『スナッチャー』("SNATCHER")は、1988年にコナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)から発売されたアドベンチャーゲーム。小島秀夫監督作品。架空の近未来を舞台に展開される「サイバーパンク・アドベンチャー」である。当時のコマンド選択式アドベンチャーゲームにおいて主流であった「単純なコマンド選択」だけではなく、謎解きとしてキーワード入力を求めたり、ストーリー進行に併せて簡単なガン・シューティングシーンを取り入れるなど、随所にプレイヤーを飽きさせない工夫・演出・表現が施されている。ゲームの基本システムや画面構成、同行するロボットが狂言回しになっている点などは、先に発売されたエニックス(現・スクウェア・エニックス)の『ジーザス』が手本になっている。後に『メタルギアソリッド』シリーズで有名となる小島秀夫が監督した初期の作品であり、映画『ブレードランナー』をモチーフとした(小島本人の口から明言されている)サイバーパンク世界が舞台となっている。小島作品としては、映画的演出を導入した最初のゲームであり、そのゲーム設計や表現は後に発売された『ポリスノーツ』の原型ともなった。この作品の主軸には、当時におけるソビエト連邦(通称・ソ連。現・ロシア連邦)の存在がキーポイントとして置かれている。オリジナル版が発売された1988年当時はアメリカとソ連という両大国を主軸とした東西冷戦時代がまだ続いており、社会主義国家であったソ連は情報管制が敷かれ、国の内部が西側諸国から見えない、見えにくい秘密の多い国であった。チェルノブイリ原発事故や、北方領土を軍事的に実効支配されている問題などもあって、秘密主義的なソ連に対して当時の日本人は「よくわからない」未知の大国に対する畏怖感をもっていた。この作品は、そんな旧ソ連に対する畏怖感を身近な人間にも置き換えている。2042年のネオ・コウベ・シティ(神戸港を埋め立ててできた架空の都市)を舞台に、人間を殺しその人物と入れ替わって潜伏している正体不明のアンドロイド「スナッチャー」と、それを追う捜査官(ジャンカー、JUNKER)である主人公ギリアン・シードとの戦いを描く。供給対象ハードウェアの機能的制約に縛られているため、同じ作品の移植とは言っても、移植ごとにその作品内容は異なっている。また小島が開発に直接関わっているのはPC-8800シリーズ版、MSX2版、PCエンジン版のみであり、それ以降のMega CD版、Sega CD版は翻訳スタッフによる勝手なローカライズ、プレイステーション版、セガサターン版に至っては関係ないところで勝手に作られて中身の改竄がなされているので、ユーザーにはプレイして欲しくないと小島は語っている。コンピュータ雑誌「MSXマガジン」の3人のレビュアーによる「MSX SOFTWARE REVIEW」での評価は、以下の通り150点満点中119点だった。 ゲーム雑誌「PC Engine FAN」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り30点満点中25.1点だった。ゲーム雑誌「ファミコン通信」でのクロスレビューは、8・9・8・8の40点満点中33点だった。小島によると販売本数はおよそ10万本で、これは当時SUPER CD-ROM²用ソフト売上で『天外魔境II 卍MARU』に次ぐ2位の記録だったという。また、「PC Engine FAN」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り30点満点中27.66点だった。米ゲーム誌「Electronic Gaming Monthly」の5人のレビュアーによるクロスレビューは、9・9・7・8・9の50点満点中44点だった。ゲーム雑誌「Play Station Magazine」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り30点満点中23点だった。ゲーム雑誌「SATURN FAN」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、以下の通り30点満点中22.4点だった。以下は全て「マイコンBASICマガジン」掲載の広告。以下は全て「MSXマガジン」掲載の広告。このゲームは元々「JUNKER」というタイトル名が考えられていたが、商標が取れなかったため(MSXで『雀華(じゃんか)』という麻雀ゲームが発売されていたためと言われている)、やむなく「SNATCHER」のタイトル名になった。しかし今度は海外でSFホラー映画の『』と混同される羽目になった。また、最初期の雑誌広告では「サイケデリック・アドベンチャー」と表記されていたが、これは当初、会社側が「サイバーパンク」という言葉が理解できず、使用が認められなかったためと言われている。パソコン版の広告で使われた、ギリアンが振り向いて銃を向けているポスターはイラストレーターの開田裕治によるもの。スナッチャーのCD-ROMバージョンを開発するにあたり、CD-ROMをフル活用できるプラットフォームとして、PCエンジンの他にPC-9821やFM-TOWNSでの発売も検討されたが、最終的にはハードウェアの普及台数の多さでPCエンジンがプラットフォームとして選ばれた。その後、PC-9821では同じ小島秀夫が手がけたアドベンチャーゲームの『ポリスノーツ』が発売されている。PCエンジンの解説書では、納谷悟朗のクレジット表記が「納屋悟朗」に、井上喜久子が「井上貴久子」に、それぞれ誤植されている。これらはプレイステーション版、セガサターン版の解説書でも修正されていない。パソコン版、PCエンジン版では「ネオ・コウベ・シティのマークは『逆ぎっちょ』と呼ばれて親しまれている」という設定があったが、「ぎっちょ」の言葉が差別用語にあたることから、プレイステーション版、セガサターン版では設定が削除されている。メタルギアの声優候補には小山茉美の他にTARAKOが上がっていた。仮にTARAKOが起用されていたら、ギリアンとでアニメ『ちびまる子ちゃん』の親子コンビが実現していた。しかしその後、屋良有作が第二期『ドクタースランプ』の則巻千兵衛役にキャスティングされたことで、図らずもドクタースランプの親子コンビが実現した。海外版ではトライサイクルが「ターボサイクル」となっているが、ギリアンは序盤でターボサイクルを "Flying tricycle" (空飛ぶ三輪車)と比喩している。海外版はメッセージが英語になっているが、それはプレイヤー用に翻訳したもので、登場する人物は全て日本の公用語である日本語で話しているという裏設定がある。特にギリアンは英会話はおろか、英語のヒアリングもできない。射撃訓練システムのジャンカーズ・アイは、1980年代後半にゲームセンターで設営されていたセガの「ブルズ・アイ」が元ネタである。内輪ネタ(あいるは小島の個人ネタ)として "Creeping Silence" の曲には「スピナー、スピナーへ〜」という歌詞が付けられていた。またランダム・ハジルは『ランダム鼻汁』と呼ばれていた。パソコン版の開発中は小島は『スデオ・シード』の名前でプレイしていた。女性プレイヤーにはギリアンよりもランダムの方が人気があり、バレンタインデーに届けられたチョコレートもランダム宛ての方が多かったという。なお、小島はジェミーの大ファンである。
出典:wikipedia
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