『パーマン』は、藤子・F・不二雄による日本の漫画及びテレビアニメである。冴えない小学生須羽ミツ夫がある日、宇宙人からもらったパーマンセット(マスク、マント、バッジ)を装着すると怪力や空を飛ぶ能力などを授かり、その力を生かして正義のヒーローになるという物語である。超人であるという秘密を持つ少年の葛藤、その矛盾に立ち向かう強さ、本当の正義とは何かを、独特の藤子ギャグで描く、藤子Fの代表作の1つ。1966年から2年間(以下、「旧作」)、1983年から3年間(以下、「新作」)の2度にわたり連載され、それぞれテレビアニメ化もされた。初期の第1作はギャグ作品であるが、「オバケのQ太郎」以前に得意としていたシリアスタッチな展開も見られる。テレビ2作目の放送に合わせて再連載された新シリーズは、ヒーロー然とした内容が薄まり、パーマンの能力を生かしつつ各キャラクターに焦点を合わせたエピソードに重点が置かれた。また2003・2004年にも劇場映画化された。3度にわたるアニメ化の機会に恵まれたにもかかわらず、原作最終回の「ミツ夫がスーパー星(新作ではバード星)に旅立つ」内容が完結エピソードとして描かれたことがない。厳密にはその内容を翻案にした回はあるが、後述のように新たなコピーロボットに身代わりさせる形でミツ夫自身は地球に引き返している。それぞれの時代背景に併せ、登場する有名人のパロディも異なっている。例えば、有名人にコピーロボットの鼻を押させて子供たちの前へコピーを有名人として連れて行く、という話があったが、この際1作目に登場したのが「巨神軍の玉選手」「プロレスラー・ジャイアント加馬」などであったものが、2作目では同様の設定が「シャイアンツのハラダ選手」などに代わっている。原作者の藤子・F・不二雄いわく、普通の小学生の男の子がマスクをかぶってパワーアップするという設定は、藤子不二雄Ⓐの漫画作品「わが名はXくん」や「マスクのXくん」が下地になっているという。また、パーマンのマスクのつばの跳ね返りは、幼児の上唇を模したものだという。このマスクの形状が子供達に幅広く受け入れられた要素だと、作者は分析している。パーマン自体は藤子F作品とされているが、藤子不二雄Ⓐが自身のエッセイのタイトルとしても使用している(「パーマンの指定席」や「パーマンゴルフ」、2007年より『ジャンプスクエア』で連載している「PARマンの情熱的な日々」など。ただしこのパーマンの「パー」は、スーパーマンの「パー」ではなく、ゴルフの「パー」の意味)他、忍者ハットリくんとパーマンが共演した映画の原作を藤子Ⓐが発表している(映画の項目を参照)。また、藤子不二雄率いる草野球のチーム名は『パーマンズ』だった。パーマン5号の存在の有無を始め、旧作と新作の間にはいくつもの設定の差異が存在する。また、同じ旧作・新作の間でも権利や倫理の変化が原因で、後年の単行本では設定が変更された例がある。パーマンであることが仲間以外に知られた場合は、旧作では秘密を守るため、「脳細胞破壊銃でクルクルパー(廃人)にされる」という設定だったが、新作では社会通念に配慮し、「動物に変えられてしまう」という設定に変更された。他にも、第1話で須羽ミツ夫がバードマンに対して言った「おじさんは精神病院から抜け出してきたんだね」というセリフは、新版では「おじさんは僕をからかってるんだね」に変更されている。そして小学館の単行本の1995年以降の版では、それまで収録されていた人食い人種が登場する「怪獣さがし」と、毒矢を用いて人を発狂させる犯罪者が登場する「くるわせ屋」の2本が削除された。また、パーマンセットを渡した宇宙人は旧作では「スーパーマン」と呼ばれていたが、スーパーマンの著作権・商標権に触れるため、新作連載時に「バードマン」と改名された。パーマンの名は「半人前で『スー』がないスーパーマン」という意味あいでの命名であるが、この変更のためつながりが消えてしまっている(キャラクターソングなどの一部では「スー」の部分を歌いこんだものがある)。