『仮面ライダーアギト』(かめんライダーアギト、欧文表記:"MASKED RIDER AGITΩ")は、2001年(平成13年)1月28日から2002年(平成14年)1月27日までテレビ朝日系列で毎週日曜8:00 - 8:30(JST)に放映された特撮テレビドラマ作品、および作中で主人公が変身するヒーローの名称。「平成仮面ライダーシリーズ」第2作目に当たる。キャッチコピーは「目覚めろ、その魂」。仮面ライダーシリーズ生誕30周年記念作品であり、平成ライダーシリーズの基礎を固めた作品でもある。生誕30周年を迎えたことを受け、第1話冒頭で「30th Anniversary」と表記された。本作品では3人の仮面ライダーが当初から登場する。以前の作品にも、複数の仮面ライダーが作品中に登場するケースはあったが複数が同時に主役級に扱われた例はなく、この試みは以降のシリーズにも影響を与えている。『クウガ』同様、劇中で仮面ライダーという言葉が登場することはなかった。「アギト」は、日本語の古語で「顎門」を「あぎと」と読んだことに由来する。また、英字表記であるAGITOがラテン語において「覚醒」や「挑戦」を意味することにもちなんだものである。さらにAGITOは、聖書に存在する「Alpha(アルファ)に始まり、Omega(オメガ)に終わる」のフレーズを思わせる文字構成であることから、「最初で最後の作品」との意味合いが込められている。これにちなみ、本作品の欧文表記は「AGITO」ではなく「ΑGITΩ」(頭文字がアルファ、末尾がオメガ)となっている。作品中では「謎」という形で多くの伏線が提示され、それらを紐解く鍵を見つけると同時に、再び新たな謎が現れる形でストーリーが展開する。このスタイルは、以降のシリーズでも継承されていくことになる。一方で、アクション面においても前作よりもその比重が高く、様式美的な要素を取り入れるなど、エンターテイメント性を重視した作品に仕上がっていた。平成仮面ライダーシリーズ第2作ということで、昭和仮面ライダーシリーズ第2作目である『仮面ライダーV3』のオマージュともいえる描写が存在する。メインキャストである賀集利樹、要潤、友井雄亮は、本作品と同時期に放送された『百獣戦隊ガオレンジャー』の出演者や『ウルトラマンコスモス』で主演した杉浦太陽らと共に、通常では特撮ヒーローを扱わないメディアでの露出の機会を増やしている。また、第12話から登場した沢木哲也役には、『超光戦士シャンゼリオン』暗黒騎士ガウザー=黒岩省吾役を演じた小川敦史を起用。小川はその後も、仮面ライダーシリーズにもゲスト出演している。また、スタッフも『シャンゼリオン』のメインスタッフであった人物が多く、プロデューサーの白倉は「本作品はシャンゼリオンのリベンジである」と2009年発売『仮面ライダーマガジン』のインタビューで語っている。クリーチャー(アンノウン)デザインに、メカニックデザイナーの出渕裕が、『超新星フラッシュマン』以来15年ぶりに東映作品に登板した。さらに、出渕を補佐する形でイラストレーター・草彅琢仁が参加した。前年の「クウガ」がハイビジョンカメラによる16:9のビスタサイズで制作されたことを受け、本作品でも画面サイズは16:9の画角が採用されている。ただし、前作のクウガが編集段階のSD画質への変換作業時にクオリティの劣化が起きたことを受けて本作品は「スクイーズ撮影」という手法が採用されている。この手法は後の「剣」まで採用される事となる。本作品よりバイクなどの車両協力、並びに平成仮面ライダーシリーズの番組スポンサーに本田技研工業が起用されるようになった。番組中で流れるCMはすべて、平成仮面ライダーシリーズ限定で放映の二輪車のものである。また、日本コロムビアが関与した最後の仮面ライダーシリーズの作品でもあり、次作『仮面ライダー龍騎』以降はエイベックスが音楽制作を担当している。本作品以降の作品では、基本的にエンディングテーマが省略されている。これにより、出演者やスタッフなどのクレジットはすべてオープニングに集約され、省略によって稼がれた分は、ドラマ部分の放映時間として割り当てられるようになった。なお、戦闘場面など、シーンを盛り上げるためのテーマソングは通常挿入歌として扱われるべきものであるが、スタッフロールなどではエンディングテーマとして表記されている。白倉伸一郎がチーフプロデューサーとなり、以降『仮面ライダーディケイド』までTVシリーズに頻繁に関わることになった。白倉は公式ホームページで第46話が実質的な最終回だと語っており、メインライターである井上敏樹も「最終回のつもりで書いた」としている。玩具などの関連商品の売上は前作『クウガ』を下回っているが、視聴率は平成仮面ライダーシリーズ中、番組最高視聴率・平均視聴率の最高記録を出した。本作品は未確認生命体第4号が未確認生命体を滅ぼしてから2年後を舞台としているが、前作『クウガ』の時間軸と本作品の時間軸は意図的に一致しないように制作されている。また、未確認生命体という名称や仮面ライダーG3の外見以外に前作を連想させる設定なども存在しない(詳しくは外部リンク・「時間軸の矛盾」についてを参照)。