アッガイ (ACGUY) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は、1979年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』。作中の敵側勢力である「ジオン公国軍」の量産機で、水中航行能力を持つ水陸両用MSの一つ。「ザクII」などの汎用MSよりも大型の頭部と丸みのある体型を持ち、両腕に爪や火器を内蔵している。ザクIIの部品を流用することで、生産性を高めているという設定。メカニックデザインは大河原邦男。その愛嬌ある独特の姿から、後年では「癒しキャラクター」や「萌えキャラクター」としても認知され、それに準じた関連商品も発売されている(詳細は後述)。焦茶色とクリーム系ブラウンで塗装された、全体的に丸みを帯びている形状の水陸両用MS。モノアイレールは横方向の全周ターレットに加え、上方向にも設置されているために不要な機能とも判断されるが、画面では頭部を回転させるシーンが頻出する。戦闘後に口から白煙を吐くという光景も見受けられた。ジオン公国軍は水陸両用MSとしてゴッグやズゴックの開発に着手したが、これらは高出力のジェネレーター搭載のために生産コストが高いという問題点を抱えていた。そこで、コストを抑えた廉価版の水陸両用MSを開発することとなった。本機はズゴックより後の開発着手だったが、先に完成したためより若い型式番号となっている。MSとしては初めて複座式コクピットを採用し、水陸両用MSの訓練用としても用いられた。高出力の水冷式熱核反応炉ではなく、生産コストを抑えるために水冷式へ改造したザクIIのジェネレーターを流用した結果、非常に低コストのMSとして完成した。また、発熱が抑えられたことに加えて特徴的な流線的ボディにより、センサーやカメラに対するステルス性が高くなり、偵察任務などに使用されることが多かった。しかし、出力の問題を抱えていたためにジェネレーターを2基搭載とすることでこれを解決し、偵察時の移動中は1基のみを使用することで廃熱を抑えることで対応した。資料によっては装甲表面に電磁波吸収剤が塗布されていたともいわれる。水中よりも湿地を中心とした陸上における機動性が高く評価され、ジャブロー攻略用のアッグガイ、ジュアッグのベースとして用いられた。本機もジャブロー攻略戦に数機が投入されているほか、0079年11月初旬に生起したオデッサ作戦に投入された機体も確認されている。『機動戦士ガンダム』第30話で初登場。シャア・アズナブル率いる特殊部隊が連邦軍本部ジャブローの潜入任務に使用する。シャアは、アッガイの性能をあまり評価していない様子だった。潜入後ハッチから降りる際に赤鼻の機体を除く各機に2人ずつ搭乗していたのが確認できる。破壊工作に失敗し直ちに撤収を図るも、ガンダムの執拗な追撃を受けて潜入した4機がすべて撃破される。劇場版『哀・戦士編』ではガンダムとの直接交戦はなく、脱出中に背後から61式戦車にコクピットを直撃されて1機(赤鼻の機体)が撃破される。続々編の『機動戦士ガンダムΖΖ』では、サイド3のコロニー・タイガーバウムにてスタンパ・ハロイ所有の機体にハマーン・カーンが搭乗し、ズゴックを駆るジュドー・アーシタと交戦する。この機体は両腕が爪で、ホバリングもできる。スタンパ邸内の他機体と同様、コクピットのリニアシート化など、独自の改修が加えられていた。OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』第9話では、右腕を失った状態でカレン・ジョシュワが搭乗する陸戦型ガンダムと交戦。湖中からの奇襲でカレン機の頭部を破壊したが、ホバートラックの陽動で隙をつくり、ビーム・ライフルに撃たれて撃破される。本作品に登場するアッガイはデザインがアレンジされている。漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、土木作業用にも適した旧型MSという設定になっており、同作のザクの原型機である「モビルワーカー」に近い性能を持っていた。また、腹部の帯状の装甲は前方に倒れ、股間部のハッチから兵員が乗降するためのタラップとなる機能が加えられ、搭乗できる人数も増加した。他にも漫画版『機動戦士ガンダム』では、シャアが搭乗。ジャブローでガンダムを撃墜寸前まで追いつめるが、ウッディ大尉によって阻止される。漫画『機動戦士ガンダム アッガイ北米横断2250マイル』では、キスノ兄弟が搭乗しキャリフォルニアベースを目指して北米大陸を横断する物語が描かれた。この機体は、漫画『アッガイ博士 最終話「アッガイ燃ゆ」』でガルマ大佐の元へ送られたプロトタイプという記述がある。漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場するアッガイは全天周囲モニターを搭載するなど近代化改修が行われている。また、上述したように作中でのアッガイの解説としてステルス性の高さが指摘、考察されている。以前は安彦良和のデザインではないかとも推測されていたが、否定されている。なお、監督の富野喜幸によるラフがあるとの説もあるが信憑性は低いため、本機は番組第30話に登場予定だったアッグガイを基本原型として生まれたものとされる。テレビ放映時にはアッガイに細かい設定は全くなかった。1981年、講談社ポケット百科シリーズ『ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』において、型式番号の「MSM-04」の他、「高さ17m」「重さ98t」「走行速度80km/h」「水中速度30ノット」「出力80000馬力」などの設定数値が記され、武装の名称やその威力等も記述された。その後、『ガンダムセンチュリー』において「ザクのジェネレーターを流用した複座練習機として開発され、潜入工作用の機体はF型と呼ばれ60機程が生産された」という設定が創作された。ただ、この「MSM-04F」の型式番号の記述はその後の文献では見受けられず、「ザクのジェネレーターを流用」についても先行する『ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』にある出力設定との間に矛盾が生じている。腕部の武装についてはさまざまな設定が混在している。劇中ではメガ粒子砲を使用する描写はないものの、30話、61式戦車を撃破するシーンでメガ粒子砲と取れなくもない描写と効果音が付いている。『ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』(1981)では、アイアンネイルの収納穴から放たれる火器を「バルカン砲」、左腕においてアイアンネイルの中央にある発射口を「ロケット砲」と記述している。『MSV』では両腕ともメガ粒子砲、クロー装備となっている。設定画稿をよく見ると左腕はロケットランチャーだが、判別しにくいため、1980年代末頃までは認知されていなかった。『機動戦士ガンダム 公式百科事典』では右腕のみメガ粒子砲、クロー装備、左腕は6連装ロケットランチャーとなっている。なお、旧1/100プラモデルの解説においては1982年の時点ですでに右腕の砲身はバルカンとされていた。『週刊ガンダム・ファクトファイル』では腕部ユニットが換装可能と記述され、これまでのさまざまな設定に対応できる形となっている。また、バンダイのプラモデル「1/100 MG(マスターグレード) アッガイ」の取扱説明書では、ジェネレーターを2基搭載するという設定が追加されている。これは、ザクII J型用ジェネレーター1基のみではメガ粒子砲を使うための出力を発揮できないという矛盾を解消した新設定である。ただし、このキットではロケットランチャーと機関砲のみを装備している。製造メーカーについては長らくジオニック社製とされており、前述のバンダイ・MGアッガイのキット(2005年)の解説でも「キャリフォルニアベースのZEONIC工廠製」と記されている。外部スタッフによる編集のエンターブレイン発行『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル』(2003年)のみ、スウィネン社にて開発・生産されたとの設定になっている。映像をもって公式とするサンライズの見解に従えば、前者のメーカーは『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』に登場しているが、後者はそもそも個人のウェブサイトで創作されたものであり映像作品は登場していないため、非公式という扱いになる。ただし、「アッガイがジオニック製」という描写も、同様に劇中には存在しない。後に曽野由大の漫画『アッガイ開発物語』にてスウィネン社のことが触れられている。なお、ステルス機は1981年にF-117が開発されるまで存在していない。そのため、テレビシリーズでの放映当時にはステルスという言葉自体が一般的ではなく、当時の資料にはアッガイとステルス性を結びつける記述はない。ただし劇中、地球連邦軍がアッガイの接近に気が付いていない描写はある。偵察機として廃熱が少ないという設定は前述の『ガンダムセンチュリー』が初出である。そして『MSV』や各種ムックにおいて外部スタッフによりステルス性についての非公式設定が加わっていった。また、同様に後付け設定である「鯨と誤認される」という設定は、目視ではなくセンサー(アクティブおよびパッシブソナー)での話であり、機体サイズはあまり関係ない。