチャ」は1980年代には始まっており、1990年代には少年誌「ジャンプ」はすでに自覚的であったと述べている。永久保陽子は、出版社や制作サイドは、ボーイズラブ的なものが商売になると理解し、戦略的に使うようになっており、その認識が浸透して最近(2012年)には普通のことになったと述べている。近年では、作家の三浦しをん、アナウンサーの有働由美子、女優の二階堂ふみなど、BL愛読者であることを公言する女性も増えた。また金田は、女性は様々なジャンルにBL的な要素があることをわかっており、作品自体が最近変わったわけではないが、女性が少年漫画などにBL的な要素を見出すことに否定的だった男性たちの中にも、そういったものを評価し受け入れる人がかなり増えてきたと述べている。雑誌「ダ・ヴィンチ」や本の年間ランキングを扱う雑誌でBLが取り上げられることも増え、それほどサブカルチャーに興味がなくても、ボーイズラブをいつの間にか知っていたという人も増えた。小説では、木原音瀬の『箱の外』が、BLレーベルで出版された後に2007年に講談社文庫からも出版され、BLレーベル出身の井村仁美、榎田尤利、菅野彰、椹野道流らが他ジャンルでも活躍している。2008年時点で、ノベルズをジャンル別に見ると、4割弱を「仕事を持つ大人の女性が、社会的地位のある魅力的な男性を好きになり、すれ違いを経て両想いになる」というストーリーが多いハーレクイン社の大人の女性向け翻訳ラブロマンス小説が占めており、次いでボーイズラブ小説が約2割となっている。(ハーレクインの物語構造は、主人公が女性か男性かを除けばBLと非常に近く、読者は一部重複しており、BL作家にもハーレクインの読者がいるという指摘がある。人気BL小説家の松岡なつきは、自分が書きたいものは「男と男のハーレクイン」であると述べている。西村マリは、BL小説の人気のジャンルの一つ「アラブもの」は、ハーレクインから同人界を経由して導入されたと指摘している。)一般向け小説では、BL好きを公言する三浦しをんや有川浩などが男のロマン的なテイスト、BLテイストの入った作品を書いている。金田淳子は、ハイカルチャーとしての小説の有名な賞などを取るようなタイプの純文学は、ジェンダーやセクシュアリティ関連のものが圧倒的に多く、設定やストーリーだけを見るとBLと区別がつかない作品もあり、文藝賞を受賞した比留間久夫の『yes・yes・yes』はBLとしても読まれていたと述べている。永久保陽子は、漫画はそれ自体がサブカルチャーだが、小説は、一般小説がメインカルチャーでBL小説がサブカルチャーという関係がはっきりあり、純文学を頂点とするヒエラルキーがまだ根強いため、カテゴリーの境を超えることが漫画よりも難しいと述べている。永久保は、BLマンガよりBL小説の方が作品に許される幅が狭いのではないかと指摘している。BL小説が年代を経て洗練された反面、<受け>と<攻め>の設定、ハッピーエンドなどパターン化が顕著になっており、その型からかなり外れた作品を描いている木原音瀬は別格である評価している。西村マリは、BL小説は「アラブもの」のように決まった型を絞り込む傾向にあり、一方BLマンガは設定や型の逆転逸脱が起きやすいと指摘している。三浦しをんは、BL小説の読者はBLマンガの読者より比較的年齢層が高いことと文章による表現であることから、BL小説でもマンガ同様にポップ化が進行中であるとはいえ、「耽美」な雰囲気の作品や大人が主役の作品、任侠ものもBLマンガより残っていると述べている。山藍紫姫子もBLレーベルとそれ以外のレーベルで活躍し、独自の作品世界を確立しているが、BL作家というより耽美作家と呼ばれる。2000年には、株式会社ソフパルの女性向けゲームブランド・プラチナれーべるよりBL初の商業PCゲーム(18禁)「好きなものは好きだからしょうがない!!