バット(bat)とは、野球で打者が投手の投球を打つために用いられる棒状の用具のことである。バットの形状は先端のボールが当たる部分(ヘッド)が太くなっており、手で握る部分(グリップ)は細く、さらに手元のグリップの端にグリップエンドと呼ばれる直径の太い部分が付いている。また、バットのグリップ側にはテープを巻くなどの滑り止め加工が施され、ヘッドの部分にはメーカー名などの刻印がされている。バットの材質には木、金属(超々ジュラルミンなどのアルミ合金)、炭素繊維強化プラスチック(俗に「カーボン」と呼ばれる)、竹などがある。特に木製バットを使用する際には、ボールがバットに当たる際にヘッドの刻印部分が上もしくは下を向くように持たなければならない。これは木目に対して平行に力が加わるようにして、折れにくくするためである。木製バットの材料には、アッシュ材や、ハードメイプル、ヒッコリーなどが使用されている。長らくメジャーリーグでは硬い(反発力の強い)ホワイト・アッシュが使われ、近年ではハードメイプルも多く使われているが、ヒッコリーは重いためあまり使われなくなっている。一方、日本のプロ野球では「材質が柔らかく、振ったときにしなりが出る」としてヤチダモやアオダモなどがよく使われ、特に良質なバット材として北海道産のアオダモが好まれている。松井秀喜、イチロー、ピート・ローズなどのバットを作った久保田五十一による作り方は次の通り:7cm角の角材を3-4ヶ月間自然乾燥した後、40時間真空乾燥する。機械で荒削り後、職人が30分程度手仕上げする。メジャーリーグへ日本人野手が移籍することが多くなった2000年代からは、ボールの材質や気候が違うことから日本人選手もホワイトアッシュなどを使用し始め、その堅さなどから日本球界でもアオダモ以外の材質バットを好む選手が増えてきている。アオダモはバットとして使えるものは樹齢80 - 90年とされており、近年では良質材の確保が困難なため、プロ野手でも使用を断念せざるを得ない状況となっている。そのため、豊田泰光らが「アオダモ資源育成の会」を立ち上げたり、折れたバットの再利用などもされている。折れたバットは、その素材を利用し、箸や靴べらなどの別の品物を作る材料に用いることがある。日本プロ野球で試合中に折れたバットは、職人の手により5~6本の箸に再生されている。日本野球機構では、日本シリーズやオールスターゲームなどの特別試合の試合前に、選手による植樹などの活動が行われている。木製バットの場合、バットの含水率は7 - 10%程度が理想と言われている。日本のように夏季の湿度が高い環境では、バットを裸のまま放置すると空気中の水分を吸い込んでしまい、含水率が理想の状態よりも高い値(最大で12 - 13%程度)になってしまう。含水率が高くなると当然ながらバットの重量が重くなり選手の感覚を狂わせる上、バットにボールが当たった際の反発力にも影響が出る。一方で冬季にエアコンのそばにバットを放置した場合など、バットが乾燥して逆に含水率が低くなり、事実上使えなくなるほど折れやすくなることもある。これらの要因から、近年プロ野球選手の間では、シリカゲル入りのジュラルミンケースにバットを入れて持ち運ぶことでバットの含水率を一定に保つことが一般的となっている。金属バットは、芝浦工大学長も務めた大本修(平成24年度野球殿堂入り)が、1960年代に米国メーカーよりも先に考案したと言われている。大本は通商産業省による金属バットの安全基準作りにも関わった。金属バットで硬球を長期間打ち続けると、打球音の影響で聴力が低下することが指摘されている。現在はバット内部に音響放射を低減させる作用を持つ防音・防振材が貼り付け又は充填されるようになった。接合バットは竹の合板を軸として打球部分にメイプルなどの木材を貼り合わせている。ラミバットとよばれる。竹バットや接合バットは、金属バットより「芯」が狭い、「芯」を外した時には衝撃がくる、1本の木材から作られたものより丈夫であり安価である、ということからアマチュア野球の練習用バットとして使われている。ミズノなどから軟式野球用に外側がゴム(エーテル系発泡ポリウレタン)のものも販売されている。これらは軟式ボールの変形をおさえ、反発係数を高めることで飛距離を増すというものである。硬式球を打つための硬式用バットと、軟式球を打つための軟式バットがある。打者のタイプによって重心の位置が異なっており、長打を狙う選手はグリップが細く、ヘッドが太い先端に重心があるバット(トップバランス)、短打を確実に狙う選手にはグリップが太く、ヘッドが細いバット(カウンターバランス)が好まれる。