敬語(けいご、)とは、主体(書き手、話し手など)とその相手(読み手、聞き手)やその話題中の人物との社会的関係(親疎、権力の大小)と態度を表す言語表現である。ポライトネスを実現する手段の1つであり、狭義には体系的に文法化されているものを指すが、広く敬称などの語彙的表現を含む場合もある。Shibatani 1994が分類したように敬語が表現する敬意(敬遠)の対象は少なくとも3つある。尊敬に対応する謙譲語を持つ言語もある。タイ語や朝鮮語、日本語の謙譲の一人称代名詞や動詞謙譲語などがある。尊敬語と謙譲語は同時に用いられる場合もあり、この場合、動詞の主語と目的語が同時に敬意の対象となっている(チベット語や中古日本語など)。敬称の二人称代名詞は素材敬語であるとともに対者敬語でもある。そのほかに以下のような聞き手に対する敬意を表す形式がある。話の聞こえる範囲に「タブー」の親族や上位者がいるときの表現。義母語や義兄語などが知られる。例えばオーストラリアのには異性の義理の親などタブーとされる親族のいるところで使うスタイルが存在する。さまざまな言語に共通してみられる敬語の方法は行為や行為者を直接に指示しないことである。日本語などでは複雑に体系化されているが、ヨーロッパ近代語では日本語ほど体系的には使われていない。ヨーロッパ近代語に敬語があるかないかは敬語の定義次第である。敬語を広く「人物間の上下関係や親疎関係を反映した言語表現」と定義すれば英語で丁寧な命令文にpleaseを付ける例を始め学校で生徒が教師に軍隊で兵士が上官に対する応答の文末にsir/madam(ma'am)を付ける例、2人称代名詞の敬称(動詞の活用も3人称など本来の二人称形と異なる形を用いる)が存在する例などヨーロッパ近代語にも敬語がある。英語の二人称代名詞であるyouももともとは敬称であった。英語話者が家族であろうと親しい友人であろうと常に本来敬称であったyouのみを使うようになったためにyouが敬称としての意味を失い、敬称でない形のthouが忘れ去られるに至ったものである。しかし、現代共通日本語のように「人物間の親疎関係や上下関係を反映した言語表現が体系的に文法化された形式」をもつものに限って定義すればヨーロッパ近代語には敬語はないことになる。一般的には敬語を尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つに分類する。日本語学においてはさらに丁重語・美化語を立てた5分類が多く使われている。文化審議会相手に対する配慮文化審議会も2007年に尊敬語・謙譲語I・謙譲語II(丁重語)・丁寧語・美化語の5分類にするという敬語の指針を答申した。また、敬語は「古代から現代に至る日本語の歴史の中で、一貫して重要な役割を担い続けている」とし、現代においても人と人との「相互尊重」の気持ちを基盤とした「自己表現」を表す意味において重要な役割を果たすとした。敬語にはその性質上、話題中の人物を高めるもの(素材敬語)と話し手が対面している聞き手を高めるもの(対者敬語)があるが5分類は従来の3分類を元に両者を区別することで定義されたものである。また、本来丁寧語の一部である美化語は「敬語」からは外されることが多い。中学校では3分類で敬語の学習をしているほか、常体・敬体についても学習している。話題中の動作や状態の主体が話者よりも上位である場合に使われる。動詞、助動詞、形容詞の語形変化を指すが名詞の語彙を変えることも尊敬語に含む場合がある(例:だれ→どなた)。動詞の語形変化には以下のような方法がある。形容詞・形容動詞の語形変化には語の前に「お / ご」を付ける。人名には後に「様」「さん」「殿」「陛下」「先生」「先輩」「閣下」「社長」「部長」など敬称や職階をつける。名詞には前に「お」「ご」「御(おん)」「み」「尊」「貴」「玉」などをつける。通常大和言葉には「お」を、漢語には「ご」を付けることが多い。「お」「ご」の2つは美化語としても用いられる。「み」以降は付けられる名詞が決まっており、造語力が低い。尊敬語はその昔、階級によりその用い方が決められていたものがある。今日においても皇室典範などや慣習によって、天皇・皇族についてのみ用いられる。ただ日常では滅多に使われない。崩御なども単に「死去」や「お亡くなりになる」などと表現することもある。話題中の動作の客体(間接的である場合もある)が話題中の動作の主体よりも上位である場合に使われる。