ウイスキー(、愛/)は、蒸留酒の一つで、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留したものである。日本語ではウィスキーとも表記されるほか、商品名においてはウヰスキーまたはウ井スキーも用いられる。なお、酒税法上の表記は「ウイスキー」であり(酒税法3条5号ハ)、国税庁も「ウイスキー」の表記を用いている。なおスコッチ・ウイスキーは whisky、アイリッシュ・ウイスキーは whiskey と表記される。「ウイスキー」の名称は、ラテン語のaqua vitae(アクア・ヴィテ、「命の水」の意)に由来する。このaqua vitaeは元々はぶどう酒を蒸留したもので、今でいうブランデーのことである。aqua vitaeは1300年代にジェノア等イタリアの貿易都市から外交官・貿易業者・各国からイタリアに留学した修道士や学生たちの手によりヨーロッパ各地に広まった。直後の15世紀初頭にはaqua vitaeの製法そのものも各地に広まるようになり、ブドウだけでなく各地で手に入る材料(果物、大麦、小麦、ライ麦、のちの時代にはジャガイモなど)を用いて製造されるようになった。当時aqua vitaeは嗜好飲料ではなく薬品の扱いであった(ロシアでは1430年ごろからこれを医薬品でなく嗜好品として飲む習慣が広まった)。スコットランドやアイルランドではaqua vitaeをゲール語に逐語翻訳した uisce beatha(、「命の水」の意)の「水」の部分uisce(ウィシュケ)が訛って「ウィスキー」となった。また、こういった説もある。伝説では420年ごろ、聖パトリックが近東まで旅した時に錬金術とともに蒸留器を持ち帰ったという。その伝説と関係あるかどうかは不明だが、11世紀にはアイルランドの修道院でセルヴォワーズを蒸留した酒が作られていた。この酒は聖水という意味の「ウシュクベーハ」と呼ばれていた。スコットランドではuisge beatha、アイルランドではuisce beathaとなる。1170年にヘンリー2世がエールに侵攻した時、修道院を接収したイングランド兵が酒の入った小樽を発見し、仲間のもとに矢のように飛んで(to wisk)帰り、喜びを分かち合い、Whiskeyとして世に広まる事となった。なお、アイリッシュウイスキーはその蒸留器が1276年の税務管理の認可記録簿にウイスキー史上最古の文書記録として残っている。なおブランデーはフランス語では今でも(オードヴィー、「命の水」の意)である。ポーランドではaqua vitae(アクア・ヴィテ)は当初は外来語としてそのままoko-wita(オコ・ヴィタ)と訛って呼ばれていたが、スコットランドやアイルランドの場合と同じように、ポーランド語への逐語翻訳であるwoda życia(ヴォダ・ジチャ、「命の水」の意)の「水」の部分wodaを指小形としてwódka(ヴトゥカすなわちウォッカ、「(ちっちゃな)水ちゃん」の意)とし、これが現代まで定着した。ロシアでもモスクワ大公国において大公ドミートリー・ドンスコイの治世である1386年にジェノアの大使によってaqua vitaeがもたらされた(製法はこれよりかなり後になって伝わった)が、しばらく「蒸留酒」の意味の(スピルト)の名称が一般的であった。しかしいつしか(ヴォトカ、すなわちウォッカ)という名称がこれに取って代わり、ロシアではウォッカが蒸留酒一般を指す語となった。スカンジナヴィアではaqua vitaeは外来語としてakvavit(アクファヴィト)と訛り、これが後にaquavit(アクアヴィット)に転じ現代まで定着した。この各国それぞれの「命の水」は各地で医薬品から嗜好飲料となり、現代まで愛されるようになった。現代ではウィスキーも含めこれらはみな別々のアルコール飲料と認識されているが、このように元来は同じものである。ウイスキーについて、世界共通の明確な定義があるわけではないが、各国の法制度上、種々の目的から定義されていることがある。日本においては、酒税法3条15号において、次のように定義されている。上記定義から除かれている「第九号ロからニまでに掲げるもの」とは次のものであり、ウォッカ、ラム、ジン等のスピリッツが除外されていることになる。