― FIRST LIMIT―」が発売、男性向け美少女ゲームの老舗アリスソフトが女性向けBLゲームブランド「Alice Blue」 を立ち上げ、「隠れ月」(全年齢向け) を発売。(コンシューマー機やパソコンというプラットフォームを採用した初期のBLゲームは、販売面では苦戦した)WOWWOWで「グラビテーション」(村上真紀原作)が連続アニメされる。地上波放送はないが、これがボーイズラブ初の連続TVアニメといわれる。喬林知著・松本テマリ挿絵のライトノベル「まるマシリーズ」が角川ビーンズ文庫で刊行開始(登場人物の多くがイケメンのライトファンタジー。主人公は男子高校生だが、異世界で魔王になり美少年と婚約する。男同士の恋愛要素は薄い)。この頃から、携帯電話でBLの電子書籍が読めるようになる。2001年には、アメリカのカリフォルニア州で総合イベント「」が開催され、日本のBL作家たちがゲストとして招かれる。「マガジンBE×BOY」の2002年1月号に「夢見る BOYS LOVE マガジン★」というキャッチコピーが付けられ、以降表紙キャッチコピーに「BOYS LOVE」を盛り込むようになった。2003年に、週刊少年ジャンプ(集英社刊)で連載された許斐剛の少年漫画『テニスの王子様』を舞台化したミュージカル・テニスの王子様(通称・テニミュ) 初公演。出演者は男性だけである。(監督などの女性キャラが登場する場合、音声や映像のみという演出。)2004年にライトノベルの 「まるマシリーズ」が『今日から㋮王!』としてNHK教育テレビでアニメ化。「ぱふ」(雑草社)5月号の文中で、女性を対象にしたアニメグッズや同人誌などを扱う店舗が密集する池袋の通りに対して、初めて「乙女ロード」の名称が使われる。2005年、PCゲーム「好きなものは好きだからしょうがない!!」が地上波でアニメ化される。おそらくボーイズラブ初の地上波アニメである。ミキマキによる4コマ漫画『少年よ耽美を描け -Boys be tambitious-』(腐女子の彼女に振られたモテ男の主人公が、彼女を見返すために友人たちとBL漫画を描こうと奮闘するギャグ)が連載開始。雑誌「Newtype」(角川書店)12月号で、乙女ロードが「通称・腐女子ストリート」として紹介される。この頃からSNSサイトも作られており、それまでひっそりBLを愛好していた人も、仲間を気軽に探して交流できるようになった。2005年頃にはよしながふみやオノ・ナツメ(basso)が先駆的にBLと一般誌両方で活躍するようになり(二人とも同人作家だった)、以前はBLやパロディをかいている漫画家に対して一般のマンガはかけないといった偏見もあったが、BLやパロディ同人誌での経歴も肯定的に捉えられるようになっていった。2006年、BLの大手出版社ビブロスがグループ会社の自己破産のあおりを受け倒産、ビブロスのBL事業を引き継ぐために、アニメイトグループのアニメイト・ムービック・フロンティアワークスの3社共同出資によりリブレ出版が発足。小島アジコがチベット801名義で腐女子の彼女の生態を描く漫画ブログ『となりの801ちゃん』を開設。市川染五郎、片岡愛之助のコンビで、男同士の純愛を描いた歌舞伎『染模様恩愛御書』が復活上演された。2007年には雑誌「ユリイカ」で、関連論客による見識を集大成し「総特集 腐女子マンガ大系」(6月)という特集が行われ、「いまBLというジャンルが熟していてアツいんじゃないか?」という認識のもと、さらに「BLスタディーズ」(12月)という特集が組まれた。韓国のBL漫画イ・ヨンヒ『絶頂』が日本で翻訳出版される。宙出版より『この BL (ボーイズラブ)がやばい! 2008年腐女子版』が刊行される。ごとうしのぶのBL小説「タクミくんシリーズ」『そして春風にささやいて』、紺野けい子のBL漫画『愛の言霊』、国枝彩香のBL漫画『いつか雨が降るように』が実写化。この頃から携帯電話でのBLゲームが流行。