新日本製鐵株式會社(しんにっぽんせいてつ、)は、日本の大手鉄鋼メーカー(高炉メーカー)である新日鐵住金株式会社の旧商号。2012年(平成24年)10月1日、同じく日本の鉄鋼メーカーである住友金属工業(住金)と合併し、「新日鐵住金」に社名変更した。統合前、2010年の粗鋼生産量において日本国内では首位、世界では第5位の規模を持っていた。1970年(昭和45年)に、日本製鐵(日鉄)を前身とする八幡製鐵・富士製鐵が合併して発足した。この時点で、日立製作所を抜いて売上日本最大のメーカーとなり、1980年代にトヨタ自動車に抜かれるまで、長年その位置を占め続けた。略称は、「新日鉄」(あるいは旧字体の「新日鐵」)や英文社名に由来する「NSC」など。官営八幡製鐵所を中心に複数の製鉄業者が合同して1934年(昭和9年)に発足した日本製鐵株式會社(日鉄)が前身である。日鉄は太平洋戦争後の過度経済力集中排除法により4社に分割される(財閥解体)が、このうち八幡製鐵株式會社と富士製鐵株式會社という鉄鋼メーカー2社が同法廃止後の1970年(昭和45年)に合併し、新日本製鐵(新日鉄)は発足した。新日鉄は、高炉を構え、鉄鉱石を原料に銑鉄から鋼材までを一貫して製造する銑鋼一貫製鉄所を持つ「高炉メーカー」の一つである。鉄鋼業の指標となる粗鋼の生産量は年間2,750万トン(2009年度実績)で、日本国内ではシェア首位。イギリスの金属情報誌によれば、粗鋼の生産量は世界第6位(2009年時点)である。世界シェア首位のアルセロール・ミッタルとは粗鋼生産量でおよそ3倍の差があり、敵対的買収の脅威が高まっているとされているが、これに対し新日鉄では、同業や川下メーカー、商社との株式持ち合いや、日本国外の製鉄所建設を含めた増産計画などの対抗策を打ち出している。一方、国内シェアは2位のJFEスチールと拮抗するが、国内シェア3・4位の住友金属や神戸製鋼所と株式の持ち合いを進めるなど緩やかなグループ形成をしており、日本の鉄鋼業界は新日鉄とJFEの2系統にまとまったといえる。生産拠点の銑鋼一貫製鉄所は、君津・大分・名古屋・八幡・室蘭の5か所。このほかにも高炉のない工場を5か所構える。これらの生産拠点において、鋼板や条鋼、鋼管など各種鋼材やチタン圧延材などの生産を行っている。製品は製造業向けの高級鋼材が7割を占める。このように事業会社として動く一方、グループ企業を束ねる持株会社としての側面も持っており、新日鉄は事業持株会社として機能している。グループ企業は大阪製鐵などの鉄鋼業者のほか、建設業者の新日鉄エンジニアリングや化学メーカーの新日鐵化学、情報通信企業の新日鉄ソリューションズなど、鉄鋼業から派生した業種の企業を含んでいる。新日鉄の中核事業である鋼材の生産は、国内の10工場によって展開されている。製品の鋼材の種類は工場によって異なるが、船舶や大形構造物に使用される厚板、自動車・電気製品・缶などに使用される薄板・表面処理鋼板、モーターなどに使用される電磁鋼板、建築・土木分野で使用されるH形鋼・鋼矢板などの形鋼や軌条、自動車部品や建築物に使用される棒鋼・線材、流体の輸送や機械部品などに使用される鋼管が主なものである。工場とその所在地、主な生産品目を以下に示す。このうち銑鋼一貫製鉄所は君津・大分・名古屋・八幡・室蘭の5工場。広畑・釜石・堺はかつて一貫製鉄所であったが、1989年(平成元年)から1993年(平成5年)にかけて高炉を停止している。ただし、広畑には高炉などに替わる製鋼設備(冷鉄源溶解設備)があり、他の一貫製鉄所と同様に粗鋼の生産を継続している。光工場は旧・光製鐵所で電気炉があったが、新日鐵住金ステンレス設立の際に同社に移管したため新日鉄の設備ではなくなっている。粗鋼の生産のみならず鋼材圧延設備も集約化が進んでおり、一部の工場は特定の製品に特化している。新日鉄は1984年(昭和59年)よりチタンの伸延(圧延)を行っている。製品はチタンの厚板・熱延薄板・冷延薄板・箔・溶接管・シームレス管・線材・丸棒。化学工業分野、建築分野、自動車分野などへ出荷されている。生産設備は鉄鋼用と共通のものを使用する。生産拠点は八幡と光がメインだが、工程によって君津・名古屋・広畑の設備も使用する。製鉄所において石炭や副生ガス(高炉ガス・コークス炉ガス・転炉ガス)を燃料に発電(火力発電)し、独立発電事業者 (IPP) として電力会社への電力の卸供給を行っている。1999年(平成11年)から2002年(平成14年)にかけて室蘭・釜石・広畑・八幡・大分の5か所で開始され、合計約80万キロワットの電力を供給している。供給先は、室蘭が北海道電力、釜石が東北電力、広畑が関西電力、八幡と大分が九州電力である。新日鉄は1970年(昭和45年)3月31日に、八幡製鐵と富士製鐵が合併(手続上は八幡製鐵が存続会社となり、富士製鐵が解散)して発足した。