欧州連合においては、スピリッツ飲料の定義、記述、展示、ラベル表示および地理的表示保護ならびに理事会規則(EEC)1576/89号の廃止に関する2008年1月15日欧州議会・理事会規則(EC)110/2008号別紙II第2項において、ウイスキー(whiskyまたはwhiskey)が、次のように定義されている。アメリカ合衆国においては、連邦規則集第27編第1章A節第5款C目5.22条(b)項柱書において、ウイスキー(whisky)が次のように定義されている。「ウイスキー」という名称が歴史上はじめて文献に登場したのは、1405年のアイルランドである。しかし15世紀当時は嗜好品としての飲用ではなく、薬であった。このときウイスキーは修道士たちによって製造されていた。この1405年にはポーランド・地方裁判所の公文書("Akta Grodzka"、Municipal Recordsという意味)で「ウォッカ」の名称が使われており、奇しくもこれがウォッカの名称に関し現存する最も古い記録である。当時のウイスキーとウォッカは同じものであった。スコットランドでも1496年に記録が残っている。最初に蒸留アルコールが製造されたのは8世紀から9世紀にかけてであり、その場所は中東だった。蒸留の技術は、十字軍によってヨーロッパにもたらされたと言われているが、ムーア人の錬金術士は5世紀ごろのアンダルシアで蒸留器を使った研究を行っている。麦を発芽させ、その麦芽に含まれる酵素を利用してデンプンを糖化させる。この方法自体はビールの仕込みとほぼ同じであり、これを濾過して麦汁(ばくじゅう)を得、これを酵母によって発酵させると、アルコール度数7〜8%の「ウォッシュ」(Wash) と呼ばれる液体となる。これを単式蒸留器で蒸留する。一般に、複数回の蒸留を終えた際のアルコール度数は60〜70%で、色は無色透明である(これをニューポットと呼ぶ)。蒸留液は木製の樽(樽を用いた熟成)に詰められ(スコッチ・モルト・ウイスキーでは通常、材木にオークが用いられるが、これに限らない)、数年以上エイジングして熟成させることによって豊かな風味と色を呈する。ウイスキー原酒は熟成により、樽毎に異なる風味に仕上がるものであり、最終的にはこのいくつかの樽の原酒を調合し、香味を整えてから度数40%程度まで加水し、瓶詰めされ出荷される。また、低価格品でも高級品でも、同一メーカーであれば同じ原料と同じ製法であるところが、日本酒やワインなどの醸造酒とは大きく異なる点である。飲み方は多様。そのままで(ストレート)、または水で割り(水割り)、もしくは氷を入れて(オン・ザ・ロック。クラッシュとも)飲むほか、カクテルの材料として加えられることもある。スコッチ・ウイスキーにおいては大麦麦芽(モルト)のみを原料とするもの。一般的に、単式蒸留釜で2回(ないし3回)蒸留する。少量生産に適しており、伝統的な製法。もっとも、大量生産や品質の安定が難しい。アメリカン・ウイスキーにおいては、大麦が原料の51%以上を占めるものを指す。なお、アメリカン・ウイスキーにおいては大麦のみを原料とするものをシングル・モルトウイスキーと呼ぶが、スコッチ・ウイスキーにおいては1つの蒸留所で作られたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたものを指す。トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀物(grain)を主原料に、大麦麦芽を加えて糖化・発酵させたウイスキー。連続式蒸留機による蒸留を経るため、モルトウイスキーに較べ香味に乏しく、通常はブレンデッドウイスキーに加えられ、風味を和らげる。しかし高級モルトウイスキー同様の長期熟成を行ったシングル・グレーンの最終商品も稀少ながら発売されている。スコッチ・ウイスキーにおいては、モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーをブレンドしたもの。大量生産や品質の安定に適している。アメリカン・ウイスキーにおいては、ストレート・ウイスキーに他のウイスキーまたはスピリッツを混ぜたものを指す。