前作におけるクウガの別称「未確認生命体第4号」は本作品でも使われているが、一方で「クウガ」や「グロンギ」という言葉やその姿は登場しない。プロデューサーの白倉伸一郎は、本作品の世界観は本編の2年前に『クウガ』のような出来事があったパラレルワールドとしている。クウガを共演させようというアイディアは企画中に存在していた。アギト・ギルス・G3のデザインはいずれも『クウガ』のデザインを発展させたものである。ストーリーコンセプトとしては、警察を重要な要素とすることや怪人が人間を殺害する存在であることなどが受け継がれている。本作品の企画は、『クウガ』のヒットにより、その後番組として2000年夏ごろから白倉伸一郎・武部直美・井上敏樹を中心に立ち上げられた。秋ごろには劇場版の検討も始められていた。白倉による初期案は、「人間とモンスターがカードを使って契約する」という設定でで、「主人公とヒロインが沖縄から出発し、2人で東京を目指すロードムービー」というものであったが、現実的には制作が難しいという理由で不採用となった。また主人公が記憶喪失であることは当初から決まっており、素性不明の彼が警察から追われる展開になってしまうのを避けたのも、旅物語を廃案にした理由のひとつである。次に10人ぐらいの仮面ライダーが登場する群像劇という案が出され、最終的に3人まで絞られ完成作品へと至った。人数が絞り込まれたのは、10通り以上のフォームチェンジが登場した前年の『クウガ』との差別化のためである。石ノ森章太郎の『サイボーグ009』の「神々との戦い編」が原案とされている。“ 未確認生命体事件 ”の終息から2年の月日が流れたある日、沖縄県の与那国島海岸に人知を超えた謎の遺物・オーパーツが流れ着いた。同時に各地において、人間には不可能な殺害方法を用いた猟奇的連続殺人事件が発生する。警視庁はこの事件の犯人を、かつての“未確認生命体”を超える新たなる脅威として「アンノウン」と命名し、未確認生命体対策班 (SAUL)に専属捜査を命じた。この物語は、三人の仮面ライダー ── SAULに配属された若き特務刑事・氷川誠=G3、瀕死の重傷を克服した後に変容していく自らの肉体に恐怖を抱く大学生・葦原涼=ギルス、そして記憶喪失でありながらも本能の赴くままにアンノウンを倒していく家事手伝いの青年・津上翔一=アギト ─ ─の物語を交差させ、やがてひとつの巨大な流れへと昇華していく。津上 翔一については、アギトの津上 翔一を通常表記、本来の津上 翔一は太文字表記にて示す。本作品の物語の中心となるのは、「既に仮面ライダーである男、アギト」・「仮面ライダーになろうとする男、G3」・「仮面ライダーになってしまった男、ギルス」、彼ら3人の仮面ライダーである(このフレーズは番組コンセプトの発表時およびテレビスペシャル『新たなる変身』冒頭でナレーションされた)。劇中の登場人物は彼らを「仮面ライダー」と呼称することはないが、『新たなる変身』では前述のナレーションのほか、各ライダー変身時にテロップで「仮面ライダー -」 と表記されている。また、『百獣戦隊ガオレンジャー』との合同企画による2枚組アルバム『百獣戦隊ガオレンジャーVS仮面ライダーアギト』のドラマパートでは、『ガオレンジャー』のテトム(演:岳美)に「仮面ライダー」と呼ばれている。津上翔一がオルタリングを使用して変身する仮面ライダー。モチーフは龍。複眼の色は基本3フォーム・トリニティフォームは赤、バーニング・シャイニングフォームは黄色。頭部の金色の角・クロスホーンはグランド・トリニティフォームの必殺技使用時に展開する。アギトの持てるすべての力を解放し、パンチ力、キック力ともに2倍近くになる。バーニング・シャイニングフォーム時は赤く常時展開しており、形状もやや異なる。あかつき号で「光」の力を多量に浴びたため他の人間よりも進化が速く、ストーリーの進行と共に素手・手持ち武器による格闘戦主体の様々なフォームへと変身可能になった。関連書籍における第1話のストーリー紹介では謎の戦士と呼称されていた。前作『クウガ』のヒットを受け、スポンサーの要請によってクウガと同様に「角ライダー」というコンセプトでデザインされた。クウガとの差別化のため角を赤くする案も存在したが、インパクトがありすぎるため強化形態へ持ち越された。また「アギト」の名に合わせ、角だけでなく顎も強調するためにクラッシャー部分は鋭く力強いデザインとなっている。当初はパワーアップ形態は登場しない予定であった。警視庁が未確認生命体による事件の教訓を活かし、今後新たなる未確認生命体の出現を想定して小沢澄子が未確認生命体第4号を元に設計。企業連合体と共同開発した対未確認生命体用強化服(パワードスーツ)。武器の使用には、上司であり班長である小沢澄子の許可が必要である。G3の段階の武器でも、未確認生命体を一撃で倒すことは可能(第2話冒頭)。武器を相手に奪われる状況を想定して、オペレーターによって許可コードが送信されるまでは武器を使用できない。ただし39話でアナザーアギトがGM-01を奪った際は、安全装置のロックがアナザーアギトの握力を抑えきれなかったために再ロックがなされなかった。いずれの武器も生身の人間が使用できるデザインだが、反動が強烈なためG3系システムを装着しての使用が前提となっている。