ナパーム弾(ナパームだん、)は、主燃焼材のナフサにナパーム剤と呼ばれる増粘剤を添加してゼリー状にしたものを充填した油脂焼夷弾である。アメリカ軍が開発したもので、きわめて高温(900-1,300度)で燃焼し、広範囲を焼尽・破壊する。軍の要請を受けたハーバード大学のルイス・フィーザーが開発した。初期に開発されたナパーム弾の構造は、主燃焼材のナフサ、増粘剤としてパーム油から抽出したパルミチン酸のアルミニウム塩、乳化剤としてのナフテン酸などを混合したものを落下燃料タンクに充填したもの。これに信管をつけて航空機から投下した物である。製法はUS Patent number 2606107として特許が取得されている。また、同じ混合液体は、火炎放射器の噴射剤としても用いられた。ナパーム弾の充填物は、人体や木材などに付着するとその親油性のために落ちにくく、水をかけても消火が困難である。消火するためには界面活性剤を含む水か、ガソリン火災用の消火器が必要である。また、ナパーム弾の燃焼の際には大量の酸素が使われるため、着弾地点から離れていても酸欠によって窒息死、あるいは一酸化炭素中毒死することがある。もともと「ナパーム」(Napalm)とは、ナフテン酸(naphthenic acid)とパルミチン酸(palmitic acid)のアルミニウム塩(Aluminum Salts)の略語で、ガソリンやジェット燃料などの石油類と混合するとゼリー状にゲル化する性質を持った増粘剤である「ナパーム剤」のことである。ナパーム剤というのは俗称であり、正規名称は増粘剤(Thickener)である。だが、これを使用したゲル化油脂焼夷弾の主原料がナフサとパーム油だったため、ナフサの「ナ」+パーム油の「パーム」で「ナパーム」という説が一般に信じられるようになった。火炎放射器などに使用するナパームは、現地で製造できるようにM2混合装置が開発され、現在でも使用されている。使い方は簡単で、材料となるナフサかガソリンと粉末の増粘剤を入れてかき混ぜた後、タンクに注入するだけである。このような現地製造装置が必要なのは、工場などで大型タンクで混ぜて大量に生産してしまうと、粘性が高いため小さいタンクに移すのに通常のポンプでは注入できないためである。そのため、製品の状態で前線へ輸送するよりも、現地で製造してタンクに移す方が効率が良い。この方法なら専用ポンプは最終の充填用の小型ポンプだけで済む。増粘剤は重量比で2%程度の混合なので、20キロあれば1トンのナパームが作れる。ナフサを使用しているのは、工場で充填されるナパーム弾で、火炎放射器は燃料用のガソリンから現地で製造と充填を行っている。ナパームとは、増粘剤(Thickener)をナフサに混ぜて増粘した物である。増粘剤には以下のような物があり、現在はM4がアメリカ軍で使用されている。改良が続いているものの、基本的な組成はアルミニウムと脂肪酸の塩である。航空機投下用のナパーム弾と、火炎放射器用のナパームは成分も性質も異なる別物であるが、一般的に混同されている。ナパーム弾の元となった爆弾が使用された戦争ナパーム弾が使用された戦争・紛争2001年4月4日に最後のナパーム弾が処分され、現在のアメリカ軍では公式には航空機から投下するナパーム弾は保有していないことになっている。2001年12月14日にアルジャジーラのニュースでアフガニスタンでナパーム弾が使用されたと報道されたが、アメリカ軍のトミー・フランクス将軍は否定している。米国国防総省は、イラクの自由作戦でのナパーム使用を禁止しており、公式に使用していないことになっているが、反戦団体からは使用したとの主張が出ている。実際にアフガニスタンとイラクで使用されたのはナパームの代替品であるMark77爆弾であり、ペンタゴンはこれはナパームではないと主張している。しかし、見た目にも実際の効果にしてもナパームとそっくりであり、Mark77爆弾はナパームとほとんど同じものだと言われているが、あくまでもアメリカ国防総省の公式見解は「ナパームのように見えるナパームとは違う兵器を使用しただけ」である。1971年1月に全米8位にまで上り、日本でも大ヒットした、アメリカのロックバンド、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルによって歌われた「雨を見たかい」の曲中には"Have you ever seen the rain?"という歌詞がある。rainにtheがついていることから、「あなたはこれまでに雨を見たことがありますか」ではなく、「あなたはこれまでに例の雨を見たことがありますか」という意味であるから、この場合の"the rain"は、ナパーム弾を指し示した暗喩であり、この曲はベトナム戦争への批判と考えるのが妥当で、実際にアメリカでは放送禁止処分になった。ただし、後年になって、作詞作曲者ジョン・フォガティ自身は、この「例の雨」について、ナパーム弾ではなく、ベイエリアで有名な、陽が照っているのに降る、虹とともに降る雨のことだと述べており、この歌はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの崩壊の歌だとしている(Hank Bordowitz著 "Bad Moon Rising" p.107-108)。また、ドラムのダグは、ひとつ前のアルバムの曲「Who'll Stop The Rain」と混同されたのではないかと語っている。この曲の「雨」は、当時のニクソン政権によるベトナム空爆を指しているという(BS-TBS 「Song To Soul」#44 雨を見たかい)。
出典:wikipedia
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