八幡製鐵・富士製鐵のどちらも日本製鐵を前身とし、国内で1・2位の規模を持つ大手高炉メーカーであった。合併実行の2年前の1968年(昭和43年)5月1日、八幡製鐵・富士製鐵両社の合併が正式に発表された。両社は合併の理由を、設備の大型化への対応、需要鈍化の下での重複投資の解消、技術力強化、資本自由化や鉄鋼業の大型再編の中での国際競争力強化などを挙げている。この動きに対し、政府や財界はおおむね賛成した。例えば当時の佐藤栄作内閣総理大臣は基本的に賛成と委員会で答弁し、政府の経済閣僚協議会も賛成した。一方、反対意見は野党の日本社会党や経済学者のグループから出た。労働組合側は、日本労働組合総評議会(総評)は不支持であったが全日本労働総同盟(同盟)や両社の労働組合は反対しないとの意見であった。翌1969年(昭和44年)3月6日に合併契約書が調印され、同年6月1日の合併実行が決定した。合併に関して審査を行っていた公正取引委員会(公取委)は契約書調印後、両社の合併は独占禁止法に違反する疑いがあるとして審査を開始。合併に対し反対の意を示し、1969年(昭和44年)5月7日には合併否認勧告を出した。独占禁止法に違反するおそれがあるとされたのは、鉄道用レール・食缶用ブリキ・鋳物銑・鋼矢板の分野で、次の理由により判断された。この公取委の勧告に対し、両社は以下の対応により独占禁止法違反回避を図った。当時の経営陣によれば、これらの行為による損害は大きなものであるという。上記の排除計画は1969年(昭和44年)10月に公取委に提出され、その結果計画実行を条件に公取委は合併を認めた。同年11月7日には修正合併契約書に両社は調印、その後排除計画の実行を進めた。すべての計画が実行された後、1970年(昭和45年)3月31日を以って合併を実行、新日鉄が発足した。年間粗鋼生産量はアメリカのUSスチールを抜き資本主義諸国ではトップとなり、日本における最初の売上高1兆円メーカーとなった。最後の代表取締役社長は宗岡正二、代表取締役会長は三村明夫。社長の宗岡は日本経済団体連合会(経団連)の副会長も務める。経団連の前身・経済団体連合会では、初代社長の稲山嘉寛や4代目社長の斎藤英四郎が会長を務めている。新日鐵住金発足にともない、宗岡は新日鐵住金の代表取締役会長(2014年3月まではCEO兼務)となり、三村は2014年4月時点で、相談役名誉会長となっている。鉄鋼業界の業界団体である日本鉄鋼連盟の会長職は1948年(昭和23年)の発足以来、慣行として新日鉄社長が務めていたが、2006年(平成18年)5月に三村からJFEスチールの馬田一社長へ会長職を交代。今後は両社が2年おきの輪番で会長を務めることになる。2010年(平成22年)3月31日現在、新日本製鐵グループは新日鉄とその傘下の連結子会社255社、持分法適用関連会社73社で構成されている。新日鉄の指定問屋のうち、有力企業により「十日会」と呼ばれる団体が組織されている。同団体は前身の日本製鐵時代より組織されており、構成企業は下記のとおりである。上記の他、かつてはメキシコオリンピック銀メダリストの君原健二を輩出した陸上部や、天皇杯全日本サッカー選手権大会で優勝経験のあるサッカー部(新日鉄八幡サッカー部)、オリンピック日本代表も擁したバスケットボール部(新日本製鐵スパーレッツ)などがあった。企業経営者政治家学者スポーツ選手2005年(平成17年)6月に発覚した、鋼鉄製橋梁をめぐる入札談合容疑によって公正取引委員会が立ち入り検査に入り、同月下旬に新日鉄は起訴処分となった。その後、同年9月に官製談合防止法に基づいて公正取引委員会が排除勧告を行った。しかし、新日鉄は談合の事実を認めながらも排除勧告の応諾を拒否。この事件は裁判によって争われたが、2009年(平成21年)に新日鉄は敗訴し課徴金として2億8200万円の罰金の支払いを命じられた。この事件は官製談合の典型と言われ、事件発覚当時には報道などでも大きく扱われた。これを受け、社長などの役員報酬の返上を行ったうえで、今後の橋梁事業の縮小を発表した。2010年(平成22年)1月、名古屋製鐵所から水質汚濁防止法で定められた基準(水素イオン濃度 (ph) 5-9)を大幅に上回る高濃度のアルカリ水(ph12.1-12.3)が名古屋港に漏出しているのが見つかった。同製鐵所の敷地内には、護岸ブロック付近において埋め立て材としてスラグ(鉱滓)が使われていたが、これが雨水などと混合してアルカリ化し、岸壁に入っていた亀裂から漏出した模様である。名古屋海上保安部は同年11月1日に、同製鐵所で水質検査などを担当していた男性社員並びに新日鉄本社を同法違反容疑で書類送検した。
出典:wikipedia
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