2008年には、BL誌に連載された漫画としては初めて、中村春菊の「純情ロマンチカ」の地上波でアニメ化される。堺市立図書館で、匿名市民とその意向を受けた議員たちがBL本を図書館から排除するよう要求し、図書館は意向を受け「BL」と判断した約5500冊の本を開架から除去する事件が起こる(後述)。2009年、2006年にドイツで出版されたドイツ人漫画家ユニット・ピンクサイコ( Heath & Nheira )のBL漫画『 In the End ~最果ての二人~』が日本で翻訳出版される。2010年頃には、ヤマシタトモコや雲田はるこなどが一般誌とBL両方でヒットを飛ばし、どちらのジャンルにも偏らず活躍し続ける漫画家も増えた。2012年には、短歌ブームの中、Twitter上で「#BL短歌」タグによるBL短歌が始まって流行し、同人誌も作られる。秋月こおのBL小説原作の『富士見二丁目交響楽団』が実写化。『コミック JUNE 』(ジュネット刊)2013年2月号(2012年12月刊行)で休刊し、定期的に刊行されるJUNE ブランド雑誌がなくなる。2013年、BL作家のじゅん子が少女漫画誌『別冊フレンド』(講談社)で、腐女子が主人公で、コンセプトは「もっとも主人公になりたくない人物が主人公になってしまった乙女ゲーム」という恋愛コメディ漫画『私がモテてどうすんだ』の連載を始める。好きなキャラが作中で死んだショックで激ヤセし急に美少女になった主人公が、それまで妄想の対象だった4人のイケメンとボーイッシュな美少女からアプローチされるようになるが、本人は変わらずディープな腐女子で逆ハーレム状態に困惑するというストーリー。一般向け少女漫画誌掲載であるが、腐女子の文化や行動がリアルかつ詳細に描かれている。2014年には、ヨネダコウのBLマンガが原作の実写映画『どうしても触れたくない』(2014年5月31日公開)が、BL実写映画で初めてオリコンのDVD映画週間ランキング(2014年9月15日 - 2014年9月21日)で1位になる。美術雑誌「美術手帖」で「ボーイズラブ"関係性"の表現をほどく」という特集が行われ、売り上げを伸ばした。2015年には、ミュージカル・テニスの王子様の累計動員数が200万人を突破。平凡社より、19世紀末~20世紀半ばの独仏英などの女性作家による男同士の物語を集めた笠間千浪編『古典BL小説集』 (平凡社ライブラリー)が出版される。アメリカのコメディアニメ「サウスパーク」で、BL(やおい)を扱った「トゥイーク×クレイグ()」というエピソードが放送された。学校でアジアで流行っている文化としてBL(やおい)が紹介され、その例として生徒トゥイークとクレイグのBLイラストが出され、周囲は二人は本当に付き合っているゲイのカップルだと思い込み、東アジア系の腐女子の生徒たちは大喜びでイラストを量産、当人たちは大迷惑、町中でふたりの恋を応援するのが流行り・・・という話。作中には事前に募集された実際の腐女子によるファンアートが使用された。成人男性向けのイラストを扱うSNS「ニジエ」を運営する株式会社ニジエが、18禁BLイラストSNS「ホルネ」をリリースし、サービス開始から6日でユーザー数が3万人を超えた。桜日梯子原作のBLCD「抱かれたい男1位に脅されています。」(販売元:リブレ出版、レーベル:Cue Egg Label)がBLCD初のオリコン週間TOP10入りし1位になる。2016年には、中村明日美子のBL漫画が原作の劇場アニメーション『同級生』が全国30館で上映をスタート、上映開始から43日で動員数13.5万人、興行収入2億円を突破した。井原西鶴の男同士の恋愛をテーマにした短編小説集『男色大鑑』(1687年出版)がアンソロジー形式で漫画化される。『私がモテてどうすんだ』が秋にアニメ化。小説・漫画・映画のみならず、ドラマCD・アダルトゲーム・OVA・アダルトビデオなどがある。ボーイズラブゲームは「ボブゲ」もしくは「BLG」と略される。