主に北アメリカで生産される。ライ麦を主原料とする。カナダとアメリカ合衆国ではそれぞれ定義が異なる。トウモロコシを原料とする。バーボン・ウイスキーのうち、原材料の80%以上にトウモロコシを用いたものを指す。産地などによって原材料や製法に違いが見られ、そのため以下のように区別される。スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーが世界の五大ウイスキーとされる。ただし、ジャパニーズウイスキーを含めることについては、日本のメーカーだけが主張している可能性、スコットランドの一般人がこのような認識を持っていない可能性を指摘する意見もある。英国スコットランドで造られるウイスキーをスコッチ・ウイスキーまたは単にスコッチと呼ぶ。仕込みの際に、泥炭(ピート)で麦芽を燻蒸するため、独特の香気(スモーキー・フレーバー)があるのが特徴である。アイルランド(アイルランド共和国と英国北アイルランド)で造られるウイスキーをアイリッシュ・ウイスキーと呼ぶ。大麦麦芽のほか、未発芽の大麦やライ麦、小麦なども原料として使用する。最大の特徴は、ピートによる燻蒸を行わないことと、単式蒸留器による蒸留回数が3回であること。これにより、一般的なスコッチウイスキーよりもまろやかな味わいに仕上がる。古くから英国ウェールズでもウイスキーは製造されていたが、1894年に一度この歴史が途絶えた。2000年に製造が再開され、2004年3月1日に出荷された。アメリカ合衆国で醸造されるウイスキー。地域によって差があるが、他の地域のウイスキーではあまり用いられないトウモロコシを原料として用いる特色がある。カナダ原産。トウモロコシを主原料とするベース・ウイスキーとライ麦を主原料とするフレーバリング・ウイスキーをブレンドして作られ、アイリッシュ・ウイスキーより更におとなしい風味であることが一般的。一方で、少数だがスコッチスタイルのウイスキーも生産されている。日本産。1918年よりスコットランドに留学した竹鶴政孝によってスコッチ・ウイスキーの伝統的製法が持ち帰られたことが端緒である。竹鶴は壽屋(現サントリー)に在籍し、1923年開設の山崎蒸溜所の初代所長となり、のちにニッカウヰスキーを創業した人物である。当初竹鶴の目指した本格的なウイスキーは高価格に加えスコッチ直系の重厚な風味が逆に敬遠されて飲まれず、庶民が飲めるのはトリスをはじめとした安価であまり質の良くないウイスキーであった(かつての日本の酒税法では原酒が入っていないものや熟成させていないものもウイスキーであると認められたため、実際にそのような粗悪な商品も存在した)。サントリーとニッカの両社は独自の発展を遂げ、技術も向上し21世紀初頭には国際的な品評会で高い評価を収めることが増えている主な製品としては、廉価ブランドでは、トリスウイスキー、サントリーレッド、ブラックニッカ・クリア、ハイニッカ、オーシャンラッキーゴールド、宝キングウイスキー凜など。中価格帯ブランドでは、サントリーオールド、サントリーリザーブ、ニッカオールモルト、スーパーニッカ、ロバートブラウンなど。高価格ブランドでは、サントリーでは山崎、白州、響、ニッカでは竹鶴、余市、宮城峡などがある。また、単一銘柄で普及価格商品と長期熟成の高級価格帯とを同時展開するキリンディスティラリー(旧キリン・シーグラム)の富士山麓シリーズなどもある。主なメーカーとしてはなどがある。ウイスキーの日本国内市場での販売量は、2004年の1年間で、8万7500キロリットル余りと推計されており(課税および通関統計)、うちサントリーが約67%、ニッカウヰスキー(アサヒビール子会社)が約21%と推計されている(日本経済新聞社推計)。地方の小規模な酒造会社(多くは日本酒の蔵元を兼ねる)も少量ながらウイスキーを生産している。これらは「地ウイスキー」と呼ばれる。地ウイスキーのメーカーとしては以下のような例がある。以下の酒造会社はウイスキー生産を終了している。
出典:wikipedia
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