そのため謙譲語は話題中に2人以上の人物が登場しなければならない。動作の主体を謙(へりくだ)す言い方であり、主体=話し手の場合には自分が謙ることになる(卑しめるという意味ではない)。動作の客体となる人物は聞き手でも第三者でもよく動作の主体は話し手・聞き手・第三者の誰でもよいのであるが、会話の場にいない人物への敬語が使われなくなってきたため動作の客体が聞き手、動作の主体が話し手である場合が多くなっている。これを受けて謙譲語の一部は動作の客体がいない場合でも使え、聞き手に対する敬意を表す丁重語としても使われるようになった。「やる」の謙譲語の「上げる」のように謙譲の意味が薄れている、または「食う」の謙譲語「食べる」のように謙譲の意味がほぼ消滅した語もある。謙譲語は客体を高める語である。古文では天皇・皇族や貴族の動作に謙譲語がついた例もある。語形変化には以下のような方法がある。名詞に関しては規則的に謙譲語を生成することができないが、下記のような例がある。なお、物を贈る際に「つまらないもの」と称することが日本語独特の表現のように言われることがあるが英語でも"This is my little gift to you."(小さな贈り物です)のように自らの贈り物について謙遜する表現は存在する。向かう先のある名詞に関しては接頭語「お / ご」を付けた形も謙譲語として用いられる。これらは同じ語形で尊敬語とも謙譲語ともなる。聞き手が、話し手よりも上位であることを表す動詞の語彙をいう。必ず丁寧語「ます」を伴うことが特徴である。また話し手は話題中の動作主であるか動作主と同じグループに属する。従来、謙譲語として扱われてきたものであるが謙譲語と違って動作の受け手が存在しなくてもよい。その多くは謙譲語を兼ねているが、丁重語だけに使われるものに「おる(おります)」がある。たんに丁寧語「ます」だけを使うよりもより丁寧である印象を相手に与える。このため自分を上品に見せるための美化語に分類することもある。聞き手が話し手よりも上位である場合に使われる語をいう。広義として聞き手に対する配慮を表すもろもろの語を含める場合があるが、文法的に語末に使われる現代語の「です」「ます」「ございます」、古語の「はべり」「候ふ」などを指す。聞き手が上位の場合の「です・ます」で終わる文体を敬体、同等や下位にある場合に使われる「だ」や動詞・形容詞の終止形で終わる文体を常体と呼ぶ。丁寧を表す語形変化は以下の通りであるが文法カテゴリーに応じて語彙を変える場合があり、文法的には丁寧語というよりも丁寧体として分析される。美化語とは話者が聞き手に上品な印象を与えるために使う語のことである。文法的に見て敬語とは言えないが、聞き手に対する配慮を示しているということで敬語に準じるものとしたり丁寧語に分類することもある。名詞には「お」や「御(ご)」を付けたり、語彙を変えたりして作られる。原則として、「お」は和語に付け、「御(ご)」は漢語に付ける。これには普通に使われるもの、男女に差があるものの、たまに使われるものなど違いで分けられる。また、「バカ」と「おバカ」のようにニュアンスの変わるものもあるので注意を要する。また丁重語を美化語に入れることもある。美化語の中には女房言葉に由来するものも多い。「お~になる」「~れる・られる」(尊敬語)、「お~する」(謙譲語)、「~ます」(丁寧語)のようにいろいろな語に適用できる一般的な語形(一般形)ではなく、特定の語形(特定形。補充形とも言える)が用いられる動詞とその特定形の一覧を示す。ただし特定形に限定されず一般形を使える場合も多いことから、「三省堂 Web Dictionary」の一覧表において一般形が挙げられず特定形のみ示されているケースを太字で示す。敬語以外の待遇表現も話題中の人物に関する素材待遇表現と、聞き手に対する対者待遇表現に分けられる。素材待遇表現には、尊大語・侮蔑語がある。対者待遇表現は丁寧語である「です・ます」をつけないぞんざいな語を用いることで聞き手が同等あるいは下位であることが表現される。また、特に聞き手を卑下し、罵倒する表現を卑罵語として分類することがある。日本語の敬語(あるいは待遇表現)の運用には地域差がある。大まかには、東日本では旧城下町など特定の地域・階層を中心に敬語が発達し、改まった場面に限って用いることが多いのに対し、西日本では幅広い地域・階層で敬語が発達し、改まった場面だけでなくくだけた場面でも日常的に用いる。