室蘭本線(むろらんほんせん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(幹線)である。北海道山越郡長万部町の長万部駅から、室蘭市、苫小牧市等を経て岩見沢市の岩見沢駅を結ぶ本線と、室蘭市の東室蘭駅から室蘭駅までを結ぶ支線からなる。長万部駅と岩見沢駅の両端で函館本線と接続している路線であり、長万部駅 - 苫小牧駅間では海沿いを、苫小牧駅 - 岩見沢駅間では内陸部を走る。現在、全線を通して運転される旅客列車は無い。長万部駅から千歳線と接続する沼ノ端駅までの間は札幌駅発着の特急列車が多く経由する区間となっており、札幌市と函館市とを結ぶ動脈の一部となっている。このうち室蘭駅 - 東室蘭駅 - 沼ノ端駅間は交流電化されている。一方、沼ノ端駅 - 岩見沢駅は優等列車の運転が無く、ローカル輸送が中心となっている。日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車は支線を除く全線で運転されている。線内の白老駅 - 沼ノ端駅間 28.736 km の区間は日本最長の鉄道直線区間である(分岐器付帯曲線などがあり、同区間で軌道が直線とは限らない)。苫小牧駅 - 沼ノ端駅間は千歳線と合わせてIC乗車カード「Kitaca」の利用可能エリアとなっている。区間ごとの輸送密度は以下の通り。なお、苫小牧駅 - 沼ノ端駅間については、実質的に一体化した運用を行っている千歳線(沼ノ端駅 - 白石駅間)と総合して計算したデータのみが公表されている。区間ごとの収支(営業収益、営業費用、営業損益)と営業係数は以下の通り。いずれも管理費を含めた金額である。▲はマイナスを意味する。なお、苫小牧駅 - 沼ノ端駅間については、実質的に一体的な運用を行っている千歳線(沼ノ端駅 - 白石駅間)、函館本線(小樽駅 - 札幌駅 - 岩見沢駅間)、札沼線(桑園駅 - 北海道医療大学駅間)を合算したデータのみが公表されており、単独のデータは不明。歴史的には北海道炭礦鉄道によって建設され、鉄道国有法により国有化された室蘭 - 岩見沢間と、その後国有鉄道長輪線(おさわせん・ちょうりんせん)として建設された長万部 - 東室蘭間に分かれる。1928年(昭和3年)9月10日に現在のルートが全通すると、樺太への連絡のために運行されていた急行列車が、従来の函館本線・札幌駅経由から、速達性を優先して札幌を通らず当路線を経由するルートに変更された。9年後の1937年(昭和12年)6月に従来の函館本線経由に戻されたものの、その歴史的経緯から長万部駅 - 岩見沢駅間には1958年(昭和33年)まで、当路線と函館本線の間で運賃計算上の経路特定区間が設定されていた(函館本線経由でも当路線経由で運賃を計算)。また、1950年代後半に函館本線小樽経由に代わって室蘭・千歳線を経由する優等列車が増加したことから、1961年に長万部 - 札幌または苗穂間で室蘭・千歳線を経由する優等列車に乗車する際、途中下車しない限り運賃は小樽経由で計算する列車特定区間となり、その後経路特定区間になったが、1994年3月にこの特例は廃止された。1960年(昭和35年)から15年計画で行なわれた蒸気運転全廃に向けた動力近代化計画では、室蘭本線岩見沢 - 沼ノ端間および非電化区間としては特急・貨物列車の本数が多い東室蘭 - 長万部間も電化計画に含まれていたが、石炭輸送衰退の影響で函館本線新函館北斗(旧:渡島大野) - 長万部間と共に2016年現在でも実現していない。室蘭本線では、複線化と同時に勾配緩和や急曲線緩和目的で別線建設により路線変更や複線化が行われた区間が存在する。旧路線の路盤や廃トンネルは、現在線を走行中の列車車窓から目視確認できるものも多い。この節では、大規模なものについて記述する。長万部駅 - 東室蘭駅 - 苫小牧駅・沼ノ端駅間では、函館からの函館本線、札幌への千歳線とともに、函館駅 - 札幌駅間を結ぶ幹線ルートとして多くの特急列車や本州直通の貨物列車が運転されている。この区間と千歳線は一体的にダイヤが組まれており、本来千歳線は札幌市の白石駅が起点であるが、苫小牧方面を「上り」としている。また、函館本線の長万部駅 - 小樽駅間の通称「山線」に対する呼称として「海線」と呼ばれることがある。電化区間の末端となる東室蘭駅 - 室蘭駅間では、札幌へのL特急「すずらん」が普通列車として乗り入れている。そのほか、苗穂工場への検査のため電化・非電化区間を通し、ディーゼル機関車の牽引による函館地区に配置されている海峡線用の電車・電気機関車の回送列車も運転されている。当線は長万部駅 - 東室蘭駅間と沼ノ端駅 - 岩見沢駅間が非電化であり、また当線に接続する幹線鉄道も札幌都市圏以外は非電化路線がほとんどであるため、当線を含む道内の貨物列車は津軽海峡線をのぞきすべてDF200形およびDD51形ディーゼル機関車が牽引する。DD51形の定期運用は2014年(平成26年)4月1日で終了した。