本編では活躍シーンのない「やられ役」として描かれているアッガイだが、放送終了後の時を経るうち、「頭でっかち」、「子供のような丸っこい体形」に一部ファンが可愛さを見出し、やがて「癒しキャラクター」「萌えキャラクター」という地位を確立。擬人化や変り種の改造、または風変わりなゲームプレーなど、独自のキャラクターとして進化している。2009年5月の静岡ホビーショーで「招き猫アッガイ」や「木登りアッガイ」など30体以上を出展した模型クラブ代表は、かっこよいイメージが固まったガンダムに比べ愛嬌がある(ように見える)アッガイには改造の余地が充分にあると語った。また、ガンダムファンで知られる橋爪紳也は、愛らしいキャラクターに溢れて育った本放送を知らない世代が、アッガイの魅力を再発見したと分析している。劇場版第2作『哀・戦士篇』のパンフレット裏表紙に掲載された、安彦良和のイラスト「小さな防衛線」での「体育座りポーズ」が知られるようになる。また、イラスト中で2頭身にディフォルメされたことから、元祖SDキャラとも呼ばれる。1/100プラモデルには「あたまでっかち」「涎掛けのような胴体」「タコのような口」「小さな子供を思わせるような姿」といった、兵器とは思えない妙なセールスポイントが記されている。なお、平成以後の設定変更によってアッガイはガンダムより全高が高くなり、体型の差もあって2周り以上大きい巨体と化し、対峙した画像をみると「かわいい」とは言いにくくなった。1994年のアーケードゲーム『機動戦士ガンダム EX REVUE』に登場し、今度は「いじられキャラ」としてのイメージが決定付けられることとなる。他の登場MSに比べ非常に弱いとされたが、その一方で挙動が非常にユーモラスである。特に際立っていたのが勝利ポーズで、他のMSが銃を掲げたり、剣を振ったりするのに対して、アッガイは「くるくるハッフンどすこい」と通称される、全く異質のものだった。これにより、コメディリリーフとしての方向付けが固定化された。また、漫画『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』に登場する「アッガイファイト」の影響も大きい。『機動武闘伝Gガンダム』の「ガンダムファイト」のパロディ「アッガイファイト」を描いたこの作品で、アッガイは一気にアニメファンに浸透することとなる。このパロディシリーズは『新機動戦記ガンダムW』をも巻き込み、結果「ファーストガンダムを見たことはないがアッガイは知っている」という女性ファンが増えるという現象を作り出した。また、この漫画の影響からか、後にゲーム『SDガンダム GGENERATION』ではシャイニングガンダムの設計にアッガイが必要となるケースも出るようになり、さらに続編『SDガンダム GGENERATION-F.I.F』のガンダムファイトEXモードでは、『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュが大幅に改造強化されたアッガイに搭乗している。その他、プレイステーションの対戦格闘ゲーム『ガンダム・ザ・バトルマスターII』での登場機体の一つでもあり、その挙動は非常にコミカルなものである。アッガイの知名度が向上したのは、2001年のアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン』によるものが大きい。このゲームのバージョンアップ版が稼働され、稼働から2か月経ったころに「鹵獲モード」の存在が明らかになった。稼働当初は連邦はジオンのMSを、ジオンは連邦のMSを選べなかったが、鹵獲モードを開放することで敵軍の機体が使えるようになり、敵軍のMSはカラーリングが変わっているという要素もあった。このモードで選べる連邦版のカラーリングがドラえもんに似ているという声が高くなったこともあり、ドジだけど愛らしい、いわゆる萌えキャラとしての側面も持つように見なされていった(機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオンも参照)。また、その一般普及には漫画『機動戦士ガンダムさん』がその先鋒を担っている。ちなみに『ガンダムさん』ではシャア・アズナブルとララァ・スンが「昔はアッガイ好きと言っただけで変人扱いされたものだ」「良い時代になりましたね」という会話をしている。その後、アッガイを萌えキャラとして扱った二次創作物が同人誌やインターネット上で次々と発表され、萌えキャラとしてのイメージに拍車をかけた。