飛地(とびち、飛び地)とは、一つの国の領土や行政区画の内、地理的に分離している一部分である。土地の一部が「他所に飛んでいる」と見られることからこう呼ばれる。Aの領域がA以外の領域によって、複数に分断されている状態にあるとする。Aの主要地域以外のその他の領域が飛地である。ある領域を飛地と呼ぶかどうかは、その行政単位の地形・政治・交通などの状況によって判断される。もっとも、その判断も意見が分かれることがしばしばある。以下に、ケースごとの飛地について概説する。ある行政単位Aに対して、別の行政単位Bが近傍に存在しているとする。そこで、Bの内部領域にAの領域が存在し、かつ、そのB内部のAの領域が完全にBの領域で囲まれているとき、その囲まれた領域はAの飛地である。このケースに限っては、ほとんどの者がこれを飛地と認め、そのことには異論がないことが多い。なお、ここでは仮に、本土と飛地を分断する行政単位を単一のBとした。が、本土と飛地を分断する行政単位は複数であってもよい。例えば、行政単位Aに対して、複数の行政単位BとC(及びD、E、F…)の領域によって分断された飛地もある。これは以下のケースでも同様である。日本の和歌山県北山村やアゼルバイジャンのナヒチェヴァン自治共和国が例として挙げられる。Googleマップある行政単位Aが、同一の陸地に複数の領域をもつとする。そして、Aの本土は内陸にあり、一方で、Aの本土以外の領域が水域に面しているとする。かつ、それらのAの複数の領域が、別の行政単位Bの領域によって分断されているとする。そのとき、Aのこれらの領域は、本土と飛地の関係にあるといえる。この場合も、上記と同じく多数の者が飛地であると認める事が多い。パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区(本土)に対するガザ地区(飛地)が例として挙げられる。Googleマップ前述のケース1と似ているが、ある行政単位Aが、同一の陸地に複数の領域をもつとする。そして、それらのAの複数の領域について、本土を含めたすべての領域が水域に面しているとする。かつ、それらのAの領域が、別の行政単位Bの領域によって分断されているとする。このときも、上記と同じく、Aの複数の領域は、本土と飛地の関係にあるといえる。しかし、この場合は、飛地と呼ぶかどうかについては議論の余地がある場合が多い。例えば、アメリカ合衆国におけるアラスカ州やロシア連邦のカリーニングラード州は飛地であると判断されることが多い。Googleマップ 一方で、同じ条件を満たすトルコのイスタンブールがあるトラキア地方は、本土と海峡を介して近接しており、飛地とはみなさないことがある。Googleマップ上記のケースに当てはまらず、本土と飛地が同一の陸地に所属しないケースである。これが飛地かどうかについては、微妙なケースである。以下にさらにケースを細分化する。ある行政単位Aが、複数の島にわたって複数の領域をもつとする。そのとき、Aの所属するある一つの島において、その島に存在する行政単位がAだけの場合は、その島は飛地と呼ばれることはまずない。例えば、広島県廿日市市における厳島、東京都における伊豆大島などは飛地ではない。Googleマップ上記の通り一般的に島は飛地ではない。しかしながら、その島に複数の行政単位の境界線が通っている場合は、飛地となり得る。具体的には、ある島の対岸に、複数の行政単位AとBが存在するとする。AとBが、その島にも領域を有しており、その島内にそれらの境界線が引かれている場合は、飛地の可能性がある。例えば、大阪府の関西国際空港の空港島とそれを分断する対岸の自治体(泉佐野市・田尻町・泉南市)は、空港島をめぐって交通が分断されていることもあって、飛地を構成しているといえる可能性がある。Googleマップ また、瀬戸内海において岡山県と香川県の県境で分断された井島なども、場合によっては飛地とみなされることもある。Googleマップ上記の通り境界線を持つ島は飛地である可能性がある。しかしながら、島に境界線がなくても、飛地となる可能性もある。この場合は島である必要はなく、本土と海峡や川などによって分断されているだけの領域も含まれる。例えば、茨城県猿島郡の境町は、利根川北岸が本土であるが、町の境界線が利根川を越えて南岸側にもかかっている。この境町の利根川南岸の領域は、飛地と呼べる可能性がある。Googleマップ しかしながら、仮定の話ではあるが、もしも、この利根川南岸の領域が、本土と橋などで連絡した場合は、これを飛地として扱うかは意見の分かれるところである。一方で、逆に、橋ができたが故に、飛地とみなされる可能性が出た例もある。長崎県の松浦市には、福島という島がある。福島には境界線はなく、上記の原則にあてはめれば、飛地ではない。しかし、1967年に福島と佐賀県伊万里市に間に橋がかけられた。これにより、松浦市の本土から福島へは、伊万里市を通らねばならなくなったため、福島は松浦市の飛地と呼べる可能性がある。Googleマップ なお、2008年時点で、陸路・海路とも、福島と伊万里市を結ぶ交通手段はあるが、福島と松浦市は直接結ばれていない。主に上記の「飛地が内陸部で他の行政単位に完全に囲まれているケース」などの飛地において、発生しうる現象が、二重飛地である。ある行政単位Aの飛地が、A近傍の別の行政単位Bの領域の内部にあるとする。このBの内部にあるAの飛地のさらに内部に、Aの飛地に囲まれたBの領域が存在する場合がある。その場合、このBの領域は「飛地に周囲を囲まれた飛地」であり、二重飛地と呼ばれる。例としては、大阪府・兵庫県の大阪国際空港内における、豊中市内部にある池田市の飛地の内部にある豊中市の二重飛地、オマーンのマダ内に位置するアラブ首長国連邦のナワなどがある。Googleマップ封建制下においては、同一の君主の所領が各所に分散していることは珍しくなかった。国民国家形成の際に旧来の領邦の境界を引き継ぐこともあり、その際に領土や行政区画に飛地が残ったという事例がヨーロッパ・インド・日本に多いようである。その他の要因としては以下のようなものがある。上記のようにして形成されたものの多くは、飛地と呼ばれる。しかしながら、飛地が植民地である場合には、領土という観点では飛地であっても、飛地と呼ばないのが普通である。例えば、かつてのインドはイギリスの飛地であるとはいえない。上記のように、飛地は生成される一方で、解消されたり、再生成されたりする動きもある。例えば、日本では、住居表示の実施、土地区画整理等に伴う行政区画の変更、市町村合併などにより、飛地は次第に解消される場合もあるが、合併交渉の破綻により細分化される事例もある。また、行政側が飛地の解消を望んでいたとしても住民が民族的・歴史的経緯などから反発する場合や、逆に住民側が望んでいても行政側が政治上の理由によって解消を拒否する場合などがあり、単純に関係地域の合併交渉だけで解消につながるものではない事例が多い。以下に挙げる飛地はあくまで代表的な例であり、これ以外の小さな飛地は多数存在する。いずれも非隣接自治体同士が合併したための飛地である。飛地になる予定も含む。
出典:wikipedia
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