『激走戦隊カーレンジャー』(げきそうせんたいカーレンジャー)は、1996年(平成8年)3月1日から1997年(平成9年)2月7日まで、テレビ朝日系列で毎週金曜17:30 - 17:55(JST)に全48話が放送された東映制作の特撮テレビドラマ、および作中で主人公たちが変身するヒーローの名称。本作品では「車をモチーフに作る」ことを前提として企画が立ち上げられており、特に放映当時一大ブームとなっていたレクリエーショナル・ビークル(RV)や、第二次ブームの最中であったミニ四駆などの要素が多く取り入れられている。また、キャラクターや技のネーミング、サブタイトルなどにも自動車や交通関係の語句が多く取り入れられている。それまでのシリーズには必ず登場していた戦隊メンバーのバイクに相当するものとして、本作品では個人用の移動手段としてカート「スピーダーマシン」、中盤からはスポーツカー「ペガサスサンダー」とバギー「ドラゴンクルーザー」が登場している。このうち後者は、企画段階で物語後半に登場させる予定のあった巨大ロボを、「全て車のロボットでは視聴者の混乱を招くのではないか」という意見もあって見送った代わりに出された案であり、これに伴い巨大ロボの数が多かった前作に比べ、本作品での巨大ロボの総数は4体に留まっている。またそれまで何らかの形で取り入れられてきた、スーパー合体などを始めとするロボ同士のギミックも一旦排されている。一方で合体前のビークルがロボ形態にも変形するVRVロボや、後年の作品に多く見られる「マルチ合体」の走りである浪速ロボスペシャルなどといった画期的な試みも行われている。不条理なギャグやスーパー戦隊シリーズのセルフパロディが盛り込まれたシュールな物語が展開される。ギャグが目立つ一方でシリアスな話もあり、これらのバランスは絶妙なものとなっている。このような従来とは異なるコミカルな味付けの作風には、本作品が『秘密戦隊ゴレンジャー』から数えて20作目であることから、同作品にオマージュを捧げる意味合いも込められていたという。またキャラクターデザインを手がけた野崎明は、企画の打ち合わせに出席した際「今までにないギャグ戦隊にしたい」と高寺成紀プロデューサーが熱心に語っていたことを、後年のインタビューにて述懐している。オープニングのタイトルコールおよび本編での名乗りの際の言い回しも特徴的であり、「カ〜〜〜レンジャー!」と「カ」と「レ」の間を極端に伸ばして「レ」にアクセントを置く言い回しを行うという斬新なものとなっている。この演出は当初の予定にはなく、第1話の試写を見たスタッフが「(普通の名乗りでは)クセがなく印象に残らない」と判断して、台詞の再録を行った結果誕生したものである。また、本作品では主人公の5人を「鍛え抜かれた戦闘のプロ」や「生まれもっての特別な戦士」ではない等身大のヒーローとして描いており、会社員である5人の給料についての会話など、作中の随所においてこうした要素がちりばめられている。さらに1990年代以降の戦隊シリーズとしては珍しく、一部の例外を除きヒーローの正体が敵に知られていない設定となっており、ヒーローの変身後の姿が本当の姿と思われている描写もなされている。第6話から、同時期に放映されていた『ビーファイターカブト』と共に送出マスターがポジフィルム・シネテープの組み合わせから「ファイン・ネガ・ビデオシステム」によるD2-VTRに変更された。それと同時にOP・ED・予告のみ、シリーズ初のステレオ放送となった。また、本作品から新たにデジタル合成が導入され、第32話ではその技術をふんだんに活かし、巨大ロボボディ上での等身大アクションシーンが描かれている。テロップの書体にはゴナの斜体が利用されている。前作程ではないものの苦戦が続いていたが、一方で物語が進むにつれて従来の人気を回復するに至っている。また売上面においては『オーレンジャー』よりは下がったが、総売上118億円、内玩具売上64億円を記録した。7月12日放送の第20話「試乗最高の名車!!」で戦隊シリーズ通算1000回目の放送を達成した。2010年5月から10月まで、東映チャンネルの「スーパー戦隊ワールド」枠にて放送が行われた。2012年10月から2013年3月まで、「アンコールアワー」枠にて再放送が行われた。2013年7月から12月まで、Youtubeの「東映特撮 YouTube Official」にて配信が行われた。2016年1月22日から、ニコニコ動画の「東映特撮ニコニコおふぃしゃる」にて配信が行われている。宇宙中を暴れ周り、狙った星を超豪華花火にして爆破してしまう宇宙暴走族ボーゾックが地球からはるか遠く離れたハザード星に襲来し、滅ぼしてしまった。