2003年に小学館から再版された単行本でも、「クルクルパー」などの不穏当な表現はほとんど変更されており、一部内容理解に差し支える点も発生している。一方、2009年より刊行された「藤子・F・不二雄大全集」では「スーパーマン」の表記が復活し、「怪獣さがし」と「くるわせ屋」の2本も再び収録されたものの、「脳細胞破壊銃でクルクルパーにされる」設定は復活しなかった。なお、パーマンの連載が最も早く始まった『小学三年生』・『小学四年生』の第1話(どちらも1966年12月号掲載)では、パーマンやバードマンのマスクは、現在とは大幅に異なるデザイン(とさかが二つ付いた形)であった。現在のデザインになるのは第2話以降である。作者曰く、「このデザインはスーパーヒーローものに近い感じで、親しみにくかったので変えた」とのこと。また、設定も一部異なっており、装備はマスクとマントのみでバッジは無く、マスクを被った際の力も6584倍であった。さらに『小学三年生』版では、コピーロボットの名称が「ソックリロボット」、正体がばれた場合のペナルティが「死」、といった差異もあった。ある日、須羽ミツ夫の前に超人「スーパーマン」(新作ではバードマン)が現れ、マスクとマント、バッジを渡される。このセットを身に付けることによって、半人前の「パーマン」としての力が発揮できるのである(「スー」が足されるのは一人前と認められてから)。ミツオは同様に超人からマスクやマントを受け取った者たちとパーマンチームを組み、超人的な力を発揮して悪者を懲らしめ、あるいは事故や災害に立ち向かう。出動中は自分そっくりに変身できるコピーロボットに身代わりを任せておけるが、正体は絶対に知られてはならず、知られたことが発覚した場合は秘密を守るため記憶を消され、廃人にされると戒められる。かくして5人(新作では4人)のパーマンによる活躍が始まった。パーマンの道具としてはマスク、マント、バッジ、コピーロボットの4種(パーマンセット)が与えられている。マスク・マント・バッジの3種については、マスクの中にマントとバッジを入れて丸めることで耳の穴に入るぐらい小さくなるため、容易に収納が可能となっている。これまでにテレビシリーズが2作、映画は5本製作された。声優は、パーマン1号(ミツ夫)役の三輪勝恵と、パーマン2号(ブービー)役の大竹宏の2人が第1作から平成の劇場版シリーズまで一貫して演じ続けているのも特徴である。アニメ制作も共通して関わるスタッフが多い。1967年4月2日 - 1968年4月14日、毎週日曜日19時30分 - 20時にTBS系列で放送、全54回(108話)。モノクロ作品。「不二家の時間」枠で放送された、不二家一社提供番組。最高視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は1967年4月9日放送の35.6%。『おそ松くん』のテレビアニメ制作で力を付け始めたスタジオ・ゼロが、初めて藤子不二雄アニメに参加。東京ムービー(Aプロ)と交代で制作した。30分枠のAパートとBパートに亘り伏線が張られることもあり、またギャグ作品でありながらヒーロー然としたスリリングな展開もあった。本作の放映よりより一足早く、前週に放送された前番組『オバケのQ太郎』(第1作)の最終回「Qちゃんパーマン大かつやくの巻」には、パーマン1号が宣伝として客演している。当初、制作側ではカラーでの制作を望んでいたが、スポンサー側の資金面での了承を得られなかったため、モノクロのまま制作されたという。また、マントの裾が原作や後のカラー版より若干長く描かれている。最終回のAパート「パー子という名の女の子の巻」では原作漫画に先駆けて、初めてパーマン3号(パー子)の正体が明かされた。最終回Bパートは原作「パーマンはつらいよ」を元にした「パーマンよいつまでもの巻」で締め括られている。★はDVDでは映像のみ収録。☆はDVD未収録。△はDVDに収録されているが映像や音声に問題有り。本作の映像ソフトは永らく発売されることが無く、稀にテレビの懐古番組で取り上げられる映像を除いては視聴困難な状況が続いていた。