原子力事故(げんしりょくじこ、)とは原子力関連施設での放射性物質や放射線に関係する事故のこと。放射性物質や強力な放射線が施設外へ漏れ出すと、人々の健康・生活や経済活動に大きな被害をもたらす。原子力関連施設内での事故であっても、放射性物質や放射線の漏出にまったく無関係な事故は原子力事故とは呼ばない。原子力発電所などで事故が発生した場合には、国際原子力事象評価尺度 (INES) による影響度の指標が「レベル0」から「レベル7」までの8段階の数値で公表される。本項目ではINESレベル4未満の事象も含めて記述するが、日本の原子力関連施設では、放射性物質が環境中へ放出されて公衆の健康を害する恐れが生じた場合やそれ以上を「事故」と呼び、そのような状況に至らない施設内での不測の事態は「異常事象」と呼んで区別している。原子炉には核燃料集合体である燃料棒が入っている。燃料棒は核燃料を円筒状の耐熱ジルコニウム合金(ジルカロイ、融点約2,500℃)の容器に入れ、多数個まとめたものである。原子炉内(炉心)は非常に大きな崩壊熱を出しているため、原子炉冷却機能が失われるとジルカロイから発生した水素による水素爆発のおそれのほか、燃料棒が溶解・崩壊し、圧力容器の底に残った冷却水と反応して水蒸気爆発を起こす危険性がある。実際に事故が炉心溶融までに至った例としては、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故(アメリカ合衆国)、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故(ソビエト連邦、現ウクライナ)、2011年の福島第一原子力発電所事故(日本・現在進行中)などが挙げられる。原子炉格納容器や原子炉建屋に水素がたまると酸素と結合して爆発することがある。水蒸気の発生でも爆発することがある。爆発により遮蔽がなくなった原子炉より放射性物質が外部に放出される。それを防ぐために「ベント(弁を開いて気体を逃がすこと)」を行う。原子炉は常に冷却する必要がある。しかし、冷却剤が配管の破断で喪失する、循環系ポンプが故障する、冷却水の取水が不足するなどした場合、炉心溶融に繋がり大事故に発展する危険性がある。また、原子炉隔離時冷却系(ECCS)が必ずしも動作するとも限らない。なお、原子炉の臨界終息後も核分裂生成物の熱崩壊による熱を取り去るために冷却を継続する必要がある。ちなみに小規模な原子炉は必ずしも系統だった冷却を必要としていない。福島第一原子力発電所事故では、1号機において、緊急時に原子炉を冷却する場合は最初に冷却器を使わずに主蒸気逃し安全弁 (SRV) を開けて原子炉の圧力を下げて処する手順書通りに操作し、事態が悪化したとする専門家の指摘の報道もあるが、事実関係はまったくこれと異なり、過去に使用履歴の無い非常用復水器 (IC) が起動されたとの報告が出されている。スリーマイル島原子力発電所事故では各種の警報が一斉に発せられた結果それらのプリントアウトが間に合わなくなり100分も遅延し、非常給水弁の開け忘れ、「マニュアル通りの」主冷却剤ポンプ停止措置などが事態を深刻化させた。また、1977年9月にはアメリカのコロラド州で、1980年12月にはオーストラリアのシドニーで、放射性物質を運搬中の車両が交通事故を起こした。高濃度の放射性物質が集まり核反応が連鎖的に続く状態になることを臨界という。臨界が起こると、その場所から周囲に中性子が放射される。中性子は構造物を貫きやすく、通常の防護服や防護機材さえ貫通して、長距離(数百m - 数km以上)にわたって生物の細胞を損傷する。また、中性子により普通の原子が放射性原子に変化する中性子放射化が起こる。原子力施設の停電が問題である。電源が失われると冷却が出来なくなり、蒸発で水が失われ重大事故(冷却材喪失事故)となり、そのままだと炉心溶融の上で水蒸気爆発または水素爆発により大量の放射性物質が外部に漏れるおそれがある。また放射性物質貯蔵システムでも崩壊熱が出続けているため、当面の間(数年以上)は冷却の必要がある。電力が失われれば状況も不明になり、制御も困難となる。原子力施設における全電源喪失をステーションブラックアウト(Station Blackout、SBO)という。原子力施設を支える命綱には通常、の4系統がある。原子炉保安指針では、電源喪失が起こっても送電設備や非常電源設備を修理して送電可能となることと、またその非常電源設備も直ちにかつ確実に電源供給を行える状態であることを挙げて、電源喪失が長期間にわたるケースの想定は不要だと謳っている。しかし、広域かつ長時間にわたって外部電源系が停止した事例は必ずしも珍しくない。パイプの材質は万全ではない。エロージョン/コロージョン(壊食/腐食、E/C)により配管の厚みが減る内面減肉がパイプの一部に起こり(局部減肉)、穴が開いたり亀裂ができる。場所の予想は困難であり、年間数mmの速度であるので時期の予測も困難であり、検査漏れが大きな事故を招きやすい。これは炭素鋼の弱点であるが、低合金鋼で対処が困難な場合にオーステナイト系ステンレス鋼にすると応力腐食割れを起こす。この問題は火力発電所・石油化学・一般化学プラントなどと共通の未解決問題である。原子炉の熱を運び出し、タービンを回すための冷却剤として使われるのは通常、水(HO、軽水ともいう)、重水 (DO) であるが、液体金属ナトリウム (Na) が使用されることもある。しかし、液体ナトリウムは水分や空気に触れると爆発する性質を持ち、腐食性も高い。また、別の元素が混入すると硬化し冷却困難となる場合がある。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、東京電力福島第一原子力発電所で圧力容器内の水位が低下。炉心が高温になるも、非常用電源の故障で緊急炉心冷却システムも作動せず、水蒸気爆発の可能性が高まった。そのため、弁を開いて放射性物質を含んだ水蒸気を大気中に放出した。この作業により、敷地境界域で1015 μSv/hの放射線を確認。燃料棒も一部溶解。日本初となる原子力緊急事態宣言が発令され、周辺半径20kmの住民には避難指示が出された。経済産業省原子力安全・保安院は12日、国際原子力事故評価尺度 (INES) の暫定値で、「局所的な影響を伴う事故」とするレベル4に当たることを明らかにした。東海村JCO核燃料加工施設臨界事故と同レベル。経済産業省原子力安全・保安院は1 - 3号機の事故の深刻さを示す国際評価尺度 (INES) を、8段階のうち3番目に深刻な「レベル5」にすると発表した。その後、同年4月12日、経済産業省原子力安全・保安院は国際評価尺度 (INES) の暫定評価を「レベル7」にすると発表した。原子力潜水艦などの事故(原潜事故)について、概説する。級の名前はNATOが命名。本当の名前は当時最高機密事項だったので、旧ソ連海軍であってもNATO名で記載する。深さは沈没した潜水艦のいる場所の深さである。※事故が物語上の1エピソードとして扱われる作品も含まれている。
出典:wikipedia
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