(ボブ(BOVE)は、ボーイズラブという言葉を作ったといわれる「イマージュ」の編集が、BOYS LOVEの前2文字と後ろ2文字からボーイズラブの略称として提唱・推奨した言葉である。)アニメイトなど、アニメグッズを専門に取り扱っている店の中にはボーイズラブコーナーを設けているところも多い。ウェブの漫画投稿サイト・SNSなどでも、BLのジャンルがあるサービスが増え、専門のサービスもある。ほとんどが新書版(ノベルズ)・文庫版での出版だが、角川書店等では高い人気を得た作品は単行本で出版されることもある。2000年代に入った頃から、男性向けアダルト本の出版社が男性向けの売り上げが様々な規制のあおりを受け凋落し始めたのを受け、そのノウハウをボーイズラブ・ジャンルに応用する形で次々と新規参入を果たしたため、レーベル数は肥大化し膨大になっている。そのため、老舗として知られたレーベルに影響が見え始めており、リーフ出版の倒産、クリスタル文庫の出版鈍化などが起きている。現在刊行中の全ボーイズラブ漫画誌は、日本の漫画雑誌#ボーイズラブ漫画誌を参照。2014年時点で3,000枚を超えるBLCDがある。違法アップロードの影響もあり、主流レーベルの倒産・撤退が相次ぐ。2008年に大阪府の堺市立図書館で、ボーイズラブ小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5500冊の本が開架から除去される事件が起きた。この「市民の声」というのは、実際は「匿名市民ひとり(同一人物)から」と、その意向を受けた市議たちで、このことは図書館側も認めている。市議の水ノ上成彰は「世界日報」の記事で、図書館にボーイズラブがあることを激しく批判し「実質的にポルノ本」であり、図書館にあるのはおかしいと主張している。(なお日本図書館協会は、図書館の自由に関する宣言で、「図書館は、正当な理由がないかぎり、ある種の資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えたり、書架から撤去したり、廃棄したりはしない。」提供の自由は「わいせつ出版物であるとの判決が確定したもの」については制限されることがあるが、これらの制限は、「極力限定して適用し、時期を経て再検討されるべきものである。」としており、性表現を含む書籍でも、わいせつ出版物であるという判決が出ていない限り図書館が収集・貸出することに問題はない。また「個人・組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、紛糾をおそれて自己規制したりはしない。」としている。)市民活動家の寺町みどりは、「堺市に届いたメールから分かったことは、特定図書を排除したい人たちは、『同性愛』自体を嫌悪している。同性愛への差別と偏見から『BLをこどもに見せるな』といい、『BL本を処分せよ』と迫った。」と指摘している。このボーイズラブ本除去運動は、議員の介入、純潔教育やジェンダーフリーバッシング、漫画・アニメ・ゲームの性表現や暴力表現に法的規制をかける為のロビー活動を行っている韓国発祥のカルト・統一教会の関連会社「世界日報社」のバックアップを受けていたことが指摘されている。(なお、統一教会は「同性愛は創造の原理に反する不自然な関係」であるとして否定しており、「同性愛は倫理道徳の問題であり、人権問題ではない」と主張している。)図書館が示す排除の理由は二転三転し、ボーイズラブとされる基準も不明瞭であったが、ボーイズラブ本として約5500冊がリストアップされ、堺市側は、これらの本は「全て閉架に保存」「今後は収集しない」「青少年には貸出しない」と決定した。この意思決定に至る議論や経過は記録に残っていない。図書館の定

出典:wikipedia

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