プロ野球選手の場合には特注されることが多く、実際に使われているものに似せたバットが、その選手名を冠して「○○モデル」として市販されている。練習用として、投手の投球を打つことを目的としないバットがある。ノックの打球を確実に打つため、細く軽量に作られたノックバット、スイングの矯正などに用いられる長尺バットなどがある。筋力を付けるために重く作られたバットをマスコットバットと呼ぶ。また、素振りの際に鉄製のリングをバットに取り付け、錘としてボールを打つ時の感触に近づけることがある。サインバットはもっぱらサインを記念として残す目的で製作されているバットである。公認野球規則には1.10にバットについての規則がある。公認野球規則をもとにプロ野球、社会人野球、高校野球、軟式野球についてバットの基準が定められている。このほか各大会で使用できるバットの材質、色、形状などがそれぞれ規定されている場合もある。いずれも異常に打球が飛ぶような細工などの不正行為を防ぐため、細かな規定がある。公認野球規則はバットの材質について1本の木材で作られるべきであるとしている(公認野球規則1.10(a))。日本のアマチュア野球では、各連盟が公認すれば、金属製バット、接合バット(木片の接合バット及び竹の接合バットで、バット内部を加工したものを除く)の使用を認めることになっている(公認野球規則1.10(a)及びその注2)。認められる範囲は高校野球と社会人野球で異なる(後述)。公認野球規則はプロフェッショナル野球では規則委員会の認可がない限り着色バットは使用できないとしているが、日本のプロ野球では着色バットの色について別に定める規定に従うこととしている(公認野球規則1.10(d)及びその注1)。五輪では圧縮バットの使用が認められており、その使用の有無は各選手たちに委ねられていた。日本プロ野球では、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットは、コミッショナーの許可があるまで使用できないとされている(公認野球規則1.10(a)及びその注1)。かつては反発力を高めるために木材に樹脂加工を施した圧縮バットが使用された時期もあったが1981年のシーズンより禁止された。また、日本のプロ野球では着色バットの色について別に定める規定に従うこととしている(公認野球規則1.10(d)及びその注1)。2002年から着色バットが認められたが、2005年からは国際規格に合わせて淡黄色が禁止され、自然色と合わせて、こげ茶、赤褐色、黒の3色が認められている。2011年からは、着色する場合でも木目の確認しやすい程度の色の濃さにすることが定められた。日本の高校野球では、木製バット、木片の接合バット、竹の接合バット、金属製バットの使用が認められている。実際は使いやすさや耐久性の点から金属製バットの使用がほとんどである。色は木目色、金属の地金の色、黒色のみとされている。それ以外の着色バットは認められていない。また、金属製バットは1974年の大会から使用が許可されたが、甲高い打球音が球審や捕手の難聴の原因になるとされ1991年には打球音を抑えた消音バットを採用している。更に、過度な軽量化がなされた結果、バット自体の破損や強すぎる打球によりプレーへの安全性が懸念された為、2001年より900g以下のバットの使用が禁止されている。社会人野球では、2005年シーズンからはすべての大会で木製バットの使用が義務付けられ、接合バット、樹脂加工バット、着色バット(ダークブラウン、赤褐色、淡黄色で、木目が目視できるもの)の使用が認められている。かつても木製バットが使用されていたが、野球の国際的な普及を目的に、国際大会で金属バットが導入されたことから1979年シーズンから金属バットの使用が認められていた。しかし、オリンピックにおけるプロ参加が解禁されるようになり、国際大会でも木製バットが使用されるようになったことから、2002年シーズンからは木製バットを使用している。ただし、バットの折損からくる負担を考慮し、全日本クラブ野球選手権大会とその予選、クラブチームのみ参加する大会では、引き続き金属製バットの使用が認められていた。バットは凶器となりうることから、公共の場所や乗り物において、人に不安を覚えさせるような方法で携帯すること等は迷惑防止条例などで禁止されている。
出典:wikipedia
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