脱出に成功したハザード星人の少年・ダップは母親が死の直前に語った「星座伝説」の戦士「カーレンジャー」がいるという惑星「地球」に向かい、ボーゾック打倒を誓う。一方、ボーゾックもまた、次なる暴走の舞台を惑星チーキュ(=地球)に定め、手始めにニッポンポン(=日本)を襲うことに。ダップが辿り着いたのは小さな自動車会社「ペガサス」。彼はここで働く5人の若者に素質を見出し、自身の力「クルマジックパワー」をはじめ、あの手この手を使ってカーレンジャーに変身させていく。最初は乗り気でなかったものの、ボーゾックの本格的侵攻を目撃した5人はカーレンジャーとしてボーゾックと戦う決意を固める。そこまでは良かったのだが、5人はその後も「安月給なのにカーレンジャーまでやらなければならない」ことの不満を垂れ流したり、個人的な理由で出撃をためらったりとどうにも統制が取れない。一方のボーゾックも、観光気分で日本を訪れたり、地球侵攻以外の個人的な用事を優先したり、時にはカーレンジャーと交流を持ったりと、どことなく気の抜けた戦いが繰り広げられていた。そして、宇宙で交通違反の取り締まりにあたっていたポリス星の警察官・シグナルマンも地球に赴任する。交通ルールを異常に重視する彼は、カーレンジャー・ボーゾック双方にとって時には力強い味方、またある時には大迷惑な存在として見られるようになった。そんな戦いの様子を見ていたボーゾックのスポンサーこと「暴走皇帝エグゾス」は、彼らの間抜けな戦いぶりに業を煮やして表舞台に姿を現し、宇宙ハイウェイ建設のためにチーキュを排除すべく、ボーゾックの指揮を執り始める。カーレンジャーはエクゾスの地球爆破計画を阻止するため、宇宙に眠っていた伝説の車「野生の車」や、ダップの父・VRVマスターの力を借りてパワーアップを計り、エクゾスに立ち向かう。全員が自動車会社ペガサスの社員。ハザードの正義の星座に選ばれて、カーレンジャーになった。一見するとヒーローとは程遠い能天気ぶりだが、やるときはやる。5人の苗字の頭文字をそれぞれ合わせると「じどうしゃ」となる。決め台詞は「戦う交通安全!激走戦隊!カ〜〜〜レンジャー!」。宇宙各地の荒くれ者が、ガイナモを中心に集まって結成された宇宙暴走族。健康と馬鹿が取り柄らしく、平和な星を面白半分で襲い、花火のように爆発させ滅ぼすことを楽しみにしている。人工惑星・バリバリアンを根城とし、多種多彩な巨大装甲車「バリッカー」で地球を暴走する。暴走族だが何故か月給制。ダップの故郷ハザード星を滅ぼした後、今度は地球を花火にしようと企み襲来するも、カーレンジャーの活躍によって失敗を重ねる。作戦では真面目にやることもあるが、オイキムチやスイカの調達や弁当の買出しなど下らないことで仲間を派遣することもある。上司や部下といった概念がなく、ガイナモやゼルモダたちの指示には従うものの、荒くれ者は基本的に彼らを呼び捨てにし、タメ口で話す。巨大化アイテムは芋羊羹。それもペガサスの近所の和菓子屋「芋長」製の物に限られ、コンビニで売られている物では逆に手の平サイズまで縮小してしまう。ボーゾック(荒くれ者のほか、宇宙ゴキブリや宇宙バチも含む)が芋長の芋羊羹を食べると、顔を紅潮させ口から煙を吹き出しながら巨大化する。この芋羊羹をフィーチャーしたエピソードが作られた他、結末においての重大な伏線となる。一時期は「ヘルスボーゾック」「デビルボーゾック」などと改名してみるも、一向に成果は上がらず、挙句の果てに連戦連敗とそのマヌケぶりから、「ボーゾック、ボロ負け記録更新」「宇宙一弱い暴走族」などとスポーツ新聞に大々的に書かれるなど、カーレンジャー以外の地球人からも半ばバカにされるようになってしまう。ボーゾックたち宇宙人の発音では地球は「チーキュ」(グラッチだけは「チーキュウ」と語尾をのばすような発音)、日本は「ニッポンポン」となる。なお、地球に住む人間は「一般市民」、その中でも子供は「子供さん」と呼んでいる。カーレンジャーの姿を素顔と思っており、終盤まで地球の一般市民が変身した装備の姿だとは夢にも思っていなかった。実は暴走皇帝エグゾスに利用されていたが、第47話で見限られたことで決別し、カーレンジャーと共闘することになった。エグゾスを打倒後、組織を解散し、所属メンバーは散り散りとなってそれぞれの生活を送っている。幹部の名前のほとんどは自動車部品のもじりとなっている。デザインは知性があることを示すために服を着た姿となっている。第2話から登場。3つの形態を持つフォーミュラーマシン型メカ。日本語で書かれた取扱説明書が付属する。