最近では、『機動戦士ガンダム 戦場の絆』にてジオン所属のプレイヤーでマッチングした4人全員(8人プレイが実装された以降は場合によっては8人全員)がアッガイを選び、そろってミサイル発射などコミカルな動きを楽しむ通称「アッガイ祭り」で盛り上がることもあり、バンダイナムコゲームスの担当者も驚きとともに好意的に受け止めている。2009年稼働のアーケードゲーム『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT』のゲームセンター向け案内資料では、などのほか、ゲーム中においてもと、制作者やバンダイナムコゲームスの資料作成者たちにも好感をもたれているように見受けられる描写がある。また、「アルカディア」での攻略記事では他の新規参入組や前作続投組を差し置いて最初に登場した。しかも、同じ新規組のデスティニーガンダムやガンキャノンが1/4ページしか与えられなかったのに対し、1ページ分も与えられたほどである。これらの事態がアッガイを表舞台へと引きずり出し、2005年にはマスターグレードキットがリリースされるまでに至った。一般には「人気は今一つで需要がない」、「マスターグレード化の暁には、5万円位でないと商品化されないだろう」と実しやかに言われていたが、他のMGキットと同等の価格で発売された。「リアリズムよりもアッガイらしい設計を心掛けた」キットとされるが、内部メカの造型はそれまでのシリーズのノウハウを導入した充実を見せる品となっている。また、関節の可動範囲も広く取られており、「体育座り」のポーズをとることができる。この技術は後発のHCM-Proにも活かされ、組み立ての手間なしに座るアッガイが再現できる。更に2007年にはハイグレード・ユニバーサルセンチュリー版のキットもリリースされ、こちらでは「不良座り」のポーズをとることができる。作中にガンダムネタが多用される『ケロロ軍曹』においては、主人公のケロロがアッガイになるというエピソードも展開された。バンダイ製の箱入りフィギュア「ソフビスーツガンダム」において、『箱の中心を押さえたとき、中身がみっちり詰まっているのがアッガイ』という、実にわかりやすいサーチ方法が知られたため、アッガイばかりを抜いて買ってゆくユーザーが続出した。2010年にはガンプラ30周年を記念して制作されたOVA『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』に、アッガイのプラモデルを改造してクマのヌイグルミっぽい意匠にしたベアッガイという機体が登場した。同年12月にはガンプラHGとして発売され、アッガイの萌えキャラ改造をオフィシャルであるバンダイが逆にガンプラに取り込んだ事例となった。2013年9月にはセブンイレブンオリジナルカラーリングプラモデル「HGUC アッガイ Ver.GFT」が、日本全国のセブン-イレブンで限定発売された。2013年10月より放映されたテレビアニメ『ガンダムビルドファイターズ』及びその公式外伝『ガンダムビルドファイターズ炎』には、ベアッガイをよりかわいらしくリニューアルした「ベアッガイIII(さん)」とそのベース機「ベアッガイII」が登場した。動きもさらにかわいらしくされているほか、女子に人気があるという設定が付与されている。さらにテレビアニメ続編『ガンダムビルドファイターズトライ』では、本体(「ママッガイ」)とオプションの小型ベアッガイ(「プチッガイ」)からなる親子機「ベアッガイF(ファミリー)」が登場した。『ビルドファイターズトライ アイランド・ウォーズ』ではベアッガイP(プリティ)も登場した。なお、劇中ではベアッガイ・ベアッガイIII・ベアッガイFのいずれも脇役ながら意外な活躍ぶりを見せている。また、プチッガイはHGPG(ハイグレードプチッガイ)として単品販売も予定されており、「バーニングレッド」、「ライトニングブルー」、「ウイニングイエロー」、「フューチャーピンク」の四色(元々のベアッガイF付属の物はシアン)がラインナップされている。2015年のキャラホビでは量産型プチッガイ(グリーン)、2016年のガンプラEXPOでは黒い三連プチッガイ (黒と紫)が販売。ガンダムビルドファイターズトライの後期オープニングテーマ「Just Fly Away」の初回限定盤同封のベリーベリーベアッガイFにはベリーベリープチッガイ(ピンク)が付属。後に「ミルクホワイト」、「チャチャチャブラウン」の2色、パンダを模したモノクロの「パンダッガイ」、楽器を持った「ラパパンパープル」(ドラム装備)、「サーフグリーン」(ギター装備)が発売。黒猫・白犬コス(耳・口・シッポ)の付属した「ストレイブラック」、「ワンワンホワイト」の発売が予定されている。
出典:wikipedia
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