『ドラ・Q・パーマン』は、1980年4月に『ドラえもん』の特番で、シンエイ動画によりアニメ化された。原作は『月刊コロコロコミック』1979年8月号に掲載された作品。藤子Fがネームで、絵はしのだひでおの筆によるもの。ストーリーは、ドラえもん、オバケのQ太郎、パーマン1号の3人が、それぞれの相棒であるのび太(ドラえもん)、正太(Q太郎)、ミツ夫のコピーロボット(パーマン)に愛想を尽かす。そして彼らは家出をして合流し、自活しようとする…というもの。カラーの2作目は、『月刊コロコロコミック』や学習雑誌などがメインの連載であるために年齢対象が若干下げられ、キー局では15分1話の帯番組ということもありコメディ風味が強くなった。最高視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は1984年3月11日放送の24.9%。このシリーズは先駆けて公開された劇場版『パーマン バードマンがやってきた』(下記参照)を実質的な第1回としており、連続した内容になっている。この2度目のアニメ化の際に、原作も同時にリニューアル連載され、互いにリンクした新設定が数々生まれた。また藤子キャラ御三家として、ドラえもん、忍者ハットリくん、パーマンの頭文字をとり『ドラ・ハッ・パー』なるキャッチフレーズが作られた。『パーチャク!(『装着(そうちゃく)』及び1982年に同じテレビ朝日系で放映された『宇宙刑事ギャバン』の変身コードである『蒸着(じょうちゃく)』の捩り)』『パワッチ!』『ヘコー!(これは本来、前放映作の忍者ハットリくんと同じ台詞として台本で「ズコ」と書かれていたのを、バードマン役の安原義人がアドリブで「ヘコ」と言ったのが切っ掛けで生まれたという)』などの独特な決めゼリフが登場したのもこのシリーズの特徴である。キャラクターデザインが放送後期から若干修正され、パーマンマスクの目の縁がやや四角くなり、パー子の服装がしばしば変わるようになった(平成版の映画シリーズはこの時点でのキャラクター設定を踏襲している)。そして当時のラブコメディブームの波に乗ってか、1号とパー子の関係にスポットを当てたエピソードが増えていった。1985年4月より『オバケのQ太郎(3作目)』が帯でスタートし、本作は『藤子不二雄ワイド』に枠移動。最終回は、パー子が1号に好意を抱いているということをほのめかすエピソードで締め括られたが、次の回からは過去のリピート放送となった。この回は後に『人生が変わる1分間の深イイ話』(2008年11月10日放送分)でも取り上げられた。また、この第2作目では、原作の最終回のエピソードが初めて特番枠で放送された。原作では1号本人がバード星へ旅立ったが、アニメ版ではバードマンが新たに用意したコピーロボットの1号がバード星へ旅立つ、という内容に変更されている。2003-2004年の映画公開にあわせ、2002年12月31日の『もういくつ寝ると25周年!?ドラえもんスペシャル』では「パーマンの宝物はなんだ?」「パーマンセットを大切に」の再放映と、2003年12月31日の『テレビ朝日開局45周年特別番組 TVも映画も25周年大晦日だよ!全員集合!!ドラえもんスペシャル』では「パーマン免許書き替え」「パー子のなんでも占い」が再放映され1号もゲスト出演している。このシリーズは、テレ朝チャンネルおよびGYAO、AbemaTV家族アニメチャンネルで視聴することが出来る。オープニングで音楽が菊池俊輔とクレジットされているのは、たかしまあきひこの誤りである。2011年9月2日より、初の全話収録となるDVD-BOX全4巻が順次発売された。ほか 1990年代、テレビ朝日系列の新局でも本放送扱いで放送されていた。ドラえもんでは2002年の特番以前にも1989年3月3日放送「なんでも空港」においてパーマン1号、パーマン2号、パーマン3号が登場している。1998年10月11日放送の特番にもパーマン達全員が登場した。