葦原涼が変身ベルト・メタファクターの力で変身する仮面ライダー。劇中で「ギルス」の呼称が使われたのは闇の力による1回のみで、涼本人を含めほとんどの人物が「ギルス」の名称を知ることはなく、名指しでは呼ばれないものの「アギト」として扱われる。モチーフはカミキリムシ。基本カラーは2形態共通して緑。複眼の色は赤。また、「ギルス("gills")」という名が鰓に由来するように、ピラニアの如く野性的なフォルムが特徴。木野薫が変身ベルト・アンクポイントで変身する仮面ライダー。エルロードの因子を受けているため、歯牙や羽などはアンノウンと共通している。複眼の色は赤。基本は肉弾戦のみで戦うが、敵の武器を使うこともあった。作中ではアギトと誤認されたことがあるが、頭部の角の大きさなど外見の差異は激しい。頭部の角・アギトホーンが常に展開しているため、数値上のスペックと戦闘能力はシャイニングフォームに等しいが、装備武器やフォームチェンジの能力はない。 必殺技発動時など、さらにパワーを引き出す場合は口元のクラッシャーが開き、歯牙状の器官が露出する。また、腕と足の爪状のカッター器官・バイオクロウで攻撃補助をする(劇中未使用)。劇中では「もう1人のアギト」と呼ばれ、アナザーアギトと呼称されたことはない。一部の書籍・雑誌、玩具では「仮面ライダーアナザーアギト」と表記される。番組制作現場においては当初定まった名前がなく、脚本上は「木野アギト」と表記されていた。必殺技はクラッシャーを展開して足にエネルギーを吸収し、飛び蹴りを叩き込む「アサルトキック」。破壊力は40t。「MASKED RIDER AGITO ART WORKS」によればデザインモチーフは「仮面ライダー1号」。両肩の肩甲骨の辺りから出ているマフラー状の羽は、仮面ライダーV3(のマフラー)を意識している。水・風・地の3体の最高位のアンノウン。中盤以降に登場。『MASKED RIDER AGITO ART WORKS』によれば、アギトに等しい存在である。下位のアンノウンよりも進化が進んでいるため、背の羽はより大型化している。貴族、様式、美意識のような風格、そしてライダーと共通する複眼を持つ。特に水のエルロードについてはあかつき号事件の張本人であり、何度もアギトたちを苦しめた。オープニングで登場したイコン画にはエルロードらしきものが全部で7体描かれている。前述にも取り上げたように、本作品から基本的に「番組構成上のエンディング」は原則として存在しないため、主題歌はオープニングテーマのみでエンディングテーマがなくなっている。第1話と最終話(第51話)はオープニングが省略されており、第1話は次回予告がエンディングを兼ねた形式(予告編の映像にスタッフロールが被せられる)で、主題歌は使われていない。最終話は本編のラスト部分がそのままエンディングになっており、主題歌には「仮面ライダーAGITO」が使われた。また、上記の通りエンディングテーマはないが、各話の終盤(主にバトルシーン)で使われている下記の挿入歌4曲がエンディングテーマ扱いとなっている。この形式は一部の例外を除いて、以降のシリーズにも引き継がれる。「Stranger in the dark」「MACHINE TORNADER」は本来挿入歌として制作されたものだが、同様に使われた。なお、本作品の挿入歌はすべて、劇中での使用を考慮したテレビサイズが制作されていたという。なお、シングル発売時に「2ndエンディング」と銘打たれた「One & Only」(作詞:藤林聖子、作曲・編曲:三宅一徳、歌:風雅なおと)という曲もあったが、劇中では一度も使われることがなかった。実質の後期エンディングである「DEEP BREATH」は、シングルに「3rdエンディング」と記載されている。前作『クウガ』や後続の『龍騎』『555』『剣』では多くのレギュラーキャスト歌唱によるキャラクターソングが製作されたが、本作品では真魚役の秋山莉奈による『Home sweet Home』のみとなった。各回にはタイトルはなく、ここで明記しているものは、新聞のテレビ番組欄やテレビ番組情報誌、テレビ朝日公式ページにて表記されたものである。第28話は涼の回想であり、本編の時系列とは異なるため、上下に帯がないアスペクト比4:3で放送。各話終了時の演出は最後のワンシーンが四角形に囲まれるという、以降に比べると非常にシンプルなものになっている。四角形の角には「Α」「Ω」の文字が置かれ、さらに上部分にはアギトの紋章も表示される。話数は51話で、平成仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダーウィザード』(全53話)に次いで多い。登場アンノウンには、レギュラーである闇の力以外のアンノウンのみ記述。登場アンノウンの横の数字は登場話数。10月1日に放送されたテレビスペシャル『仮面ライダーアギトスペシャル 新たなる変身』については、#テレビスペシャルを参照。リンクの貼られている作品の詳細はリンク先を参照。
出典:wikipedia
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