なお、当線の貨物駅はすべて電化区間上にあるが、貨物駅構内は着発線を含めすべて非電化である。おおむね、「長万部駅 - 東室蘭駅間」・「東室蘭駅 - 室蘭駅間」・「東室蘭駅 - 苫小牧駅間」・「苫小牧駅 - 岩見沢駅間」に運行系統が分かれている。また、長万部駅 - 苫小牧駅間を通して運行する列車も1日下り2本・上り1本ある(2015年5月25日時点)。長万部駅 - 東室蘭駅間では、この区間を直通する列車のほか、豊浦駅・洞爺駅・伊達紋別駅 - 東室蘭駅・室蘭駅間の区間列車がある。小幌駅は通過する列車がある。普通列車はワンマン運転を行っている。特急の運行が多い。1980年(昭和55年)の沼ノ端駅 - 室蘭駅間の電化以降も非電化で、一部区間で単線のままである。東室蘭駅 - 室蘭駅間では、この区間のみの運転のほか、長万部方面や苫小牧方面の列車が乗り入れる設定もある。また特急「すずらん」(過去には急行「ちとせ」)がこの区間では普通列車となっており、区間列車を補完している。7時台の一部の列車は「すずらん」用の785系および789系電車を間合い運用で使用している。東室蘭駅 - 苫小牧駅間では、この区間を直通する列車のほか、室蘭駅・東室蘭駅 - 登別駅間や、萩野駅・糸井駅 - 苫小牧駅間で区間列車がある。1日1往復、札幌駅 - 東室蘭駅間で運転される、苗穂運転所の出入庫を兼ねた長距離普通列車がある。2012年(平成24年)10月26日までは、苫小牧駅発着の東室蘭・室蘭方面の普通列車は大半が電車(711系)での運行であったが、翌27日のダイヤ改正で気動車列車に置き換えとなり、東室蘭駅 - 室蘭駅間の特急形車両を使用したものを除くと苫小牧駅 - 室蘭駅間の普通列車はすべて気動車によるワンマン運転となった。なおこのダイヤ改正以前は、711系電車での運行列車もワンマン運転は実施していなかった。苫小牧駅 - 岩見沢駅間は、かつては内陸部の産炭地から太平洋岸の港まで石炭を運び出すための路線として重要視されており、運炭列車のために重軌条化された複線区間であった。石炭産業が衰退してからは、札幌を通らないことや、栗山駅で接続していた夕張鉄道の廃線に伴い、普通列車のみの運転であり、3時間以上間隔の開く時間帯もある。その一方で、本州・道南方面と道北・道東方面を結ぶ貨物列車や貸切列車は、距離を短縮しつつ運行本数の多い札幌圏を避けられるルートとしてこの区間を活用されている。2016年(平成28年)時点では、岩見沢駅発の苫小牧駅を越えて糸井駅まで乗り入れる上り列車が1日1本存在するほか、下りのみ運行の糸井駅発で追分駅まで乗り入れる列車が1日1本設定されている。沼ノ端駅で千歳線と直通する列車をのぞき、ワンマン運転である。この区間では、1975年(昭和50年)12月14日に国鉄最後の蒸気機関車牽引による定期旅客列車(室蘭発岩見沢行き、225列車)が運行された。牽引機には鉄道博物館に収蔵されているC57形135号機が充当された。大部分が複線のままであるが、栗山駅 - 栗丘駅間は1990年(平成2年)4月に下り線のある栗山トンネルの明かり区間の一部が上部の法面と共に崩落したため、そのまま廃止、単線化された。踏切などでレールが撤去されているが、大半は道床・レールともにそのまま残されている。現在使われている新栗山トンネルは、下り線とやや離れた位置に、上り線用の単線トンネルとして1969年(昭和44年)に開通したものである。志文駅 - 岩見沢駅間は、開通当初からの距離の短い線路(旧旅客線)と、旧・岩見沢操車場を通る1961年(昭和36年)に完成した距離の長い貨物線が、それぞれ双方向運転が可能な単線として併存していた。旧旅客線は志文駅からまっすぐ北上して岩見沢駅近傍で旧国道12号(4条通、現道道6号区間)と踏切で交差していたため、同国道及び市内道路交通のボトルネックとなっていた。一方旧貨物線は、志文駅から一旦北西方向へ向きを変え、函館本線上幌向駅近くまで広がっていた操車場の南西端へ向かっていたため岩見沢市街外側の農地を通っており、かつ、国道12号を立体交差で越えていた。市街地の分断解消と市内交通の円滑化を図る目的で、休止中の貨物線を1994年(平成6年)11月に復活のうえ旅客線に転用、本来の線路(旧旅客線)は廃止され、再び単線となった。廃線跡の一部は室蘭本線跡地緑地となっている。このほか、札幌ドームでのイベント終了後に運行される札幌 - 室蘭方面の臨時特急に183系気動車が使用される。気動車のみワンマン運転対応。長万部 - 沼ノ端間において駅ナンバリングが設定されているが、駅ナンバリング順ではなく、長万部駅から下り方向に記述。駅ナンバリングの詳細については「北海道旅客鉄道の駅ナンバリング」を参照。廃止区間内にあったものを除く。括弧内は長万部駅からの営業キロ。
出典:wikipedia
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