藤子・F・不二雄生誕80周年記念として2013年9月13日放送『ドラえもん誕生日スペシャル』エピソード「真夜中の巨大ドラたぬき」でパーマン1号がゲスト出演した。ミチ子、パーマン2号、魔土災炎も劇中劇の人物として登場している。2014年8月1日放送「なんでも空港」では、1989年に放送された時と同様にパーマン1号、パーマン2号、パーマン3号が旧作のアニメには登場しなかったパーマン4号、バードマンと共に登場した。『パーマン』はこれまでに映画ドラえもんの並作として映画化されている。※以下の『バードマンがやって来た!!』から『忍者怪獣ジッポウVSミラクル卵』までは未だDVD化されていない。1983年3月12日公開。25分作品。本作ではミツ夫とバードマン、そしてパーマン2号との出会いが改めて描かれた。ミチ子(本作ではミツ子)が身代金目的で誘拐され、ミツ夫がパーマンとなってミチ子を救出、誘拐犯を捕まえるという内容。この内容が、2作目のテレビシリーズへと引き継がれていくのも特徴である。脚本は藤子本人によって書かれた。監督・作画監督はモノクロ版テレビアニメでも監督・作画監督を担当した鈴木伸一。新設定ながら、モノクロ時代の雰囲気が色濃く残る作品。同時上映は『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』『忍者ハットリくん・ニンニンふるさと大作戦の巻』。1984年3月17日公開。1984年 - 1985年には藤子不二雄Ⓐ原作による『忍者ハットリくん』との共演も果たした。このシリーズでのパーマン達は、どちらかというとハットリくんへのゲスト出演となっている。同時上映は『ドラえもん のび太の魔界大冒険』。1985年3月16日公開。『忍者ハットリくん+パーマン 超能力ウォーズ』に続く、ハットリくんとの共演第2弾。ハットリくんを中心に物語が進み、前作同様ハットリくんへのゲスト出演となっている。同時上映は『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』。2003年3月8日公開。上映時間32分。平成シリーズは声優・主題歌などこそアニメ2作目をそのまま受け継いでいるが、町並みや設定が時代に合わせて変更された。また本作を知らない子供達に考慮し、再びバードマンとの出会いから始まっている。一瞬だけのび太が登場している。同時上映は『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』。タイトルは『Fキャラオールスターズ大集合 ドラえもん&パーマン 危機一髪!?』。2011年から2012年10月2日まで、藤子・F・不二雄ミュージアム施設内にあるFシアターで上映。ドラえもんのひみつ道具でのび太とドラえもんが、テレビの番組『パーマン』の中に入るという内容。『ドラえもん』と競演したのはこの作品が初めてではなく、何度か関連作品が制作されている。星野スミレも参照。2013年8月よりリクルートライフスタイルのクレジットカード『リクルートカード』のCMとして実写化。出演子役は二宮慶多(撮影当時7歳)と安藤美優(同6歳)。アイレム(現・アピエス、ただしゲーム開発部門は事業譲渡を経てアイレムソフトウェアエンジニアリング)より「パーマン」「パーマン Part2」の2タイトルが発売されている。機種はいずれもファミリーコンピュータ。同時期に人気だった他の藤子作品のファミコン化が、アニメ放送中の1985〜1987年には行われていたのに比べると、本作のファミコン化は大分遅い1990年であった。また、2003年に稼動したアーケードゲーム「pop'n music 10」(コナミ)、および2004年11月18日に発売された同作のPlayStation 2用移植版に、主題歌「きてよパーマン」が収録された(現在は削除)。既存の音源ではなく、新たに制作された音源を使用し、原曲と同じく三輪勝恵本人が歌っている。
出典:wikipedia
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