福島県から静岡県にかけての太平洋側や紀伊半島南部、伊豆諸島(八丈島除く)などは敬語をあまり用いない「無敬語」地域であるが、東京周辺だけは敬語が発達していて言語島をなしている。これは中世から近世にかけて上方から江戸に敬語が移入されたためであり、現在でも「お寒うございます(×お寒くございます)」「ありません(×ありましない)」などにその名残が見られる。東京を含め現代の多くの方言では絶対敬語から相対敬語へと移行しているが、近畿地方などでは絶対敬語の傾向が残っており、身内敬語も盛んである。琉球語でも敬語表現が発達している。沖縄方言における敬語もしくは謙譲語的表現の例として、士族階級における「姉妹」という意味の「うない(おなり)」が「うみない(おめなり)」、「兄弟」という意味の「いきー(えけり)」が「うみきー(おめけり)」になるなどの呼称の語形変化が挙げられる。現在、各地方特有の敬語は、共通語の敬語に置き換えられたり、階層社会の変化によって使われなくなったり(例:旧城下町の士族言葉)、有力な地域の方言の敬語が周辺地域に影響を及ぼしたり(例:名古屋弁「みえる」の岐阜県への伝播)するなど、様々な変化を起こしている。場面に応じた使い分けで方言と共通語の敬語が共存している地域もあり、例えば近畿地方では、高い敬意を表す尊敬語「なはる」「お・・・やす」や丁寧語「だす・おます」「どす・おす」は共通語の敬語に押されて衰退したが、くだけた場面でも多用される軽い尊敬語「はる」は共通語の敬語に置き換えられないため、依然広く用いられている。西欧の言語ではフランス語のvous(vouvoyer)、イタリア語のLei(dare del lei)、ドイツ語のSie(siezen)など、それぞれ別の数・人称の代名詞を用いる事により敬語を表す(vousは二人称複数形、Leiは三人称単数女性形、Sieは三人称複数形)。敬語ではない友達言葉の場合はフランス語のtu(tutoyer)、イタリア語のtu (dare del tu)、ドイツ語のdu(duzen)など二人称単数形になる。別の代名詞を用いる事により語尾の変化もその活用に準じる。英語では概要でも述べられているようにかつては二人称単数形thouという単語があり、それに対しての二人称複数形youがあったが現在は二人称には全てyouを用いている。よって語尾変化による敬称と友達言葉の差異はないが、言い回しの変化や直接的表現を避ける事による丁寧語は存在する。つまり、その場に相応しい話し方をするには日本語のように尊敬語・謙譲語・丁寧語などと分類してしまえるような単純化・形式化されたもので済ますわけにはいかず抑揚や態度、話の運び方を含めた総合的な配慮が重要である。朝鮮語にも日本語と同様に尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類が用言の文法範疇として存在する。用言の丁寧形があるのはアルタイ語族的特徴である。アルタイ語族ではなくシナ・チベット語族に属し、孤立語である中国語は丁寧語は発達しておらず「です・ます」に相当する丁寧形の体系は存在しない。しかし名詞における敬語が発達しており、尊敬表現としての貴・尊・令と謙譲表現としての敝・拙などの接頭辞がある。例としては貴姓(お名前)、貴庚(ご年齢)、貴體(お体)、貴名(お名前)、貴府(お宅)、尊夫人(奥方)、令尊(お父様)、令堂(お母様)、令郎(お子さん)、敝國(自分の国の謙称)、敝眷(自分の家族の謙称)、敝公司(弊社)、拙作(自分の作品の謙称)、拙見(自分の意見の謙称)、拙夫/賤内(自分の夫/妻の謙称)、寒舍(自分の家の謙称)などがある。他には、「您貴姓?」(あなたの)の「您」、「歡迎光臨」(いらっしゃいませ)の「光臨」(「來」の尊敬語)などがある。また市場経済導入後の大陸において、「何かを依頼する/働きかける」ときに「…してください/したい」よりも「…することができますか/してもいいですか」という丁寧なニュアンスをもたせるために英語の"Can you ~ ?"または"May I ~ ?"に相当する「能不能」(neng bu neng)、可不可以(ke bu ke yi)を使った疑問文を用いることが多くなっている。
出典:wikipedia
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