琥珀(こはく)またはコハク(、アンバー)は、天然樹脂の化石であり、宝石である。半化石の琥珀はコーパル()、加熱圧縮成形した再生コハクはアンブロイド()という。バルト海沿岸で多く産出するため、ヨーロッパでは古くから知られ、宝飾品として珍重されてきた。鉱物ではないが、硬度は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い。琥珀は純物質ではないが、主成分は高分子のイソプレノイドである。これは、樹液に含まれるテルペンが天然樹脂やその化石となる過程の高温・高圧の下で、酸化、蒸発、重合などの化学変化を起こし、その結果として生じた重合体である。200℃以上に加熱すると、油状の琥珀油に分解され、過熱を続けると黒色の残留物である「琥珀ヤニ、琥珀ピッチ」という液体になる。「琥」の文字は、中国において虎が死後に石になったものだと信じられていたことに由来する。日本の産地である岩手県久慈市の方言では、「くんのこ」と呼ばれる。英名 amber は ('anbar)に由来する。古代ギリシアではエーレクトロン ()と呼ばれる。意味は「太陽の輝き」という意味である。英語で電気を意味する"electricity"は琥珀を擦ると静電気を生じることに由来している。古代ローマでは、 electrum、sucinum (succinum)、glaesum、glesumなどと呼ばれていた。ベルンシュタイン(ドイツ語:Bernstein) -ドイツ語で「燃える石」の意で、琥珀を指す。これは可燃性である石であることから名づけられた。ネックレス、ペンダント、ネクタイピン、 ボタンやカフリンクス、指輪などの装身具に利用されることが多い。人類における琥珀の利用は旧石器時代にまでさかのぼり、北海道の「湯の里4遺跡」、「柏台1遺跡」出土の琥珀玉(穴があり、加工されている)はいずれも2万年前の遺物とされ、アジア最古の出土(使用)例となっている。また、バイオリンの弓の高級なものでは、フロッグと呼ばれる部品に用いられることがある。宝石のトリートメントとして、小片を加熱圧縮形成したアンブロイド、熱や放射線等によって着色する処理も行われている。熱で溶解した琥珀にテレビン油またはアマニ油を溶解させた場合は、「琥珀ニス、琥珀ラッカー」と呼ばれる状態になり、木材の表面保護と艶出しとして塗布される。その他の利用法として、漢方医学で用いられることがあったという。南北朝時代の医学者陶弘景は、著書『名医別録』の中で、琥珀の効能について「一に去驚定神、二に活血散淤、三に利尿通淋」(精神を安定させ、滞る血液を流し、排尿障害を改善するとの意)と著している。ポーランドのグダンスク地方では琥珀を酒に浸し、琥珀を取り出して飲んでいる。琥珀は樹脂が地中で固化してできるものであるため、石の内部に昆虫(ハエ、アブ、アリ、クモなど)や植物の葉などが混入していることがある。こうしたものを一般に「虫入り琥珀」と呼ぶ。昆虫やクモ類などは通常の化石ではあり得ないような細部まで保存されていることから化石資料としてきわめて有用である。ただし、小説『ジュラシックパーク』の設定のように、数千万年前に琥珀に閉じ込められた生体片のDNAを復元することは実際には不可能である。なお、市販の「虫入り琥珀」については、コーパルなどを溶解させ現生の昆虫の死骸などを封入した、いわば「人造虫入り琥珀」である場合がある。特定の条件で琥珀を燃やした時に松木を燃やしたような香りがするが、近年の琥珀の香りと呼ばれるものは、人工的に再現された香が特許として取得され使用されている。それとは別に、近年のアンバーと呼ばれる香には、アンバーグリスを再現したものも指している。このアンバーグリスは、琥珀と同様に浜に打ち上げられたマッコウクジラの結石である。琥珀と似たような香木には、同様に樹脂の化石である薫陸というのも存在するがコハク酸を含まない。主な産地はかつてのプロイセンに相当する地域である、ポーランドのグダンスク沿岸と、ロシア連邦のカリーニングラード州で、ポーランド・グダンスク沿岸とカリーニングラード州だけで世界の琥珀の85%を産出し、そのほかでも、リトアニア共和国、ラトビア共和国など大半がバルト海の南岸・東岸地域である。産地であるバルト海沿岸を中心に、琥珀の交易路が整備された。この交易路は琥珀の道(琥珀街道)という名称が付けられた。ポーランドは琥珀の生産において圧倒的な世界一を誇り、世界の琥珀産業の80%がグダンスク市にあり、世界の純正琥珀製品のほとんどがこのグダンスク地方で製造される。毎年、グダニスクでは国際宝飾展AMBERMARTが催される。また、も建てられている。もっとも古い琥珀は、上部石炭紀の地層の物とされている。琥珀を擦ると布などを吸い寄せる摩擦帯電の性質を持つことは今日では有名であるが、歴史上最初に琥珀の摩擦帯電に言及をしたとされている人物は、現在は紀元前7世紀の哲学者タレスとされている。琥珀の蒸留物である琥珀油は、12世紀に知られていた。1546年にゲオルク・アグリコラは、コハク酸を発見した。古代ローマの博物学者プリニウスは、既に琥珀が石化した樹脂であることを論じていたが、その証明は18世紀のロシアの化学者ミハイル・ロモノーソフによってなされた。1829年にイェンス・ベルセリウスは、現代的な手法で化学分析を行い琥珀が可溶性および不溶性成分からなることを発見した。琥珀のような色、すなわち、透明感のある黄褐色や、黄色よりの橙色を、琥珀色、または英語にならってアンバーと呼ぶ。たとえば、ウイスキーの色あいをやや詩情を込めて述べるとき、この言葉を使うことがある。また自動車関連で、方向指示器などの色は一般に「アンバー」と呼ばれる。また、純色のうち、黄色と橙色の間にあたる色を amber と呼ぶことがある。信号機の黄色も英語では amber と表現する場合がある。なお、JIS慣用色名の中の「アンバー」や、「バーント・アンバー」「ロー・アンバー」というときの「アンバー」は、土から作る顔料の umber(アンバー (顔料))に由来する、茶系の濁った色である。混同しないように注意を要する。
出典:wikipedia
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