『銀河鉄道999』(ぎんがてつどうスリーナイン、"Galaxy Express 999")は、松本零士作のSF漫画、およびそれを原作としたテレビアニメ番組、アニメ映画である。略称は「999(スリーナイン)」。本項ではこのうち、主として漫画作品と関連作品について述べる。アニメ番組、アニメ映画の詳細については「銀河鉄道999 (アニメ)」を参照のこと。
1977年から1981年にかけて、少年画報社「少年キング」にて、同誌の看板作品として連載された。ヒットコミックス全18巻。第23回(1977年度)小学館漫画賞を受賞した松本零士の代表作。連載中にテレビアニメ化、劇場アニメ化されて大ヒットしてアニメブームの原点を確実なものとし、『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』とともに昭和50年代の松本零士ブームをも巻き起こした。1981年に連載を終了して、当初はこれをもって完全に完結し続編はないとしていた。その後もイベント向けの番外編的な短編映像化は行われていたが、1996年になって小学館「ビッグゴールド」誌上で続編の連載が始まる。1999年の「ビッグゴールド」誌の休刊後は、「ビッグコミック」を経てWebで不定期連載し、松本は999話まで描きたいとしていた。正式名称ではないものの、「少年キング」版を「アンドロメダ編」、1996年からの新作を「エターナル編」とファンの間で便宜上の仮称がつけられている。エターナル編は1998年に劇場アニメ化されて、ストーリーの完結までを描くその続編が1999年に劇場アニメとして公開される予定だったが頓挫している。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』とモーリス・メーテルリンクの『青い鳥』をヒントに執筆が始められ 、全体的に寓話性や教訓性がやや強いものの、物語や登場人物の印象的な描写によって多くのファンを得た。物語の枠組みは『銀河鉄道の夜』に登場する銀河鉄道を元にしているが、列車や運行システムの細部は日本の旧国鉄をモデルとしている。松本自身が『銀河鉄道の夜』『青い鳥』とともに、SLに乗って東京へ行った青春時代の体験が基になっていることを述べている。タイトルの999には、大人の1000になる前で未完成の青春の終わりという意味が込められている。本来『宇宙海賊キャプテンハーロック』とともにアニメの企画であった。アニメ化が実現に至らず、やむなくそれぞれ漫画連載していたところ、松本零士も関わった『宇宙戦艦ヤマト』のブームが到来。両作品ともテレビアニメ化された。NHKラジオドラマ(後述)の番組中で松本自身が解説したところによれば、元々『ハーロック』『エメラルダス』『999』は同一の物語として構想していたところ、アニメ化・漫画化の際に別々の物語として再構成した、とのことである。同旨の発言は、他の媒体などでのインタビューの際にも散見される。1996年より執筆が開始されたエターナル編は2004年までに41話が掲載され、2005年の松本の漫画家50周年を記念した「ビッグコミックスペリオール」の増刊に描き下ろしの4話が掲載されたのを最後に新エピソードが描かれず、伏線の多くは回収されないままとなっている。エターナル編は劇場アニメ版第2作の設定が取り込まれているために、原作アンドロメダ編からの純粋な続編ではない。ただし単行本ではアンドロメダ編の続きの巻として番号が割り振られて刊行されている。このエターナル編からは、松本によって積極的に世界観の拡大や設定の変更が行われ、他作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』『新竹取物語 1000年女王』『ニーベルングの指環』といった作品と物語がリンクし、メーテルとエメラルダスの関係に至っては漫画のアンドロメダ編とそれを基にしたテレビアニメでは「ライバル」だったが、エターナル編では「双子の姉妹」に変更されている。2008年発行のゲーム情報誌『ファミ通』999号でも、999という数字に合わせて銀河鉄道999を題材とした表紙を描き下ろした際のインタビューにおいてエターナル編についても触れ、最終話の構想について「エンドマークはまだつけていない」「連載は終了ではなくあくまで中断」「自分の物語は時空を越えて全て繋がった一つの世界で時の輪をめぐる物語として描いている」と語っている。999号が停車する1つの惑星につき1つのエピソード、という短編の連作で基本的に構成されている。メーテルとともに999号に乗り、アンドロメダ星雲にあるという機械の体をタダでくれるという星に到着するまでの鉄郎の旅を描く。アンドロメダ編に関しては、原作・テレビアニメ版と長編の劇場版2作品とではやや世界観が異なっている。原作およびテレビアニメ版では、人間の愚かさや孤独、弱さや、経済格差や実力社会を背景としたこの世の不条理を題材にしたエピソードが多く見られる。またその世界観の中には、人間の歴史から得られる教訓を下地にしたと考えられるものも多い。劇場版では、前記のような世界観を一部踏襲しながらも、冒険活劇、青春ものの作品としてのまとまりがより強くなっている。アンドロメダ編から1年後が舞台。鉄郎が再びメーテルとともに999号に乗り、アルテメータ星系にあるという終着駅・エターナルに到着するまでを描く。アンドロメダ編が原作、テレビアニメ版、劇場アニメ版とそれぞれが別の展開をし、異なる結末を迎えており、本作は漫画という表現形態でありながら、原作アンドロメダ編の直接の続編ではなく劇場版の続編と取れる表現があり、はっきりとはしていないためエターナル編については色々な解釈がされている。