スペクトル()とは、複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののことである。2次元以上で図示されることが多く、その図自体のことをスペクトルと呼ぶこともある。様々な領域で用いられる用語で、様々な意味を持つ。現代的な意味のスペクトルは、分光スペクトルか、それから派生した意味のものが多い。日本語の「スペクトル」は、フランス語の から来ており、英語の [スペクトラム]同様、ラテン語の [スペクトルム]を語源としている。この語は「見る」を意味する動詞 の派生語で「像」を意味する(原義は 「見えるもの」「現れるもの」)。「幻姿」を意味する英語の [スペクター] とは同語源。分光学では、電磁波(光)をプリズムや回折格子といった分光器を通すことにより得られる、電磁波の波長ごとの強度の分布を分光スペクトルという。分光スペクトルには、対象物と光との関係によるスペクトルの種類とスペクトルの波形の特長による種類とがある。恒星は中心部の核融合反応で輝くガス球であり、その分光学的性質はほぼ黒体に近い。そのため、恒星のスペクトルは大雑把にはその表面温度の黒体放射に対応する連続スペクトルとなっており、その中に恒星大気中の原子や分子による吸収線スペクトルが見られる。その吸収線スペクトルのパターンによって恒星の分類がされている。これをスペクトル分類という。太陽も恒星の一つであるから、そのスペクトルには吸収線が見られる。この吸収線は発見者の名前をとってフラウンホーファー線と呼ばれている。分光スペクトルの概念は、一般の波に拡張された。物理学や工学の時系列解析では、解析対象である、時間領域における時間の関数(波形)に対し、それから周波数領域への変換(たとえばフーリエ変換)で得られる、周波数の関数をスペクトルという。周波数領域におけるパワー密度(振幅の2乗)である、パワースペクトル密度 (PSD) が代表的である。分光学での分光スペクトルは、電磁波のパワースペクトル密度である。なお正確には、スペクトルを求める変換の対象は時間領域とは限らず、たとえば長さのこともよくある。周波数領域に対しさらに変換をすることもあり、その結果は、ケプストラム(cepstrum。spectrumのアナグラム)という。化学では、一般には、試料に対してなんらかの刺激を与えた際、その刺激や応答を特徴づける量に対して応答強度を記録したものをスペクトルという。吸収スペクトルをスペクトルと言うことが多いが、この文脈では吸収スペクトルとは、「刺激として電磁波を用い、波長に対し吸収強度を記録したもの」と言える。他には、質量分析法では、刺激として電子衝突を用いて、分解によって生じた破片の質量に対しその量を記録したものをスペクトルと呼んでいる。抗生物質が効く細菌の種類の範囲を(抗菌)スペクトルという。政治学では、イデオロギー分布に基づいて諸政治勢力(政党が中心だが、議会外野党や反体制組織まで範囲を拡大する場合もある)を配置した模式図、ないし配列そのものを政治的スペクトル(political spectrum)として、分析ツールの一つとして用いている。一般には、左に左翼勢力を持ってくる。対象は、一般的な政党や各国の具体的な政党など、自由に設定でき、特定の政党内部での派閥の配置を表現することも可能である。日本の主要政党を例にとると、<共産党:社民党:民主党の左端:公明党:自民党の左端:国民新党:民主党の右端:自民党の右端>といったような並び方になる。各政党の政策パッケージが多様化してきている今日では、政治(第一軸)、経済(第二軸)による二軸型、さらには文化(第三軸)まで加えた三軸型の分析枠組も活用されており、一軸型の政治的スペクトルは過去のものとなりつつあるが、単純であるが故にわかりやすいという利点もあり、最適な分析枠組となる状況もある。
出典:wikipedia
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