貨幣(かへい、)とは、モノやサービスとの交換に用いられる「お金」を、経済用語では貨幣、または通貨と呼ぶ。貨幣とは、経済学上は、価値の尺度、交換の媒介、価値の蓄蔵の機能を持ったモノのことである。広義には、本位貨幣の他にも、法律により強制通用力を認められている信用貨幣も含める。つまり「貨幣」という語は、鋳貨・紙幣に加えて、当座預金などの信用貨幣も含めて指す場合が多い。なお、慣習的な用法として、法令用語の意味における貨幣と紙幣・銀行券をあわせて「お金」と呼ぶことが多い。政府は、租税の算定に通貨を用いる(法定通貨⇔仮想通貨)。法定通貨が額面通りの価値を持つためには、その貨幣を発行する政府に対して国民の信用が存在することが必要条件である。貨幣の重要な機能として次のようなものがあり、いずれかに用いられていれば貨幣と見なせる。それぞれの機能は別個の起源と目的をもっている。貨幣は4つの機能によって用途が分かれており、身分によって使える貨幣が決まっていたり、共同体の内部と外部とで用いられる貨幣が異なっていた。すべての機能を含む全目的な貨幣が現われたのは、文字をもつ社会が誕生して以降となる。現在は1国につき1通貨の制度が主流となっているが、歴史においては、公権力によらずに国際的な貿易で流通する貨幣や、各地域が独自に発行する貨幣が多数存在していた。このため、複数の貨幣が用いられていた。経済学では貨幣という用語は、銀行の当座預金や普通預金などの預金通貨や、定期預金などの準通貨を含むより広い意味で用いられることが多い。貨幣数量説、貨幣乗数などの用語における貨幣は、こうした用例である。貨幣は、財・サービスと交換できるため、人々に求められると考える。貨幣は、財との交換回数の節約という形で、経済の効率化に重要な役割を果たしている。デイヴィッド・ヒュームは、貨幣は商業の実体ではなく、財貨相互の交換を容易にするために人々が承認した道具と定義した。アダム・スミスは、富とは貨幣ではなく貨幣で買える商品であり、貨幣は商品が買えるから価値があるにすぎないと論じた。デヴィッド・リカードは、貨幣は交換のための単なる媒介と定義している。スミスやリカードによる、貨幣は商品交換の媒介にすぎないという思想は、19世紀後半の新古典派経済学では「貨幣の中立性」と表現された。「貨幣の価値」は「貨幣のモノとしての価値」とは異なる。例えば、不換紙幣の場合、モノとしての日本の千円札は印刷物でしかない。「千円札」を文字や模様が印刷された紙として利用して得られる効用は、「千円で売られているランチ」から得られる効用に及ばない。異時点間における貨幣価値をあらわす概念として割引現在価値がある。これは、将来の貨幣価値は現在の貨幣価値に利息分が上積みされたものと考えて、その利息を生むために必要な現在の貨幣価値と同等とみなすものである。たとえば利率が年に10%であり、日本円で9091円を預金すると来年には909円(=9091×10/100)の利子を受け取ることができるものとする。すると、来年にはあわせて10000円になる。この場合、来年の10000円の割引現在価値は9091円である。貨幣はあらゆる商品の価値を統一的に表現できるため、これを逆算すれば一定の貨幣量で購買可能な商品量を表現できる。この貨幣の能力を「購買力」と呼ぶ。また一定の商品量を購買するのにどのくらいの貨幣量が必要かを調べ、これを国際比較することで数値化ができ、これを購買力平価と呼ぶ。商品の交換には、財・サービスの交換比率や買い手・売り手に関する情報が必要となる。貨幣は、この情報を入手するための費用を節約する。この情報が欠けていると、互いに相手の所有する商品を同時に欲している場合にしか交換が成立しない。このような「欲求の二重の一致」なしに交換を成立させるものとして、貨幣は商品経済の発達を進展させ、分業と交易の拡大をもたらす。また貨幣は、完全な情報を仮定するミクロ経済学では登場せず、マクロ経済学の分析対象となる。マルクス経済学は一般的な通貨の3機能(尺度、保蔵、交換)に加え、債権債務の支払手段としての信用貨幣、国際的な決済や支払いに用いる世界貨幣、労働価値説との関係を指摘している。国家が租税の算定に用いる通貨を法定通貨と呼び、法定通貨は租税の他にも賃金などへの強制通用力が法的に認められている。かつて貨幣は本位貨幣(本位金、銀貨)を指す言葉であり、政府紙幣や銀行券とは区別されていた。明治4年(1871年)に造幣局が創業して以来、日本の法律上の「貨幣」とは、新貨条例および貨幣法に基づき発行された本位貨幣および補助貨幣を指した。臨時通貨法施行後は1988年3月末まで臨時補助貨幣のみの発行となったが、1988年4月1日に通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年六月一日法律第四十二号)が施行されると、法的な本位貨幣と補助貨幣の区別はなくなり、すべて「貨幣」と称することになった。「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」によれば、「通貨とは、貨幣及び日本銀行法 (平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項 の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。」(同法2条3項) とされ、また「貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。」(同法5条1項)と規定される。また、同法附則により貨幣とみなす臨時補助貨幣として同法律施行以前に発行された五百円~一円硬貨および記念硬貨が規定されている。この法律の施行により、明治時代から発行されていた本位貨幣の一円、二円、五円、十円、二十円の旧金貨(それぞれ額面の2倍に通用)と五円、十円、二十円の新金貨は1988年3月31日限りで廃止になり、名実ともに管理通貨制度に移行した。したがって、現在の日本の法律上の貨幣とは、1948年(昭和23年)以降に発行された五円硬貨、1951年(昭和26年)以降の十円硬貨、1955年(昭和30年)以降の一円硬貨と五十円硬貨、1957年(昭和32年)以降の百円硬貨、1982年(昭和57年)以降の五百円硬貨と、1964年(昭和39年)以降に記念のために発行された千円硬貨、五千円硬貨、一万円硬貨、五万円硬貨、十万円硬貨を指す。2014年現在の日本における法令用語としての「貨幣」は、もっぱら補助貨幣の性格を持つ硬貨のみを指し、「紙幣」及び「銀行券」とは区別されている。同法第7条により、貨幣は額面価格の20倍までに限って、強制通用力が認められている。すなわち、支払を受ける側は、貨幣の種類ごとに20枚までは受け取りを拒むことはできない。例えば、12,000円の買い物をして、五百円硬貨と百円硬貨各20枚で支払うことは認められる。ただし、21枚以上であっても、支払を受ける側が拒否せず受け取るのは自由である。なお、貨幣をみだりに損傷・鋳潰しすると、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる(貨幣損傷等取締法 ここで言う貨幣に銀行券は含まない)。社会学では、貨幣による市場における交換は、貨幣尺度で反対給付が確定している経済的交換として捉えられ、たとえば長期的な利害を共有するコミュニティの内部におけるような、相互善意を前提した反対給付が確定しない社会的交換とは対比される。離島、炭鉱などの場所や、世界各地のハンセン病療養所やコロニーなどの施設において、それぞれの用途に合わせて貨幣が発行されていた。
出典:wikipedia
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