ダップがカーレンジャー結成後に開発。細部の調整が済んでおらず、未完成だったが、総一郎が「5人がサボって作ったおもちゃ」だと思い込んで床に落とした際、その衝撃で完成した。ブースター型メカ。第26話において、営業疲れで寝ていた実以外の4人とダップの手で開発された。完成した直後は、宅配用の箱に偽装されていたが、知り合いの赤ん坊宛のゆりかごを入れた箱と間違えた実によって、北海道に宅配便で送り出されてしまい、それを慌てて追いかけるというハプニングが発生した。 カーレンジャー各人専用の車両で、レンジャービークルのコクピットにもなる。隕石に閉じこめられていた意思を持った自動車形機械生命体であり、誰も乗りこなすことのできなかった銀河に伝わる伝説の車。宇宙空間では自在に走れるが、ドラゴンクルーザーは大気圏内では飛べない。第20話でボーゾック一の発掘野郎・WWワリッチョの手で封印を解かれて地球へ降り立ち、捕獲しようとするワリッチョとカーレンジャーとの戦いの中でカーレンジャーに力を貸すようになった。名前は2台とも、伝説に因んでカーレンジャーのメンバーが名づけたものである。車自体が意志を持った生命体故に、カーレンジャーの味方となった後には、仲間として認めており、第44話で落ち込んだイエローレーサーをドラゴンクルーザーが傷つきながらも動いて激励したことがある。海外メーカーの車両をベースとしている都合上、2台とも左ハンドルとなっている。第5話から登場。巨大化できるようになったボーゾックに対抗すべく、カーレンジャー5人の「夢の車の模型」をカーレンジャーとダップが力を合わせて具現化させた巨大なRV。カーレンジャーがスピーダーマシンごと搭乗する。クルマジックパワーで動く為、排気ガスは出さない。全て四輪駆動。第30話でVRVマスターがカーレンジャーに与えた巨大な「働く車」。VRVマスター曰く「絶対に勝つことを約束されたマシン」であり、レンジャービークル以上の戦闘能力を持つ。「赤いスイッチ」とファイターチェンジにより、ロボット形態のVRVファイターに変形。第45話では、ファイヤーファイター以外の4ファイターによるビクトリーツイスター・ファイターバージョンを使用した。数値は特記のない限り『激走戦隊カーレンジャー超全集』に基づく。ボーゾックの構成員が使用する車両で、飛行も可能。様々な種類がある。デザインは阿部統が担当した。ボーゾックの構成員(第25話ではゾクレンジャー)が使用する巨大車両で、こちらも様々な種類がある。戦隊メンバーでは最年長は大阪弁を話す上杉実役の福田佳弘であり、福田も実際に大阪出身である。最年少の土門直樹役には当時現役高校生の増島愛浩。増島と八神洋子役の来栖あつこは本作品がデビュー作となった。陣内恭介役の岸祐二は本作品以降もシリーズ作品に様々な役で出演している。志乃原菜摘役の本橋由香も本作品で名前を知られるようになった。年間を通してナレーターが存在しない本作品では、複数話完結編や次回予告の際には、役者自らの声で説明が行われる。また、次回予告の終わりには毎回交通標語がその回の予告担当者によって読み上げられる。ボーゾックのヒロインであるゾンネットには元AV女優である七瀬理香(旧名・水谷リカ)が起用されたが、このキャスティング傾向について東映のチーフプロデューサーを務めた髙寺成紀は、自身が少年時代に見た『恐竜100万年』や『バーバレラ』など、セックスシンボルと呼ばれた女性を起用したSF作品の影響を受けた、と当時の取材で述べている。敵組織の幹部クラスにいわゆるセクシー系の女優を起用する傾向は、髙寺が携わった後続の戦隊作品においても踏襲されることとなる。声優面では、ボーゾック側のレギュラーである総長ガイナモの声には悪役のボスやガキ大将の役柄を得意とする大竹宏を、また副長ゼルモダと発明家グラッチの声にはギャグキャラの役柄が多い津久井教生と長嶝高士を起用。また加藤精三、飯塚昭三、渡部猛、関智一、肝付兼太などゲスト出演の面々も含め、前作同様若手やベテランを多く織り交ぜたキャスティングとなっている。前作から営業に専念した鈴木武幸に替わり、本作品からは当時若手の髙寺成紀がメインプロデューサーに就任。これにより、脚本や監督などの編成は意図的に前作『オーレンジャー』とは違う人員で固められることが多くなった。脚本面では、戦隊初参加となる浦沢義雄がメインライターを務めることになり、戦隊シリーズで浦沢がメインライターを担当した作品はこれが唯一である。他の脚本担当には、荒川稔久や本作品を最後に東映ヒーローから離れた曽田博久が名を連ねている。