実際に構成に当たっては漫画、テレビアニメ、アニメ映画のどれからでも矛盾が極力小さくなるように、いずれのメディアによるアンドロメダ編で展開された多くのシチュエーションとも、ほとんど連鎖していない描写となっている。なお、原作アンドロメダ編における終着駅・惑星大アンドロメダの末路について、メーテルの台詞でアンドロメダ星雲の真の中心である「光さえも抜け出せない超重力の墓場に引き込まれて」と言及されていたが、エターナル編では冥王星でのメーテルの台詞で「惑星大アンドロメダはブラックホールに吸いこまれ滅亡した」とより踏み込んだ表現となっており、テレビアニメ版の終着駅・惑星プロメシュームと同様の末路をたどったことが語られている。ヘルマザリアについては、彼女が息を引き取る直前に頼まれた願いをふいにした形で、悩む鉄郎を見るに見かねたのかメーテルはその直後鉄郎にそれを伝えているが、鉄郎はのちにヘルマザリアの子供たちと出会った際、そのことを忘れて生きているはずだと思っているなど、矛盾点もある。舞台は、銀河系の各惑星が銀河鉄道と呼ばれる宇宙空間を走る列車で結ばれた未来世界(テレビアニメ版では第1話冒頭のナレーションで西暦2221年と設定)。宇宙の多くの裕福な人々は機械の身体に魂を移し替えて機械化人となり永遠の生を謳歌していたが、貧しい人々は機械の身体を手に入れることができず、機械化人の迫害の対象にされていた。そんな中、機械化人に母親を殺された主人公の星野鉄郎が無料で機械の身体をくれるという星を目指し、謎の美女メーテルとともに銀河超特急999号に乗り込む。※キャストは特筆なき場合、テレビ版のものである。レギュラーキャラクターは非常に少なく、鉄郎、メーテル、車掌の3人だけである(エターナル編からはカノンとクレア、ミーくんもレギュラー化)。これはゲストキャラクターによる比重が大変高いストーリー構成となっているためである。原作ではあまり表に出てこなかったハーロックやエメラルダスなど他の松本作品に登場するキャラクターも、劇場版では前面に出て活躍する。なお、エターナル編では劇場版同様、両者は主要キャラクターとして登場し、アンドロメダ編に比べ鉄郎達との関わりも増えている。原作者の松本は登場人物について、劇場版第2作を特集したロマンアルバムでの、ファンに向けたメッセージで「ハーロックやエメラルダス、メーテルなど、作中に登場するキャラクターは敵であるプロメシュームも含めてみんな鉄郎にとって“人生の師”なんです」と語っている。「少年キング」連載中にテレビアニメおよび劇場用長編アニメが2本、その後エターナル編を下敷きとした中編の劇場アニメなどが製作された。上記のテレビアニメや劇場アニメ以外にも、WEBアニメやプラネタリウム上映作品が多数製作されている。松竹歌劇団(SKD)によるミュージカル作品。内容はアンドロメダ編を再構成したもの。国際劇場にて、1980年2月23日 - 3月30日までの期間と、同年9月28日 - 11月30日までの期間で上演。その後、ららぽーと劇場で1982年4月29日 - 5月23日の期間で再演が行われた。松竹歌劇団によるミュージカル作品。1986年9月21日 - 10月3日。青山劇場。内容は、アンドロメダ編にもエターナル編にも属さない、完全オリジナル・ストーリー。人類最後の男性となってしまった少年「大地巡」が人類再生を目指し、人類最後の女性を求め、メーテルとともに旅をする。この作品では「メタノイド」のことを「メタリオン」と呼称している。また地下深くに存在する透明宮に閉じ込められた少女ユマは、原作エターナル編の冒頭に登場する、地下深いところで氷漬けになった少女を彷彿させる。アートスフィアによるミュージカル作品。上演期間は1997年11月5日 - 12月10日。内容はアンドロメダ編を再構成したもの。劇場用長編アニメ第1作と第2作『さよなら銀河鉄道999』が各社からノベライズされている。このほかに、オリジナル作品として下記の作品がある。また、日本テレネットから原作版を基にしたメガCD用のアドベンチャーゲームとして発売が予定されていたが、未発売に終わっている。この未発売ゲームについては2013年8月9日発売の『アドベンチャーゲームサイドvol.1』で言及されているほか、『ゲームラボ 2009年6月号』でも言及されており、同誌のインタビューを受けたゲーム製作スタッフの遠藤正二朗によると、アフレコ自体は全て終了していたとのことである。本作は鉄道に関する作品であるため、それに関連するイベント列車(臨時列車・団体専用列車など)やラッピング車両が何度か運行された。SMAPの木村拓哉は、本作のファンであることをバラエティー番組『SMAP×SMAP』で公言しているほか、同番組内で本作をネタにしたコント「アルカディア」ではハーロックに扮し、原作者の松本とも共演している。詳細は木村の項を参照。ファッションモデルの杏も本作のファンである。2009年9月9日に劇場版3作品のBlu-rayビデオ発売記念として同年8月8日〜14日に劇場版第1作HDリマスター版を上映したイベント「銀河鉄道999映画祭」では、初日の8月4日を「スペシャルナイト」と銘打ち、東京・新宿バルト9で開かれた舞台挨拶にてメーテルの姿で登場。原作者の松本零士、野沢雅子、池田昌子、タケカワユキヒデらと共に出演した。杏は2010年8月9日から8月13日にかけてNHK-BS2で5夜連続で放送された「全駅停車!銀河鉄道999全部みせます」でもメーテルの姿に扮して出演している。
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