ゴールデンラズベリー賞(ゴールデンラズベリーしょう、)は、アメリカの映画賞。毎年、アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の映画を選んで表彰するものでラジー賞(Razzies)とも呼ばれている。UCLAから映像製作・映画宣伝の道に進んだジョン・ウィルソンにより1981年に創設された。初期は正真正銘のB級映画が各部門受賞を独占することが多かったが、近年は輝かしい実績があるにも関わらず、どうしようもない役柄を演じてしまった俳優や、前評判と実際の出来のギャップが著しい大作などが受賞する傾向にある。この賞自体が一種のユーモアであり、本当にくだらない、つまらない作品を選ぶ場合もあるが、一方で出来はよいが惜しい作品や、強烈なカリスマ性や異色性が強すぎて一般ウケしない作品に与えられることもあり、この賞の受賞作品が意外によく出来た面白い作品として評価されることがある。また、俳優に与えられる賞も、必ずしも酷い演技をした役者が受賞するわけではなく、第一回の「ジャズ・シンガー」で受賞したニール・ダイアモンドは同じ作品でラジー賞とゴールデン・グローブ賞を同時受賞している。また、上述のように一種のジョーク賞であることから受賞した作品が「一般受け」はしないが、マニアからは「カルト映画」と評価される作品の場合もある(『フォード・フェアレーンの冒険』『ハドソン・ホーク』『ショーガール』など)。なお、ジョージ・W・ブッシュ大統領を激しく批判する内容で製作され、そのブッシュ大統領が最低主演男優賞を獲得した『華氏911』や、狙いそのままに「最優秀頭からっぽティーン向け作品賞」を受賞した『ジャッカス』のように、遠回しに正の評価を送られた作品も希ながらある。2011年(第32回)には『ジャックとジル』が初の全部門制覇を果たしている。「野次」を意味する「Razz」から命名された「Razzie Award」が正式な賞名であるが、「Razz」のもうひとつの意味である「Raspberry」(ラズベリー:木イチゴ)の実を模したトロフィーのデザインにより「Golden Raspberry Award」とも呼ばれる。また、英語の「ラズベリータルト」(raspberry tart)が「fart」(おなら) と韻を踏んでいることから、ラズベリーはおならをまねた音、すなわちブーイングの音を指すようになった。賞の名はこのことにも掛かっている。トロフィーは、ゴルフボールで作ったラズベリーを金色に塗装し8mmフィルム缶に乗せ、木目の入った台所用壁紙を巻いてタイトルを貼り付けただけの(もちろんシャレの意味で)貧乏臭いデザインである。制作価格はわずか4ドル79セントほどと言われるが、近年は8mmフィルムが市場から姿を消しつつあるため手に入りにくく、価格は上昇傾向にある。 ラジー賞は米映画アカデミーの会員による投票・審査で受賞が決定されるアカデミー賞と同じく、「ゴールデンラズベリー賞財団」の会員による投票で受賞作品を決定する。ただし実績ある映画業界人によるアカデミーと違い、ラジー賞選考には一般の映画ファンが小額の会費(2013年現在、新規会員は40ドル)を払うだけで投票権を有することもできる。また、2作品が同一部門で受賞することもある。主要部門は毎年変わらないが、その年だけの部門が作られているのも、ラジー賞の特徴である。2014年度からはラジー・名誉挽回賞(、ラジー・リディーマー賞)が新設された。これはラジー賞の常連や、ラジー賞の受賞が有名な俳優や監督を対象とし、その年にアカデミー賞ノミネートなどの功績を挙げて「名誉挽回」した者に送られる特殊な賞である。新設された2014年度は事あるごとに酷評される『ジーリ』のベン・アフレックが、2015年度はラジー賞のチャンピオンとまで称されたシルヴェスター・スタローンが受賞した。例年、本家アカデミー賞の授賞式の前日に、ラジー賞の授賞式が開催されていたが、第32回のラジー賞は、ノミネート発表がアカデミー賞前日の2012年2月25日、授賞式はエイプリールフールの2012年4月1日に行われた。第33回ラジー賞はまたアカデミー賞の前日に戻り、ノミネート発表が2013年1月9日(現地時間)、授賞式が2013年2月23日(現地時間)に行われる。賞の意味合いからトロフィーを受け取りにくる者はほとんどいないが、第8回でラジー史上初めてトロフィーが受賞者の手に渡っている。当年、『ビル・コスビーのそれ行けレオナルド』で3部門受賞したビル・コスビーは、授賞式に出席はしなかったが作品の失敗を自ら認めており、のちに出演したテレビ番組の中でそのトロフィーを受け取った。授賞式でのトロフィー授与が初めて実現したのは第16回授賞式で、最低作品賞・監督賞など7部門を受賞した『ショーガール』のポール・バーホーベン監督が出席し、「蝶からサナギになった気分だ」とコメントした。以降、第22回の授賞式には最低作品賞・監督賞など5部門を受賞した『フレディのワイセツな関係』の監督・主演のトム・グリーンが、第25回の授賞式には『キャットウーマン』(最低作品賞・監督賞など4部門受賞)で最低主演女優賞を受賞したハル・ベリーらが出席し、その懐の深さに授賞式参加者は満場の喝采を贈った。特にハル・ベリーは『チョコレート』で受賞したオスカー像を持参して左手に持ち、右手にはラジー像を抱えてアカデミー賞主演女優賞を受賞した際の自身のスピーチのパロディを演じ切り、涙まで流して見せたことで聴衆から大喝采を得た。子供のころに母親から「胸を張って負け犬になれない者は、勝者にもなれない」と言われたことが出席した理由だと語った。第30回では最低主演女優賞と最低スクリーンカップル賞を受賞したサンドラ・ブロックがハル・ベリー以来の授賞式出席を行ったが、彼女はアカデミー賞の主演女優賞にも選ばれ、史上初めて同じ年に両方の賞を受賞した。ただ、ブロックはこの際に「一つしかないオリジナルのトロフィー」を持ち帰ってしまっており(受賞者にはレプリカが渡されるが、受賞会場に受賞者が現れることはまれであるため、このようなハプニングが起こってしまった)、実行委員会がブロックに返却を求める事態となっている。
出典:wikipedia
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