演出面では、パイロット作品を東映作品最後の担当となった小林義明が演出し、3話以降は浦沢との付き合いの長い坂本太郎を始め、渡辺勝也、田﨑竜太の3人が中心となりローテーションを組んだ。特に渡辺は最多となる17作品を演出。シグナルマン登場編、2度に亘る新ロボ登場編、地方ロケ編、そして最終話に至るまで本シリーズの要となる作品を全て手掛けている。またその後の戦隊シリーズの演出陣の主力となった竹本昇も、本作品の第44話にて監督デビューを果たしている。劇中音楽は本作品が東映作品初登板であり、その後も平成仮面ライダーシリーズなど東映特撮に多数携わることの多い佐橋俊彦が担当した。佐橋は、初回録音時に60から70曲を用意せねばならず録音に作曲が間に合わず、その後もアイデアを使い果たしてしまい試行錯誤するなどの苦心があったことを後年のインタビューで述べている。キャラクターデザインは『特捜ロボ ジャンパーソン』などで東映特撮にも関わった経験を持つ野崎明と、前作より続投の阿部統が担当。また次作『メガレンジャー』にて本格的に参加となった下条美治も、ダップ関連のデザインという形で本作品に携わっている。本作品より木村英俊に代って本地大輔ディレクターが戦隊シリーズを担当するのに伴い、音楽展開においてもそれまでとは大きな変化が見られるようになった。その最たるものが、主題歌を含めた合計32曲もの歌曲と、それらほぼ全て(4曲はシングル未発売)の先行シングルカット化である。これに伴い主題歌もOPとEDが別売仕様となり、各カップリングには挿入歌が収録されるようになった。また、それまで「ヒット曲集」としてリリースされていた前出の歌曲のアルバムも「ソングコレクション」に、「音楽集」は「ミュージックコレクション」へと改題され、それぞれ3枚がリリースされた。これらの他にも、純然たる企画ものとして「激走戦隊カーレンジャー★Merry Xmas!From Carranger ソングコレクション」が発売されている。ここではシングル発売された「Merry Xmas! from カーレンジャー」の他、佐橋俊彦編曲による「ジングルベル・フルアクセルヴァージョン」が事実上の新曲であり、他に日本コロムビア学芸部製作のクリスマスソング用カラオケを流用したものが8曲収録された。歌唱は全て岸祐二ら出演者達によるもので、スーパーアクションサウンドのように恭介達の掛け合いセリフも収録されている(実が子供の頃の思い出を語る際に「仮面ライダーV3の変身ベルトが…」と発言する等、かなりテンションの高いやり取りが聴ける)。同様の企画CDはセーラームーンでも行われた。コロちゃんパックではレギュラーメンバーがラジオのDJ形式で曲紹介やミニドラマを展開する『げきそうドキドキ放送局』が製作され、こちらも3タイトルに渡ってリリースされている。上述の通り、本作品の主題歌・イメージソングの数は、バージョン違いを含め30曲以上にもおよぶ。これはシリーズ史上最多で、2000年代に入ってもまだ記録継続中である。また、本作品に参加した歌手・作詞家・作曲家は、スタッフである八手三郎、荒川稔久と速水けんたろう、山野さと子、奥慶一以外は全員シリーズの楽曲制作初参加である。本作品では3種のドラマ入りカセットが発売された。これ以前にあったスーパーアクションサウンドシリーズに比べ、戦いを描くシーンはほとんど無く、あくまでドキドキ放送局という番組進行の形になっている。以下にタイトルと概要を紹介する(挿入曲は割愛)。サブタイトルには特に決まったフォーマットはないが、いずれも交通用語や自動車に関連する言葉が含まれたものとなっている。特番などによる放送休止は以下の通り。DVDの表紙デザインはテレビ絵本雑誌のような絵柄になっている。デザイン担当は放送当時のメインスポンサーの講談社ではなく、小学館のてれびくん編集部である。『てれびくん』で上山道郎による漫画版が2度掲載された。内容は第1話をベースにしたもの(1996年3月号)と、シグナルマン登場の回をモチーフにしたもの(1996年6月号)である。上山は本作品以外に『忍者戦隊カクレンジャー』、『オーレンジャー』、『メガレンジャー』の漫画版も担当しているが、本作品が「一番描いていて楽しかった」と振り返っている。2011年には『海賊戦隊ゴーカイジャー』における元レッドレーサー・陣内恭介と6人目の戦士の登場を記念し、上山のブログとPixivでこれらに修正を加えたものが掲載された。各作品における詳細はそれぞれの項目を参照。
出典:wikipedia
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